Blood-G   作:Рей Самар

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雨が酷いですね。
鉄塔の森は個人的にすごく好きなステージでした、特にBGMが。


死というモノ

「ほ、本当にこんなの貰ってしまっていいんですか?」

「いいのいいの、他ならぬ君のための神機だしね。

リンドウさんには文句を言わないように釘を刺しといたし、遠慮なく使っちゃって」

「...」

「どうしたの?

えっと、まさか気に入らなかった?」

 

リッカが不安そうに聞くと、レンタは急にリッカの手を掴み、真っ直ぐな眼でこう言った。

 

「ありがとうございます。

その気持ちを裏切らないためにも、この神機で必ず人の命を救います」

「う...うん。

そう言ってくれると嬉しいかな...えへへ」

 

リッカが照れ臭そうに頬を赤らめ、レンタは新たな神機...フロレントを手に持ち、出撃ゲートへと向かった。

 

「...結構いい子じゃん、あの子」

 

リッカの呟きは駆動音に溶けて消えた。

 

.........

......

...

 

レンタが今回の現場...『鉄塔の森』に着く頃には、既に2人の神機使いが待っていた。

その内、片方の男はこちらに手を振りながら近付いてくる。

 

「やぁ、君が例の新人クンかい?

僕はエリック、『エリック・デア=フォーゲルヴァイデ』」

「霞 レンタです。

よろしくお願いします」

「ふふ、君もせいぜい僕を見習って、人類のため華麗に戦ってくれたまえよ」

「はい。

俺の範囲で出来ることは全力でやりきるつもりです」

「うん、いい返事だ。

君のような子が来てくれると凄く頼もしいよ。

...ソーマクン、君も自己紹介したらどうだい?」

「...ソーマだ、別に覚えなくてもいい」

「はぁ...やれやれ。

彼は少々ぶっきらぼうでね、悪い子じゃないから仲良くしてあげて欲しいんだ。

よろしく頼めるかい?」

「そういう頼みならいくらでも、エリックさん」

「うん。

さ、ミッションを開始しようか」

 

っと、エリックが後ろを振り向こうとした瞬間、ソーマが異変に気がつき、こちらに向かってくる。

そのただならぬ気配にレンタもすぐさま神機を構える。

 

「エリック、上だ!」

「え...?」

 

オウガテイルがエリックを喰らおうとしたのと、レンタがエリックを突き飛ばしたのはほぼ同時だった。

オウガテイルが大きく口を開き、レンタを飲み込もうとすると、隣でエリックが神機を構えオウガテイルの頭部を狙い撃つ。

それと同時にソーマが大きく薙ぎ払い、オウガテイルは無残にも引き裂かれ絶命する。

 

「はぁ...はぁ...」

 

初めて自身に降りかかってくる『死というモノ』を肌で感じ、レンタは暫く茫然自失になる。

エリックがレンタを宥め、ソーマが周囲を見渡す。

 

「...すまない新人クン。

僕の不注意のせいで危険な目に合わせてしまったね...本当にすまない。

それと同時にありがとうね、僕が死んだら妹がとても心配だ」

「い...いえ...大丈夫です...」

「大丈夫な訳あるか。

エリックが反応しなけりゃてめぇはアラガミの腹の中(昼メシ)だぞ」

「はい...すみません」

「ソーマクン、これは僕の責任だ。

あまり新人クンを責めないであげてくれ」

「チッ、てめぇは相変わらず甘いヤローだな、エリック」

 

相変わらず、という言葉にこの2人がどれほど長い間共に過ごしてきたかを察するレンタ。

それと同時に妹がいるという言葉からも、エリックを救えて本当に良かったと思った。

 

「ソーマクン、先に行って周囲を警戒していてくれないかな?

僕は新人クンと一緒に追いつくよ」

「ああ」

 

短めに返事を返し、ソーマが一人で歩き始め、鉄塔の森の中に消えていった。

 

.........

......

...

 

「あの...」

「ん?なんだい?」

「ソーマさんとは、付き合いが長いんですか?」

「うん。

最初はすごい実力を持った少年がいるって聞いてね、けどずっと一人で過ごしていたらしいから、この僕が華麗に手を差し伸べてここまで一緒にいるという訳さ」

「...そうですか。

それと、妹がいるんですよね?」

「うん、とても可愛い妹さ。

今年で11になるけど、やっぱり父さんや母さんと離れて暮らすのは寂しいと思ってね。

妹が悲しんでいるのに、のうのうと御曹司をしている訳にもいかないだろう?

だから自ら志願して神機使いになって、ここ極東支部まで来たという訳さ。

父さんには最後まで反対されたけどね」

 

そう言ってはは、っと笑うエリック。

レンタは素直に良い人だなと思い、リッカにも感謝をした。

 

(...神機は使わなかったけど、人の命を救うという約束は果たしましたよ、リッカさん)

 

こうして救えたのも、この神機から...もっと言えば、リッカから勇気を貰えたおかげだと、レンタはそう思いながら神機を撫でた。

 

「さて、そろそろ行かないとソーマクンが怒りそうだ。

さぁ、華麗なる戦いの始まりだよ」

「はい、行きましょう」

 

.........

......

...

 

「やっと来やがったか」

「すまないね、レンタクンの回復を最後まで待ってあげたほうが華麗というものだろう?」

「...華麗のゲシュタルト崩壊が起きそうです...」

 

そんなやりとりをしながら歩いていると、目の前に今回の討伐対象が現れる。

『ザイゴート』と呼ばれる浮遊型のアラガミだ。

 

「あれだね」

「おいルーキー、足は引っ張るなよ」

「わかりました」

 

とてもわかりやすい嫌味なのにも関わらず、レンタは素直に返事を返す。

この素直さに、エリックは期待と不安を同時に感じていた。

 

(...この優しさが仇にならなければいいんだけど...)

 

「行くぞ」

 

ソーマの合図に、レンタとエリックも同時に奇襲をかける。

最初のソーマの一撃でザイゴートの内一匹は既に倒れ伏し、エリックとレンタの連携で二体目も地面に堕ちる。

 

「喰らえ!」

 

レンタが捕喰と呼ばれる行為を行い、自身を強制的に神機解放(バースト)状態へ移行させる。

 

「うぉぉおおおおおおっ!」

 

バースト状態になることで、神機の本来の力を存分に発揮すると同時に、新型神機であるレンタはアラガミバレットと呼ばれる特殊弾を神機に宿すことができる。

アラガミバレットの使用法は二通り。

そのまま敵に撃ち込むのと...

 

「受け取ってください!」

「あ...ぅ...

か、華麗に決めるよ!」

 

味方に撃ち込むことで、撃ち込まれた神機使いをバースト状態にすることができる。

これは旧型銃神機を扱う者との大切な連携でもある。

 

「ソーマクン!

斜線を開けて!」

「っ!」

 

ソーマが素早くステップをしながら真横に薙ぎ払い、それに畳み掛けるようにしてエリックが濃縮されたアラガミバレットを撃ち込むと、最後の一匹となっていたザイゴートは哀れにも粉々に粉砕された。

 

「す...すごい威力だ」

「ふぅ、お疲れ様です」

「ああ」

 

黙々とコアの回収作業を終え、三人で一旦集合する。

 

「今回も、僕の華麗なる活躍のおかげだね」

「はい、お疲れ様ですエリックさん。

ソーマさんも怪我はありませんか?」

「...ああ。

おい、ルーキー」

「はい?」

 

ソーマが呼ぶので返事を返すと、レンタは次の言葉で目を大きく見開いた。

 

「筋は悪くねぇ。

だが...死にたくなかったら俺に関わるな(・・・・・・・・・・・・・・・)

「...?」

「...」

 

エリックは少し悲しそうな顔になり、ソーマは何も言わずに立ち去ろうとする。

慌てて二人は追いかけるが、レンタには先程の言葉がずっと頭の中を廻っていた。

 

(...どういうことなんだろう、さっきのエリックさんのことを気にしてるのかな?)

 

現状では何も言えないが、仲が良くなったら聞いてみたいなと、レンタはそんなことを考えていた。

 

.........

......

...

 

「リッカさん」

「あ、おかえり!

お手柄だったみたいじゃん!」

「お手柄...?」

 

レンタが不思議そうに聞き返すと、リッカが笑いながら付け加える。

 

「エリックのこと!

助けてあげたんだって?」

「あぁ...そう、ですね。

神機を使わなかった上に、あんまりカッコ良くなかったですけど」

「それも聞いたよ。

もうそんな無茶はしないでよね?

次そんなことしたら神機の点検してあげないから」

「はは...手厳しいですね。

けど、救えて本当に良かったと思ってるんです」

「うん。

救えて良くない命なんかないよ。

どんな場所でも、どんな時代でも」

 

そう言ってまた優しそうな顔になるリッカ。

レンタも小さく笑い、神機を収納庫に入れる。

 

「このロング、すごく良かったです。

ありがとうございました」

「いえいえ。

役に立てて良かったよ、次はショートも使う?」

「はは、ロングが慣れるまでは暫く他のは使わないようにしておきます。

でもその時は頼んでもいいですか?」

「お安い御用だよ。

それじゃあ、私は君の神機の点検をするから」

「はい。

それじゃあ」

 

レンタが収納庫から立ち去ろうとすると、リッカがそれを呼び止める。

 

「あのさ!」

「...?

なんですか?」

「えっと...歳、近いし...その...

呼び捨てでも...いいよ?あと、タメ口でもいいし...」

「...?

はい、わかり...じゃなくて、わかったよ、リッカ」

 

ニコッと笑ってリッカのことを呼ぶと、リッカも嬉しそうに頬を緩ませて手を振った。

 

「じゃあね、また」

「ああ」

 

.........

......

...

 

「...ん?」

 

収納庫からエントランスへ帰ると、誰かと誰かが話し込んでいた。

...片方の方は口癖でバレバレだが。

 

「そこに僕が華麗にローリングしてズドン!

...決まった」

「すごい!

やっぱエリックは強いんだね!」

「当たり前さ。

エリナを護るためだったら、僕はどこまでも強くなれるよ」

 

エリックと、その妹である。

エリナと呼ばれた少女は、その長い髪を揺らしながらエリックの話を嬉しそうに聞いている。

 

「エリックさん」

「お、やぁレンタクン。

エリナ、紹介するよ。

僕の命を救ってくれたレンタクンだ」

「...こんにちは」

 

エリックの陰に隠れ、控えめな声で挨拶をするエリナ。

先程の元気は何処へやら。

 

「うん、こんにちは。

それでエリックさんは何の話を?」

「うん、三日前の僕の華麗なる任務の様子をエリナに聞かせてあげていたんだよ。

まぁ、僕に憧れるのは仕方のないことだよね」

「...ねぇ」

「ん?

なんだい?」

「お兄ちゃんは、エリックのことを助けたの?」

「うーん...助けたのかな?

逆に助けられたような気もするし、全然カッコ良くなかったけど」

「そんな謙遜しなくてもいいよレンタクン。

僕は君に助けられたんだ、もっと誇っていい。

それに、人を助けるために全力を尽くした君が、華麗でない訳がないだろう?」

「...ありがとうございます」

「それと、これからは僕のことはエリックでいいからね。

タメ口でも構わないよ」

 

さっきと同じことを言われ、レンタは少し困ったように笑った。

エリナはその話と様子を見て、エリックにこう言った。

...否、言ってしまった。

 

「ねえエリック」

「なんだい?」

「あのね、私ね」

「うん?」

「...このお兄ちゃんと結婚する」

「ブフォンヌ!?」

 

エリックが勢い良く口に含んでいた飲み物を吹き飛ばす。

その華麗なる液体は華麗に舞い、普通に歩いていただけのソーマのフードに華麗に付着した。

 

「おいてめぇ...」

「す、すまないソーマクン!

それよりエリナ、どうしたんだい急に!?

お兄ちゃんって、えっと...」

「うん、この人」

 

レンタを指差しながらさも当たり前と言った様子で言い切るエリナ。

エリックはさらにあたふたとして、レンタはどうすればいいのかわからずソーマを見る。

 

「こっち見んな」

「す、すみません」

「なな、なんでそんなことを!?」

「あのね、エリック。

こういうのね、一目惚れって言うんだよ?」

「...まさか、さっき僕の陰に隠れていたのは、怖かったからじゃなくて恥ずかしかったから?」

 

コクコクと、可愛らしく頷くエリナ。

エリックが暫く硬直したと思うと、レンタを恨めしそうに睨みつける。

 

「えぇ!?

なんで俺が睨まれてるんですか!?」

「エリナは11だ...

手を出したら、分かってるね?」

 

レンタが今まで見た中でも、とびっきりの笑顔を向けられる。

その様子に、レンタはただ頷くことしかできない。

 

「エリック」

「なんだい?」

「お兄ちゃんいじめたらやだ」

「」

 

とうとう真っ白な灰になってしまった。

 

...これが、未来への伏線だとも気が付かず。

 




ソーマくんでした。
エリックさんも生きてます。
理由?いいお兄ちゃんキャラがいてもいいじゃない。

後、とうとう嫁キャラ(暫定)が現れました。
レンタはロリコンではありませんよ?

Next→『雪に濡れて』
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