Blood-G   作:Рей Самар

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日常パート。
書きたかったんです。


神機使い達の休息

フェンリル極東支部内のエントランス。

ここには様々な神機使いが集まり、談笑をしたり食事を取ったりしている。

今回は、そんなエントランスのちょっとしたお話である。

 

「...だーかーらー!

勝つ戦いよりも負けない戦いなんだよ!」

「負けちまったら報酬もクソもねーだろ。

勝てばいいんだよ」

「そうかしら?

私は撃てればなんでもいいけれど」

「み、皆さん落ち着きましょうよ...」

「...」

 

レンタの顔が一瞬で嫌そうな顔になる。

分かりやすく言うと、嫌な現場を目撃したときのような、それに巻き込まれそうなときのような顔である。

今すぐにでも回れ右をして帰りたいところだが、生憎ツバキに証類を頼まれているのでそういう訳にもいかない。

 

「僕としては、いかに華麗に決めるかが一番重要だと思うけどな。

...キミもそう思うだろう?レンタクン」

 

とうとう見つかってしまった。

連日の任務明けに加え、昨日は散々コンゴウにボコボコにされた身としてはとっとと部屋に帰って休息取りたいのだ。

だが、相手は目上の先輩。

それにレンタの性格も考えれば、無下に扱うなんてことはまずできない。

 

「...まぁ、効率や自分の気分の良さ...つまり、精神面の管理も大事だとは思います」

 

「ほらな」

「ボクの言った通りだろう?」

「やっぱり撃つことが大事なのよ」

「...ですが」

「?」

「やはり、負けないためにどういった行動ができるか、というチームワークも大事でしょうね」

「ほらな!

やっぱり俺の言った通りなんだ!」

「...というわけで、俺はここまで皆さんを宥めようと頑張っているカノンさんを推します。

こんな素直で優しくて物腰柔らかくて、おまけにチームのことを考えられる先輩でしたら、いくら尊敬しても足りませんよ」

「カノンが...」

「チームのことを...考える?」

 

全員に顔が一気に青ざめる。

レンタとカノンは何のことだかわからず、頭の上にクエスチョンマークを作っている。

 

「...おいレンタ、悪いことは言わないぞ。

カノンと一緒にミッションに行くことはやめておけ。

それと、素直で優しくて物腰柔らかくて健気で可愛い子だったらヒバリちゃんがいるだろう!」

「そこまでは言ってないんですが...

それと、少しカノンさんに対しての対応が酷いんじゃないですか?

ミッションは皆さんでいくものです」

「...レンタクン」

 

エリックが妙に哀愁漂うような声で話しかけると、レンタはさらに不思議そうに首をかしげる。

 

「いいかい?

人を見かけで判断しちゃいけないんだ、カノンクンはその筆頭だよ」

「...そこまで言うんでしたら、俺が一緒にミッション行って証明してみせますよ。

カノンさん、行きましょう!

タツミさん達をギャフンと言わせるんです!」

「一緒に行ったらギャフンと言う前に身体が無くなるだろうな...」

 

タツミが身体を震わせながら呟く。

しかし、その呟きは全くと言っていいほど届いてはおらず、カノンは目をキラキラとさせながらレンタのことを見ていた。

 

「ありがとうございます!

私、絶対に頑張りますから!」

「ええ、やってやりましょうカノンさん!」

 

レンタがツバキに書類を半ば押し付ける様にして渡し、リッカとヒバリに事情を説明してカノンを連れてとっとと行ってしまった。

 

「...行ったな」

「逝ったわね」

「レンタクン...」

「チッ、あんな金にならねーことを何でしたがるんだか...」

「お人好しというかなんというかですね...」

 

ヒバリが困った様に笑うと、他の面々もレンタの身を案じているのか、それとも呆れからくるものなのか大きくため息を吐いた。

 

台場カノン(誤射姫)と行くときはタワーシールドにしておけってのはうちの常識なのにな」

「仕方ないわよ、こうやって新人君は学んでいくのよ」

 

明らかな哀れみの念が、現在ミッションに向かっているであろうレンタに注がれた。

 

.........

......

...

 

「行きましょう、カノンさん!」

「あの、頑張りましょうね!」

 

レンタとカノンが、オウガテイルとザイゴートの群れへと突撃していく。

 

「この!」

 

レンタのフロレントがオウガテイルの肉をえぐり、ザイゴート叩き落す。

 

「カノンさん、今ですよ...」

 

突如、レンタの身体が大きく後退する。

大した怪我でないことから、恐らく誤射であることを予想するレンタ。

 

「す、すみません、突っ込みすぎで...」

「射線上に入るなって、私言わなかったっけ?」

「...!?」

 

レンタが、カノンのあまりの豹変っぷりに大きく目を見開く。

カノンの顔はとても悪い顔になっており、その姿を初めて見るレンタは少しだけ背筋が凍った。

 

「そらっ!

喰らえっ!」

 

いつもの彼女からは考えられないような言葉遣いが飛び交う戦場。

軽い任務のつもりが、カノンの誤射に怯えさせられたせいで無駄な神経を使ったとか使ってないとか。

 

「チッ、弾切れかよ、このポンコツ!」

「お、落ち着いてください!

わかりました、もうすぐに終わりますから!

弾は補充しなくていいですから!」

「なんであんたが私に指図してるのよ。

まぁ、そうしといてあげるけどさ」

 

なんに気まぐれか、カノンが大人しく了承してくれた。

これがカノンに残された最後の優しさだと、そう思わなければ胃が痛くなりそうなレンタであった。

 

.........

......

...

 

「どうだった?」

「い...良い腕でしたよ、彼女」

「レンタさん!

私、今日誤射が少なかった気がします!

えっと、レンタさんと一緒にいると、なんか撃ちやすくて...

また行きましょうね!」

「誤射が少なかった気がするか...」

「どういう意味なんですか?」

「機嫌が良いときのセリフだ。

お前、カノンに気に入られたんだよ、よかったじゃねーか」

「...絶対に...カノンさんの誤射率を極東支部最低にしてやりますよ...必ずですよ」

 

せっかくの休息日だったというのに、無駄な体力を使い果たした上に謎の決意まで固まってしまった、奇妙な1日であった。

 

 

〜おまけー

 

「レンタさん!

これ、お菓子作ったんです!

よ、よかったら...どうぞ!」

(...美味い...

神機使いやめてお菓子職人になったらいいんじゃないかな...)

 




カノンちゃん可愛いですよね。
メインヒロインの出番はありませんでしたね、あともう一回くらい日常パートやりたいな....

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