ああ、世界が悲鳴を上げている。
空は暗雲に覆われて、雷が降り注ぐ。世界中の人間は今頃倒れているだろう。クトゥルフのテレパシーに、邪神が一柱この地球にいる。それだけでまともな人間は耐えられない。
耐えられるとしたら、それは狂信者か、或いは奉仕種族ぐらいだろう。
「さあ、来るぞ。ようやくこの時が来た。あの愚かな神に、使われるという侮辱を晴らす時が!」
この星に、一点のつぶが生まれる。それは星から見ても小さい粒だった。しかし、それは一瞬で星を飲み込み、太陽系を飲み込んだ。
その過程に、触れた存在は跡形もなく砕け散って。肉体を、魂を、心を、砕いて。
「くははははははははははははははははは!!!!!!!!!!」
かの混沌は、笛を持っている。それは余りにも奇怪な笛だ。有り得ない角度で曲がり、冒涜的なまでに空間を破壊し続けている。その周りには時間が存在せず、その周りには空間が存在せず、時空間を破壊している。
「―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――」
それは音だったのだろうか? 何かが空間に響く。余りにも異常な何かだった。闇を照らす光でありながら、光を塗りつぶす闇。全てを漆黒に染め上げて、全てを救うように光り輝く。
世界が崩壊していく。それと同時に、この体も崩壊していく。恐らくは、俺は存在し続けるだろう。世界もない、何もない『 』の中で。魂も失って、邪神として只々そこに。
ああ、でもそれも悪くはないかもしれない。もう人類は壊滅してしまった。なら、もう守る必要はない。俺が好きなようにしよう。新しく世界を作るのも良い。いや、一つ遊びを行おう。
世界を作り出して、私はしばらく眠りにつくとしよう。あの時まで、あの世界が出来上がるまで。二つの世界は必ず創りだされる。それが理。例え、ニャルラトトテプに破壊されたとしてもまた作り出せば良いのだから。
どこかへ消えたニャルラトトテプをよそに、私は一つの世界を作り上げる。混沌を作り、闇を作り、霧を生み出していく。
あとはその時が来るまでだ。私は眠り、この最悪な歴史を隠すとしよう。さあ、がんばれよ? 未来の私よ。
ああ、もしかしたら最後の抵抗が上手く世界を救ってくれるかもしれない。ならば、その召喚を待つか。私が託した力。有効的に使ってくれよ? 邪神に負けぬ心を持った少女、高町なのは。
今回は幕間のようなものです。