san値直葬? 何それ美味しいの?   作:koth3

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新しい作品です。作者はクトゥルフにあまり詳しくありませんのでwikiで調べさせていただいております。


原作前
第1話


 真っ暗な闇の中キラキラと青く、オレンジ色に輝く何か。そして聞こえる太鼓と単調なフルートの音。何処から聞こえるのだろうか? いや、そもそも此処は何処だ? 俺は昨日高校から帰ってきていつも通りに過ごして眠ったのに。こんな訳の分からない場所に来たつもりはないのに。

 

 「おお、目が覚めたか」

 

 ……何だ、今の声? まるで地獄の底から、いいやそれ以上の何かから響いてきたような声。一瞬で体中の生気という生気を失いそうになった。ただ声を聴いただけでだ。

 

 「何処を見ておる。お前も私と同じ盲目白痴ではないだろう」

 

 それを見た瞬間俺は全てを失った。言葉通り何もかもが分からなくなり、全てが分かってしまった。そこに居たのは化け物。異形。怪物。悪魔。ありとあらゆる言葉を持って侮辱される存在。魔王ですらこれを前にすれば遥かにましとしか言いようがない邪神。形容するべき言葉が見当たらない。名状することすらできないほどの異形。人ではこれを理解する事なんて決してできない。

 

 「……ア、アザトース?」

 「如何にも。私は万物の王であり盲目白痴の神だ」

 

 アザトース。ハワード・フィリップス・ラブクラフトによる創作神話クトゥルー神話。あるいはクトゥルフ神話とも呼ばれる作品において宇宙の中心に存在する神格として描かれた存在。全ての邪神、旧支配者にとって総帥であり、始まりである存在だ。此奴からニャルラテップ、通称ニャルラトホテプ。ヨグ=ソトース。ハスター等の邪神が生まれた。

 

 「私が選んだ割には博識だな」

 「え、選んだ?」

 

 心を読まれた程度で驚いてはならない。何せ此奴は盲目白痴の魂すら本来持たずただ恐るべき言葉を吐き続ける魔王なのだ。人の心を読む程度此奴にとって簡単な事だろう。

 

 「まあ、話が早く済みそうだから話を進めるか。お前を此処に呼んだのは頼みたい事が有るからだ」

 「頼みたい事? それなら他の邪神にでも」

 「それではいかん。私は今ほかの神と勝負をしていてな。その勝負が今夜日本という国で何らかの理由で死んだ人間の内一人を選んで私たち神々の加護を与えて転生させ生まれ変わった世界をどれほど変えさせられるかという遊びだ。お前は寝ている最中に心筋梗塞になって死んだのでな。丁度よく使わせてもらおうという事だ」

 

 ……それは遊びとは言わないだろう。それに此奴の言ったほかの神って何だ? アンラ・マンユか? この世全ての悪を司る悪神か? それとも天津甕星(あまつみかぼし)か? 天津神達に抵抗し続けた天照大御神の天敵か?

 

 「いや。ギリシャ神話でのゼウスに北欧神話でのオーディンだ」

 

 ……もう訳が分からないよ。何で星、いや宇宙規模の邪神が地球の神話の神、しかも主神と遊ぶほど仲が良いんだ。

 

 「仲が良いのは良いのだ。其れよりもまあ、その遊びにお前の魂を選んだ。というよりほかの魂と接触するとはじけ飛んで消え去ってしまうので結果的にお前の魂を選んだのだ。ちなみに転生に拒否権はないぞ。拒否したらここで永遠と私の遊び相手になって貰う」

 

 ぜっっっっったいに嫌だ!! それだけは嫌だ!! 神話の中で最悪の化け物と一緒に永遠。しかも遊ばれるなんてろくなことが起きる訳が無い。

 

 「では、そろそろ生まれ変わってもらうか」

 「ちょ、ちょっと早すぎない!!? 加護とやらの説明は!!?」

 

 それが分からないと如何しようもないだろう。他の転生者と違ってこの神の加護は逆にどう考えても呪いになりそうだし。いや其れ位なら恩の字レベルだものな。

 

 「おお、忘れておった!!」

 

 その声が辺りに響いた瞬間、近くで輝いていたオレンジ色の光が消えていった。おい、あれって星が消えたっていう事か? 冗談じゃない! こんな危険地帯に入れるか!

 

 「ふむ、ほかの神は如何やらゲームやら小説から加護を与えたようだがな私は違う。アフターケアも完ぺきにこなしてこそ神というもの! そこで私の加護は私の力と子供の力、それに関する力。それにドリームランドの神々の力。私たちの力や姿に関して記してある魔道書や道具を与えてやろう!!」

 

  ギャアアアアあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!

 「む? 喜びのあまり気絶したか。まあ良い。これからその世界に送るとしよう。加護はもうすでにあたえたからな。他のいろいろな細かいものはニャルに任せるとしよう」

 

 混沌の世界の王は発狂して錯乱した魂を抱えてとある世界に降り立つ。ほかの神にはできずともこの神だけができるそのルール破りの世界の移動を行いながら王はすべての条件を整える。

 

 「今度こそ負けんぞ! いつもは参加者が発狂して死んでしまうが今回は私と会話できる程度には精神汚染に対する力が強いのだ。今度こそお前らをぎゃふんと言わせてやる!!」

 

 余りにもくだらない事を叫びながらその世界に降り立つ。その際に発生した言葉の魔力。いや、言葉の力でいくつかの星を滅ぼしながら王はとある世界に降り立った。美しい青い水の惑星。かつては旧支配者として王の子供が君臨していた星。地球へと。

 




主人公死んだ理由心筋梗塞。しかも死んだらアザトースの目の前。どんな不幸だろうか。

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