Blood-G   作:Рей Самар

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サクヤさんと出撃です。
戦闘ばっかだと疲れちゃうから日常も書きたいな。


連携

強風。

ここを表すなら、これ一言でも十分事足りる。

通称『嘆きの平原』と呼ばれるこの場所は、常に台風が渦巻いており、空にも暗雲が広がっていて視界が悪い。

しかし台風が呼び込んでいるのか、はたまた何か別の力が作用しているのかは定かではないが、この地域には強力なアラガミが集まりやすい傾向にある。

未だ、そのメカニズムは解明されていない。

 

「こんにちは」

「はい、こんにちは。

素直でいい子ね〜」

「どうも」

「リンドウから聞いたわよ、初任務はすごく大活躍だったじゃない」

「いえ...アラガミを取り逃がしてしまったので、自分もまだまだです」

「ふふ、謙遜しないで。

あなたにはみんな期待しているのよ。

だからと言って、一人で抱え込まなくていいからね、困った時は頼りなさい」

「わかりました、サクヤさん」

「本当に素直ね。

そうだ!

まだ任務まで時間があるし、どうして神機使いになったのか教えてくれない?

失礼じゃない範囲でいいからさ」

「うーん...強いて言えば、復讐のためですかね?」

「復讐?」

 

サクヤがしまった、といった表情になるが、レンタが慌てて訂正をする。

 

「ああ、別に家族が殺害されたとか、故郷が滅茶苦茶にされたとかいうんじゃありませんよ。

ただ単純に、自分達をこういう境遇に追いやったアラガミが許せなくて...

アラガミという種を無くす、というのは無理だと知っていますが、せめて一泡吹かせるくらいしてやりたいな、っていう...

それに、ちょっとでも極東(ここ)が安全になれば父と母が帰ってきやすいと思いますし...まぁ、ついでに妹も」

「...家族想いなのね。

安心したわ、あなたが優しい人で」

「妹は...まぁ別に帰ってこなくてもいいんですけど...どうしてもってんなら...」

「...もう一つ、質問いいかしら?」

「いくらでもどうぞ」

「ちょっと外国人よりの顔立ちだけど、ハーフなのかしら?」

「ええ。

ドイツ人の父と日本人の母を持ってます。

所謂日系ドイツ人ってやつですかね?」

「どうりで...」

 

レンタの事について話していると、任務開始を告げるアラームが軽快な音を立てる。

 

「任務開始ね。

今回の目標はチームワーク、連携よ。

後方支援型との連携を意識して戦いなさい」

「了解です」

 

レンタとサクヤが崖から飛び降り、地面に着地する。

地面に立ってわかるが、やはり風が若干強い。

レンタは胸ポケットに入れていた家族の写真を数秒見ると、いつもの顔つきになり敵の捜索を急いだ。

 

.........

......

...

 

「あれよ」

「コクーンメイデン、ですよね」

「当たりよ。

遠距離からはオラクルを含んだ弾丸、近距離になると無数の針で攻撃してくる厄介な相手よ。

幸い耐久力はそこまで高くないし、キチンと動きを見て対処すれば問題ないわ」

「わかりました、では行きますね」

「ええ、援護は任せなさい」

 

サクヤの了承の合図を聞き取り、レンタがいつもの突進方法でコクーンメイデンとの距離を詰める。

 

(リンドウが言ってたけど...やっぱり不思議な突撃の仕方ね。

見てて面白いわ)

 

等と思考を張り巡らせながらも周囲にいるコクーンメイデンを狙撃している辺り、ベテランとしての風格が漂っている。

 

その間にレンタは既にコクーンメイデンの一匹と距離を詰め、ほぼゼロ距離といったところで勢いよく脚をくねらせ、くねらせた勢いを利用してコクーンメイデンの腹部を切り裂き、そのまま振り抜く。

 

「ひとぉつ!」

 

コクーンメイデンは力なく倒れ伏し、レンタはというと既に二体目のコクーンメイデンに目をつけていた。

 

「新人君!」

「!」

 

サクヤの言葉に、レンタは一瞬サクヤの方を確認し、サクヤの意図を理解したのか身体をくねらせる。

するとサクヤの放った弾丸がコクーンメイデンの頭部を貫き、レンタは身体をよじらせた勢いを利用して頭部を吹き飛ばした。

 

「くぅるるる...」

 

コクーンメイデンが独特の鳴き声を上げ、レンタに向かってオラクル弾を発射する。

が、レンタは避けようとはせず、逆に後方から飛んできた弾丸によって打ち消されてしまう。

その放った時による仰け反りの僅かな隙を利用し、一気に間合いを詰めて縦に引き裂こうとする。

しかし、

 

「ぐっ...!」

 

突如コクーンメイデンも腹部が左右に開き、無数の針がレンタを襲う。

幸い、コクーンメイデン自身も少しだけ仰け反っていた為か、無数の針の内数本が刺さるだけで済んだが、それでも初めてのアラガミによる外傷にすぐにでも倒れ込みたくなる衝動に駆られる。

だがそんな事をしては、すぐにでもコクーンメイデンに殺害されるであろう。

そんなことをしている場合ではないと頭ではわかっていても、苦痛により身体への命令が若干遅い。

再度腹部を左右に開こうとしたコクーンメイデンの側頭部を、一発の弾丸が貫き、コクーンメイデンは大量の血を噴出し、絶命した。

 

.........

......

...

 

「大丈夫?新人君」

「だ、大丈夫です...

って言えたらカッコいいんですけどね...はは」

 

っと軽口を叩きながら、刺さった部分の針を取り除く作業をするレンタ。

流石に細かいのは取りきれず、後で医務室に行く羽目になるであろう。

 

「今回の反省点は突っ込みすぎ、ってところね。

相手がコクーンメイデンだからまだよかったけど、ヴァジュラやグボロ・グボロだったら大変なことになってたわよ」

「はい...すみません」

「まぁ、反省してるようだし、君は次に生かさない子でもなさそうだし、お説教はここまでね。

さ、コア回収をして帰っちゃいましょ。

傷が広がっちゃうわよ」

「はい...いてて」

 

.........

......

..

 

「ふぅ...やっぱり痛いな...早めに医務室に行かないと」

「どうしたの、その傷?」

「あ...リッカさん。

お疲れ様です」

 

『楠 リッカ』

ここ極東支部で神機の整備を担当しており、神機の傷つき具合などから持ち主の性格を読み取る洞察眼を持つ。

気さくな性格で、新人であるレンタやコウタなどともすぐに打ち解けた。

 

「うん、お疲れ様。

それより、その傷は何?」

「少し任務中にミスをしてしまって...突っ込みすぎたようです」

「あー...その傷の感じだとコクーンメイデン種かな?

突っ込みすぎって言ってたし、針にでもやられちゃったの?」

「ご名答です。

やっぱり神機の整備を初めての長いからわかるんですか?」

「まぁね。

リンドウさんとか、サクヤさんとか...

怪我をしながらここに来るなんて珍しい事じゃないし。

なんとなくだけど覚えちゃうんだよね、神機使いでもないのに。

それにしても...突っ込みすぎか...

思った通りだったよ」

「と、言いますと?」

「君の神機、全然銃身パーツが傷ついてないんだもん。

すぐにわかっちゃうよ。

それに、装甲も全然使われた形跡がないし...もうちょっと戦い方を見直したらどうかな?

私で良ければ相談に乗るよ」

「はは、ありがとうございます。

じゃあ、リッカさんにしか頼めない事、いいですか?」

「うん、私で良ければ」

「もっと刀身を素早く振りたいので、装甲をシールドからバックラーにしてくれませんか?」

「君全然人の話聞かないんだね...

罰として、タワーシールドに変えておくから」

「えぇ!?

タワーシールドって重くて使いづらいんですよ...

ただでさえバスターで重いのに...」

「ロングとか使ってみたらどうかな?

オススメのやつあるよ?」

「ロング...ですか...」

 

レンタが現在装備しているものは、クレイモア(バスター)50型機機関砲(アサルト)、そして支援シールド(シールド)と、比較的基本的な兵装で固めている状態である。

 

「...ロング、頼めますか?」

「うん、任せていて。

えーっと、君の今の素材分と資金を考えると...

うーん、あんまりいいのはないなぁ...基本的な装備しかないや」

「そうですか...

でも、慣れは必要ですし、基本的な装備でもいいですよ」

「よう、どうしたんだ?」

 

いつもの軽い口調で話しかけてくるのは、我らが部隊長こと雨宮リンドウである。

肩に神機を担いでるところを見ると、どうやら任務帰りに立ち寄ったようだ。

 

「お疲れ様です、リンドウさん」

「何だ何だ、二人揃ってコソコソと。

デートか?」

「いや、なんでデートって発想になるんですか...」

「子供っぽいを通り越しておじさん臭いです」

「おじさんか...今のはちょっと傷ついたぞリッカくん。

それで、本当は何をやってたんだ?」

 

急に話題を切り替え、キリッとした顔になるリンドウ。

 

(...大人ってカッコ悪いのかな、親父と母さんはカッコいいのに)

「実は、レンタくんの新しい刀身パーツを検討してて...

けど、やっぱり現状の素材と資金では厳しい面があるんですよね」

「刀身か...何を使うんだ?」

「ロングに手を出してみようかと...」

「お、ロングか...

ロングのことなら任せろ、力になれそうだ」

「力になれそうって、具体的には?」

 

リッカが首をコテンと倒し、リンドウに質問すると、リンドウが得意げに人差し指を一本立ててこう言った。

 

「どれでも好きなやつを一本作ってやろう、先輩からのおごりだ」

「え、いいんですか?」

「ああ。

お前さんが頑張ってるのはよく聞いている。

今日だって怪我をしてしまったとはいえ、サクヤとの連携を上手くこなしたそうじゃないか。

そも健闘を讃え、俺から一本プレゼントしてやろうというわけだ」

「ありがとうございます!」

 

レンタが嬉しそうにリンドウにそう言うと、リンドウはさらに得意げにふふんと笑ってみせる。

 

(...とか言って、ちょっと下になりつつある自分の権威をもとに戻そうとしてるんじゃないのかしら、このおじさん)

 

リッカはだいぶ冷めていた。

 

「まぁ、そういうわけだしお言葉に甘えちゃったら、レンタくん」

「そうします。

けど、本当にいいんですか?」

「別にいいぞ。

素材なんてある程度武器が定まったら使い道ねーからな」

 

っと、リンドウが頭をぽりぽりと掻きながら答える。

もはや見慣れてしまったその動作だが、レンタは見ていて不思議と飽きなかった。

 

「さて、と。

一体どいつを作るつもりだ?」

「まだ具体的には...」

「じゃあ私とリンドウさんで、ある程度候補を絞っておくから医務室に行ってていいよ。

ではリンドウさん、い い で す よ ね ?」

「...やっぱやめていいか?」

「それでは、お願いしますリッカさん」

「うん、またねレンタくん」

「慈悲はないのか...」

 

リッカが可愛らしく手を振り、レンタもそれに答える。

リンドウはというと、カッコつけてしまったことによる後悔がとても分かりやすく全身から溢れ出ていた。

 




リッカちゃん可愛いです。
リンドウさんが若干不憫でしたね、リンドウさん好きなんですよ?
けど弄りやすいんです。

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