san値直葬? 何それ美味しいの?   作:koth3

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第10話

 高町に落ちた紫の雷は高町の持っていた杖を砕きアレを放出させた。

 

 「なのは!」

 「母さん!?」

 

 そして、

 

 「キャアアアアアアアア!!!」

 

 異物にもまた雷を振り下ろし斧を砕かせた。高町と同じようにアレが斧から放出させられて高町と異物のアレを何者かが回収していった。

 アレを狙っているのがこの異物以外にもいる? それにあの異物は母さんと言っていた。つまりアレを狙っていたのは異物ではない?

 

 「そういう事か。そういう事か!!」

 

 そういう事か。此処に居るのは唯の労力であって、本当にあれを狙っているのは此処ではなく外の異世界にいるという事か!

 

 「クソ!」

 

 これでこの世界になんの被害も出さないのなら問題はない。だが、母親といった異物の事から考えるに自分の子供をも犠牲にするような奴だ。この世界に被害を出しても可笑しくはないだろう。

 

 「行くしかないか」

 「行かせるとでも思うか?」

 

 目の前には統也が立ちふさがり、一本の剣を持っている。黄金の装飾が施された華奢な剣。その切れ味は鋭いことくらい剣に詳しくない()でも分かる。

 

 「お前が危険なことくらい誰だってわかる。だからお前は止める。お前のような危険で何をしでかすか分からないお前をこれ以上放置なんてできない。だからここで切り捨てられろ」

 

 振り上げた剣を()目掛けて切りかかって斬る。だがお前と違いそんな遊戯に付き合う程時間があるわけではない。

 

 「うわっ!」

 「なっ!!?」

 

 だから檻の中にある七式を統也の方に投げ捨てる。投げられた七式に驚き動きの鈍った統也を尻目に俺は門を開く。

 本来の形とは異なる形になるがそれでも使えないわけではない。唯門を開けばよいのだから。

 小さな刃物を出す。刃には文字が刻みこまれておりそれだけで特殊な魔術を使用する際に触媒となる。その刃で自身の周りを円で区切るように一度切り裂く。

 

 「時空の彼方にとどまりしものよ、我が嘆願を聞き入れたまえ」

 

 そして今度はドラゴンの頭の印を書く。

 

 「門にして道なるものよ、現れいでたまえ。汝の僕が呼びたれば」

 

 さらにキシュの印を描く。

 

 「ベナティル、カラルカウ、デドス、ヨグ=ソトース、あらわれよ、あらわれいでよ。聞きたまえ、我は汝の縛めを破り、印を投げ捨てたり。我が汝の強力な印を結ぶ世界へと、関門を抜けさせたまえ!」

 

 それと同時に醜悪な門が目の前に広がる。呼び出した()には見えるだろうが他のこの場にいる者には見えない究極の次元の世界へつながる門が。そこを通れば望む次元へ行く事が出来る。

 

 

 

 

 「消えた!?」

 

 莫迦な! 幾ら訳の分からない存在だったとしても物理法則に縛られるはず! なのになぜ彼奴はあの場から消え去った!?

 

 「クロノ執務官!」

 「はい、艦長!」

 「すぐさまなのはさん達とあの場にいるすべての人を回収しなさい!」

 「了解!」

 

 普段と違い一切の遊びが籠っていないかあ、艦長の声。それだけ今の状態に余裕がないという事だ。あの少年からいきなり生えた腕を見たクルーの多くは良くて失神。ほとんどのクルーは狂気にとらわれてまともに動く事が出来ていない。

 転移しようとした瞬間エイミィが叫んだ。

 

 「拙いよ、クロノ君!」

 「如何した、エイミィ?」

 「あの子が消えた場所から未知のエネルギー反応があったけど、そのエネルギーが通じているのがプレシア・テスタロッサの隠れ家、時の庭園に通じているの!!」

 「何だって!!!?」

 

 拙い、拙いぞ! 彼の言動から考えるに下手をすればプレシア・テスタロッサが殺される可能性もある。

 

 「艦長!」

 「……。まずはなのはさん達の回収。そしてすぐに動ける武装隊のメンバーとともに時の庭園へ」

 「了解しました!」

 

 今はそうするしかない。負傷した彼女たちを回収している間に艦長が武装隊で戦える人間、或いはそこまでで回復した人員で突入するしかないだろう。

 転移魔法を使うために術式を発動させる。すぐにでも迎えに行かなければ。彼がプレシア・テスタロッサを殺さないうちに。

 

 

 

 門を越えた先はありとあらゆる兵器が迎え撃っていた。金属の鎧にハルバードやロングソード。まるで中世の騎士団の前にいるかのようだ。

 

 「だがそれも無駄」

 

 只々それらをガラクタに変えるために腕を振るう。円を描いた先からどんどん鎧が砕けていくがそれを補うように機械の群れが集まってくる。

 

 「朽ちろ!」

 

 二つの邪神の腕のほかに電気銃に偃月刀を片手ずつ掴む。右手は電気銃で機械を撃ち、偃月刀を使用していくつもの魔術を発動して機械を破壊していく。それでもなおこの機械の群れは少なくならない。

 

 「ならば」

 

 腕の肉が盛り上がり、薄くなっていく。腕の骨は折れる音ともにコウモリのような形になっていきそこに薄い肉が翼に代わっていく。

 

 「相手にしていられるか」

 

 空にも機械はあるがそれでも密集度は低い。ならばそこを抜けるのが一番良い。巨大化した翼が風を切る音が怪音波となって機械の群れの動きを阻害する。

 

 「邪魔だ!」

 

 一体、二体とどんどん砕いていって最後の一体を偃月刀を投げつけて破壊する。邪魔な壁は邪神の腕を変化させた翼を使って斬り落とし先に急いでいく。

 

 「アレか」

 

 斬り落とした通路の先に広がる空間。その宙に浮きながら光り輝くアレにそれを守るように立つ一人の女性。そしてその女性が()を睨みながら狂気を孕んだ瞳を見せつけて静かに呟く。

 

 「邪魔はさせないわ」

 「地球を守るためだ。邪魔をするなら死んでもらう」

 

 

 

 san値チェック

 

 プレシア・テスタロッサ 1D6/1D10

 

 チェック        0% 43 成功

 

 san値減少      0-4=0

 

 状態          邪神と狂信者の対峙




プレシアも最初からsan値なんて無かったんだ。

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