作者が気に入っているtrpgの作品がニコニコで更新されていたのでそのテンションで書ききってしまいました。因みに、この作品の参考にしているものの一つでもあります。皆様もぜひ一度見てください。これぞ、恐怖! そう思わずにはいられない作品です。o-kuma様の『二人でクトゥルフ!』とその続編の『わたしのクトゥルフ!』という作品です。丁寧な作りでtrpg初心者でも分かり易く、シナリオも秀逸です。
何が、起きているの?
「ふ、封鎖結界!!」
御崎君が魔法を使って何かしている。多分、この教室を隔離しようとしているのだろう。この
「あは、あはは、あははははははははは!
見て、見ていた? 母さん! やったよ! 私はやったよ! 母さんの仇を討ったよ!」
床に転がっているのは九頭竜君。体をばっさりと斬りつけられて、今もなお血をどくどくと流している。溢れだした血が私の足に……!
「いやあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!
何で! 何で!? 嫌だよ、死なないで九頭竜君!!」
血を流して倒れている九頭竜君にしがみつく。
「レイジングハート! お願い、九頭竜君を助けて!」
「……マスター、此処では不可能です。私も、マスターの資質も治癒魔法は使えません。急いでアースラへ転移させないと処置も間に合わないでしょう」
なら、なら急いで転移魔法を!
「畜生! なのは! ソイツをアースラに連れて行って治療しろ! 俺はこの光景を見た他の生徒への記憶の処理と、フェイトの捕縛をする!」
頷く暇も惜しい! すぐにレイジングハートの登録されている座標を使い、転移魔法でアースラへ直接転移する。
「しっかりして! すぐ、すぐ治療してもらうから!」
私は必死に、血だらけになりながら九頭竜君を運んでいく。
「なのは! これは一体!?」
「あっ、お願い! 助けて、クロノ君!」
アースラの廊下を偶々歩いていたクロノ君に手伝ってもらって、九頭竜君は集中治療室へ運ばれていった。
「これで何とかもつだろう。なのは、少し休んでいて欲しい」
「嫌、此処に居る」
「……普段ならまだしもそんな顔色の君を此処に居させるわけにもいかない。休んでいるんだ」
そう言ってクロノ君は私を仮眠室へ連れて行く。
「嫌、嫌! 放して、クロノ君! 私は!」
「落ち着くんだ、なのは! 僕が見ておく。何かあったら君に知らせるから今は少しでも休んでおけ!」
強く言われた言葉に納得してはいないけど、それでも従った。今の私には何もできないのだから。
ふと気が付いたら、もうかなり長い時間が経過していた。
「あれ? 何で私アースラに?」
「おはようございます、マスター」
レイジングハートの言葉を聞いたら、ぼんやりとしていた頭が動き出した。
「あっ! レイジングハート! 九頭竜君は! 九頭竜君は如何なったの!!?」
「落ち着いてください、マスター。彼は無事です。一命は取り留めました。そして彼についてはリンディ艦長から話があります」
リンディさんから?
「それは?」
「いつもの会議室です」
「分かった。ありがと、レイジングハート」
私はこの時知らなかった。私が知っていた世界は本当は何も知らなかったことを。
「来たようね、なのはさん」
「あ、リンディさん。あの、彼は、九頭竜君は?」
「それは今から話します。皆揃ったわね?」
今、この場にいるのは私にリンディさん。それにエイミィさん、クロノ君、ユーノ君、それに御崎君だけ。
「最初になのはさんに伝えておくわ。彼、九頭竜君は一命は取り留めたわ」
その言葉に私は安心して床に座り込んでしまう。
「良かった、良かった!」
安堵の余り涙が出てくる。
「けど、事態はそんな単純な話しではなくなったわ」
え?
「今、アースラ内では二つのグループに分かれている。それは彼を殺すか、それとも生かすか」
「な、何で! 何で九頭竜君が! 何も悪い事を!」
「少なくとも、はっきりしている罪状は公務執行妨害、そしてプレシア・テスタロッサの殺害だ」
「なのは、落ち着いて聞け。彼奴は、俺たちを襲っていた仮面の少年だ」
そんあ、ウソ。ウソだよ。だって、彼は何時も教室の隅でおとなしく本を読んでいたような人だもん。そんなことできるような人じゃない。
「
私は何も考えたくなくなった。
……。フゥ、少しお話する必要性がありそうね。
「クロノ執務官。あなたはこのまま会議を。私はなのはさんに事情説明を行います」
「……分かりました、艦長」
私はなのはさんを連れて休憩室へ向かう。
「なのはさん、貴方は何が飲みたい?」
「……」
「そう、飲みたくないのね。
なのはさんにとって信じたくはないのでしょうけど、彼は少なくとも人類じゃないわ。体の中央を大きく斜めに走る傷。成人男性でも間違いなく死ぬでしょうね。なのにそれでも彼は生きている。それだけじゃないわ。
私が報告された限りだと、彼の皮膚はゴムのような感触でありながら、革のように強靭だったわ。それだけじゃない。脳は合計二十個。大きさはバラバラで幾つもの場所に分かれていた。内臓機能はさらに異常。心臓は四つ。一つ一つの筋肉はまるで鯨の心筋と間違えるほど太く、強いのに動いていない。最初から心臓が動いていないのに生き続けていたわ」
「……」
反応はないわね。
「ねぇ、なのはさん。これはあくまで私たちが知っている彼よ。このままなら私たちは彼を処分しなければならなくなるわ。こんな異常な生物は生かしておけないから」
「!」
「それが嫌なら貴方が知っている彼を教えてくれないかしら?」
「……」
……ダメかしら。そう思った時だった。なのはさんはポツリと呟いた。
「……れは、彼は、何時も優しく私たちを見ていました」
「え?」
「私には信じられないんです。彼が人を襲うなんて。だって、何時も九頭竜君は私たちを温かく見守っていてくれた! クラスで困っている人がいると真っ先に気が付いて、『大丈夫?』って聞いてくれた! 私が足をくじいた時も何も言わずに、背負って家まで運んでくれた! そんな彼が、彼が、人を殺したなんて信じられないんです」
「そう、そうなのね、なのはさん。
……少し今の状況を話しましょう。あの子は治療室にて怪我の様子を見ながら幽閉しているわ。下手なことをすればすぐに処理できるようにしておいて」
「……!」
「けど、彼が下手なことをしなければそのまま。上手くすれば彼は助かるかもしれない。
とはいえ、それでも罪は償ってもらわなければならないわ。あの子の体にはエイミィが言っていた、五芒星があった。それはフェイトの斬撃で半分に割れて、周りの肉に焦げ付いて剥がれなくなってしまったけど。その証拠から考えるに、かれは犯罪者であることは間違いないわ」
「……はい」
「そして、次にフェイトよ」
「! フェイトちゃん、そう言えばフェイトちゃんは!」
「拘束して拘置所よ。彼女は仇とはいえ、決してしてはならない手に出てしまったわ。私たちはフェイトも捕まえる必要があったの」
けれど、恐らく今度はもう二度と私たちの元には戻れないだろう。執行猶予期間中の殺人未遂。それに、なによりも彼女の裁判は行われない。彼女はこのまま精神病院行きだろう。彼女は壊れてしまっている。
「フェイトの捕縛と同時に、御崎君の先祖代々所有する道具で、学校関係者への記憶処理は行われたわ。凄惨な状態はごまかして、すぐに処置をしたわ」
これで少なくとも、あの光景を見てトラウマとなった子などは出てこないだろう。
「これから私達、管理局は彼の家へ突入するわ。そこで出てきた証拠で彼の今後が決まるわ」
うなだれたなのはさんを見ながら、私は牢の中にいる私の娘を想う。何故、気づいてやれなかったのだろう? あの子があれだけの感情を隠していたとわ。犯行を行うまで、アルフから情報は伝えられなくして。さらにはバルディッシュに機能制限をかけて、ただ所有者の言う事しか実行しない唯の機械にまで変えて実行してしまった。
私はいつから間違ってしまったのだろう?
san値チェック
高町なのは 1D10/1D20
チェック 84 99 失敗
san値減少 84-12=72 一時的狂気(フェティッシュ 周りの人物に対する執着)
状態 露見した邪神がもたらしてきた傷跡
うん。もう言い残すことはない。作者がやりたい事はほとんどやった! あとはA`s完結まで突っ走るだけです。
因みに、邪神が怪我をするわけが! そう思われる方の為に、過去に主人公の体自体には普通に攻撃が喰らうという点、そして完全にエルダーサインが壊れていない点。さらに、フェイトの斬撃が殺傷設定で放たれていたため、ダメージを喰らって行動不可能状態になりました。trpgでならばconが1です。