Fleet Combat -Dawn of the horizontal line-   作:大川静真

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みなさんおはようございます。こんにちは。こんばんは。大川静真です。
今回はリアルが忙しかった&案があまり思い浮かばなかった為かいつもよりも難産でした。

まあ一番悩んだのが話の英語部分なんですがね……
書き始めた当初はとあるゲームの曲から取って「KIMERA II」でしたが余剰折檻あって今の形に納まりました。

このタイトルだけで何から取ったのか分かった人は恐らくシューターです。

どうでもいい話はここまでにしてそれではどうぞ。


#11 嵐の中の事実-Arms with a heart-

―――Side 山城―――

 

 

 

(あれは?圭と……あの工廠の責任者的な妖精よね。何処へ行く気かしら?)

 

 この基地に与えられた自分の部屋に戻る途中でふと視界に入った圭を見て山城は疑問に思った。

 何故か異世界の空母の艤装を装備することのできる永瀬圭という男が、彼が主任と呼んでいた妖精の後ろを付いて行き、工廠施設の隣の建物に入っていく光景が見えたのだ。

 この基地の地理はまだ完全に頭に入りきっていないが、工廠の隣の建物に関しては覚えている。あそこは艦娘用の兵器を研究する施設らしいが、諸般の事情もあってか立ち入り禁止となっている場所だ。

 

 この基地に来た翌日に施設の案内ついでに妖精達から伝えられた場所。その場所に圭が妖精と一緒に向かっているというのが少し気になった。

 

(あそこに何かあるのかしら……まさかっ!?)

 

 山城の中である可能性が浮かび上がる。それは即ち……

 

(あそこにあるのは艦娘達を凌辱したりあーんな事やこーんな事をする為の大人の道具とか機材とかその他諸々があったりするのでは……)

 

 とんでもない方向に妄想が入るが、すぐに山城は自ら「無いわね」とかぶりを振る。出会ってから今までの圭しか見てない彼女だが永瀬圭という男は何というか、そんな事を行うような男ではないと漠然とした感覚があったのだ。

 実際にいかがわしい行為をしているというのであれば、あそこまで声を荒げて否定しないだろうしと心の中で付け足す。

 

 他の男性と比べて老成しているというか口調が硬いというか、そんな感じの男。しかし常に学ぶことを忘れず、他者を想い褒めるべきところはきちんと褒める。だが制裁は女相手でも容赦無し。

 それが山城の現時点での永瀬圭の評価であった。

 とはいえこの山城自身、艦娘として生を受けてから見た男は以前の鎮守府にいた自分達を道具としか思ってない糞提督と他の兵士たち十数名、そして当の永瀬圭だけなのだが。

 

 そんな永瀬圭が妖精に連れられているというのが、少し気になった。そして、ちらりと見えた表情もまたどこか神妙な面持ちをしていたような気もしたのだ。

 

(或いは……あそこに「私達にも秘密にせざるを得ない何か」があるのかしらね……)

 

 いつの間にか山城は圭の後を追っていた。

 

 

 

 そんな夏の晴れの日。だが空には入道雲が近づいて来ており、じきに雨が降りそうな天気であった。そして、一つの波乱もまた……ゆっくりと……

 

 

 

―――Side out―――

 

 

 

―――Side 圭―――

 

 

 

「……すまん主任。もう一度言ってくれないか?」

『……分かりました』

 

 工廠施設の隣に建っている小さな研究施設。元々は艦娘達の艤装を研究して新しい艦娘用の兵器を開発するための場所だったらしい。データ化に成功し、量産体制が整った後に工廠にある開発用の機械に開発データを送り量産化にこぎつけるとは主任の談だ。

 その研究施設の奥にある一室。そこには今、以前俺が撃破したイ級特異個体の遺骸が研究用として安置されている。

 

 その場所で……主任が告げたことがあまりにも非現実的すぎて……俺はいつの間にか聞き返していた。

 だが主任は至って真面目に、もう一度説明を始めた。

 

 そう、特異個体の体質の説明を……

 

『まず外皮部分ですが、これは基本的な深海棲艦達と殆ど変化はありませんでした。武装に関しても情報にある駆逐イ級フラッグシップと大差はありません。ええ、「体が一回り以上大きい以外は」普通の駆逐イ級と言っても過言ではないでしょう』

「……」

『問題なのは内部です。時雨さんや白露さんが再生液剤に漬けられていた部分ですね。もう一度簡単に説明しますが、あの部分は艦娘の艤装に非常に酷似した機能が搭載されており、また艦娘が艤装と接続するためのコネクタに近いケーブルも確認されました。システム面も「艦娘の自我を希薄化させて洗脳に近い状態にする信号を送る」機能が追加されていた以外は艦娘の艤装とほぼ変わらないものでした』

「……」

 

 

 

 ……言葉が、出てこない。その先の結論を理解するのを今なお思考が拒否しているかのようで……

 だけど事実はあまりにも残酷で、変えようがないものだった。

 

 

 

『他にも色々と得られたデータがありますが、このイ級から得られた結論を簡単に伝えましょう。恐らくこの特異個体は捕獲した艦娘を操り、深海棲艦の戦力として活用する新型の深海棲艦と言えます』

「…………冗談じゃ……ないんだよな」

 

 コクリと主任は無言で頷く。

 

「何だよ……何だよそれは……まるで白露達が深海棲艦共に操られていたとでも言えるような状態じゃねぇか」

『そうとしか……言えませんね』

 

 俺も、主任もそれ以上言葉が続かなかった。

 

 しばし辺りを沈黙が支配する……

 

「……2人は……この事を知ってるんだろうか?」

 

 やっとの事で俺の口から出て来たのはそんな問いかけ。しかし主任は首を横に振る。

 

『その辺りは私にもわかりません。白露さんや時雨さんに記憶が戻った云々を再度聞いてみたわけでもありませんし』

「仮に覚えていたりしたら何らかの変化は現れるっていう訳か……」

 

 これは……どうすればいいんだろうか……

 俺はこの事実を2人に伝えるべきなのだろうか。

 

 

 

 いや……

 

 

 

 彼女達は艦娘と呼ばれる存在。かつての軍艦の力と記憶を持つ現状深海棲艦に最大限対応できる唯一の存在。

 言うなれば彼女達は「生きた兵器」そしてある意味では「人と機械の融合」なのだろう。

 兵器とは即ち人が扱う道具なのだ。

 道具なんかに、兵器なんかに遠慮なんてする必要はないだろう。

 

 

 

 だけど……

 

 

 

 俺の頭を白露と時雨の笑顔がよぎる。

 普通の少女と何ら変わらない体をして、普通の子のように時に笑い時に怒り、時に涙を流す存在。

 

 

 

「伝えられる訳……無ぇよな……」

 

 

 

 出来ない。

 

 俺の口からあの子たちに「実は深海棲艦に操られていた」なんて言葉言える訳無い。

 俺からすれば彼女達は何の変哲もない女の子なのだ。例えかつての記憶を持っていたとしても、人として歩んでいける存在なのだ。

 甘い考えかもしれないが、そんな子達に残酷な事実を教えるなんてできない。

 

 

 

 これは……俺が留めて置くべきだ。こんな事実を知るのは俺だけで十分なのだ……彼女達にこんな事実を知らせる訳にはいかない。

 

 

 

「済まないが主任。この件はもう少し……2人には秘密にしたい」

『よろしいのですか?』

「俺には……今の俺にはあの2人にこんな現実を突きつけるだけの決心が無いから……すまん……「これは一体どういう事かしら?」ッ!?」

 

 唐突にかけられた声に俺の息は詰まり、同時に反射的に声のした方向を向くと……

 

 

 

「あっ……」

『いつの間に……』

「ねぇ……これは一体どういう事か説明してくれないかしら?」

 

 そこには、無表情のままこちらを睨んでいる山城が入り口の前に立っていた。

 

 

 

―――Side out―――

 

 

 

―――Side 山城―――

 

 

 

「あ……う……」

『や、山城さん……』

「圭、そこの妖精さん。この巨大な駆逐級は……一体何なのか説明をお願いできないかしら?」

 

 無表情のまま告げる山城だがその目からは一切の欺瞞を許さないと言わんばかりの強い意志があった。

 

『えっとこれはですね深海棲艦の武装の研究を「その場しのぎの嘘はやめてくれるかしら?」うぐ……』

 

 主任が苦し紛れの言い訳をするが山城にあっさりと切り捨てられて言いよどむ。

 

「圭……貴方は?」

「……」

 

 説明を求めているのが圭にも分かるほどに睨んで来た山城に圭は言葉を放つことが出来なくなる。

 

 言えない。言えるわけが無い……つい今秘密にするといった筈なのにいきなり暴露する事は出来ない。

 こんな秘密を抱えるのは自分だけで十分だと……そう思っていた筈なのに……

 

「それとも私は……貴方にとって信用ならないの?「そんな訳あるかっ!」じゃあ、どうして?」

 

 言葉を荒げるがさらに問いかけて来た山城に再び圭は言いよどみ、何も答えられなくなる。

 しばし、誰も言葉を放とうとせず、沈黙が支配する。

 

 

 

「ねぇ。圭」

 

 どれくらい時間が経っただろうか。再び山城が圭に向けて口を開く。

 

「私は貴方をほんの数日程度しか見てはいないけど、その数日程度でも少なくとも貴方は元いた鎮守府の男たちよりは信頼するに値する男だと私は思えるわ」

「……」

「だからこそ、私は聞きたいの。貴方が如何してこのイ級に対して頑なに口を閉ざすのかを。どうしてそうまでして貴方は責任をどんどん自らに課していくのかをね」

 

 誰も、何も答えない。

 

「前にいた鎮守府で酷い扱いを受けた私を貴方は救いの手を差し伸べてくれた。その恩を忘れるつもりはないし、恩を返すためにもさっき貴方が言ってくれたように私は貴方を信じてみたい。だから後ろ暗い事は無しにしたいのよ。貴方だって言えない秘密を延々と抱えていたい訳じゃないでしょ?自身に延々と重荷を増やしていったらいつか必ず破綻するでしょうし、誰かに話すだけで少しは楽になるとも思うわ」

「なぁ山城……どうしてそうまでして俺の事を思っていてくれるんだ?」

「最初に勧誘された時の約束、あれの最後の一つを果たしていないからよ。扶桑姉様に合わせてもらうまで貴方に倒れられちゃ私も困るのよ。それ以外に何があるっていうのよ?」

 

 圭が気になって出て来た問いに山城はそっぽを向きながらも答える。

 そのまま再び沈黙が訪れる。圭も山城も主任も喋ることはせず、しかし山城は2人の答えを待ち、圭と主任は自身の思考の中で選択を迫られていた。

 

 やがて

 

「これから話すことは……白露と時雨の2人には黙っていて欲しい。あの2人には……あの2人が聞くには辛すぎる事かもしれないから」

『いいんですか圭さん?』

「正直今も迷ってはいるけど山城にあそこまで言われたら、俺も腹を括るしかない」

「……何かありそうね」

 

 そして圭は山城に話し出す。このイ級特異個体のあらましを。時雨と白露の2人に何があったのかを……

 

 

 

 彼らの知らぬ間に、空は先ほどの青空とは打って変わって厚い雲が覆い、雨を降らし始めていた。

 

 

 

「以上が……こいつのあらましだ……」

 

 圭の話が終わりはしたものの、山城は完全に言葉を失ったのか驚愕の表情のまま固まっている。

 まあ無理もない。永瀬圭自身も現物を見た時は完全に思考が停止した程である。その内情はいかほどのものか。

 

「……何よ。何なのよそれは。まさかその特異個体とやらは深海棲艦達が艦娘を捕獲してから操っていたとでも言いたいの?」

「その辺りは俺達も分からん。単にこいつらだけが白露達を内包していたかもしれないし、他の奴ら全ても艦娘達を内包して操っているかもしれない」

『お2人には正直に言いいますが、本当の所はサンプルケースが足りなさすぎてこのイ級の個体だけで結論に至ることはできません。あくまでも私達がこの個体だけで得たものをまとめてからの推測というだけで、圭さんの言う通りな可能性だって普通にあり得ますからね』

 

 主任は続けた。そして再び、辺りを沈黙が支配する。

 やがて山城が気になったのか口を開いた。

 

「……2人に言わなかった理由は?」

「……こんな事を言って2人が錯乱するんじゃないかって思ったから。2人を救出して意識が戻ってから聞いた事だと、どうやら完全に艦娘としてかつての記憶は戻ってきてないらしいから……だからあえて言わないことにしたんだ。あいつら自身、そんな事実は知らずに笑顔でいたほうがいいんじゃないかって思ったからだよ……」

「……何と言うか、貴方まるで私達艦娘を何の変哲もない女の子と思っているかのような言い分ね」

「それに何か……問題でもあるのか?」

「私達は深海棲艦と戦うために生まれて来たような者なのよ?かつて軍艦として存在して、その記憶と力を受け継いだ人であって人でないような存在なのよ?そんな生きた兵器のような存在に遠慮なんてする必要性はなi「俺にとってはだな!」っ!?」

 

 いきなり圭が声を荒げた為に山城は自分達に遠慮なんてしないで欲しいと思って告げようとした事を飲み込むこととなった。

 

「俺の我侭かもしれねぇけど、俺にとってはなぁっ!あいつらもお前も!何の変哲もない女の子にしか見えねえんだよっ!何だよお前も時雨も戦う事だけに生まれて来たって言いやがって。それ以外の存在理由はねえのかよ!?ああ確かにこんな世界情勢じゃあ仕方ない事かも知れねぇよな!だからって……ただそれだけを生き甲斐にするなんて、それだけを存在理由にするなんて空しすぎるじゃねぇか!!そんな奴はただただ破壊することだけが生き甲斐の深海棲艦共と大して変わらないとしか思えねぇよ!俺はなぁ!そんな碌な生き甲斐の無い連中と同類のようにしたいとは思えねぇよ!」

 

 

 

 ―――ちっ、艦娘だと?こんな得体のしれない連中を使わざるを得んとは……この国も落ちぶれたものだな―――

 ―――貴様らなどただの兵器でしかない!ただただ私の言う事だけを聞いて戦って死んでいくまでに深海棲艦共を道連れにすればいいんだよ!―――

 ―――こいつらの力でのみ有効打を与えられると聞いたぜ。言うなれば所詮こいつらも深海棲艦と同類だろ?目には目をって訳か。ハンッ、こいつらの生まれた先は共食いの現場って訳だ。こりゃ傑作だね―――

 

 山城の頭の中をかつての鎮守府にいた時に聞いた男たちの言葉がよぎる。決して人として扱われることの無かったあの場所。

 

 ―――最終的な判断はあんたに任せるよ―――

 ―――世の中の全てを信じないって訳じゃないだろうが、せめて一緒の場所で行動する奴の事は信じてみたらどうだ?―――

 

 それから頭をよぎるのはこの基地に来てから圭が自身に伝えた言葉。あそことは違い、自身を「船の生まれ変わりであるバケモノ」としてではなく多少過激ではあれど「1人の人間」として扱ってくるこの場所。

 

 

 

 この男は、違う。あそこにいた者達とは違う。

 今の圭の言葉を聞いて山城はそう結論付けた。それと同時に今まで圭に向けていた「あの鎮守府の人間達と同類では」という疑念を払拭することにした。

 

 なぜなら……そう

 

「貴方、気付いているのかしら?」

「何をだよ?」

「貴方自分の感情が昂ると口調が粗くなってるってことよ」

「…………は?」

 

 そのまま圭は止まる。自分が知らない自分の癖を山城があっさりと見抜いた事実に頭が反応できていなかったのだ。

 そんな圭を見て山城はクスリと微笑む。

 

「ああやっぱり気付いていなかったわね。意外と口調が荒くなってる事が多いからもしやと思ったのよ。まあそうやって無意識の内に出てくるという事は貴方がそれだけ2人の事を真剣に考えているってことの裏返しにもなるからね」

 

 口調の違和感は幾度かあった。初対面の時も自分の頭に拳骨を喰らわせた辺りから口調が荒くなっていたし、先の演習でも予想外の事態が舞い込んできた時にも大体口調が変わっていたからだ。

 本当にこの男は分かりやすい。確かに冷静でいるときは本当に冷静だが、いざパニックに陥るとすぐにぼろが出る。

 山城はそのまま「まあいいわ」と一旦区切って続ける。

 

「ここでの一件、私も時雨達に伝えない事にするわ」

「っ!?どうして!?」

「単に貴方の判断が現状最適だと私なりに判断したからでもあるわ。だけどね、ずっと内緒のままなんてのは後ろめたいでしょう?いずれは2人に話すべきだと私は思うわ。あの子達は見た目以上に強いと私は思っているし、貴方に凄く大事にされてるみたいだから多分事実を知ったとしても乗り越えてくれると思うわ……そう思いたいわね」

「……分かった」

「はぁ……本当、こんな事に巻き込まれるとはね……不幸だわ」

「すまん。無関係のお前まで巻き込んでしまった」

「別にいいわよ」

 

 頭を下げて謝る圭にそっぽを向きつつ山城はそう言った。

 

 

 

 皆の心理状態もあっただろう。いつの間にか振り出した雨の音もあっただろう……要因はいくつかあげられる。

 

 だが……だからこそ、圭達は気付かなかった……

 

 

 

 部屋の扉の向こう側からこの会話を聞いている者達の存在を……

 

 

 

―――Side out―――

 

 

 

―――Side 圭―――

 

 

 

 翌日の昼間。昨日午後より振り出した雨は夜のうちに止み、今は青空が広がっている。

 現在俺達は基地を離れて主任の報告にあった接近している深海棲艦の艦隊を迎撃するために出撃している。陣形は俺を中心として時雨が右で白露が左、山城が俺の前に出ている。

 相手の深海棲艦は空母ヲ級を中心として戦艦ル級と重巡リ級、雷巡チ級がそれぞれ1体ずつ。駆逐ニ級が2体の計6体だ。ヲ級の艦載機で制空権を取りながら他の奴らで砲撃や雷撃を行うバランス型とでも言うべき編成だろうか……

 

「さて、そろそろ敵艦隊との交戦距離に入る。まず俺が艦載機を飛ばすからその後に接近して攻撃、各個撃破でいいか?」

「問題ないわ」

「はーい」

「…………うん」

 

 山城、白露、時雨の順で返事をする。山城はいつも通りとして、いつもならきっちりと返事を返す時雨が今日に限って元気が無い。白露の方も何処か返事にいつもの明るさが無い気がする……

 何かあったのか?

 

「ちょっと圭、2人の元気が無いんだけど何かしたの?」

「やましい事は何もやってない筈だぞ」

 

 山城が近づいて来て小声で問いかけるが兎に角身に覚えが無いからそう答える事しかできない。

 

「2人とも大丈夫?」

「うん、僕達は大丈夫だよ山城」

「はい、いっちばんですよ」

 

 山城の言葉に2人は返事をするが、その表情は先程と同じで心ここにあらず無理に返しているかのようだった。

 

「兎に角戦闘態勢に入るんだ。そんな状態じゃ不味いんじゃないのか?何とか気を引き締めてくれないと厳しい事になるからな」

「うん!」

「はい!」

 

 俺の忠告でようやっと2人の顔が引き締まる。さて、戦闘準備だな。

 

「ホークアイ、発艦始め!索敵頼むぞ!トムキャット隊、ホーネット隊、その後に発艦開始!制空権の確保を。山城と白露はタッグを組んで散開!時雨は俺の護衛を頼む」

『『『了解です!』』』

「分かったわ!」

「はい!」

「う、うん」

 

 やはりどこか返事の切れというか、そんな感じのものが感じられない。

 2人に何があったのかは分からないが、現状あんな精神状態じゃ厳しいかもしれん。ならば俺が何とかして2人の負担を出来る限り減らさなきゃならんよな……

 だったらきっちりやるとしようか!

 

 

 

 異変は俺の艦載機部隊とヲ級の艦載機部隊が戦闘を開始してすぐに起こった。

 

≪ケ、ケストレル!緊急事態です!≫

<何があった!?>

 

 偵察に出ていたホークアイから通信が入る。通信機越しでも相手の慌てぶりが分かるほどだ。

 

≪接近する個体を発見!深海棲艦です!このまま行けばすぐにでもケストレル達の交戦距離に入ります!≫

<相手の艦種は?>

≪――――――です!≫

<……は?>

 

 一瞬、ホークアイからの通信内容に俺の頭は停止する。

 

 

 

 ―――……………………エ―――

 

 

 

<すまんが冗談や見間違いの類じゃないよな!?>

≪こんな状況でそんな性質の悪い冗談は言えません!≫

 

 万に一つも考えてそう問いかけるが、最悪の状況を裏付ける言葉に俺は戦慄した。

 

 

 

 ―――……ノ………………エ―――

 

 

 

<ちょっと圭、戦闘中に止まって何かトラブルでもあったの!?>

<……敵の増援が来る>

 

 俺の現状を察知した山城が俺に聞いてきた。俺はそれに力なく返す。

 

<最悪だ……こんな時にとんでもない奴の乱入かよ……>

<圭?>

<乱入って誰が来てるの!?>

 

 時雨からも、山城からも再び通信が入る。だが、今は彼女に対応していられるほどの思考は……無い。

 

 

 

 ―――……ノ…………ッテ……エ!―――

 

 

 

<圭!いいから敵増援の仔細を教えて!>

<っ!?>

 

 山城からの再三の言葉。かなり口調を荒げたものに俺は意を決して、事実を伝えた。

 

 

 

<敵深海棲艦の増援を確認!個体は姫クラスの……空母棲姫だ!報告によると全身から金色のオーラを出して、飛行甲板と思われる物体が該当個体より肥大化していることから……特異個体と想定される!>

<っ!?>

<ええっ!?>

<嘘でしょ!?こんな近海に姫クラス個体ってどういう冗談よ!?>

 

 

 

 ―――火ノ……塊トナッテ……沈ンデシマエ!―――




いかがだったでしょうか?

因みに艦これゲーム内的にいうとまだ第1海域を想定しています。

後は特異個体の特性としてはゲーム内のシステムとして言うと本来の個体以上のステータスやら能力の高い艦載機を持っていながら海域に展開している本来の敵とは別にランダムでいきなり乱入して来る強敵という感じです。

戦闘開始と同時に出てくるイベント常連の姫が何の前触れもなく現れるとか最悪すぎるなぁ……キラ付け中とかに現れたら目どころか色々と当てられませんね。

それではこの辺で。
次回、ボス戦です。
次回もリアルの仕事の都合で遅れると思われますがご了承ください。
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