Fleet Combat -Dawn of the horizontal line- 作:大川静真
大川静真です。
春イベのE-5で攻め疲れてアイオワ入手を諦めかけてたりします。
しかしあとちょっとだから頑張らねば……
さて今回は前回からの続きとなります。
それではどうぞ。
勇者とは怖れを知らない人間ではない、怖れを克服する人間のことなのだ。
ネルソン・マンデラ
―――Side 白露―――
<白露!今すぐよけろ!>
通信機越しに聞こえた圭のあらん限りと言わんばかりの指示に、白露がそちらを向いた時には既に遅きに失していた。
突如として自身に襲い掛かった足元からの衝撃は彼女の体を吹き飛ばし、海面に叩きつた。
「しま…………った」
足に、そして体中に襲い来る激痛と、朦朧とする意識の中必死にもがいて上半身だけを起こし、同時に彼女は自身の身に何が起こったのかを理解した。
雷撃を受けて吹き飛ばされたのだ。一番を目指して突出していたが為に、圭が態々指示を出しこちらの援護に向かわせた筈の時雨や山城達と離れていた所に……孤立していた所に潜水カ級の今際の際の一撃を貰ったのだ。
おまけに目の前には生き残っていた軽巡ホ級と駆逐ロ級がそれぞれ自分のすぐ前に佇んでいる。どうやらこいつらがいた方向に吹き飛ばされたようだ。運が悪いとしか言いようがない。
状況は最悪。しかも元をたどれば自身の一番に拘ったが故の無謀な突撃が生んだ結果だ。
運がいいとすれば魚雷の直撃を受けず至近距離で暴発したことと、体が半ば反射的に魚雷を避けるように動いていた事か。仮に直撃していたら今頃自分は海に沈んでいる。
魚雷の爆発に関してはカ級の今際の際による目測の見誤りが原因と思われるが、そのような幸運があったとはいえ所詮は生き残る時間が少しだけ延びたに過ぎない。
「…………よ」
最早自分の命は風前の灯火と言った所だろう。奇しくも、白露が記憶を取り戻す切っ掛けとなった圭の危機と非常に似た状態となっていた。
「………だよ」
だが、その圭は負傷した艦娘を抱えて離脱をしており、時雨や山城も離れた位置にいる。先も言った通り完全に孤立した状態。
仮に時雨達が今砲撃を行ったとしても間に合わない。
「……嫌だよ」
どう足掻いたところで助かる見込みのない状況。
「嫌だよ……死にたくないよ」
白露の状態を悟ったのかホ級とロ級は見せつけるかのように砲口をゆっくりと向けて来て……
時間をおかず来るであろう最期の砲撃にしかし白露はいつの間にか流れていた涙を流しながらも目をそらすことが出来なかった。
そして、大きな爆発と共に……ホ級の上半身が吹き飛ばされていた。
ほんの数秒の出来事であったその状況で攻撃を行ったのは―――白露から最も遠い位置にいた圭であった。
あらん限りの声も空しく白露が吹き飛ばされ、運悪くホ級の前に叩きつけられた光景を遠目に見たその瞬間、彼の思考は一気にシャープになって行くのを圭は心の何処かで他人事のように感じていた。
そのまま即座に艦娘を文月に一時預け―――文月の返事も聞かない半ば強制とも取れるものであったが―――何も言わずに背中のハープーンミサイル発射管を担ぎ狙いを定め発射。全ての行動をほぼワンアクションに近い動きで行ったのだ。
いつもの圭ならば不可能な芸当。
思考も、行動も何もかもを極限まで切り詰めた行動。
まさに
同じことを同じ状況でもう一度やれと言われても不可能と言える芸当。それが、白露のあわや轟沈と言えるかのような状況において発現したのだった。
「このっ!このっ!このっ!!」
いきなりホ級の爆散を目の当たりにして、呆然としていたロ級に時雨の砲撃が命中する。慌てて体制を立て直そうとするも最早遅く連射してきた時雨の砲撃が立て続けに命中していき、その身を爆散させて沈んでいった。
「…………ふえっ?」
残されたのは、海面にうつ伏せに倒れながらも上半身だけを起こしたボロボロの白露と彼女に大慌てで近づいてくる時雨と山城。
そして、その3人から離れた位置で極限まで集中していた意識の糸が切れたのかへたり込みながら項垂れる圭と、艦娘の重さに震えながらも落とすまいと必死に頑張る文月の姿があった。
「ごめんなさい圭さん……」
あれから戦闘前に切り離して海上に浮かせたままだった資材回収用のコンテナの一つを空にして白露と艦娘をその中に入れ、圭に曳航されて基地へと戻るその最中。
喋る事も無くなり全員が黙ったその時に、それまで一切口を開かなかった白露は謝罪の言葉を口にした。
相変わらず負傷した部位が痛むが、のたうち回るほどの激痛が走るような程の重症ではない。
「謝るのはいいが、それは一体何に対して謝っているつもりなんだ?」
後ろを振り向くことなく圭は白露に問いかけてくる。その口調から一切の感情というが白露には感じられず、それがかえって自分の身勝手な行動がいかに不味いものだったのかを理解させた。
「だって、私……一番とか言って圭さんの指示を無視して突撃してたから……」
「分かってるのなら話は早い。今回の一件はそれが原因で起きたんだよ。それも分かってるよな?」
「うん……でも」
「でも、何だ?」
オウム返しに聞いてくる圭に白露は間を置いて続けた。
「やっぱり私は、白露型一番艦の一番お姉ちゃんだから……1人でも何でも出来なきゃいけないから……」
「それがお前の一番に拘って突撃する理由か?」
無言で頷く。とは言え他の鎮守府や艦隊にいるであろう自分が同じ考えを持っているかどうかは分からない。ただ少なくとも自分はそう思って今まで戦って来たのだ。
しかしその行動故の戦績は今までの演習含めて碌なものでは無かったのだが……
ややあって圭は溜息を一つ吐いて話し始めた。
「1つ言っておくぞ白露。何でもかんでも1人で出来るなんて事は普通に考えて不可能だからな」
「え?」
「世の中1人だけで回っている何て事はあり得ないんだよ。結局どこかで誰かとの交流があり、分野は違えど同じ目的の為に一緒に行動しているんだ。日常生活でも戦場でもその事実は変わらない」
「でも圭さんは私達と出会うまで1人で戦っていt「艦載機妖精達と一緒に戦ってたぞ」あっ……」
「そういう事だ。確かに白露達と出会う前まで1人で戦ってはいたが、妖精達の助力が無ければ今頃ここにはおらずに海の底だっただろうしな」
白露は何も答えない。それは周りで聞いている他の艦娘達も同様に、圭の言葉に耳を傾けたまま何も言おうとしなかった。
「お話にあるような単騎での無双なんて普通に考えて出来る訳も無い。こうやって戦う事に関してもそうだ、艤装の製作や修理、メンテナンスを行ってくれる妖精達がいるから俺達は問題なく出撃出来てるんだ。それが無ければこうやって戦うことすら出来やしない。世界は誰かと交流することで成り立ってるんだからな」
「……」
「お前も、一番に拘るのは構わないが誰かに頼るという事をやって欲しい。1人じゃ出来ない事も、周りの誰かと一緒に取り掛かれば出来る事だってあり得るんだから。それとも、俺達の事は何も出来ない奴らだと思ってたりするのか?」
「っ!そんな事ないよ!圭さんは艦載機達が凄く強いし指示もきちんと出してくれるし時雨はこんな私にもフォローしてくれるし山城さんは砲撃が凄く強いし愚痴を言っててもきっちり仕事こなしてるしでみんな凄いよ!」
そこで声を荒げる白露。だが圭はその反応を予想していたかのように体を向けてバック走行の要領で移動しながら続けた。
「だったらそれでいいんだよ。一番を目指すために誰かの力を借りるのは悪い事じゃない。それに、1人で無茶をして1人寂しく一番になるよりも、誰かと協力して一番を手に入れる方が喜びを分かち合えていいものじゃないのかって俺は思うよ」
真っ直ぐに自分を見ながら言って来た圭のその言葉が……白露の心に染み込んでいくのを彼女は感じていた。
圭はそのまま白露に背を向けて走行を続ける。
しばしの沈黙。誰も何も言わず、ただ進路を変えることなく進んで行くだけ。
やがて白露が小さく呟き始めた。
「凄いね……」
「ん?」
「圭さんは凄いよ。私達の事を気にかけてくれる。戦う時も何も怖くないかのように指示を出してくれる。確かに混乱してた時はあったけど……それでも自分の命が奪われかねないような時も全然怖がってなかったし……凄いよ」
「……白露。お前の俺に対する評価に一つだけ違ってる部分があるから修正させてもらうぞ」
「ふえっ?」
「あのー、圭。ちょっと外野の私が聞くのもなんだけど、白露の言葉にどこに違う点があるのかしら?」
唐突に圭から言われて白露は素っ頓狂な声を上げた。また、山城が気になったのかおずおずと手を上げて聞いてくる。
「簡単な事だ。俺自身何も怖くないなんてことは無い。俺がやられた時だけじゃなく、いつだって俺は心の奥底で怖がってたんだよ」
唐突に告げられた事実。常に前に出ながら戦っていた圭。まるで恐れを知らないとでも言わんばかりに行動していた圭。
そんな圭が、心の奥では怖がっていたと言う事実。
それを聞き、白露達は皆が驚愕した。その中に置いてただ1人、時雨のみが表情を変えず、圭の言葉を待っていた。
「色々と、怖かったよ。俺の力の大きさでお前達に恐れられるかもしれないとか考えることもあったし、自分の指示間違いで死地に追い込んで沈めてしまうんじゃないのかって考えることもあった……戦っている以上損害ゼロなんて事はまず不可能に近いのは十分承知していた。それでも俺の指示一つで可能な限り少なく出来るかもしれないし、同時に俺の指示ミスで惨敗したらどうするのかってな。そういう恐怖があった。正直さっきも俺の目の前で白露が沈むんじゃないかって思ってな……凄く怖かったよ」
そこで圭は一つ区切り、続けた。
「だけどな、怖いからってその恐怖から逃げる訳にもいかん。大事なのは、その恐怖を理解して、受け入れて恐れずに立ち向かう事だと思う」
「怖くない事と恐れない事って、どう違うの?」
「怖くないというのは恐怖から目を逸らして、恐怖を感じていない事じゃないかと思う。恐怖とは言うなれば人の持つ危険信号なんだ。それを感じないという事は間近に迫っている危険を感じない事。そうやって恐怖を感じず行動する先に待っているのは、ほぼ間違いなく破滅だろうな……」
「……」
誰も、何も答えない。
「逆に恐れないという事は、恐怖を感じてはいるけど、その恐怖から逃げずに立ち向かうという事だ。恐怖を知りながらなおもその恐怖と向き合うという事だよ」
「だからこそ、圭さんは怖くないって事じゃなく恐れないって事なの?」
「そういう事さ。先にも言ったように失敗の恐怖とか死ぬ恐怖は今も尚あるけど、そんなもの怖くないと思って向こう見ずな行動はせずに、それを理解してかつその恐怖に尻込みとかしないように俺は戦ってるんだよ……まあ、今言った怖くないとか恐れない云々は全部俺を育ててくれたひいおじいちゃんの言葉なんだけどな」
圭は顔をこちらには向けずに、だけどどこか自分達にも伝わるようにはっきりと口にしていく。
そして圭は再びこちらに向き直り、続けてきた。
「だからこそ、お前達にもそうやって戦ってほしいんだ。恐怖から目を背けるんじゃなく、恐怖に立ち向かうようにな」
そうして圭はまた前を向いて移動を再開した。少しだけ、自分の言動を恥ずかしく感じているように見えるのは気のせいじゃないと白露は思う。
だけど……
「……り」
そんな圭だからこそ……
「やっぱり……」
その、恐怖というものを知りながらも尚決してそれから目を逸らすことなく立ち向かっていた圭の背中が……物凄く大きいと白露は感じた。
「やっぱり……圭さんはかっこいいなぁ」
誰にともなく呟いた白露のその言葉。それが時雨に聞こえていたのを彼女が知ることは無かった。
あれから無事に艦隊は帰投し、自分と負傷していた艦娘―――艤装を見た主任の推測では川内型軽巡の誰かだろうと言われた―――を集中治療室に送り圭達もまた入渠して行った。
負傷していた体の方は自分も川内型の艦娘も高速修復剤を使って傷だけは表向き直すことは出来たが、艦娘の方の意識がいつ戻るかは分からないそうだ。
自分の艤装の方は修理完了までに数日を要するとも主任は言っていた。その間はあの時の圭と同じく出撃することは出来ない訳だ。
戦闘で一番を目指せないのは不満ではあるが、今回の負傷は完全に身から出た錆だ。文句を言う理由などない。
だが、白露の心境はそれ以外の所にあった。
「圭さん……かっこよかったなぁ……」
時刻は既に夜。夕食も終わり後は就寝するまでの自由時間となっている現在。割り当てられた自室にて白露がベッドの上で膝を抱え、窓の外の光景を見ながら思うのは常に彼の事だった。
別世界の空母の艤装を装備し、ジェット戦闘機を操るという凄い力を持ち、どんな危機にも混乱することはあれど指示はきっちりと出し、自分達にあるかつての船の形に囚われない行動を実行に移せる……まるでヒーローのような男。
男性の艤装適合者という前代未聞の彼は、その事実を差し置いても白露にとって初めて会った時から眩しい存在に思えた。
そんなお話に出てくるヒーローのような彼。だが、彼もまた人のように恐れを持ち、誰かの助けが無ければ生きていけない何の変哲もない人間だったという事実。
だけど、その事実があっても尚表に出すような事は殆ど無く強い意志で戦い続けるその姿に、白露の恋慕は収まるどころかむしろさらに燃え上がって行った。
時雨や圭の迷惑にならない為にも自分のこの想いは諦めなきゃいけない。
でも……
2人の仲を祝福してあげないといけない……
だけど……
2人の邪魔にならない為にも身を引かなきゃいけない……いけないのに……
やっぱり……
「諦め……きれないよ……」
出来ない。
諦める事は出来ない。
圭への想いを切り捨てる事は出来ない。
「やっぱり私は圭さんの事が大好き……この想いを捨てるなんてできないよ……でも時雨の事を考えれば捨てなきゃいけないのに……諦めなきゃいけないのに……どうしたらいいの……」
自然と流れ始めた涙を拭おうともせず白露は1人呟く。
そこへ
「そっか……やっぱり白露も同じ気持ちだったんだね」
「っ!!」
唐突にかけられた声。それに肩を震わせて白露はそちらを向く。
振り向いた方向……ちょうど部屋の出入り口の扉が開いており、そこに時雨が1人寝間着姿のまま立っていた。
「どうして……」
「僕と白露は結構付き合いが長いからね。何となくとは言っても予想は出来てたよ。圭が好きだって事はね」
ゆっくりと自分に近づいて時雨は言って来た。我が妹ながら高い洞察力に頭が下がるが、今回に関してはそれが凄く……別な意味で恐ろしく感じた。
「とはいっても殆ど予測の範疇だったんだけど……今日の帰投中に白露が漏らした言葉でようやっと確信が持てたんだけどね」
「…………それで……時雨はどうしたいの?圭さんの一番になれた時雨は?もしかしてそれを自慢しに来たとでも?一番になれなかった敗者の私に?知ってるよ……時雨と圭さんが嬉しそうに手を繋いで歩いてた事……それを見せびらかして、今度は私に自慢しに来たとでも言いたいの!?」
自然と、辛辣な言葉がまるで決壊したかのように出て来た。こんな事を言うつもりは無かった筈なのに……本当ならば時雨を祝福してあげたかったのに……
「僕はそんなつもりはないよ。白露に聞きたいことがあるだけ」
「……何?」
「正直に答えて。白露は圭と一緒にいたいの?」
真剣な表情で時雨は聞いて来た。だが、そんな質問に対しての答えなど最初から決まっている。
「私だっていたいよ……出来ることなら圭さんとずっと一緒にいたいよ!」
だって……だってこんなにも……
「私も時雨と同じで圭さんの事が大好きだよ……大好きだけど……私は白露型駆逐艦の一番艦だから!一番お姉ちゃんだから時雨の事を祝福してあげないといけないのよ!圭さんの一番を手に入れた妹を応援してあげないといけないのよ!!」
言った。いつの間にか口にしていた。気が付けば自身の心の奥底にとどめていた本心を時雨の前で叫んでいた。
もうどうにもならない。どうすることもできない。この想いをどう解決すればいいのか、自分にはその方法が思いつかない。
自分の目の前に立つ時雨の表情は……全く理解できない。無表情のようにも見えるし驚愕しているかのようにも見える。
時間にして数十秒ほどか、時雨が唐突に口を開いて来た。
「僕も圭の事は大好きだよ。ずっと一緒にいたい」
そこで一旦区切り、続けて来た。
「でもね、同時に白露とも一緒にいたいって思いがあるんだ。色々と突撃する姉だけど、僕とずっと一緒に戦って来て、いつも笑顔で元気に僕を引っ張って来た白露とね。僕の相棒としても、姉としても白露が大好きなのは確かな気持ち。でも同時にね、僕は白露にも幸せになって欲しい気持ちがあるんだ」
「じゃあ……同じ人を好きになった私と時雨は……どうすればいいのよ」
力なく漏れた自分の小さな呟き。
「1つだけ……考えがあるよ」
「ふえっ?」
そして時雨は白露の耳元に口を近づけて呟き……
「ええーーーーーーーーーーーっ!!!」
白露のあらん限りの声が寝室に響いた。
―――Side Out―――
―――Side 圭―――
「と言う訳で圭。僕と一緒に白露も抱いて欲しいんだ」
「ちょちょちょちょちょっと待たんかい時雨!突拍子が無さ過ぎて全然ついていけねぇんだが!!」
俺の寝室でさて寝ようかと思った矢先の来客。返事をすると返って来たのは時雨の声だった為、ああ今日も夜戦か……などと何処か他人事のように考えていたのだが……
扉から中に入って来たのはお互いタオルケット一枚を羽織った時雨と白露だったのだ。
それで、俺がベッドから出ようとした所時雨にそのままでいいと言われたので待機していたら……白露がいきなりタオルケットを放り投げ俺にダイブしてきたのだ……
問題なのは……タオルケットを羽織っていた白露はその下には何も着ておらず……つまりは……全裸だった訳で……
恐らく……同じ格好をしている時雨も下には何も着てないのではないかと邪推してしまう……
全裸の白露に抱きつかれ、身動きの取れない状態。それが今の俺の現状……
ヤバイ、ヤバイ、兎に角今すっごくヤバイ。あの時の空母棲姫乱入時とは全く違えども、俺の思考の混乱具合では非常に似通った状態。
「一体全体どういう事なんだよ時雨!お前と事を致すのはまあ……嫌な事じゃないんだがってそんな事じゃなくって何で白露と一緒に全裸でやって来たんだよというか何で白露も抱かなきゃいけないんだよ説明を求みますお願いですから」
「答えは簡単だよ圭。白露も圭の事が好きでずっと一緒にいたいって想いがあったんだよ。それこそ一番初めてを手に入れた僕に凄く辛辣に当たって来たくらいにね」
「マジデスカーーーーー!!!」
もしかして以前に感じた白露の違和感って時雨の言っていた事情があったとでも言うのかーーーーーー!!
って待て待て白露の肌の感触が柔らかい感触が時雨よりでかい胸の膨らみがああああああああ寝間着越しに俺のマイサンに丁度当たって不味い不味い不味い不味い臨戦態勢になるヤバイヤバイ思いっ切り主砲発射体制になるから離れてくれーーーーー!!!」
「や……やっぱりやめておいた方がいいんじゃないかな時雨……こう言って圭さんも凄く嫌がってるみたいだし……」
「僕の時も似たような反応してたから問題ないよ。口にしてるけどこのまま押し続ければ行けると思うよ」
「口に出てたみたいだが念のために言わせてもらう頼むから離れてくれ色々暴走しそうだから頼むから一杯一杯なんだよ頼みますですから!」
「この前は僕には凄く激しく夜戦してたじゃないか。白露も夜戦要因に入るのがそんなに嫌なのかな……」
「いや色々問題があるから拒否してるんだよ俺自身嫌な訳はないし白露がすっごい魅力的でエロい体してるのは分かってるんだが2人相手とか男として嬉しじゃなくってそういうのは愛し合う者同士で合意の上で実行に移すべきだしまかり間違っても男が魅力的な子を2人も自分のものにするのは不味いんじゃないのかお願いしますですから考え直してくださいでございますです!」
何か最後らへん口調がおかしくなってた気がするが、そんな事を気にしていられるほど今の俺の思考に余裕は無かった……
「それじゃあ問題ないね。先も言った通り僕も白露も圭の事が大好きだし圭も白露の事満更に思ってないみたいだから、皆が合意の上で夜戦出来るね」
「…………はう」
「どうしてそうなるんだよ俺は正直嬉しいけどこう道徳的なとかモラル的な問題とかあるだろ常識的に考えてそりゃハーレムは男の夢とか聞くけど俺はそういうのはちょっとご遠慮願いたいし出来るなら清い交際を行いたいんだよ時雨の時は不可抗力だったとはいえお前が俺の事を好きだと言ってくれたのもあったから実行しただけであってだな……」
最後らへんが自分的に自信がなくなり尻すぼみな言葉になっていたが何とかして言い訳を行い何とか時雨達に退散してもらおうと画策する。
添え膳喰わねば云々とか言うが……ヘタレと言ってくれても構わない。俺は出来ることなら一対一の清い交際で行きたい……行きたいのだ!
時雨に手を出した時点でアウトだと思うがそれでもなんだよ!!
「意外と強情だね……」
「お願いですから早いうちに退散を願いたいのですが俺は……」
「……分かったよ。それじゃあ白露こっち来て」
「う……うん」
いきなり、そういきなり時雨は白露を連れてベッドから離れた。先程までとは打って変わってあっさりと引き下がった事に俺は思わず警戒してしまう。
というかぜってー何か企んでるだろ今の時雨は……
そして時雨は白露を自分の傍に置いたまま俺に近づいて白露の背を俺に向けさせ……
「えいっ」
「ひゃんっ!?」
「おごっ!!」
白露を思いっ切り俺に向けて押し倒してきた。その衝撃で俺は悶絶するが俺が手をあてるよりも早く時雨は俺の右腕を掴んで来る。
現在の俺達の体勢。俺がベッドの淵に座っており、その調度膝の上に白露が乗せられ……時雨が俺達の前に立ったまま俺の右腕を掴んだ状態……
「それっ!」
「ふぁんっ!!」
「ホアッ!?」
掴んでいる部分をを俺の右手に変更してすぐさま白露に向けて動かし何かに当てた。柔らかく、それでいて弾力のあるその物体に触れた瞬間白露は艶のある声を発した。
こ、こ、こ、こ、こ、こここここここここの感触ははははははははは……お、お、お、お、おおおおおおおっおっおっぱ………
「えいっえいっ」
「ひっ……あんっ……し、時雨ストップ……だ、駄目っ」
「ほわあああああああああああああっ!!」
時雨が掴んでいる俺の右手を動かすタイミングに合わせて白露は嬌声を上げる。慌てて俺は左手を動かして時雨を止めようとしたが、彼女は俺の行動を予想していたらしくあっさりと俺の左手も掴み……
「えいっ」
「ひにゃあっ!?そ、そんな……両方……」
「ひょえええええええええっ!!」
やめてーーーーーー!!時雨やめてーーーーーーー!!もうそんな風に俺の手で白露の胸部装甲を弄らないでーーーーーー!!白露の嬌声とか感触とかが続いたらーーーーーー!!
「あっ…………今動いたのって……」
…………ああ、ばれた。まあ仕方ないよな……こうやって時雨に半ば無理矢理とは言えこう……可愛い子の胸部装甲を弄りまわされたら誰だって反応するさ。
って他人事のように考えちゃいるが不味いのは相変わらずだ。何か白露が恥ずかしそうな目でこっちを見てるし時雨も悟ったらしく動きを止めたものの手は相変わらず離してくれないし……どうしようこの状況。
「圭さん……私でも、私みたいな状況を引っ掻き回す子でも大きくなってくれるんだね」
「あー、まあ……何だ。すまん」
しばしの沈黙。俺も白露も、時雨も誰も何も話すことなく時間だけが過ぎて行く。
「圭さん、私ね……」
最初に口を割ったのは白露だった。そのまま彼女はぽつりぽつりと話し始める。
「山城さんの救出に向かったあの日からね……多分、圭さんの事が好きになったんだと思う。でも、圭さんは時雨と結ばれたのを知っちゃって……でも私は一番お姉ちゃんだから妹の幸せを祝福してあげないといけないって思ってたんだ……思ってたんだけど……」
段々と白露の口調から嗚咽が漏れ始める。しかしそれでも白露は話すのを止めようとしなかった。
「今日圭さんが教えてくれた……圭さんのひいおじいちゃんの言葉を聞いて……怖いってことを知りながらも戦う圭さんを見てね……諦めきれないって……思ったんだよ……私は圭さんの事が大好き。かっこいい圭さんが一番大好きだから、この想いを諦めることなんて出来ないって……」
…………ハァ
俺は深くため息を吐き思考を落ち着かせて白露の顔を左手―――事情を察したのか、時雨があっさりと放してくれた―――で白露の顎を持ち、顔を俺の方に向けさせる。多少体制が厳しいかもしれんが我慢してくれ白露。
そのまま俺は白露の唇に俺の唇を触れさせる。
「……ッ!」
白露は突然の事に目を見開き体を強張らせるも、やがて体を落ち着かせ、自ら唇の感触に身を委ねて来た。
そして唇を話し、お互い空気を補充する。アーチ状に伸びた涎が扇情的な雰囲気を出すが、そんな事を気にしている場合じゃない。
「分かったよ白露。一対一の清い交際とか考えていたが……お前がそこまで俺を想ってくれてるんなら、俺も腹を括るよ。時雨もそれでいいんだな?」
「うん」
「っ!……け、圭さん……」
嫉妬だの何だの向けられるだろうが、なるようになれだ。
ここまで想われるっていうのは……悪い気はしないね。
「にへへ~圭さ~ん♪」
あれから白露と時雨の2人を相手に事に及び、俺が疲れでダウンして終了となり少し時間が経った頃。白露は未だベッドでニヤニヤとだらしなくも、嬉しさを隠そうとしない笑みを浮かべていた。
現在の俺達はベッド―――ダブルベッドなので詰めれば狭いが3人ぐらいは寝られる。というか昨日までシングルベッドサイズだった筈だぞこれ……―――に俺を中心に右側に白露が、左側に時雨が寝そべっている。
「ご機嫌だね白露」
時雨も上半身だけを起こしたまま何処か嬉しそうな口調で呟く。おっと時雨に今回の件でするべきことがあった。
「なあ時雨」
「どうかしたの圭?」
俺が呼びかけると凄まじい速度で顔をこちらに向けて来た。うん、バッタバッタと盛大に振っている犬の尻尾を幻視したが気のせいだ。
さて……
「ふんっ!」
「はうっ!?」
俺は左手を上に上げると迷わず時雨の頭に拳骨を叩き込んだ。時雨は俺の行動が予測できなかったのだろう、吸い込まれるように直撃した拳骨から与えられた痛みに頭を抱えて悶絶する。
「い、痛いよ圭……」
「とりあえず今回の突拍子もない行動に白露を巻き込んで襲撃した一件についてはこれで勘弁してやる」
「で、でも結局白露も抱いたじゃない……」
「結果オーライだがそれとこれとは話が別だ。最終的に俺が同意したとはいえ、半ば逆レイプじゃないか」
「白露にも圭に抱かれる心地良さを教えてあげたかったんだけどな……」
お前ね……
「でも、良かった……圭が白露も受け入れてくれて」
「どうしたの時雨?」
と、時雨は何故か目を細めて誰にともなく呟いて来た。俺と同じく気になった白露が上体を起こして聞いてくる。
「僕は圭の事が好きだけど……同時に白露とも付き合いが長いし姉としても相棒としても大好きだから……実艦時代も、この竹ヶ島基地に前いた時もずっと白露と組んでたから……1人でいるのは寂しいのを知っていたから、だから白露を1人除け者にしたくなかったんだ……自分以外がいない孤独は凄く寂しいから……僕はどうしても圭とも白露とも離れたくないんだ。それが自分勝手な我が儘なのは十分承知してるし、場合によっては依存しているとも取れるかもしれないけど、それでもね」
「「……」」
何処か遠い目をして呟く時雨に俺も白露も返す言葉が思い浮かばない……
要するに時雨は過去の……実艦とあの糞提督の元にいた経験から1人っきりになるのが凄く嫌なんだろうな。それを知っているからこそ、そんな思いを白露にさせたくなかったからこそ……今回のようなとんでもない行動に出たという訳かね。
まったくこいつは……
「心配するな」
「ふえっ?圭?」
俺は時雨の肩を掴んで抱き寄せる。時雨の顔が俺の胸元に触れ、男のそれとは違う、女性の独特な匂いとでも言うべきか、そんな香りが鼻をくすぐる。
「とんでもない行動に出た理由が分かったが……まあ心配するな時雨、俺の目の黒い内はお前を1人にさせはしない。相当な難題だというのは分かってるが、それでもお前と一緒にいるよ。なあ白露?」
「うんっ!私だって時雨と離れる気は全然ないから!」
「ありがとう……2人とも」
時雨から出て来た感謝の言葉の中に、嬉し泣きからの嗚咽のような物が聞こえたのはきっと気のせいじゃない筈。
「でも、圭はこの先さらに忙しくなりそうだね」
「そうだねー」
時雨が唐突に言いだした言葉に白露も笑顔で同意する。と言うか一体何で忙しくなりそうなんだよ?
「この先艦娘が増えたら多分……ううんきっと圭の事が好きで自分の体を差し出す娘が出てくると思うよ」
「私達が知る限りで唯一の男性の艤装適合者だからねー。一番は私達だけど、事情を知ったら後続とか来そうだよね」
…………おい待て。
「待て待て待て、どういう考えをしたらそんな結論に至るんだよ?」
「何となくかな……」
「いや、何となくでそんなトンデモない予想をするなよ……」
「まあでも、さっきは清い付き合いとか言ってたけど圭さんの方も満更でもなかったんじゃないの?」
「うぐっ」
そ、それを言われると反論出来ん……
「それでも、僕達が圭を好きな気持ちは変わらないから、僕達は圭がどんな選択をとっても付いて行くつもりだから。それこそもう何人かぐらい相手を作っても気にしないよ」
「でもね、ちゃんとこうして私達も愛してくれないと拗ねちゃうからね♪」
「いや、あの……俺の意見は無視ですかそうですか……」
色々と不安になって来たが……まあ、俺が選んだ選択だ。ならばちゃんと責任を取るだけだ。色々後ろ指を指されそうだが構いはしないさ。
―――オマケ―――
「昨夜はお楽しみでしたね」
「またも朝一番の挨拶がそれか山城。否定はせんがどうしてこうも事に及んだ時に限ってピンポイントで言ってくるんだよ?」
「何となくかしら?私にも解らないわ」
「お前ね……」
「……ふむ」
「だからなんだよ?こっちをじろじろと見てきて」
「まさか2人を相手にしたとか?」
「何で分かったんだよお前はどこぞのニュータイプか!!……ハッ!?」
「「…………」」
「……け」
「け?」
「憲兵=サンここに姉妹丼を実行に移した助平がいますーーーーーーー!!!」
「ちょっと待てや山城!!憲兵なんてここにはいねぇだろというか何処でそんな下方面のネタを仕入れてきてやがるんだよお前は!!」
「それは勿論以前の鎮守府で見つけた雑誌とかここの基地に隠されてたウ=ス異本とかで仕入れて姉様を想って一人でしたからに決まって……ハッ!?」
「「…………」」
「…………あー、お互いに何も聞いてないし何も言ってない。それで手打ちとしようか?」
「異論は無いわ」
ギャラクティカファントォォォォォォムッ!!破壊力ぅぅぅっ!!(壁殴り中
あースッキリした。また家の壁が無くなってしまったがまあ仕方ないか。
さていかがだったでしょうか?冒頭に今回の話に合いそうな言葉を見つけたので書いてみました。
どうでもいい話ですが今回は夜戦開始の辺りで区切る予定でしたが、圭と山城の掛け合いを入れたほうがオチとしていいかもと思いここまで粘りました。
それではこの辺にて。次回にてまたお会いしましょう。
さてまた壁の発注してくか……