san値直葬? 何それ美味しいの?   作:koth3

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今回会話が多いです。
それと、前回の話で一つ謝罪があります。隊員Aは失語症になったと書きましたが正しくは失声症でした。申し訳ありません。この話を投稿した際に、直しておきます。


第21話

 上空から迫るハンマーを、角度をつけたプロテクションでそらす。さらにそのハンマーの陰から迫った鞭のような形状の剣を、今度はデバインシューターで弾き返す。

 

 「今度はこっちの番!」

 

 体の流れているヴィータちゃんに、バインドを仕掛ける。それ自体は察知したシグナムさんにすぐに切られてしまったけど、これでシグナムさんに隙が出来た。

 

 『ディバインバスター』

 

 ガシャと言う音ともにカートリッジが排出される。カートリッジの中の魔力が、ディバインバスターをさらに強化してくれる。

 

 「撃ちぬいて!」

 

 そして目の前が私の魔力光であるピンク色一色に染まり切った瞬間、それは起きた。

 

 「えっ!?」

 「なっ!」

 「何だと!」

 

 私の体はバインドで縛られていた(・・・・・・・・・・・・・・・)

 

 「ぐう!」

 「ぅ!」

 「あっ!」

 

 そして、私と同じように縛られている三人。何で? これは彼女たちのバインドじゃないの?

 

 「長い間はもたないか。早いところ済ませるぞ」

 

 声が響く。この声は。

 

 「あの時の!」

 

 私がバインドで縛られる中、振り向くと二人の仮面をかぶった男の人がいた(・・・・・・・・・・・・・・・・)

 そして一人が手をかざした瞬間、その手の前には闇の書が開いていた。

 

 「何時の間に!」

 

 シャマルさんの叫びを無視するかのように、闇の書は黒く、紫色に輝く。

 

 「最後のページは闇の書の守護者がなる。それは――」

 「なら、ページを増やす前にその正体をさらしな。世界を喰らう狼を縛りし魔法の縄(グレイプニル)!」

 「「なっ!」」

 

 一瞬で一本の縄が二人を絡み取り、縛り付ける。

 

 「これは、御崎君!?」

 「悪いな、なのは。彼奴を監視していたんだが、彼奴の家を捜査していた隊員一名と連絡が取れなくなってな。それでなのはと連絡しようとしたんだが、念話の妨害をされているのが分かってこうして俺が来たわけだ」

 「貴様! 邪魔をするつもりか!」

 「ああ、そうだ。安心しろ。壊れたものを修復する道具はもっている。例えそれがどれだけ凶悪なものだとしてもな。だからお前たちは邪魔だ。だからその正体をさらして、クロノに絞られていろ」

 

 その言葉とともに、彼らに変化が訪れる。

 

 「「っ! この感覚は!」」

 

 彼らの体を光が覆い、体が変化していく。そして、その変化が終わるとそこにいたのは。

 

 「ロッテさん、アリアさん!!」

 「っく!」

 「っ!」

 

 顔をそらして俯く二人。

 

 「ロッテ、アリア。君たちを逮捕する」

 「クロノ!」

 

 そしてそんな二人を辛そうにしながらも、睨みつけているのは転移してきたクロノ君だ。

 

 「御崎、君が言っていた道具については目を瞑る。今までしてきたように。だから、闇の書は、闇の書の悲劇は終わらせてくれ」

 「安心しろ。俺が終わらせる」

 

 クロノ君は二人をバインドで縛ってからどこかへ転移してしまった。

 

 「さて、さっさと闇の書を治す。そうすればもう七式のような犠牲者はでやしない」

 「御崎君……」

 

 そうか。御崎君は七式君の事を。

 

 「おい、ヴォルケンリッター」 

 「……何だ」

 

 シグナムさんが御崎君を睨みつける。

 

 「ふぅ、さっき俺の言っていた言葉は聞こえなかったのか? お前たちは救ってやる。そして、お前たちの主も救ってやる」

 「なっ!」

 「その代わり」

 「何でも良い! 私たちに出来る事なら何でもやる! だから、だからはやてを救ってくれ!」

 

 今まで黙っていたヴィータちゃんが叫びだす。ヴィータちゃんにとって、それは最後のチャンスなのだろう。だから必死になって、叫んでいる。

 

 「お前たちは罪を償え。お前たちが襲った相手全てに頭を下げて許しを乞い、残りの生涯を償って過ごせ。それが俺の出す条件だ」

 「する! するから! だからはやてを助けてくれよ!」

 

 必死の叫び。そしてその叫びに答えるかのように、御崎君の背後から一つの真っ赤な石が出てくる。

 

 「これは『賢者の石』だ。ただの水を不老不死の妙薬である命の水へ変える事も、非金属を貴金属へ変える事もできる錬金術の秘法の一つだ。これを使えば闇の書の歪みだって直せるだろう。これは現存する物質全てに対する強制的な支配権を持つ概念道具だ」

 

 賢者の石って私でも聞いた事が有る。でもそれっておとぎ話の中の物じゃなかったの?

 

 「それを使えば主は」

 「助かる」

 「分かった、私たちはお前の要求をのもう。だから主を救ってくれ」

 

 その言葉を聞くと御崎君は石を本に近づけていく。

 

 「これで、これではやては救われるんだな」

 「ああ。だからお前はそこで見てろ」

 

 そうして、石が本に当たる瞬間、

 

 「っな!」

 

 バチリという放電音とともに、石が砕け散ってしまた。

 

 「御崎君!!?」

 「一体、何が!?」

 「莫迦な! 闇の書が完成しただと(・・・・・・・・・・)!」

 

 空中で放電していた闇の書は、すぐさまこの場から消える。一体何処に?

 

 「うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

 

 その答えはすぐにわかった。眼下からはやてちゃんの悲鳴が聞こえたからだ。

 

 「はやて! お前何をしたんだよ!」

 「何もしていない!」

 「嘘をつけ! じゃあ、何ではやてが悲鳴を上げているんだよ!」

 

 ヴィータちゃんがバインドを力づくで引き裂いて御崎君に掴みかかる。

 

 「分からない! だが、賢者の石が力を発揮する前に闇の書が反応したんだ!」

 「そんな訳が無い! まだ六十ページ以上未完成だったんだぞ!」

 「だとしても、それが事実だ! 闇の書は急に完成した! そしてその結果、はやてに何かが起きた!」

 「そうだ、はやて! はやてを!」

 

 そこまでヴィータちゃんが言ったとき、私たちを一つの影が覆った。

 

 「その心配はない。守護者たち」

 「え?」

 

 私たちの上には一人の女性が飛んでいた。黒い翼を広げて、赤い目をした銀髪の背の高い女性が。

 

 「ば……か、な」

 「すまない、お前たち。私は今からこの文明を滅ぼしてしまう。頼む、逃げてくれ。それか私を、私と主を殺してくれ」

 

 何が起きているの? 何で貴方はそんなに悲しそうなの?

 

 「てめえ、誰だ! それに私たちにはやてを殺せだと! ふざけているのか!!」

 「私には名前はない。だが、闇の書の根幹であり、防衛プログラムに汚染された管理プログラムだ。そしてふざけていない。このままでは主の望まない虐殺が起きてしまう」

 「管理プログラムだと? それに虐殺?」

 「そうだ。闇の書が夜天の書だったころから存在したプログラムの一つであり、主のサポートをしていた最も古い騎士だ」

 

 彼女は悲しそうにつぶやく。

 

 「だが今は変わってしまった。あの科学者の所為で(・・・・・・・・・)

 彼奴にそそのかされて、夜天の書を闇の書へ変えてしまった過去の主の所為で!

 私は一度起動してしまえば文明を破壊し尽くすまで止まることはできない。だがそれは本来闇の書が完成してからの話。今回は違う。今回は彼奴の意志が加わっている。過去の主をそそのかして、私を闇の書へと改悪させた彼奴の力が。私にはその力に抗うだけの力はない。そしてその力はどんな生物も持っていない。だから、頼む。私を、主を救ってくれ」

 

 そう彼女はつぶやき、赤い目から一粒の涙を流して、変わっていく。

 最初の変化は瞳だった。紅かった目は黒く濁る。翼はさらに巨大化していき、彼女よりもはるかに大きくなっていく。

 

 「頼む、主を救ってくれ」

 

 それが彼女が残した言葉だった。

 

 「aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 




san値チェックはなしです。
原作とかなり変わってきました。ヴォルケンリッターが無事だったり。でも統合性を考えるとこうするしかないんですよね。そして意外なナイスプレーとして、隊員A。彼が連絡を取れなくなったと発覚しなかった場合、なのはフルボッコでした。
因みに作中で世界ではなく文明と表記した点に関してですが、そもそも魔力や科学で動く技術程度で世界が如何にかできないと思うのですよ。だって、魔力も科学も世界の一部なんですから。世界の一部の一部が暴走したからと言って、世界は崩壊する訳が無い。それが作者の考えです。これって原作の設定無視していますが。

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