High School DxD Another Route 作:明日凪
でも良いんです!良いんです!
拝啓、母上様父上様健やかなる日々如何お過ごしでしょうか?
御両人様の事大変仲睦まじくより良い輝かしい日々をお過ごしの事と思います
さて私ごとでは御座いますが父上様母上様にお伝えしたい事があり今日筆を取った次第
稚拙な文ではありますがどうかご容赦の程お願い申し上げます。
さてさて、改めましてお伝えしたい事ですが…
「早瀬ーーーーーー!!待ってくれーーーーー!!!話だけでも良いからっ!聞いてくれって!なっ!?」
「お前の能力は野球にこそ活かされるべきだ早瀬ぇ!俺達と甲子園目指そうぜ!!!」
「いや!お前にはゴールハンターダイチの血が流れてる故に我がサッカー部に入るべきだ!俺達と国立に行こうぜ早瀬!!」
「何を言うか貴様らっ!!筋力と瞬発力が融合したあの理想の身体は我がラグビー部にこそ相応しい!我らと是非花園に!!!」
「柔道部に!」
「空手部に!」
「バスケ部に!」
「テニスやろうぜ早瀬!」
「カバディカバディカバディ」
俺は二度目の人生で初めて命の危険を感じている、だってあんな大人数な上にほぼ半数がガタイの良いタフガイ共だぞ?
いや今の俺の身体能力だったらどうにか出来るのかもしれないけど…いやいやいや無理無理無理あんな暑苦しい集団の中に突っ込むとかありえないから
ていうか最後のおい、お前ら何しに来たんだよ帰れ…。
行く先々で今みたいに追われてちゃ身体がもたんぜ…まぁこんな状況になったのも全部俺自身の責任なんだけどさ
あれはそう、新入生歓迎会での行事の一つだったクラス対抗のバスケットボール選手権での事だった。
トーナメント形式であったクラス対抗戦を順当に勝ち進んだ俺達は運動部所属者の多い三年クラスとぶつかる事となった。
実力者ばかりの相手に抑えきれず昂ぶってしまった俺は彼らを圧倒、最後にはダンクシュートをぶち込んでしまうという大失態を犯した、なぜ失態なのか答えは簡単だ異常な身体能力を見せつけてしまったからだ。
あんなとんでもない一年を見たら運動部連中の眼の色が変わるのも仕方の無い事だろう
あぁ何であんなに目立ってしまったんだろうか勝負事になると我を忘れてしまう悪癖は体の成長に比例して酷くなるばかりである。
「俺を甲子園へ連れてって!」
「ボールはともだち、こわくないよ!」
「花園にイこうぜっ!」
「柔道部に!!」
「空手部に!!」
「先生、早瀬とバスケがしたいです!!」
「まだまだだね早瀬!!」
「カバディッ!カバディッ!カバディッ!!」
「「「「早瀬ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」」」」
「勘弁してくれぇーーーーーーー!!!!!!」
巨躯の集団に追われる早瀬大河を屋上から一人の少女が見つめていた。
青く澄んだその瞳はまるで全てを見惚れさせる様な大海の如く、波打つ金色の長髪は夕日の灯りに照らされた稲穂の美しさを思い起こさせる。
私立駒王学園において彼女を知らぬ者はおらず【学園三大お姉様】が一人として女子生徒からは羨望の眼差しを男子生徒からは憧れの眼差しを受ける
そんな彼女が今は一人の青年だけを目で追っていた。
「早瀬大河…実に興味深い子だわ」
「エリーったらこんなところにいたのね」
「あらリアス、どうかしたの?何かお探し物かしら?」
「貴女ねぇ…まぁ良いわ、会議をサボった貴女に蒼那がご立腹よ行きましょう」
「嫌よ」
「~っ、ほんっとに貴女は昔からそうやって自分勝手で我儘なんだから!駄々を捏ねてないで行くわよ!」
「私がいなくてもソーナなら上手くやれるわよ【次期生徒会長筆頭候補】だもの」
「そうかもしれないけど!本当に不思議に思うわ…自由気儘な貴女がどうして【生徒会長】になろうなんて思ったのか」
「何度も言ってるじゃない【唯の気紛れ】それ以上でもそれ以下でもないわ退屈な日常の暇潰しをしたかったのよ」
「暇潰し…ね」
「そうよ暇潰し、だって私達は長い長い年月を超えなくてはならないんだもの重要な事柄以外は全てが暇潰し、そういう物でしょ?」
「困った生徒会長さんがいたものだわ」
「えぇそうね、困ったものだわ」
「貴女の事を言ってるんでしょうに!」
「きゃー、リーアが怒ったー」
「あ、こら!エリー!?待ちなさい!待てと言うのが聞こえないの!エリス!!」
「待ちませーん、怒りんぼのリーアが怖いので逃げまーす」
「もぅっ!本当に怒ったんだからね!エリーのお馬鹿!おたんこなすっ!待ちなさーい!」
「あはは、おたんこなすってほんと貴女は可愛いわねリアス!」
夕空の下で行われていた二つの追い駆けっこ、一方は鬼気として一方は嬉々としてそれぞれに喧しく姦しく
響く轟声は大地を揺らし人々を震え上がらせ、響く美声は神秘的な夕焼け空をさらに映えさせる物であった。
もぅっ!おたんこなすっ!
あぁリーアたまらないよはぅぁ