Blood-G   作:Рей Самар

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投稿遅れて申し訳有りません。


狼の叫び声

「ヴァジュラ...ですか...」

「ああ。

そろそろ、討伐に向かうタイミングかと思ってな」

「...」

「この任務には俺にお前、それにソーマとアリサが同行する」

「あれ?コウタは?」

「コウタはサクヤ、タツミ、ブレンダンと一緒だ。

まぁ、内容はこっちと同じようなもんだが」

 

『ヴァジュラ』

以前戦ったコンゴウやシユウを遥かに凌ぐ程、強大な力を持っているアラガミである。

ベテランでも命を落とすことは珍しくなく、それ故に新米が討伐に向かうタイミングはとてもデリケートな問題なのだ。

だからこそ、レンタはとても悩んでいる。

試されていることに喜びもあるが、それを上回る程に不安がレンタの中に渦巻いている。

 

「私は行きます」

「アリサ...?」

「これくらいのアラガミを倒さないと、目標に近づけませんし」

「目標...」

「おいルーキー。

ビビってんならやめておけ」

「...俺もこれに関しては強制はしない、一人前になる以前に大事なのは命だしな。

ただ...こういうタイミングは遅かれ早かれくるもんだ、それが『今』なのか『後』なのかの違いだ。

...どうする?」

「...ヴァジュラを倒せば...一人前なんですか?」

「まぁ、倒せりゃ一人前の実力が身についたってことになるだろうな」

「...やります、やりますよ。

一人前になったってこと、示してみせますよ」

「ははは、やっと俺の背中が守れるくらいになってきたか?」

 

レンタが決意を示す。

今試されている、試練を乗り越える為に。

 

.........

......

...

 

「よし、行きます!」

「足は引っ張らないでくださいよ、レンタさん」

「ま、気楽にいこうや」

「ふん...」

 

四人の前に、ヴァジュラが姿を現す。

今まで対峙してきたアラガミとは比べ物にならない程のプレッシャーを感じ、思わず足が竦むレンタとアリサ。

 

(冗談じゃねぇ...これを倒せば、一人前とか...)

(うそっ...データベースで見たのより全然デカく見える...)

「...よしっ、俺とソーマで前衛で攻める!

レンタとアリサは後方支援だ!」

「...っ!

は、はいっ!」

「な、なんで私が...」

「いいから黙って支援してろ。

その状態で行っても喰われるだけだぞ」

「...っ...」

 

アリサが悔しそうにしながらも、銃形態へ変換する。

レンタもそれに習い、銃形態へ変換して後方支援をする。

 

「このっ!このっ!」

「これ、効いてるんですか!?」

「わからない!

けど、やるしかない!」

 

すでに合計30発近く撃ち込んでいるが、全く怯む気配はない。

リンドウとソーマは流石に慣れているのか、ヴァジュラの攻撃を的確に避けつつ斬撃を加えている。

 

「そぉら、喰らっときな!」

「不味そうな肉だぜ...」

「ガァアアアアアアアア!」

 

二人が同時に捕喰行動をする。

その神機がヴァジュラの肉を引きちぎる。

引きちぎられた苦痛からか、ヴァジュラが今日初めての叫び声を上げる。

 

「...」

「どうしたんですか、黙り込んで。

もしかして怖気づいて...」

「動き...」

「え?」

「今ので...大体の動きを読んだ...」

「はぁ!?

今のって、全然時間経ってないですよ!?

それをもう動きを読んだって...」

「いや...気が付かないの?」

「え?」

「元々ヴァジュラの動きが単純ってこともあるけど...

それ以前に、あの二人は俺たちにヴァジュラの動きが『見やすい』ように動いてくれている気がする...

気のせいかもしれないけど...大体の動きが読めたかもしれないんだ...」

「...」

 

今度はアリサが黙り込む番であった。

言われてみれば、ガードしてから反撃すれば良いところをわざわざステップで回避してから反撃している...最も有効だと思われる箇所への斬撃よりも、なるべく自分達から離れるように誘導しながら戦っているなど...注意して見れば観察しやすいにようになっている。

アリサがそんなことを考えているうちに、レンタはもう既に銃形態から剣形態へと移行していた。

 

「ちょ、ちょっと!

もう行くんですか?」

「ああ、目標に近づくためだし...ね。

試されてるんだったら...それ以上の成果を上げないと...

殺した数イコール自信...もっと斬らなきゃならないんだ...!」

 

話し終えると、あの突進方法でヴァジュラに向かっていく。

それを見たリンドウは、心なしか嬉しそうな表情をしていた。

 

「レンタぁ!もういいのか!?」

「はい、やれるだけやってみるだけです!」

「いい心がけだ!

死ぬなよ!」

「はい!」

 

会話のやり取りをしたあと、思考を完全に戦闘モードへと切り替える。

後衛で見ていた時と前衛で見ていた時では確かに若干違うのかもしれないが、それでも対処できないレベルではなかった。

 

「...うらっ!」

「ッ!ガアアアアアアア!」

「やっぱ硬いな...!」

 

などと文句を言いつつ、リンドウやソーマには劣るがそれでも初見としては十分な動きを見せる。

やがて、失った体力を取り戻そうとヴァジュラが捕喰に向かった。

 

.........

......

...

 

「よし、いい動きだレンタ。

その調子で油断せずにいけよ、わかったな?」

「わかりました」

「まぁ...少しはマシになったみてぇだな。

オウガテイルでビビってた奴がこんなになるなんてな...」

「アリサは引き続き後方支援だ。

しっかり頼むぞ」

「......わかりました」

 

極めて不満そうに了承をする。

その顔に、リンドウに嫌な予感がよぎる。

 

「...よぉし、ヴァジュラを追撃しに行くぞ」

 

四人が移動を開始する。

崖、裏道、大通りなどを探し、最後に当たったのは教会であった。

 

「...いたぞ」

「結構体力回復しちゃってますかね?」

「いや、探索にそこまで時間をかけちゃいない...

戦闘に支障をきたす程でもないだろう。

さて、奇襲をかけようと思うが...レンタ、行...」

「私が行きます」

 

そう言ったと同時に、アリサが突撃を開始する。

ロングを片手にヴァジュラの背後に回り、奇襲は成功した...かに見えた。

 

「グルルルル...」

「あっ...」

 

既にヴァジュラは背後に接近するアリサに目をつけており、静かに睨みつけている。

絶対的強者のような瞳に、アリサは動けなくなってしまう。

 

「あ...あ...」

「グルル...ガァアアアアアアアア!」

 

ヴァジュラが腕を伸ばし、アリサを引き裂こうとする。

...それと同時に、一つの影がシールドを展開していた。

 

「ぐっ...!」

「え...」

「レンタ!」

 

その強力な腕の一撃に、レンタが吹き飛ばされ壁に叩きつけられる。

コンゴウとは比じゃない衝撃に、レンタの左腕が悲鳴を上げる。

 

「れ、レンタさん!」

「ソーマ!」

「チィ、わかった!」

 

リンドウソーマが素早くフォローにまわり、アリサがレンタの近くに駆け寄る。

 

「ゲホッ...ゲホッ...」

「レンタさん!

えぇっと、こういう時はどうすればいいんだっけ...えっと...」

「チッ、ここじゃ狭くて動きにくいぞ!」

「確かにちょっとやばいかもな...」

「アリサ...退いて...」

「え、あ、はい」

 

レンタがヴァジュラの頭上に銃口を向け、3発程撃ち込む。

銃弾を受けた壁は、だんだんとヒビが入っていく。

 

「リンドウさん!ソーマ!」

「っ!」

 

レンタの意図に気がつき、二人は素早くその場から退避する。

先ほどヒビが入った箇所がヴァジュラに降り注ぎ、ダメージは与えられはしないが、数刻の隙を作る。

 

「よし、一時撤退だ!」

 

.........

......

...

 

「イテテ...」

「まぁた派手にやったなお前...

折れてはないがヒビは確実に入ってるぞ、これ」

「ご、ご迷惑をお掛けします...」

「これじゃあ前衛は無理だな。

アリサと一緒に後方支援だ」

「...」

「はぁ、まだ行けますってか?

ダメだ、本来だったらお前は新米だし、安全な場所へ避難させるってのが普通なんだからな。

これでもマケてやってるんだぞ?」

 

っと、リンドウが軽口にも似た口調でレンタを諭す。

やがてレンタは諦め、アリサと共に後方支援ということで落ち着いた。

 

「よし、絶対に無理はするなよ。

ソーマ、まだいけるか?」

「ああ、いけるぞ」

「行きましょう」

 

.........

......

...

 

「そらっ!」

 

リンドウが斬撃を加え、ソーマはそれによって作られた僅かな隙にバスターの特性を生かした重い一撃を叩き込む。

レンタが怪我をした以上、悠長にはしていられないということで、一気にケリをつけに行く作戦に切り替えたわけである。

 

「アリサ!どうした!?」

「いえ...大丈夫です」

「だったらリンドウさん達を援護することだけを考えるんだ。

余計な事は今は考えなくていい!」

「...はい、わかりました!」

 

レンタとアリサも、なるべく隙が作れるように援護射撃の手を緩めない。

それぞれから放たれた弾丸がヴァジュラの肩を貫通し、ヴァジュラは体重を支えきれずに倒れこむ。

 

「今だ!」

 

リンドウの掛け声に、ソーマがチャージクラッシュの構えを取る。

...それと同時に、レンタが動いた。

 

「ちょ、」

「...!!」

 

ステップと同時に剣先を叩き込む。

しかし、それを良しとしないヴァジュラによって弾かれ、クレイモアの先が折られてしまう。

周囲の背景がスローになり、放物線を描きながら飛んでいく剣先を静かに見つめ...それを掴んだ。

 

「ーーーーッ!」

 

剣先をヴァジュラの目に突き刺し、何回も抉る。

苦痛により身をよじり、なんとかしてレンタを振り払おうとするが、今度は先のないクレイモアを下顎に突き刺し、折れた剣先とは逆方向に裂き、顎を真っ二つにする。

鮮血が飛び散り、ヴァジュラの顎はもはや使い物にならなくなってしまったが、それでもレンタはやめず、今度は顔全体を縦に引き千切ろうとする。

ブチブチ、といった音を鳴らしながら、ヴァジュラの顔は完全に損壊し、絶命した。

 

.........

......

...

 

「お前なぁ...」

「...はい」

「とんでもない事やったな、ソーマですら驚いてたぞ」

「いやぁ...なんかさっきやられた分返すチャンスだと思ったら、頭の中真っ白になっちゃって...

でも、気がついたら顔面グチャグチャのヴァジュラが目の前に倒れてるんですよ?

危うく気絶しそうになりました」

「...はぁ、とんでもないルーキーだな、お前は」

「まぁ、死ななかっただけよしとするか。

コアの回収も終わったし、とっとと帰るぞ」

「結構大物でしたね」

「大したもんじゃない」

「ちょっとくらい褒めてくれてもいいじゃないですか、ソーマさん?」

「ふん...言ってろ」

 

この後折れたクレイモアを持ち帰り、リッカにボコボコにされたレンタが見つかったそうな。

 

「酷い...」

「当たり前だ」

 




疲れました、今までで一番文字数ありました。
次回もストーリーは進めない予定です、ご了承ください。

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