Blood-G   作:Рей Самар

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戦闘です。
アリサが最初来た時は流石に殺意が芽生えたものです。
ゴッドイーター2で再登場した時はちょっとだけ嬉しかったです、ちょっとだけ。


新型と新型

贖罪の街。

レンタの初任務の場所であり、リンドウと共闘した最初の場所でもある。

今ここに、その二人に加えてアリサがいる。

不思議な気分になりながら、任務開始地点にたどり着くレンタ。

 

「よーし、それじゃあ早速やってくぞ。

...とは言っても、今回は新型二人との任務だしなぁ...

ま、足手まといにならないようにするさ」

「はは、面白い冗談ですねリンドウさん」

 

いつも通りの軽口、それを流すレンタ。

本当にいつも通りの、二人の会話。

レンタはこんな雰囲気が好きなので、リンドウと会話をする時は少しだけ楽しみにしている。

それほどに気さくで親しみやすく、それでいて頼りになる先輩であると、レンタは理解していた。

...だが、彼女はどうやら違うようだ。

 

「旧型は、旧型なりの仕事をしていただければいいと思います」

「...は?」

 

思わず間の抜けた声を出してしまう。

今、彼女が言った言葉の意味は、こうだ。

“旧型なんだから大人しく雑魚処理していろ”

流石に言い過ぎかもしれないが、彼女の高飛車な性格を考えるとあながちニュアンスは変わらない気もする。

尊敬している先輩に対しての暴言からか、流石にムッとした顔になるレンタ。

それを知ってか知らずか、アリサはツンとした表情を崩さないままでいる。

 

「はは、まぁ気楽にやらせてもらうさ」

 

不穏な空気を感じ取ったのか、あるいはあまり気にしておらず軽口を言ったのかはわからないが、どちらにせよリンドウは可笑しそうに笑いながら言う。

いつものようにアリサの肩に手を置いた...瞬間。

 

「きゃあ!」

「...?」

 

アリサが勢いよく後ろに跳ねた。

まるで、リンドウとの接触を拒んでいるかのようである。

 

「あーあ...随分と嫌われたもんだ」

「あ...大丈夫です...

すみませんでした」

「...どうします?」

 

この調子でミッションを続けるのか?という意味を含んでのレンタの質問。

リンドウはほんの少しだけ考えるような素振りを見せたかと思うと、その次には流石のレンタでも理解に苦しむような『命令』を下した。

 

「緊張してるのか?

...そうだ、混乱しちまった時はな、空を見るんだ。

そして自分の好きなものに似た雲を探すんだ。

気持ちが落ち着くぞ」

「な、なんで私がそんなこと!」

「いいから探せ、これは命令だ」

「...権力の横暴だ」

 

っとレンタ。

アリサもしばし不機嫌そうな顔になったが、やがて諦めたのか空を見上げ始める。

その様子を見て、リンドウはレンタを手招いて段差から降り始めた。

 

.........

......

...

 

「リンドウさん」」

「なんだ?」

「どうしてあんな『命令』を?

...流石にアリサの言葉は暴言とも取れますし、最悪の場合チームワークを乱しかねませんよ?」

「あー、あれな。

...あの子な、ちょっとワケありらしい」

「と、言いますと?」

「成績はお前と同じで優秀なんだがな...

ちょっとばかし精神面が不安定らしいんだ。

まぁこんなご時世だし、過去に何があってもおかしかねぇ。

...まぁ何が言いたいかってと、ちょっとくらいの言葉くらいは許してやってくれないか?」

「...」

「お前が怒りそうになった時は流石に焦ったぞ、ちょっと見てみたかったけどな。

けど、あいつは定期的に主治医にメンタルケアを受けるほどに酷いらしいんだ...だから、な?」

「...はぁ、わかりましたよ。

リンドウさんにそんな頼まれ方したら、断りたくても断れませんよ。

というより、最初から知ってましたね?あんな子だって。

だから俺に任せるなんて?」

 

レンタがジト目で睨むと、リンドウは困ったように笑ってから続けた。

 

「まぁな。

けど、お前ならなんとかできるって信じて任せたんだ、恨むなよ?」

「...ズルイですよ。

今度、神機選ぶの手伝ってもらいますからね」

「はは、お安い御用だ。

またリッカにコキ使われそうだけどな...」

「...まぁ、リンドウさんがそこまで入れ込むんでしたら悪い子ではないんですよね。

気楽に(・・・)やっていきますよ。

あの子のこと、信じてみます」

「お、言うようになったじゃねーか。

それじゃあそろそろビールでも...」

「それはダメですよ。

ツバキさんに言いつけますよ?」

「そ、それだけは勘弁...」

 

リンドウが冷や汗をかきながらレンタに謝る。

またいつもの調子に戻れたことに、レンタは内心ホッとしていた。

アリサが来るのが遅いことを考えると、ちゃんと言われたように雲を探しているようだ。

変なところでは素直だなと、レンタは小さく笑った。

 

.........

......

...

 

「雲...雲...」

 

段差に腰掛け、空を見上げながら雲を探すアリサ。

暫く探していると、猫に似たような雲を見つける。

 

「あ...可愛い...」

 

呟いてから、ハッとして首を横に降る。

 

「ダメダメ...こんなよくわからない命令、すぐに終わらせて追いつくって決めたんだし...よし!」

 

アリサが立ち上がり、段差を勢いよく飛び降りる。

少し走ると、目の前に二人の背中が見える。

その後ろ姿はとても仲が良さそうで、兄弟のようにも見えた。

...急がないといけないのはわかっているし、失礼も承知だが、二人がどんな会話をしているのか気になってしまい、つい聞き耳を立ててしまった。

 

(どんな会話をしてるんだろ...

ちょっとくらい良いよね)

『...またリッカにコキ使われそうだけどな...』

『...まぁ、リンドウさんがそこまで入れ込むんでしたら悪い子ではないんですよね。

気楽に(・・・)やっていきますよ。

あの子のこと、信じてみます』

『お、言うようになったじゃねーか。

それじゃあそろそろビールでも...』

『それはダメですよ。

ツバキさんに言いつけますよ?』

『そ、それだけは勘弁...』

 

どんな会話だ、どっちが先輩だと、二人の会話に心の中で一々ツッコミを入れるアリサ。

だが、アリサは先程の会話でどうしても気にしてしまう言葉があった。

 

“悪い子ではない" “あの子のこと、信じてみます"

 

二人が、自分に対してどんな気持ちを抱いていたのかを知り、さっき言ったことを後悔するアリサ。

少しだけ、考えを改めてみようとも思った。

 

(...なんかカッコ悪いな、私...)

 

一つため息を吐きながら、二人の後を追う。

二人の元へ着く頃には、既にいつもの調子に戻っていた。

 

「お、やっときたな」

「...あなたがあんな命令をするからですよ」

「それに関しては同意ですね、リンドウさん?」

「はは...手厳しい後輩達だ...」

 

頭をぽりぽりと掻くいつもの動作。

それを見て、やはり気にしていないことを感じるレンタ。

 

「さぁ、行きましょうか」

「だな。

頑張ってついていくさ」

 

すっかりゴッドイーターとして板についてきたレンタを見て頼もしく思ったのか、レンタに先導を任せる。

アリサには後方の警戒を、自身は真ん中でどちらにでもバックアップできるよう警戒をする。

...暫く歩いていると、目の前にアラガミが現れる。

背中から生えている羽根、すらっと伸びた長身、組まれている腕。

データベースで見たシユウそのものであった。

 

「...まだこちらには気付いていないようですね」

「ああ。

レンタ、奇襲を任せられるか?」

「了解です。

いつも通りで?」

「ああ、お前の奇襲の仕方でいいぞ」

「では、行ってきます」

 

左足を滑らせ、右足を使い勢いよく突進していく。

肩には神機が担がれているので、いつも通りの突進からの斬撃をするつもりらしい。

見たのは二回目なのでリンドウはそこまで驚いてはいなかったが、アリサはその独特な方法にポカンとした顔になる。

 

「お、らっ!」

 

クレイモアを勢いよく振り下ろす。

レンタの神機は的確にシユウの羽根をとらえたが、コンゴウとは比べ物にならない硬さに驚愕する。

 

(嘘だろ...この前のコンゴウでも相当硬かったはずなのに...!)

「ガァアアア!」

 

短い奇声を上げながら、羽根を広げてレンタを吹き飛ばす。

吹き飛ばすことに慣れ始めているのか、上手いこと受け身を取りつつ銃形態に変換させる。

それぞれ頭、羽根、下半身、拳に撃ち込んでいく。

...その内の一部分に弾丸が当たった瞬間、シユウが苦しそうに呻き声を上げたのをレンタは見逃さなかった。

 

「そぉら!」

 

既にリンドウはシユウのそばで斬撃を加えている。

流石にリンドウは知っているためいいとは思うが、問題はアリサであった。

 

「アリサ!」

「なんですか!?」

「こいつの弱点は恐らく拳だ、そこを狙っていったほうがいい!」

「...わかりました」

 

先に弱点を見つけられて悔しいのか、レンタを軽く睨みながら拳に斬撃を叩き込む。

レンタの予想は大当たりで、拳に2、3回斬撃を加えただけで先程の奇襲と違う反応を見せる。

それを後期と見たのか、レンタとリンドウが捕喰、バースト状態に。

アリサは一旦後退し、銃形態でレンタ達の援護をする。

 

「やっぱ硬い...」

「落ち着けレンタ!

お前の正確さなら問題なく弱点をつけるはずだ!」

「やってみます!」

 

シユウが薙ぎ払おうとしたのに合わせ、拳に対してレンタも薙ぎ払いを加える。

すると、拳にの一部が欠損し、辺りに血が撒き散らされる。

 

「よしっ!」

「その調子だ!」

 

欠損した拳を押さえつけ、苦しそうにうずくまるシユウを、レンタは手を休めずに剣を構える。

 

「この...!」

 

剣に禍々しいオーラが纏われ始める。

バスターにのみ使える特殊な技『チャージクラッシュ』である。

 

「喰らえぇ!!」

 

勢いよく振り下ろすと、シユウの頭部は粉々に砕け散り、完全に生体活動を停止させる。

 

.........

......

...

 

「コア回収終わりましたよ」

「おう、お疲れさん」

「...」

「ん?どうしたアリサ?」

 

リンドウが不思議そうに聞くと、アリサは不機嫌そうにレンタに尋ねた。

 

「あの、レンタさん」

「なに?」

「...怖い、とか思わないんですか?」

「怖い?」

「出撃前に言ってましたよね?

シユウと交戦するのは初めてだって...どんな能力があるかもわからないのに、なんで臆することなく奇襲を仕掛けられたんですか?」

 

とても簡単な質問であった。

要するに、“死ぬのが怖くはないのか?"ということである。

その意図に気がつき、レンタは少しだけ笑いながら答えた。

 

「まぁ大体のことはデータベースで見たし、臆してたら状況なんて悪くなっていく一方。

だから、かな?

怖いっちゃ怖いけどね」

 

はは、っと笑いながら軽い様子で答えると、アリサはますます不思議そうに首をかしげるのであった。

 

.........

......

...

 

「...そっか、アリサちゃんを...」

「うん。

結構大変だと思うけど、リンドウさんが信じたアリサを信じてみようと思うんだ」

「...うん、頑張ってね?」

 

っと、何故か機嫌が悪そうに言うリッカ。

レンタが不思議そうに首をかしげると、リッカが答えた。

 

「...ちょっとだけ嫉妬しちゃうかな」

「嫉妬?」

「うん、別にアリサちゃんが嫌いな訳じゃないけど、出てきてすぐの子に目を取られてると考えると、ちょっとね」

「そうなの?

...俺にはよくわかんないな」

「うん、分からなくていいよ。

...いつかは、ね」

「...?」

 

リッカが少しだけ顔を赤らめながら呟くのを、レンタは静かに見ているだけであった。

 

 

 

 




アリサはホントに生意気な子でしたよね。
バースト編になってからは可愛いです。

Next→『歪な感情』
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