san値直葬? 何それ美味しいの?   作:koth3

16 / 37
書いている最中に二回キーの操作を間違えて書き直す羽目になった! コンチクショウ!
まあ、楽しんでいただければ幸いです。


第16話

 それは余りにも急に表れた。

 俺が世闇とヴォルケンリッターとの戦いに参加しようとした瞬間だった。

 

 「な、んだ、それは」

 「有り得ない……!」

 

 建物と窓ガラスから急に刺激臭がするかと思ったら煙が沸き立ち、そして。

 

 「邪魔をするなと伝えたはずだが?」

 

 その煙の中から彼奴の声が聞こえてきた。

 

 「邪魔をするな。確かにあいつ等は滅ぼされるにふさわしい存在だが、この世界では拙い。ほかの世界で滅ぼせ」

 

 不気味な仮面に、不気味なコート。そして今はあの腕は出ていない。

 

 「フン、指図される理由はない。それにお前のような危険人物を見逃すつもりもない」

 「そういう訳だ。お前のような異分子は消え去れ」

 

 一瞬でデバイス、エルキドゥを展開させる。黄金の鎧に身を包みエアに似た短槍、エルキドゥを構える。俺の横では世闇が闇にまぎれる黒装束に、一振りのナイフを顔の横で構えている。

 

 「さあ、お前一人で如何にかできるか?」

 「できる? それは意味のない質問だ。私には不可能なことはなく、同時に不可能な事しか存在しない」

 

 此奴、言っている意味が滅茶苦茶だ。理屈の通らない狂人か?

 

 「統也、俺が前衛。お前が後衛だ。行けるか?」

 「誰に言っている。俺に任せて突撃でもしていろ」

 

 本当なら相手の出方を見たかったのだがな。それに俺たちぐらいしか此奴を相手できる人材はいない。将来的に考えれば、なのはたちも勝てるかもしれないがあくまでそれは将来だ。

 

 「さあ、終わりだ」

 「覚悟しろ」

 

 構えた武器に呼応するように、彼奴の腕が肩から生えてくる。それは余りにも不気味な、世界そのものをあざ笑うかのように法則を無視して唐突に現れた。

 

 「またその腕か」

 「芸の無い奴だ。せめてほかの攻撃方法くらい用意したらどうだ?」

 

 俺たちの言葉を無視して彼奴は腕を振るう。些か見慣れた感はあるがそれでも宝具の盾を粉砕したこの腕だ。防御はできないから避けるしかない。

 俺は上空へ。世闇は姿勢を低くして掻い潜り腕の一撃を避ける。

 

 「ゲート・オブ・バビロン!」

 「切り裂かれていろ!」

 

 上空から宝具による絨毯爆撃。更には飛来する宝具を足場にした世闇の不規則な動きからの攻撃。これは避けられない。防御に回るしかないだろう。

 

 「やはり!」

 

 推測通り、彼奴は両腕を自身の前に配置して盾とした。

 

 「行け! 世闇!」

 

 一瞬で世闇は軌道を変えて彼奴の背後に回る。そして、

 

 「がぁ!!?」

 

 一輪の血の花が咲いた。

 切り落としたのは左腕。彼奴自身の本体の腕を斬り落とした。

 

 「やはり本体の方には普通にダメージが通るようだな!」

 

 ボタ、ボタタッと勢いよく流れ落ちる血液の音を聞きながら、俺は更に攻撃を加えていく。

 

 「喰らいやがれ!」

 

 放たれていく宝具はAランクかそれに近い物ばかり。一撃でも喰らってしまえば魔導師も葬る事が可能な威力だ。

 彼奴から外れたものはコンクリートを一撃で粉砕し、土煙をもうもうと巻き上げる。

 

 「……っち」

 

 土煙が晴れたらそこには宝具を弾き返しているあの腕が見えた。

 

 「硬いな。Aランク宝具でも無理か」

 

 そこで彼奴の腕は変化した。

 

 「逃げるか!」

 

 腕が変形して翼に変わる。その翼で飛行して逃げるつもりだろう。

 

 「世闇!」

 「分かっている!」

 

 俺は飛行魔法、ヴィマーナを使って彼奴を追い詰める。世闇は足場として魔法陣を生成し、追いかけていく。

 ヴィマーナなら確実に追い詰められるだろうが、出すまでに時間が掛かりすぎるし、こんなビル街という場所では巨大すぎて使いずらい。

 

 「喰らえ」

 

 上空の視界が広がった場所で俺たちを迎え撃つように一組の不気味な腕が空を薙ぎ払ってきた。

 

 「当たるか!」

 「無駄だ!」

 

 俺は飛行魔法を制御して攻撃を避けて、世闇は逆に攻撃を利用して腕を足場にして加速して彼奴に飛びかかった。

 

 「極死七夜」

 

 

 

 何だこれは。

 

 「テスタロッサ、これは何だ?」

 「えっ?」

 

 余りにも腑抜けている。以前よりは魔法の威力も高いだろう。テスタロッサの速度も速くなっている。だが、状況判断は依然戦ったときよりも悪くなっており、一撃一撃が余りにも軽い。

 

 「私の見る目は無かったという事か」

 「何を?」

 「答える必要はない。私が勝手にお前に期待しただけで、ただその期待が期待外れだっただけだ」

 

 正直言って失望している。だが、それは仕方がない。

 依然戦ったときのような澄んだ太刀筋とは違って焦りとイラつきで太刀筋は鈍り切っている。これならすぐに決着はつく。

 

 「終わりに――『ヴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ』――っ! 何だ、一体!?」

 

 その音のした方を向けば化け物がいた。

 

 

 

 

 「ひっ!」

 

 私と、ヴィータちゃん。二人で戦っていた時に目の前に胸からナイフを生やしている彼が飛んできた。

 ポタ、ポタとナイフの隙間から血が滴り落ちている。

 

 「此処で終われ!!!!」

 

 そして、その上空から七式君が彼に飛びかかっていた。

 

 「彼奴、止めを刺す気か!」

 「えっ! ダメ! 七式君!」

 

 そして七式君がのばした腕が彼の頭に触れる前に彼に変化が訪れた。

 黒い腕が彼自身を貫いて見る見るうちに小さくなっていく。黒い何かが葉脈上に広がっていく。

 そして腕が見えなくなったときに七式君の手が彼の頭にかかった。

 

 「これで!」

 

 そして全体重をかけられて彼の首は折れなかった(・・・・・・)

 

 「なっ!」

 「莫迦な!」

 

 七式君と近くにいた御崎君の声が聞こえる。けれど私にはその声が聞こえていても理解できなかった。

 何故なら、私は見てしまったからだ。

 私は彼が俯いていた顔を正面に向けた時に黒い肌で覆われた顔に赤く輝く瞳を。そして、歪に裂けた口。余りにもその不気味な顔を見てしまったからだ。

 一瞬で顔だけではなく体中にその異常は広がっていく。肌は黒くなって更に二つの玉虫色の腕が両肩から肉を引きちぎり飛び出した。

 

 「ひぃ!」

 「な、何だ! 何なんだよ、彼奴は!」

 

 ヴィータちゃんの悲鳴じみた声に答えるように目の前の何かが咆哮を上げた。

 

 『ヴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ』

 

 「きゃああああ!!」

 「うわぁぁぁああ!!」

 

 私とヴィータちゃん。それに御崎君は咆哮で吹き飛ばされた。唯の音だけで。

 

 「がぁ、は、なせ!」

 

 違う。今重要なのはそんな事じゃない。

 私とヴィータちゃん。それに御崎君が吹き飛んだのに一番近くにいたはずの(・・・・・・・・・)七式君が吹き飛んでいない(・・・・・・・・・・・・)

 それは捕まれているから。玉虫色の腕に頭を掴まれて吹き飛ぶことが許されなかったから。

 

 「まさか、貴様!」

 「や、やめ――」

 

 グシャリ

 中身の詰まった西瓜が潰れたような音が辺りに響いた。

 顔が縦に裂けて真っ赤な中身が広がって七式君の頭を飲み込んで……!

 

 「あ、ああ、あああああ! いやああああああ!!!」

 「……化け物め!」

 「くそ、良くも世闇を!」

 

 ぴゅうぴゅうと噴水のように、七式君の頭があった場所から血液が吹き出ている。

 

 「おぇ! ゲホ! ゴホ! ヴォエ!」

 

 何で、何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で!!!!!?????

 何でななしきくんがしんでいるの? なんで。

 

 「貴様!!!!」

 

 

 

 何だ、アレは。

 

 「彼奴!!!」

 

 テスタロッサは憤怒の表情を浮かべ、あの化け物を睨みつけていた。今すぐにも彼奴を殺したい。そういう瞳で。

 だが、黄金色の鎧を着こんだ奴の攻撃に対する反応を見て、動けなくなってしまったのだろう。なぜなら、

 

 「ビル一つを粉砕するとは(・・・・・・・・・・・)

 

 彼奴は黒い腕で切りかかってきた奴を迎撃した。外れてしまったがその一撃は抑止としては十分だろう。

 唯の一撃。しかも腕という自身の肉体でビル一つを粉砕するなんて真似は決してできない。私も、そしてヴォルケンリッターで一番の破壊力を誇るヴィータでも。

 そんな一撃を喰らってしまえばどれだけ強固な守りも意味はなさない。

 あれと戦うしかないか。獲物を探すように辺りを見回している彼奴に警戒している時にシャマルからの脱出を促す念話が届いた。

 

 「テスタロッサ、ここで終わりだ。次にあった時はお前が敗北する時だ。それが嫌なら私たちに関わるな。ほかの何かに気を取られて私に勝てると思うな」

 「っ! 待て!」

 

 放心しているヴィータを念話で呼び、脱出するための準備をする。

 

 「管理局だけではなく、あの化け物も相手にする必要があるかもしれない」

 

 闇の書の一撃ですべて吹き飛んでいく中、私たちはそれぞれ決めておいたルートで逃走した。

 あの化け物に勝てるのか? 不安が私を襲う。だが、負けるわけにはいかない。主、はやての為にも負けるわけにはいかないのだ。

 

 

 

 san値チェック

 

 高町なのは 1D10/3D10

 

 チェック 94% 48 成功

 

 san値減少 94-9=85 一時的狂気(緊張症 体が強張り動きづらくなる)

 

 状態   邪神の変貌




因みに化け物はとあるニコニコした動画で有名なクトゥルフ神話trpgにて変身した怪物を参考にしました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。