後、少しこじつけた部分などがありますが、作者の力量不足です。生暖かく見守ってください。
……此処は何処や? 何でこんなに暗くて、寂しいんや?
――それは此処が闇の書の中だからです。此処は歪められてしまった世界。この世に存在してはいけないものによって作り変えられた世界。
誰なん? そこにいるのは。
――私は管制プログラムです。闇の書が存在する前から、騎士たちが生み出される前から存在する原初の騎士でもあります。
主、お願いです。眠っていてください。主には今の私は見てほしくはないのです。力に負けて、歪められて、元の形を忘れ去ってしまった私を。
そんなの寂しいちゃうん? 私は貴方を見てみたいんよ。
――それでもです。今の私は醜い。本来の役割であった、技術の、情報の収集もできず、唯破壊するだけになってしまった私を主のような心優しい人に見てほしくはないのです。
なぁ、何で貴方はそんなに変わってしまったんや? あの子たちが言っていた闇の書は究極の力をもたらすって言うてたんやけど、貴方の話を聞く限りとてもじゃないけど信じられへん。
――彼らは私が闇の書になってから付け足された騎士なのです。本来の役割は知りません。私は本来、失われていく情報や技術を集めて後世に伝える為のデバイスとして作成されました。しかし、ある時に、私はとある科学者の手によって今の状態へ変えられました。その際に闇の書に守護騎士たちはインストールされました。
ですが彼らは私の仲間であるのも事実です。そしてだからこそ私は彼らに顔向けできないのです。
それは、如何して?
――私が逃げ出してしまったからです。あの恐ろしい存在から。全ての元凶であり、今もどこかに存在する怪物。どれほどの戦力が敵対しても笑いながら殲滅できるかの存在。燃えるような怒りを内に籠め、聞くだけですべてを狂わす笑い声を上げ続ける怪物。私は怖かった。恐怖で心を塗りつぶされて、逃げ出してしまったのです。
……だったら、だったら今こそ戦わなあかん! その時あなたが負けたのは一人だったからや。けど、今は違う。シグナム達に、そして貴方の主である私がいるん。絶対に負けたりはしない!
――主。私は
なぁ、貴方に名前をあげる。そんな弱く、うじうじした自分を捨てて、私たちと一緒に戦お?
――主、貴方は分かっていない。あの存在は戦う、戦わないではない。あの存在の知識だけで夜天の書は狂わされ、破壊に突き動かされているのです。勝てるはずがない。
それでもや。それに最初から負ける気でいたら負けるんよ。私は負けん。例え相手が怪物だろうと、神様やろうと。あの時、ヴィータが約束してくれた。私を守るためなら邪神にだって勝ってやるって。なら、私も一緒に戦えばどんな存在にだって負けやしない。
――主。
分かりました。管制プログラムは今こそ貴方を真の主と認めましょう。
名前をあげる。もう、呪われたり、狂わされたりしないよう名前を。祝福された風、リインフォース。それが新しいあなたの名前。
――分かりました。名称、リインフォースを受諾しました。
視界が開ける。黒かった世界は変わらないけれど、寂しさは無くなった。
私の目の前には一人の女性がいる。背が高く、モデルのようなきれいな女性。そして、私の新しい家族が。
「戦おう、リイン」
「分かりました、主」
リインが私の中に入ってくる。私の中を暖かく、優しく渦巻いていく。
『主、今外の状況を確認しました。外では闇の書の起動を停止しようと、大出力の魔法攻撃を行うつもりです』
「そうなん。じゃあその時に合わせて私もここから攻撃して脱出する」
『待ってください。それだけではだめです。出たとしてもすぐに防衛プログラムの侵食を受けてしまいます』
「じゃあ、如何すれば良いん?」
『防衛プログラムを切り離します。……防衛プログラムの乖離を確認しました。私たちがこの空間にいる限りは平気ですが、此処から出ればすぐに暴走を開始します』
「分かった」
一つ頷いてから、私はデバイスの一つである、シュベルトクロイツを頭上に掲げる。
「さあ、一緒に戦おう。リイン」
『ハイ』
世界が大きく揺れる。それに合わせて私たちは魔法を発動する。
「『……ラグナロクブレイカー!』」
パキパキと崩れる世界から私たちは飛び出して外の世界に飛び立つ。
「はやて!」
「うわっと!」
すぐにヴィータが抱き着いてきた。
「もう大丈夫。私は此処に居るから」
「はやて、はやて~!」
泣きじゃくるヴィータをあやしていると、私の周りにシグナム達が集まって臣下の礼を取る。
「主」
「シグナム、ただいま」
「……おかえりなさいませ」
にっこりと笑って、私はシグナムの頭も抱える。それは他のみんなも同じ。
「はやてちゃん」
「主」
「ただいまな。そして、さっそくなんやけど、一つお願いや。私と一緒に、アレと戦ってくれん?」
そう言って私がさす方角には再生を始めている防衛プログラム。
「分かりました。我らは主の剣にして、盾。何時いかなる時も貴方の為に」
「でも、あれは一体どうしたら?」
「それなら一つ方法がある。湖の騎士である貴方の協力が有れば可能だ」
私たちに鋭いとげを肩に着けた男の子が近づいてきて、そうシャマルに言った。
「え? 私ですか?」
「そうだ。防衛プログラムが再生しきる前、つまり今の状態なら転移魔法を使えるだろう。そして防衛プログラムのコアを、宇宙空間でアルカンシェルを使って破壊する」
「確かにそれなら可能。分かりました」
翠色の光とともに不可思議な空間が広がる。そして、
「防衛プログラム確保。転移、開始!」
「補足完了! アルカンシェルを!」
今まで多くの被害者を作った災厄のロストロギア。それも今日で終わり。クライド、貴方のような犠牲者はこれでもう出ない。
「アルカンシェル、バレル展開!」
「バレル展開!」
アルカンシェルのロックは既についている。チャージももう終わる。
「チャージ完了! いつでも発射できます!」
「……アルカンシェル、発射!」
差し込んだキーを回す。巨大な、人には到底不可能なほどの魔力でアルカンシェルが発動される。そしてアルカンシェルは間違いなく闇の書の防衛プログラムのコアを破壊した。これで終わり。私の役割は。
机に突っ伏して、私はフェイトの事を思い出してく。ああ、彼女は本来ならああして喜びを分かち合えたかもしれないというのに。
ようやく終わったか。
変わり切った物語。けれど、最後だけは変わらなかった。八神はやては救われた。それだけは変えさせなかった。それで良いのだろう。
はやての方を見ると、今頃なのはに気が付いたのか、驚いている。
「ハハハ!
あーあ、疲れたな。……なぁ、七式。見ているか? 何とか終わらせたよ」
これで終わり。八神はやては救われて、家族と一緒に何時までも、何時までも幸せに暮らしました。それで良い。それ以外有っちゃいけない。
「やった! やった! 防衛プログラムの破壊確認できました」
私を含め、アースラ内にいるクルーは全員立ち上がり、狂喜乱舞している。
そんな時だった。アースラに通信が入ったのは。
「誰? こんな時に?」
確認してみると、容疑者の家宅捜査をして、連絡が通じなくなってしまった彼だった。
「うそ! 聞こえる? こちらエイミィ。応答して!」
『……あ……』
「何、聞こえない!?」
『や……書……こわ……ない……そし……ら』
「もう一度、もう一度言って! 何を言っているのか確認できない!」
様子が可笑しい。余りにも不明瞭な言葉の数々。何を言っているのか分からない。そして次の言葉で通信は遮断された。
『世界は滅びる』
え?
san値チェック
隊員A 1/1D10
チェック 1 100 失敗
san値減少 1-10=0
状態 ……
予想されていたどんでん返し。