小白鬼の冒険―ショウバイグィのぼうけん―   作:りるぱ

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第参話 技を極めよう、静々と

「どこかの体力馬鹿の亀と違って、鶴仙流の全ての技の根源は"気"の流れを操ることにある。

 "気"とは生物の体内に秘められた力の奔流。身体強化しかり、気功波しかり、まずは"気"の操り方を覚えない限り話しにならん」

 

 この場所で暮らし始めて二月(ふたつき)近く経過していた。

 天さんによる体術指導がこれまでの修行であったが、本日は待望の《鶴仙人様直々の修行・初》である。

 

「人の肉体と言う物は鍛えるにしても限界がある。だがこの限界を容易く超越させるものが"気"じゃ。――天津飯含め、お前の肉体は元々通常の人間よりはるかに強い。これ以上無理に鍛える必要もなかろう。元来肉体を鍛えて得られる力など、微々たる物じゃからな。

 …………まぁ、どこかの前時代的な脳筋亀はこればっかりやっとったがな」

 

 なるほど。

 亀仙人とはこんなところにも思想の違いがあった訳だ。

 

「まずは自身の体内に眠る"気"を感じとる修行から始めよう。

 ――ではチャオズよ、胡坐(あぐら)を組め」

 

「はい」

 

 今僕が講義を受けている場所はいつも使う室外の練武場ではなく、室内にあるお堂だ。

 目の前には六本の腕にそれぞれ違う武器を持つ高さ6m程ある阿修羅像が、"デーン"とかっこいいポーズで構えていた。

 それにしても自宅にお堂やら仏像やらがあるとは……。

 僕はまだまだ鶴仙人様のお金持ちっぷりを()めていたらしい。

 

「心を落ち着かせ、体内に存在する気の流れを感じ取るんじゃ。焦らず、時間をかけてよい。

 だが、けっして無になるでない。気とは生命の息吹――」

 

「あの」

 

「なんじゃ? 話の途中じゃぞ」

 

「あの、僕。自分の体内の気、わかります」

 

「む?」

 

「気、消せます」

 

 そう言う僕を疑心暗鬼な表情――サングラスを掛けているので雰囲気から察した想像だが――で見下ろす鶴仙人様。

 

「……ふむ、ならば消してみぃ」

 

「はい」

 

 ふっふっふ、驚愕するがいい!

 す~、ふ~、と、深呼吸を一つ。

 体内を流れる気の力を生命維持に必要な分のみ残し、"無"に近づける。

 

「ほう……」

 

 今の僕は極限までに存在感が薄くなっていることだろう。

 部屋の隅っこにでも立っていれば、常人にはけっして見つからない自信がある。

 

「まだまだ詰めは甘いようじゃが…………確かにすばらしい隠形(おんぎょう)じゃ」

 

「へへ~」

 

 鶴仙人様のゴツンと軽いゲンコツ。瞬間星が見えた。

 

「調子に乗るでない! まだまだ詰めが甘いと言うとろうが!」

 

「う~、はい」

 

 実はこれには自信があった。

 寺院にいた頃は毎日のように師父達に気づかれず、こっそりと厨房まで行っていたのだ。もちろん最初からうまく行くはずもなく、始めの頃は何度も見つかっては折檻を受けていた。だがそれでも決して諦めず、毎日毎日挑戦を続け、結果、ハイレベル――武術の達人たる師父達に見つからなかったのだから、十分ハイレベルと言えよう――の気消し術、鶴仙人様の(げん)を借りれば隠形術を習得することに至った訳だ。

 自分で言うのもなんだが、(まっこと)、食い意地とは恐ろしい物である。

 

「とは言え、自力でそこまでに至ったか……。恐ろしい才能じゃのう」

 

「えへへ」

 

「だからへらへらするでない!

 ――第一段階は飛ばしじゃ。

 次は気の流れの向き、強さ。これを感じ取れるようになってもらう」

 

「はい!」

 

「ふむ…………これだけ才能があるなら、もっと手っ取り早い方法で行こうかのう……。

 よし、チャオズ! 手を出せ!」

 

 言うとおり左手を差し出す。それを掴み、引っ張り上げる鶴仙人様。

 

「もう胡坐(あぐら)はよい。立てぃ。

 ――今からわしの気を大量に流し入れる。そら、いくぞぃ!」

 

 唐突に鶴仙人様に繋がれた手から大きな熱の塊が入ってきた。

 いや、鶴仙人様が流し入れてるんだ。こ、これが"気"!?

 

「落ち着けい。

 時間をかけてゆっくりと押し込んでやる。気の通る道を感じよ」

 

「う、うん」

 

「はい、じゃ!」

 

「は、はい!」

 

「なんなら目を閉じよ。その方が感じ取りやすい」

 

「はい!」

 

 左手から流れ込む熱。

 それは左腕を通り、身体の中心へと向かっていく。

 そしてそのまま左腿から左足。

 戻り、股間を通過して右腿、右足。

 もう一度中心を通って右腕、右手。

 またまた戻って、首を上り頭へと。

 最後に熱は左手に帰還。

 

「一周したようじゃな。どうじゃ、チャオズ。気の流れ、通り道を感じとれたか?」

 

「た、たぶん。何となく、分かります」

 

 "気の通り道"、と言う意味が分かった。

 "気"はまるで血液のように、決められた経路を伝って全身を回っていたのだ。

 

「ならば反復じゃな。安心せい、今日一日は付きおうてやる。

 ほれ、もう一度行くぞぃ!」

 

「はい!」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 僕の右手に気を流し、ゆっくりと体内に押し込める作業。

 鶴仙人様は宣言通り、延々とそのルーチンワークを何時間も続けた。 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 この鶴仙人様の初修行により、僕は多くのものを得ることが出来た。

 とりあえずこの"気"を流し込まれ続けると言う行為。なんとも無いと思われるかもしれないが、酷く体力・気力双方を削られていく。

 僕がまず学習したことは、これであった。

 

「もうそろそろ限界かのう?

 今日はここら辺でやめじゃな」

 

「はぁ……はい。

 あ、あの」

 

 どこかへ行こうとする鶴仙人様を慌てて引き止める。

 ここ二ヶ月顔を突き合わせて分かったことなのだが、この鶴仙人様、あまりにも雷動風行すぎる。思ったこと、言ったことを行動に移すのが兎に角速い。思い立ったが吉日ならぬ、思い立ったがこの瞬間である。質問をしたくともいつの間にか居なくなっていた、なんてことが幾度かあった。

 

「なんじゃ? 何か気になったことでもあるなら言うてみい」

 

 立ち去ろうとするその歩みを一旦止め、振り返る鶴仙人様。

 僕は慌てて言葉を続ける。

 

「鶴仙人様の気が通る時、ほかよりもとても熱い部分がありました」

 

「……ほう」

 

(てのひら)と足の裏、あと、お腹が、熱かったです」

 

 感心したような顔で、顎髭を撫でる鶴仙人様。

 そのまま僕の問いとすら言えない報告のようなものに答えを返す。

 

「今お前の言うた場所は、"気"を集めやすい部位である。

 ――どれ、見よ」

 

 鶴仙人様は右手を胸の高さまで持ち上げると、(てのひら)を天に向ける。

 周囲の空間が歪んで見える。そう、錯覚するほどの集中力。

 

 ぼぅわっ

 

 擬音にすればこんな感じだろうか?

 鶴仙人様の(てのひら)上空6cm程に、野球ボール大の光球が浮かび、静止していた。 

 

「これが集められ、束ねられた"気"じゃ」

 

 特に自慢でもないが、僕はドラゴンボールと言う漫画を全巻持っていた。

 そこでは雑魚含めほぼ全キャラクターがオールマイティに扱える"気"。

 ここに来てようやく気づく。

 僕はこの偉大なる功夫(クンフー)に対し、どこか軽く見ていたことに。

 

「気の放出。

 どの流派においても"奥義"とされる技じゃ」

 

 昔、静電気を使って小さな雷を起すという理科の実験をやったことがある。その時のことを深く連想させる。

 白く発光し、脈動する気の塊。ジッと見ていると魂ごと吸い込まれそうだ。

 これは、本当にこの世に存在する物なのだろうか?

 感じられるプレッシャーとは逆に、ひどく現実感が薄れていく感覚。

 こんなこと、人間に出来ていいものなのか?

 

「お前が掴んだその感覚はのぅ、本来なら武術家が三十年、四十年とかけて、徐々に培っていくものじゃ。

 ――いや、現実、生涯をかけてもそこに至れん奴らは多い」

 

 自分の両手を見る。

 鶴仙人様の言うことを信じるならば、僕にはとんでもない才能があるのだろう。

 ――いつか、僕にも出来るのだろうか……?

 

「その感覚を早々に掴んだお前は"気"の放出に関する才能がずば抜けておる。

 その才能だけならば、天以上じゃな。

 なにしろ天がその境地に至るまで、一年と三月(みつき)はかかっとるからのう」

 

 まぁ、それでも破格の速さじゃがな。と続ける鶴仙人様。

 

「ほ、本当ですか!? 天さんよりも才能があるって!」

 

「ああ、嘘ではない」

 

 これにはさすがに驚愕。

 漫画では全てにおいて、天津飯より劣っていたはずの餃子(チャオズ)

 まさか……こんな才能があったなんて。

 

「その才能に驕らず、精進せい。

 お前なら鶴仙流最終奥義まで、あるいは辿り着けるやもしれん」

 

 踵を返し、去っていく鶴仙人様。

 僕はしばらくお堂でボーとしていた。

 

 考察する。

 どうやら僕には"気"の放出限定だが、天さん以上の才能があるらしい。

 しかし原作のチャオズは明らかに全てにおいて天津飯より弱かった。

 では、それはなぜか?

 もちろん年齢も理由の一つだろう。

 孫悟空と天下一武道会で初めて出会う日付は分からないが、そこまで未来ではないはずだ。

 天さんと比べ、修行に費やした年数の違いは実力の差という形ではっきりと現れるだろう。

 しかし、その後のチャオズも劇的に強くなったと言うことは無い。

 なぜか?

 ――"師"の元を離れたからだ。

 鶴仙人様の元で修行すべき期間を、独学に費やしたからだ。

 一番の成長期でもあるあの年代を、無駄に過ごしたからだ。

 実際、神の神殿で修行するまで、チャオズは大した成長をしていなかったのではないか?

 武術はパワーだけじゃない。

 先ほどの、あの気を体内に押し込むと言う未知の技術からもそれは断言できる。  

 鶴仙人様は三百年近く生きているらしい。

 その間に培ってきた功夫はとても無視出来るものではない。

 出来れば、鶴仙流は全て習得したい。

 

 ――今後の方針が大体決まった。

 まずは"気"の制御を完全にし、そしてなるべく多くの鶴仙流を習得する。

 原作ブレイクがしたい、なんて夢は僕にだってある。

 少なくとも、碌な役に立たないという自身(チャオズ)の未来を少しでも変えてみたい。

 その為にも、今はまず地味に努力だ。

 うん! よし!

 

「えいえいおー!」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「チャオズ、夜市(よるいち)に行かないか?」

 

 まもなく晩御飯の時間。天さんからの提案であった。

 

「お前はまだこの辺をほとんど出歩いたことがないのだろう?」

 

 ほとんどところが、まったくだったりする。

 ここに来てから一度も外に出ていない。

 

「いいの?」

 

「ああ、もちろんだ。

 俺達は別にここに閉じ込められている訳じゃない。外に出たい時はいつだって出て良いんだ。

 修行ばかりしていると出不精にはなるがな」

 

 天さんは顔に僅かな苦笑いを浮べる。

 

「うん! なら行く!」

 

「それじゃあついでに夕飯も屋台で済ませよう。(ファン)!」

 

 パタパタと慌てて走り寄る足音。

 ぐりっとした左右対称のお団子頭を覗かせ、洗濯籠を持った小方(シャオファン)が玄関から顔を出す。

 

 僕と天さんが住んでいるここは鶴仙人様屋敷の西側にある別館。

 弟子専用棟、みたいなところである。

 もっとも今現在、鶴仙人様の弟子は僕と天さんの二人しか居ない。

 今住んでいるここと同じ様な空き部屋――それなりに豪奢で結構広い――は優に十を超すが、しかし未だもって、僕は天さんの部屋に宿泊している。

 違う部屋に住むとそこを清掃する小方(シャオファン)の負担が大きくなるし、どうせ食事も基本天さんと共に摂る。このままの方が色々と便利なのだ。

 

「今日の夕飯は作らなくていい。それから出かける準備をしてくれ、一緒に夜市に行こう」

 

 コクコクと頷く小方(シャオファン)。指で洗濯(かご)を指し、そして水場の方角を指す。腿を上げてその場で駆け足をした後、手でごしごしと洗濯の動きをする。最後に洗濯物を干す動き。親指と人差し指に()を作って、"ちょっと"という意味のジェスチャー。

 

「ああ、洗濯物が少し残っているから洗っておきたいのだな。ならそれが終わってからでいい。待っていよう」

 

 またコクコクと頷く小方(シャオファン)。そして駆け足で水場へと向かっていった。

 

 ――さて、先に出る準備だけでもしよう。

 

「チャオズ、腕を伸ばせ」

 

 いつの間にか天さんが僕の外套を手にしていた。そのまま僕に着付けようとする天さん。

 言われた通り腕を伸ばし、外套に袖を通していく。

 胸の真ん中に大きく"鶴"の紋章のある外套である。

 

「日が沈むと大分寒いからな。襟巻(えりまき)も着けよう」

 

 続けて、僕の首にマフラーを巻いていく。

 

 天さんは、何と言うか、とてもお兄ちゃんしている。

 ご飯を食べればもっと食えとばかりに僕の茶碗におかずをよそい、果物を二つ貰ってくれば必ず大きい方を僕にくれる。風呂に入れば、もっとちゃんと洗ってやると石鹸を押し付け、そして寒い日には……こうして厚着を着せてくる。

 

「帽子はこっちの、暖かいほうを着けていこう」

 

 少しも煩わしくないと言えば嘘になるのだが、それにしても新鮮な感覚である。

 僕は少なくとも六年近く、こういった物とは無縁の生活をしてきたのだ。何を今更という思いと同時に、素直にあり難いとも思う。

 (なん)にしろ、くすぐったい感覚なのだ。

 

 防寒対策が完璧に施された僕を満足そうな表情で見た後、天さんも自分の外套を羽織る。因みに天さんの外套にも"鶴"のマークが左胸にワンポイントで付いている。

 準備が終わったので、小方(シャオファン)の様子を見に行こうという話になった。

 途中通る彼女の部屋に立ち寄り、彼女の外套を持っていく。

 僕達の住んでいる部屋も含めて、弟子専用棟の房間(ほうかん)には鍵は付いていない。それところが、(ドア)もほぼ常時開きっぱだ(さすがに夜には閉めるが)。

 プライバシー? なにそれ、おいしいの? 状態である。

 

 さて、小方(シャオファン)は水場にいるのだろう。

 もちろん水場、と言っても当然の如く川などではなく、厨房とくっ付いている水道のある室内である。

 灰色のセメントの壁に囲まれた中々の広い空間に、洗濯物を部屋干しするための紐が張り巡らされている。

 小方(シャオファン)は水を溜めた大きな洗濯桶でチャプチャプとやっていた。どうやらすすきの段階に入っているらしい。

 彼女は僕達に気づくと、"もうちょっと待って"と軽く手の平をこちらに向ける。

 ぎゅ~っと白い布を搾り、

 バン、バン! と振ってしわを伸ばし、目の前の紐に掛ける。

 洗っていたのは僕達がいつも汗を拭くのに使うタオルだったようだ。今掛けたタオルの隣にも五枚程同じものが干されていた。

 

(ファン)。丁度終わったのなら行こう」

 

 そう言いながら、小方(シャオファン)に外套を渡す天さん。

 受け取りながらコクコクと嬉しそうに小方(シャオファン)

 

 さぁ、行こうじゃないか。

 何年ぶりかの町だ。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 この地域(国?)で一般的に言う市場(いちば)とは庶民ご用達の(ノミ)の市のことである。基本、物資流通の八割方がこれで賄われている。大きなデパートも都市中心部にはあるらしいが、とりあえず僕は行ったことがない。

 市場(いちば)は通常、複数軒の商店の集合地を中心に、前述の通りノミが跳ねるように人々が思い思いの場所に売り場を開く。

 朝市には主に荷台に積まれた野菜が売られ、夜市には玩具(おもちゃ)装飾品(アクセサリー)などの雑貨が並ぶことが多い。売っている人も商人くずれから農民まで多種多様で、地面に直接摊子(タンズー)を敷く者もいれば、荷車を改造してそこに商品を並べる者もいる。

 乞食をするにも絶好の場所であるとも言っておこう。以前いた町(あそこ)じゃ二つのグループが縄張り争いをしていて、とても入る隙間はなかったが……。

 

 そんな市場通りを目指して、僕達はやや速い歩行速度で住宅団地を突っ切る。

 見えてきたのは横幅約8m、縦幅……ちょっと先が見えない、の長い(ほろ)屋根。

 

「着いたぞ」

 

 天さんはそう言いながら先頭する。その後ろに僕、小方(シャオファン)と続く。

 

「屋台通りは向こう側だな。ここを抜けて行こう」

 

 足を進めた室内市場は――と言っても(ほろ)屋根があるだけなので殆ど外なのだが――かなり生臭い空間であった。

 

「ここは主に肉類を売っている」

 

 腐った肉の散乱する地面を踏みしめながら、そう説明する天さん。

 その(げん)の通り、市場の両端と真ん中をカウンターが縦に"ずらー"と並び、そこに様々な種類の肉が置かれたり吊るされたりしていた。自然と通路が二つ出来るわけだが、○側通行といった進行方向の決まりは特にないようで、人々は好き好きに行き来している。ちょっとした混沌(カオス)だ。

 ――それにしても汚い。

 地面には肉やら内臓(ホルモン)やら白菜の切れ端やらが散乱して二歩歩けば何か踏むような有様で、店頭に置かれた豚頭(ぶっちゃー)や吊るされている豚足(とんそく)の周りには蝿がブンブン飛んでいる。

 現代日本人の精神からすればこれはあり得ない、と言うような光景だ。

 

(ファン)、荷物になるから買い物は帰りにしてくれ」

 

 天さんの声にいそいそと羊肉の排骨(スペアリブ)を物色していた小方(シャオファン)が振り返る。

 

 う~ん。

 僕達のいつも食べていたご飯の原料がここから来ているかと思うと少し複雑な気分である。

 とは言え、今までの食生活を思うとさすがにそう贅沢なことは言えない。

 それに今の僕はどこかの新聞記事に書かれた名言のように、"なあに、かえって免疫力がつく"ような環境で約八年も過ごしてきたのだ。とっくに免疫力はついたはずだろう。実際ここ三,四年腹を下した記憶は無い。

 

 さて、僕達にとって生肉売り場は特に面白いわけでもなく、ずんずんと歩いて通り過ぎる。

 キョロキョロと肉を物色して遅れがちな小方(シャオファン)には僕が手を繋いで引っ張っている。たまに手の先から"待って、見たい"と言いたげに手を揺すられる振動が伝わってくる。

 

「だめ。帰ってから」

 

 僕がそう言うと彼女は少しションボリした顔で素直に付いてくる。そして少し間が開くと、また僕の手を揺すり始める。

 

 なんのかんので五分ほどで肉売り場を抜けた。幌屋根と生臭い空気が途切れ、空に浮かぶ半月を見ながらちょっとした開放感を味わう。

 

「ここからは雑貨が多い。何か欲しかったら遠慮なく言ってくれ、俺が買ってやる」

 

「大丈夫! 僕もお小遣い貰ってる!」

 

 天さんも多分同じだろうと思うけど、僕は毎月3000ゼニーのお小遣いを鶴仙人様から貰っている。この辺に住む人々の平均給料が月700ゼニーらしいので、結構な大金を貰っていることになるのだ。

 

「それに僕、お腹減った。先に屋台探そう、天さん」

 

「ああ、それもそうだな」

 

 どうもこの体は物欲よりも食欲の方が勝るようである。

 これも飢えた過去からの反動なのだろうか?

 

「チャオズは何が食べたい?」

 

「う~ん……よく分からないから、天さんのお勧めで」

 

「なら、久々に肉包子(パオズー)にしよう。おいしい店を知っている」

 

 それを聞いて嬉しそうにパチパチと手を叩く小方(シャオファン)

 

「あそこは(ファン)とも以前何回か行ったことがあったな」

 

 しばらく周囲の賑やかな雰囲気を堪能しながら歩き、辿り着いたのは規模の大きめな出店だった。

 何段にも重ねられた大きな蒸篭(せいろ)から湯気がもくもくと天に伸びている。そんな蒸篭が全部で三つ。その手前には粗末な机と椅子が沢山並べられ、裸電球がそれらを照らしていた。奥には掘っ立て小屋の厨房らしきものもあり、そこの窓から煙突がくの字に突き出され、なぜかもくもくと煙を吐き出し続けている。

 ひょっとしたらガスじゃなく、薪を燃やしてたりして……。

 

「おい、そこの。肉包子(パオズー)を……何皿でも良いが、この机一杯に乗せてくれ」

 

「はいよー」

 

 天さんはウェイターに注文をし(←そんなハイソなものじゃない)、それに応える八の字髭で油汚れのたっぷり染み付いたエプロンを身に着けたウェイター(←何度も言うか、そんなハイソなものじゃない)。

 そしてその辺にある机を囲み、僕ら三人は椅子に腰掛けた。

 

「楽しみにしててくれ、この店はここ界隈で一番美味い」

 

 それに続くように笑顔でコクコクと頷く小方(シャオファン)

 

「へい! お待ち!」

 

 声とほぼ同時に机に載せられる皿。いや、"お待ち!"って、ちっとも待ってないよ。

 注文から僅か七秒で持ってこられた包子(パオズー)。タイミングよく丁度あがったのかな?

 まぁ、一杯蒸してるし。

 

「旦那、どうでしょう。いい老酒が入ってますが、この肉包子とよく合いますぜ!」

 

「俺は下戸だ。それより黒酢を持ってきてくれ」

 

「へい!」

 

 小方(シャオファン)が笑いを堪えている。天さんは今年で十四。旦那などと呼ばれるような歳じゃない。確かに見た目は通常の十四歳より遥かに大人びてはいるが……。

 

「ほら、チャオズ。まずはそのまま食ってみろ。美味いぞ」

 

「うん!」

 

 包子を手掴みで頬張る。因みに包子は手掴みが正しいマナーなのだ。

 噛んだ瞬間に口内に広がる肉汁。一口、二口と噛みしめる。

 味はやや濃く、醤油につけなくともいい濃厚加減だ。生姜が自己主張をし過ぎない程度に効いていて、肉の臭みを見事に消している。肉汁は小龍包のように"ぶわ"っと出るものじゃなく、噛む度に濃厚に口内へと広がっていく感じ。皮はもちもちとしていて、その濃い目味の餡と絶妙にマッチングしている。

 なんだ、これは!? 新感覚! 店はきちゃないのにこんなに美味しい。

 本当にこれがこのみすぼらしい店から生まれたのか!?

 

「どうだ?」

 

 天さんの問いに答えずに次から次へと包子(パオズー)を口に運ぶ。

 はむはむ、はぐはぐ、あうあう、むしゃむしゃ。

 

「気に入ったようだな」

 

 そう言って嬉しそうな天さん。

 小方(シャオファン)もにこにこ顔で口を栗鼠のように膨らませ、包子(パオズー)を頬張っていた。

 

「だからこっちは手前(てめぇ)らに守ってもらう必要なんかねぇって言ってんだ!!」

 

 出店の厨房部分から響く大きな怒声。

 その声に驚愕したのか喉を詰まらせる小方(シャオファン)。必死に食道部分をトントントンと叩く。

 

「水! 持ってきてー! 速く!」

 

 叫ぶ僕。

 八の字髭のウェイターが慌てて湯ざまし水を持って来て小方(シャオファン)に渡す。

 水を飲んで"ふぃー"と一息つく小方(シャオファン)

 

「大丈夫か?」

 

 心配そうに見る天さん対して、こくこくと頷く。

 どうやら大事なさそうである。

 

「なんだどっ、てめっ! っころすぞ!、ッラア!」

 

 何らかの口論が厨房でなされているらしい。

 なんなんだろう? 迷惑な……。

 さて、包子包子。

 

「なんなのだ? あれは?」

 

 僕の心の声を代弁するようにウェイターにそう問いかける天さん。

 因みに僕は再び包子の世界に夢中である。

 

「町のチンピラですよ。石榴幇(スーリュバン)って言うらしいんですけどね。何でもよその町で抗争に負けて、(バン)ごとこっちに引っ越してきたって噂ですわ」

 

「この町は三暗会(サンアンホイ)が仕切っているはずだが」

 

「ええ、ウチも三暗会(サンアンホイ)にシャバ代払ってまさぁ。だからあの連中はお呼びじゃねぇってことなんですがねぇ……」

 

「ぶっ殺すのはこっちだ! こちとら十八年前から三暗会(サンアンホイ)に面倒見てもらってんだよ。それをチンピラ風情が一々文句つけやがって!」

 

 厨房の奥から飛び出た何かが二つ隣の椅子に”ビーンッ”と突き刺さった。

 出刃包丁だ。

 

「やんのか! っらぁ!」

 

「うっせぇー!」

 

 ドゴンッ! という音と共に一人の男が転がり出る。どうやら蹴り出されたようだ。

 それを追うようにもう一人の男。

 そして、中華包丁を両手に一丁ずつ持った筋肉隆々の爺さんが厨房よりのっそりと姿を現す。

 

「とっとと消えやがれ!!」

 

 唾を5m程飛ばしながら叫ぶ爺さん。多分彼がここの店主なのだろう。

 

「っめぇ、もう許さねぇ!」

 

 地面に転がっている方のチンピラはそう言って、懐から銃を取り出しながら立ち上がる。相棒に釣られてか、もう一方のチンピラも同様に懐から拳銃を取り出し、店主に向けた。さすがのこれには少し怯む店主。そして僕は一皿目の最後の包子を頬張り始める。

 

「まずいな」

 

 冷静に言う天さんにアワアワする小方(シャオファン)

 

「そこの二人!」

 

 声を張り上げながら立ち上がる天さん。どうやら介入するようである。

 

「その玩具(オモチャ)は少々度がすぎている。

 今なら殺さないでおいてやる! 消えろ!」

 

 座っている時に机に隠れていた"鶴"の紋章が顕わになり、それに気づいたウェイターは顔を青くしてブルブルと震えだす。

 

「ま、まさか、あなた様は」

 

 何これ? 水戸黄門?

 にしても本当に美味いな、ここの包子(パオズー)。これをあの筋肉爺さんが作ったってことだよね~。

 なんか不思議~。

 

「なんだでめぇは! 英雄気取りですか!?」

 

 銃口を天さんに向けながら()()()に近づくチンピラA。

 

 瞬間。

 チンピラAは机椅子を薙ぎ倒しながら後方へと吹っ飛び、6m先にある街路樹にぶつかり、「うぐぅっ」という空気が搾り出されるような声と共にやっと停止した。

 一体何が起きたのか、まるで理解できないチンピラB。

 

「まだ殺していない。とっとと連れて帰れ」

 

 僅かに気を開放する天さん。一般人には訳のわからない威圧感として感じ取れたことだろう。

 

「ひ、ひぃっ!」

 

 見事な四本足走法でチンピラAの元に辿り着き、彼を背負うなり一目散に退散するチンピラB。

 

 ん? 

 小方(シャオファン)が僕の袖を引っ張っている。

 彼女は天さんの方を指差し、首をかしげる。

 

「今天さん、あの人の胸を軽く小突(こづ)いた」

 

 そう説明してやるとふんふんと納得する小方(シャオファン)

 

「ありがとうごぜぇます、鶴仙人様んとこの旦那」

 

「ありがてぇ。本当に助かりましたぁ」

 

 天さんに頭を下げるウェイターと店主。

 

「ああ、こちらも食事を邪魔されて気が立っていた」

 

「うっ、すまねぇ……」

 

 さらに深く頭を下げる店主。

 大声で騒いだのは彼も同じだからだ。

 

「気にしなくとも良い、悪いのはあのチンピラ共なのだろう?

 石榴幇(スーリュバン)と言ったか」

 

「はい、どうも最近やり方が徐々に過激になって来まして……。

 三暗会(サンアンホイ)の旦那方にも報告するつもりです。追い出すなり吸収するなりして頂けたらありがてぇのですが」

 

三暗会(サンアンホイ)になら任せても大丈夫だろう。

 ご老公は今まで通り美味い包子(パオズー)を作っていればいい」

 

「へい! 真にあり難いことで」

 

「もういい、仕事に戻ってくれ」

 

「へい!」

 

 店主とウェイターは緊張から解放されたような表情で戻っていく。

 

「ねぇ、天さん」

 

「ん? 何だ、チャオズ」

 

三暗会(サンアンホイ)って?」

 

「ああ、ウチの下位組織、みたいな物だ」

 

「? みたいな?」

 

三暗会(サンアンホイ)は毎月シノギの三割を鶴仙人様へ献上せねばならないが、鶴仙人様には三暗会(サンアンホイ)を経営する義務はない。ただの金づるだな。

 ……いや、そもそも鶴仙人様は上がりの少ない三暗会(サンアンホイ)のことを気にすら留めておられない。と言うことは、さらにそれ以下か……」

 

 うわぁ……、ひどい……。

 

「まぁ、ウチに泣きついてきたら……気分がよければ助けてやらんでもないぞ。

 そんな関係だ」

 

三暗会(サンアンホイ)って、黒幇(ヘイバン)?」

 

「ああ、そうだ」

 

 黒幇(ヘイバン)を気にも留めない程度の扱いをするウチっていったい……。

 

「そんなことよりチャオズ、もっと包子(パオズー)を食え。うまいぞ」

 

「うん!」

 

 はまはま、むしゃむしゃ。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「どうした? それが欲しいのか?」

 

 食事の後、僕らは摊子(タンズー)をあちらこちらと回っていた。

 各摊子(タンズー)の店主達は大声で呼び込みをかけ、まるで喧嘩しているような大騒ぎである。そして僕にとっては新世界なだけあって面白い商品も多い。

 そんな中、とある玩具の摊子(タンズー)にて。

 何となく見たそこは幼子の為の玩具を売っていた。きっと僕くらいの年齢の子が遊ぶものなのだろう。何となくその中にある宇宙船の玩具を手に取る。お尻にボタンが付いていて、そこを押すとブォォォーと音を立てて窓にあたる部分のライトが七色に光る。

 異世界でも子供の好みってあんまし変わらないんだな~などと考えながらそれを弄くっていると、背後から天さんの声がしたのである。

 

「ううん、別に欲しくない」

 

 本心である。

 僕は立ち上がると別の摊子(タンズー)へと移動していく。

 そう言えば小方(シャオファン)はどこにいるんだろう? 途中から三人それぞれ好きな物を見に行ったので、今は皆バラバラだ。

 

 しばらく周りを物色しながら、ゆっくりと進む。

 皿やら茶碗やらを並べてある摊子(タンズー)から顔を上げると、左前方向に小方(シャオファン)を見つけた。

 なにやら熱心に髪留めの摊子(タンズー)を見ている。手に取っては元の場所に戻しを繰り返し、そしてまた別の髪留めの摊子(タンズー)を冷やかす。

 気に入るものがなかったのかな? とも思ったか、その表情を見ると買う決心が付かないだけのようだ。やはりお給金が少ないからかな? ……て言うか、お給金、貰ってるよね?

 あれ? 立場的には奴隷ニアピンだし、ひょっとしたら貰ってないかも……。

 

 彼女は耳無しの爺さんが拾ってきたらしい。

 喋れないことを理由に捨てられたのだそうだ。以来、鶴仙人様の屋敷で丫环(ヤーホァン)をしている。

 あーなんて悲しい過去! などとは言わない。

 これくらいの不幸を持つ子は割と数多くいるのだ。むしろ彼女は拾われただけ幸運なのだろう。 

 僕と同じ、ね。

 

 

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 もうそろそろ夜も遅い。僕達三人は合流し、帰ることにした。

 

「ん? チャオズも何か買ったのか?」

 

「うん! 天さんも」

 

 そして小方(シャオファン)は結局自分のものは何も買わなかったようで、手には(あみ)で雁字搦めにされている生きた鶏を一匹ぶら下げている。逆さまの鶏があちこちと首を動かしながらコッココッコとうるさい。

 

 僕達は並んで家路を歩く。

 平和なひと時である。

 

「今日は楽しめたか? チャオズ」

 

「うん! また来たい」

 

「ああ、夜市は毎日やっているからな。また今度来よう」

 

「うん」

 

 小方(シャオファン)が天さんの袖を掴んで揺する。

 

「ん? ああ、もちろん(ファン)も連れてってやるさ」

 

 

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 優雅な夜の散歩を終えて家に辿り着いた僕達。

 そう、いつの間にか僕にとって、ここは家と呼べるようになっていたのだ。

 

「チャオズ、これが欲しかったのだろう?」

 

 部屋に着くなりそう言って僕に包みを渡す天さん。

 首を傾げながら包みを開けると、中には玩具(おもちゃ)の宇宙船が入っていた。

 

「うん……。ありがとう! 天さん」

 

 まったく、本当に欲しくなかったんだが……。

 

 さて、それじゃあ僕も。

 

「これ!」

 

 買ってきた二つの包みを取り出す。

 

「天さんと小方(シャオファン)にあげる!」

 

 僕から受け取った包みを開く天さんと小方(シャオファン)

 天さんの包みには帽子。小方(シャオファン)の包みには髪留めが五つ入っていた。

 因みに天さんにプレゼントした帽子は割りと高級品である。小方(シャオファン)への髪留めは廉価品だが、そこは数で勘弁願いたい。

 

「これを……俺に……?」

 

「うん!」

 

「……そうか……。ありがとう、チャオズ」

 

「うん!」

 

 照れ笑いを浮かべ、嬉しそうな天さん。

 禿げ頭がちょっと寒そうだからと思ったことは内緒(ないしょ)である。わぷぅっ。

 飛びついて来た小方(シャオファン)に抱きつかれる僕。

 どうやら大層喜んでいるようで、毎日家事で鍛え上げたその腕力を如何なく発揮し、そのまま僕を(わき)から持ち上げてぐるぐると回り出す。

 やめて~、はずかしい~。てか酔う~。

 

 

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「そろそろ電気を消すぞ」

 

「うん、待って。今行くー」

 

 僕に与えられた数少ない完全なプライベートな空間。その一つがこの引き出し付きの(つくえ)だ。

 その上に、そっと宇宙船の玩具(おもちゃ)を飾る。

 

 ――本当にありがとう、天さん。

 

 

 




今日のトリビアをキミに
用語解説 出た順

●雷動風行
 四字熟語。雷電のように動き、風のように行う。
 単純な動きの速さを指すのではなく、"行動"に対する速さを表現する時に使う。

●房間
 ほうかん。中華風の部屋のこと。

●摊子
 むりやり日本語で発音すると「タンズー」。茣蓙(ござ)を地面に敷いたタイプの露店のこと。
 元々摊子(タンズー)とは、ごみごみとした物が集まっている狭い空間の事を指す。母親に「部屋に摊子(タンズー)作ってるんじゃないよ!」と言われたら、それは"部屋を片付けろ"の意である。

●包子
 むりやり日本語で発音すると「パオズー」。日本語で肉まん。
 中国のどこに行っても売っている。味は美味しかったり不味かったりと店によって落差が激しい。作者の経験上、大きく豪華な店よりも個人でやっている小汚い店の方が美味い包子を出す。

●蒸篭
 せいろ。竹と杉を編んで作られた容器。肉まんなどを蒸す為の蒸し鍋。四段くらいまでなら重ねても大丈夫。

●黒幇
 むりやり日本語で発音すると「ヘイバン」。やくざのこと。
 ~~幇、~~会と、名前の後に「幇」もしくは「会」を付けることが多い。
 任侠? 何それ? な組織なので、日本のそれに比べると遥かに暴力的で怖い存在である。
 因みに鶴仙人はタチの悪さだけなら黒幇をも超える。

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