Blood-G   作:Рей Самар

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大変遅れてしまい申し訳ありません。
少し諸事情により更新ができない状況でした。


揺れる魂

「どうだって?」

「今、全力を挙げて捜索中だとよ...

だが...期待はできないそうだ」

「そっか...

じゃあアリサは?」

「あのルーキーも今は錯乱状態だ。

鎮静剤を射って安静にさせてるだとよ」

「...そっか」

 

コウタがあからさまに肩を落として落ち込む。

その姿を見て、ソーマも辛そうに目を背ける。

 

「俺、サクヤさんの所に行ってくるよ。

落ち込んでると思うし、なんとか立ち直らせてあげたいからさ」

(...それはお前もだろうが...)

 

深いため息を吐きながらエレベーターを呼び出し、サクヤの部屋があるベテラン区域に向かう。

ベテラン区域へと向かうコウタを見届けた後、ソーマは近くにあったゴミ箱を勢いよく蹴りつけた。

中にあった缶が軽快な音を立てながら転がっていき、やがてソーマの足元につく。

 

「...クソッ...

何が“生きて帰れ"だ...

命令を守れてねぇのはテメェらじゃねぇか...!」

 

その悲痛な声は、無慈悲にも空き缶の音で消されてしまっていた。

 

.........

......

...

 

「サクヤさん」

「...コウタ君ね...入って」

 

サクヤに促されるがままに部屋へ入る。

その枕元が濡れていたのを、コウタは見て見ぬ振りをして務めていつも通りのように聞こえる口調で切り出した。

 

「...捜索は順調らしいですよ。

きっと、もうすぐレンタのやつもリンドウさんも帰ってきますって!

それでその頃にはレンタはすっごく成長した感じで帰ってきて、俺たち第一部隊の副隊長になっちゃったり...なんて...」

「ふふ...そうだといいわね...

リンドウが隊長で、レンタ君が副隊長かぁ...お似合いね。

ちょっと、嫉妬しちゃうかな」

「そんなの俺だって一緒ですよ!

副隊長となれば新人なんかよりも印象がガラッと変わるし...きっと今以上に女の子にモテモテになるんだろうな...

ったく、こんな楽しみが待ってるんだから早く帰ってこいっての...」

「大丈夫、なんでしょう?

だったらもうすぐ帰ってくるわよ」

「そ、そうでしたね...はは」

 

必死に誤魔化そうとする笑い方に察したのか...それともただそこまで意識が回っていなかったのかは定かではないが、サクヤもその笑い声に合わせ、小さく笑った。

 

「さ、さてと...

俺はそろそろ部屋に戻ってバガラリーを見る準備でもしようかな。

あいつに見せるって約束したし、ここまで心配させたんだから全話一気見させる勢いで臨まねーと!」

「程々にね。

私もリンドウが好きなビールでも用意して待ってることにするわ」

「そ、そうですね!

それじゃ!」

 

その場の空気から逃げるようにして立ち去るコウタ。

サクヤはそれを、黙って見ていた。

 

.........

......

...

 

「エリック!」

「な、なんだい?」

「お兄ちゃんはいつになったら帰ってくるの?

私が作ったクッキーが冷めちゃうじゃない」

「そ、そうだねぇ...

もうそろそろじゃないかな?

どうやら強敵を相手にしているらしいし、時間がかかっちゃっているのかも...」

「ふーん...

じゃあお兄ちゃんが帰ってくるまで起きてる」

「だ、ダメだよ!

もう夜も遅いし、早く寝ないと」

「なんでよ、もうそろそろ帰ってくるんだったらちょっとくらい夜更かししたっていいじゃない」

「夜更かししていると、レンタクンに嫌われてしまうかもよ?

それでもいいのかい?」

「それは...やだ...

...はぁ、わかったわよ。

大人しく部屋で寝てくるわ、それまでクッキーを渡さないでよね!

私が渡すんだから!」

「うん...じゃあ僕はレンタクンがいつ来てもいいようにもう少しだけ起きてようかな」

「エリックだけズルいわ、お兄ちゃんが来たら起こしてよね」

「はいはい...」

 

エリナが不満そうにしつつ、エリックの部屋を出て自室に向かう。

誰も居なくなった部屋で、エリックが静かに肩を落とす。

 

「...レンタクン...早く帰ってきなよ...

みんな待ってるよ...エリナを泣かせたら承知はしないよ...それに、まだ君のことをエリナの事で認めたわけじゃないし、それの話もしないと...

それに...まだまだ一緒に任務に行きたい僕の気持ちを踏みにじるなんて、大罪だよ...」

 

どんなに声を吐き捨てようとも、いつも帰ってくるような爽やかな返答はない。

知ってはいるものの、その事実はエリックの心に深く突き刺さった。

 

.........

......

...

 

「教官先生、まだ帰ってきませんね」

「...そうだね」

「リッカさんも、心配ですよね?」

「うん...そりゃあ心配だよ...」

「私、まだ誤射率全然下がってないから、もっと教えていただきたいのに...」

「うん、私もあの子の神機、もっとメンテナンスしていきたいから...

きっと帰ってくるよ、そしたらお祝いに冷やしカレージュースをいっぱい飲ませてあげたいな」

「私も、作ったお菓子もっと食べてもらいたいです...

後は、タツミさんやエリックさんと議論を交わす姿も見ていて楽しいし...

私の事を庇って指導すると言っていただいた時のお礼も、全然返せれませんし...」

「“返しきれてないお礼"、か...

だったら私は、“返されきれてないお礼"を早く返してもらわないとなー...

それまでに死んだりしたら、絶対に許さないもん。

神機のメンテナンスも、パーツ選びも、使い方だって、私の出来る範囲で手伝ったつもりだし、お礼返してもらわないと...」

 

いつの間にか空になっていた缶に気がつかず、何度も口に含もうとするリッカ。

その隣に座っているカノンの手には、可愛らしいラッピングがされたお菓子がある。

 

「...帰って...きますよね...」

「帰ってくるよ...絶対に」

「そうです...よね...

きっと大丈夫って、コウタ君も言ってましたもんね...」

「そうだよ、絶対に帰ってくるんだよ。

そしたらいつもの調子で『どうしてそんな顔してるんだ?』って声をかけてくるに違いないよ...

レンタも、リンドウさんも...」

「......教官先生...

...違う...レンタ...君...」

 

神機格納庫は、いつも通りに仕事を進めている。

淡々と流れるその作業風景と、どんどん削られていく捜索時間が重なって見えて、リッカとカノンは悲しそうに視線を落とす。

 

...もう、空には暑苦しい太陽が昇っていた。

 




なんか重っ苦しい雰囲気のままも終わってしまいました。
ここからずんずんオリジナル展開に進んでいきます。

Next→『変えたい』
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