Fleet Combat -Dawn of the horizontal line-   作:大川静真

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最近購入した某奴隷の子とイチャイチャするゲームをプレイ中に「時雨との生活」なんて妄想が起きた大川静真です。みなさんおはようございます、こんにちは、こんばんは。

さてさて今回艦娘がまた増えます。英字タイトルが不穏?何のことやら(すっとぼけ

それではどうぞ。


9/10追記 日間ランク12位……マジデスカ(驚愕


#22 艦隊増強-CommandO-

「……またか……これで何冊目だ?」

 

 赤城の意識回復から数日経ったある日の事。俺は―――否、俺「達」は書庫にて本の整理を行っていた。と言うよりも基地放棄前の資料探しを行っていたのだが、ある本を見つけたが為にその「本」の処分を行う方向に路線変更を行ったのだ。

 

「何だよ何だよこのタイトル……「血の繋がったお兄ちゃんだけど双方愛し合ってるから問題ないよね」とか……うっわ……色々生々しい……」

 

 俺は妙なタイトルの本をぺらぺらと通し読みしながら率直な感想を述べる。中身はそりゃあもうエロいコマばかりの本でページ数は少ないながらも「コト」を行っていないページが全くないような本だ。

 ここに鏡があったら間違いなく今の俺の顔は茹蛸のように真っ赤になってそうだ……

 

「これはあれか?ネット上で俗に言う「薄い本」という奴なのか?グラビア雑誌は見たことあるがこれの現物を見るのは初めてだ……」

『俺はこんな物話にすら聞いた事ないし、見るのも初めてだぞ……色々とんでもねぇな……』

「まあ確かに、普通だったらこんなもの目にする機会はないからなぁ。人によっては一生縁が無い筈だ……」

『うわーうわーうわー……色々書き込まれてる……』

『……』(顔真っ赤)

 

 ガルム隊の3人も偶然この書庫に居合わせたが為に薄い本発見後は回収を自ら申し出て来た。来たのだが……

 ここに来て安請け合いを後悔しているのか思いっ切り顔を引くつかせているピクシーに、顔を真っ赤にしたまま薄い本に目を向けないよう黙々と作業しているサイファー。そして完全に頭がオーバーヒートしているのか中身を見たままページも変えようとせず停止しているPJの3人だった。すまん3人とも。後で何か奢ろう。

 裏表紙の方も見てみると作者か製作したグループかは分からないが名前が書かれていた。クラウドオブフォール……秋の雲?何のことだ?その季節に何か関係あるのか?

 

「ああもうこんなもの文月とかには見せる訳にはいかん。というか女性陣全員に見せる訳にいかん……」

『異議なし。さっさと処分しよう』

 

 とりあえず他の妖精に頼んで持ってきてもらった段ボール―――確か原材料紙だよな?どうやって作ったんだ?―――に薄い本を本棚の中から探してはどんどん詰め込んでいく。

 その都度表紙を見てみるが、どれもこれも18歳未満お断りのお子様が見ちゃいけないものばかりだ。

 女の子が半裸でまたがってる表紙絵から何やら蛸のような物に絡めとられて白い液体塗れの女の子の表紙絵だったり……果ては男同士が……見てない見てない。俺は何も見てない……

 

 ぎゅうぎゅうになるまで詰め込んで、蓋をしてガムテープを巻いて上の面に「開封厳禁」と書かれた紙を貼って完了。みっしょんこんぷりーと。基地の風紀は守られた。

 さて、この薄い本は寮内の使っていない部屋にでも隠しておくか。俺の部屋に置いておく訳にもいかんからな。

 

「助かったよ3人とも。俺はこいつを隠してくる」

『大将の部屋にでも置いておくのか?』

「いや、現時点で使ってない部屋に隠しておく。空き部屋に入る奴は定期的に掃除を行う妖精以外にいないだろうし、そいつらにあらかじめ言っておけば開ける事は無い筈だからな。3人は休憩してて構わないよ」

『了解。俺達はゆっくりさせてもらうよ』

『……(コクリ)』

『お疲れ様です圭さん』

 

 さて、誰にも会わなければいいんだが……

 

 

 

「圭?どうしたのその荷物?」

「っ!?あ、時雨……」

 

 何てこったい……こういう時に限って遭遇するとは……

 現在俺はかつて艦娘達の寮の廊下を歩いていた所、曲がり角にて時雨と鉢合わせしてしまったのだ。

 

「いやな、ちょっと書庫の整理をしていて妙な箱を見つけたもんだから別の場所に持って行ってる途中なんだ」

「妙な箱?中身は見ないのかな?」

「ちょっと見たら何か……やばい気がするからな……」

「……?」

 

 俺の歯切れの悪い言葉に首を傾げる時雨。兎に角一刻も早くここを切り抜けてこいつを封印しなければ……仮に時雨が見たらなんて思うか分かったもんじゃない。

 さて、どうやって時雨を撒こうか……

 

「僕も手伝おうか?」

「いや、大丈夫d」

 

 言いかけていた所に、ドサササと何かが落下する音。そして俺の持つ段ボール箱の重みがいきなり無くなる感覚……

 

「えっ…………」

「…………」

 

 音に反応した俺は完全に動きを止め、何が落ちたのか確認するために足元を見た時雨もまた動きを止める。何が起こったのかは見ずとも分かる。うん……

 

 

 

 何でこういうタイミングでガムテープの粘着が弱まって薄い本が落下するんだよおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!

 

 

 

「あのその時雨これには深い訳があってだな別にこの本を使ってやましい事をするつもりは毛頭なくってだな「……圭」ハイッ!?」

「君には失望したよ」

「ゴファッ!!」

 

 時雨の容赦ない一言に俺は内心で強烈な一撃を貰い両手足を地面につける。要するにorzの体勢だな……

 畜生以前も言われたけどやっぱり時雨のこの言葉はきつい。

 

 

 

「そんな本を使って処理するくらいなら僕に言ってくれたらよかったのに」

 

 

 

 …………は?

 今何て言った?

 

 慌てて顔を上げるとそこには屈んで俺の方を見ている顔を上気させた時雨が……ってオイ待て!!

 

「待て!ストップ!ウェイト!伏せ!スタァァァーーップ!!何でいきなり顔を赤らめてるんだよオイ!」

「圭が僕に言ってくれたら別に今ここでシてもよかったのに……もしかして僕や白露の体に飽きたのかな……」

「だから何でそういう結論に至るんだよオイ!と言うかこれを封印しようとしていただけなんだよ!」

「むぅ、そうやって自分で処理する事への言い逃れをするつもりなんだ……」

「勝手に決めつけるなオイ!こっちはこの薄い本を使ってどうこうするつもりは毛頭ないから!」

「それじゃあ僕にその本で得たことを実践する予定だったとか?圭ってえっちだね」

「やらねぇよ!!」

 

 何か時雨の様子がおかしいぞ!と言うか何か目の中にハートマークが書かれてる気がするんだが幻視の類だと信じたいぞ!

 

「まあ、僕は圭が求めるならいつでもどこでもいいんだけどね」

「さらっと爆弾発言してねぇか時雨と言うか何で服を脱ごうとしてるんだよ待てコラ発情してんじゃねぇ!!」

「何って圭がしたいみたいだからここでシようと思って」

「だからそこまで溜まってねぇんだよおぉぉぉぉっ!!」

 

 上着に手をかけて脱ごうとしていた時雨を見かねた俺は立ち上がりつつ右手を振り上げ時雨の脳天に叩き込む。

 

「はうっ!!」

 

 ゴスッ!と鈍い音と共に時雨は痛みに頭を抱えて悶絶した。手は出したくなかったがこうでもしないと暴走が止まらないと思ったんだよ……

 

「全く……時間と場所を弁えろオイ……」

「じゃあ弁えたら圭はいいの?」

「だからそう言う意味じゃねぇ!!」

 

 やっぱり今日の時雨は何か変だ!

 

 

 

 あの後事情を説明して時雨を納得させ、落下した薄い本を回収してから彼女と別れて適当に空き部屋を決め、そこに備え付けられていたクローゼットにしまい任務完了。段ボールの件は行く途中で見かけた掃除妖精に伝えた為問題は無い。

 焼却処分も考えたが何処に持っていけばいいか分からんからな……変な所で燃やす訳にもいかんし。というかそういう廃棄物の処理施設とかあるのかここは?

 まあこれの処分はいつか考えるとして、これが終わったら主任に工廠まで呼ばれてたからそちらに向かわないといけない。何かもう時雨の一件で疲れたがこんな事で弱音は吐けん。

 

 

 

 呼ばれた理由は一つ。

 

 艦娘の建造機械の修復が終わったため試験的に建造を行うので立ち合いも兼ねて来てもらいたいとの事だった。

 

 

 

 

 

 

「で、主任。大丈夫なのか?」

『恐らく修復は終わったと推測できます。とは言え実際に動かしてみないとどんなエラーが起こるか分かったものじゃ無いというのが本音です』

「完全に直ったと断定できないからテストも兼ねて動かしてみるという訳か」

『そういう事になります』

 

 主任は頷きながら言う。

 時間にして午前10時を過ぎた所か。竹ヶ島基地の工廠施設内部、現在俺達が立っている場所の目の前には大きな機械が鎮座しており、それ自身が稼働を今か今かと待ち望んでいるかのようであった。

 

『それでは圭さん、建造の際に何か欲しい子……と言ったらアレかと思いますが、兎に角狙いの艦種とかはありますか?』

「とりあえずは駆逐艦か軽巡洋艦が最低でも2人は欲しい」

 

 これは俺と神通が艦隊増強について打ち合わせを行ったときの神通からの提案だ。

 弾薬や艦載機の節約を行う事で赤字が少なくなり始めて来た現状だが、人員が絶望的に足りないのは俺も承知していた。

 そこで神通は水雷戦隊を一つ編成して基本はそれをメインで動かして資材回収や近海の哨戒任務に当てる案を提出してきた訳である。

 とはいえこれでもメンバー的にはかなりギリギリの状態で出来る事ならもう一つ分ぐらい水雷戦隊辺りが欲しいとは神通は言っていたが、同時にいきなりメンバーが増えすぎても満足なコミュニケーションが取れずに混乱が起きて最悪何らかの軋轢が生じる可能性があるとも言っていた。

 という事でとりあえずは駆逐or軽巡の2人を現出させる方針で決まった訳である。この辺は白露や時雨に文月、山城や未だベッドの上とはいえ赤城の方も了承済みだ。

 

『了解です。それでは建造を開始します』

「そう言えば気になったんだが、艦娘って建造開始して直ぐに出てきたりするのか?」

『現出にある程度の時間がいりますがそれは艦種にもよりますね。駆逐艦の艦娘とかだと大体かかっても30分ぐらいで現出が完了しますが、大型の戦艦や正規空母などはやはり平均して4~5時間はかかります』

「成る程ね」

『因みに参考までに一番時間がかかるのは大和型の8時間です』

「ああ……あれか」

 

 遠い目をして俺は呟く。軍事に詳しくない俺でも戦艦大和の名は知っているし、俺がこの世界に来る前に2番艦の武蔵が見つかったというニュースも見たことがある。

 現出する以上、そして男である以上はやはり大和型の艦娘がどんな相手なのかを見てみたいという気持ちもある……あるのだが今回はそれが目的ではない。我慢しよう。

 

 さてさて誰が出てくるやら。

 

 

 

 時間にして30分程経過したか、現在工廠の入り口付近には俺や妖精達の他に赤城以外の艦娘が全員集合している。俺が集めた訳ではなくどうやら誰が来るのか気になってやって来たらしい。

 山城は「駆逐艦狙いの予定と言っていたから分かってはいたけどやっぱり扶桑姉様は来てないのね……不幸だわ」とか愚痴っていたが。

 本格稼働し始めたら狙ってみるから今は我慢してほしいんだがな。

 さて、そんな事は置いといて俺はやって来た2人をよく見る。

 

「深雪だよ、よろしくなっ!」

 

 青いセーラー服を着て黒髪で外ハネしているショートボブ……だっけ?まあそんな髪型をした見るからに底抜けに明るそうなボーイッシュな少女と

 

「こんにちはー!陽炎型駆逐艦舞風です、暗い雰囲気は苦手です!」

 

 ブレザーベストを着用し、金髪をポニーテールにしたこちらも明るそうな少女の2人がやって来た。どっちも暗い雰囲気を吹っ飛ばすかのような笑顔の眩しい子供達だな。

 

「ああ、よろしくな」

「あんたが司令官かい?この深雪さまが一番槍の活躍見せたげるぜ~!」

「……ムッ!」

 

 深雪はフンスッ!と言わんばかりに鼻息を荒くして言ってくる。後ろで聞こえた声から白露が対抗意識を持ったなこれは。

 

「どうもどうも舞風です!踊りのパートナーならいつでも募集してますよー」

 

 こっちはウインクをしながら笑顔で言ってきた。あれか?名前が舞風だからダンス大好きって訳なのか?

 

「ああ……分かった。所で、舞風は自己紹介の時に言ってたから分かるが、深雪の方は駆逐艦で合ってるんだよな?」

「おう!そうだよ!特型駆逐艦4番艦の深雪さまだよ!!」

 

 一人称が「深雪さま」とはねぇ……余程自分の艦時代の戦果に自信があるのかただの無鉄砲なだけなのか……

 

「了解。まあ2人ともこの基地での貴重な駆逐隊戦力として期待させてもらうよ」

「はーい♪よろしくお願いしますね提督」

「司令官、よろしくなっ!」

 

 2人とも元気に敬礼をする。おっとっと、言わねばならないんだよ。

 

「さて、着任早々衝撃の事実かも知れんが、実は俺はここの司令官でも提督でも無い」

「「ええっ!?」」

「まあ、その辺のことは今から話すから」

 

 

 

 ―――青年説明中―――

 

 

 

「と言う訳なんだ」

「「ほうほう」」

 

 俺の正体やこの島の現状を一通り話し、実際に艤装を装備した所も見せた2人は興味深そうに頷いていた。

 

「現状この基地は外との交流が不可能な状態にあってな……ようやっと艦隊増強の目途が立ったところではあるがそれでもまだまだ戦力不足は否めない。そういう訳なんで2人には期待させてもらうよ」

「ほえー、色々と大変そうなんですねー」

 

 実際に大変なんだがな舞風よ。

 しかし、さっきから深雪の方が相槌以外に何もしゃべってないな。

 

 そう思い俺は深雪の方に視線を向けるとそこには目を煌めかせた深雪の姿が……

 

 

 

 …………は?

 

「おい深雪どうs「かっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」はい?」

「すっげーすっげー何この艤装ケストレルって言うんだっけ何かこう洗練されたもんがあるよこんな事言うのアレかもしれないけどあたしの知る空母とかより断然かっけーよこれうわーうわーうわー」

 

 まくし立てて来た深雪はそこで一旦言葉を区切り、ビシッ!と人差し指を向けて続けて来た。

 

「決めたよたいしょー!あんたが何と言おうとあたしはあんたに付いて行く!」

「た、大将!?」

 

 唐突に出て来た意外な呼び名に俺は思わずたじろぐ。いや、ピクシーに言われてはいるんだが彼以外から言われたのが驚きだった訳なのだ。

 しかし、どうも表現の仕方が違う気がする。

 

 まあ、うん……俺に付いて来てくれるのなら特に文句は無いが……

 

「ま、まあ、先も言ったが戦力として期待はさせてもらうよ」

「おうさ!この深雪さまがたいしょーを守ってみせるぜ!くぅー早く戦いたいなぁ!」

「舞風の方も異論とかは無いかな?」

「あたしの方も大丈夫ですよー。一緒に踊ってくれる相手がいないのがちょっとアレですけどそれだけで戦わないなんて選択はしたくありませんからねー」

 

 2人とも特に問題はなさそうだな。

 

「そうだな……時雨、済まないがこの2人に施設の案内を頼めるかな?」

「うん、分かったよ」

 

 そうして時雨は2人を連れて施設の案内に向かって行った。残されたのはそれ以外のメンバーだけ。妖精達も元の作業の方に戻り始めていた。

 

「聞きたいのだけど、私達は今日はどうするの?何かやる事があるのなら今日の出撃は取りやめるけれど」

「そうだなぁ……」

 

 山城に言われて俺は考える。さてさてどうするか……

 ふむ……

 

「ちょっと一つやりたいことがあるから、哨戒だけにするとは言え出撃するとしようか」

「そう……やっぱり前に言っていたことをフイにしてとうとう私達を実験材料にするのね……」

「どうしてそうなる」

「痛い!やっぱり不幸だわ……」

 

 遠い目で明後日の方向を見ていた山城の頭に俺は手刀でツッコミを入れる。相変わらず変な方向に妄想を膨らませるなこいつは……

 

「全く、碌でも無い妄想を垂れ流すんじゃねぇと何度言った?」

 

 こいつといい時雨と言い何で思考が明後日の方向に向かうようになってるんだよ……

 

「まあいい、今回は俺以外の誰かが旗艦を務めて艦隊行動を行ってみようと思ったんだ。いつもは緊急時以外は俺が大体指揮を執ってただろ?だから他の子も艦隊の指揮を少しかじる程度でもいいから体験してみたらいいんじゃないかとふと思ったんだよ」

「それで圭さん、そうなると今日は誰が旗艦を担当するのかは決めているのですか?」

「もしかしてあたしも状況によっては行ったりするんですか~?」

 

 神通と文月の問いに俺は少し考えて……

 

「ジャンケンで頼む。文月も含めて勝ち残った奴が本日の旗艦という事で」

 

 白露、山城、文月、神通の4人がずっこけたのはまあ、仕方のない事だろう……艦隊の命運を左右するであろう旗艦をジャンケンで決めるなんて普通思わんわな。

 

 

 

 ん?

 

 

 

 何やら話声が聞こえた気がしたので、起き上がって抗議の視線を向けてくる神通や山城を無視して俺はそちらの方に向かって行く。決して2人の反論を聞きたくないからと言う訳ではない。無いったら無い。

 

 話声の聞こえて来たのは建造機械の方だ。おいおい何かあったのか?

 建造機械の方に向かって行くと何やら妖精達が一か所に固まってワイワイ騒いでいる。何事かと思い聞き耳を立ててみると……

 

『やっちゃうか?』

『やっちゃれやっちゃれ』

『圭さんには事後報告になってしまうけどまあテストの一つという事で』

『資材だ!資材を出せ!』

『ぶっこめぶっこめー!』

『燃料400に鋼材600ー』

『戦艦レシピでGOー!』

 

 んなっ!?こいつら勝手に何やってんの!?

 

「くぉら!待たんかいてめぇら!!」

『げっ!』

 

 何やら妖精達の頭の上で赤いビックリマークが見えた気がしたが気のせいだ。

 俺は走って妖精達の元に向かい彼らを止めようとしたが、到着するより早く1人機械起動用のレバーを下した。

 

 だが……

 

『……あれ?』

 

 起動させたにもかかわらず反応が無い。先ほど建造を行った時には、モニターに建造中の文字と残り時間が出ていたのだが今回は何の反応も無かったのだ。何らかのエラーでも出たのかな?

 

「動かないな……内部でエラーでも発生したかね?まあいい、お前ら何勝手な行動を行っていr『ええいこの!動け動け!』いやだから叩くなって……」

 

 俺の言葉を聞かずいきなり制御盤付近を叩き始めた妖精だが機械の方はうんともすんとも言わなかった。

 

 そして……

 

『動けこのポンコツが!動けってんだよ!!』

「おいコラ!」

 

 こいつ!堪忍袋の緒が切れたのか操作盤のある機械部分にヤクザキックかましやがったぞ!

 しかし、その衝撃が原因かは分からないが、建造機械が動き出し、モニター部分には建造中の文字と残り時間4:00:00の文字が現れた。

 

『フゥ……この手に限る』

「やめんかい」

『アウチ!』

 

 こちらを向いてサムズアップを行った妖精に俺は手刀を叩き込んだ。前時代的な手段を使うなよ!機械ってのはデリケートな物じゃなかったのか!?

 

『一体何があったんですか?』

「圭さん?今の会話はどうかしたんですか?」

 

 そこへ騒ぎを聞いて主任が工廠の奥からやって来た。神通もまた主任と同じく騒ぎを聞いたのか入り口から向かって来ている。

 

「あー、いや。妖精達が勝手に建造機械を動かしてな……何か「戦艦レシピでGO!」とか言ってたんだが……」

「そ、そういう事だったんですか……」

『あー……やっぱり艦娘の建造はギャンブル要素有りますからね!一発でかいのを狙いたい気持ちはよくわかります!』

『『『流石リーダー!俺達の気持ちをよく分かってらっしゃる!!!』』』

「おいコラ待てや!」

 

 何で主任まで同意してんだよ!何だ!工廠妖精と言うのは皆こんな奴らばっかりなのか!?

 

「というかまさか来るのって戦艦か!?戦艦なのか!?」

『『『Exactly(そのとおりでございます)』』』

「マジか……」

「あの……ここの妖精さん達はみんなこんな……自由な性格をしているのですか?」

「そうでないと信じたい……信じたいんだが……」

 

 顔を引くつかせて聞いてくる神通に俺はそれ以上の事は言えなかった。一番上がアレな時点でもう駄目かもしれんが……

 と言うか戦艦の艦隊入りなんて現時点では予定にないのだ。出来る事なら取りやめてもらいたいのだが……さてさて。

 

「なあ、この建造機械は建造を中断したり出来ないのか?さすがに戦艦を呼ぶ予定は無かったし、黒字になり始めたとはいえまだまだ心許ない弾薬類の消費がさらに増大するから今回は見送りたいんだが」

「ごめんなさい、私も建造に関してはよく知らないので」

 

 神通は頭を下げて謝罪する。ならばと思い妖精達の方に聞いてみようとすると彼らは口をそろえて

 

『『『それを止めるなんてとんでもない!!』』』

『それ以上に!大艦巨砲という浪漫を詰め込んだ戦艦ですよ!多少の消費なんかでピーピー言ってたら男が廃ります!』

「てめぇらは浪漫しか頭に無いのか!!!」

 

 やっぱりもう駄目だこいつら……

 

『まあ浪漫云々の件は2割冗談ですが』

「「たった2割!?」」

 

 唐突にまじめに語りだした主任の発言にとうとう俺と神通の突っ込みがハモった。

 

『正直に話すと圭さんには以前伝えましたが、艦娘建造と言うのは本来船の形として存在していたものを人の器の形に変えて再現、ダウンサイジングした後に船魂を現世に呼び出して器に定着させ、生み出しているいるんです。その過程を行っている最中に建造を中止すると中途半端な形で器が出来たり魂の繋がりが非常に緩くなったりするんです。その状態のまま建造機械の中で残ってしまうので次回建造時に何らかの悪影響が出る可能性が非常に高いんですよ。だから私達としてもどんなイレギュラーが発生するか分からない為に建造の中断が出来ないようにしているんです』

「マジか……」

「そういう事だったんですね」

『基本的に艦娘はこの建造機械を利用することは殆どありませんからね。神通さんが知らないのも無理はありません』

「つまりはメンバー追加は確定な訳ね……」

 

 俺はがっくりと肩を落とす。こうなってしまった以上は出てくる艦娘が真っ当な性格であることを祈ろう。

 

「ハァ……仕方ないか。それじゃあ主任、俺達は哨戒に行ってくる。神通もそれで呼びに来たんだよな?」

「えっ、あ、は、はい。今回は私が旗艦を行うこととなりましたのでよろしくお願いします」

「分かった。じゃあそっちの指示に従うようにするが、お手柔らかに頼む」

「ふふっ。分かりました」

『行ってらっしゃいませー』

 

 微笑む神通を隣に、主任の声を背中に聞きながら俺達は工廠を後にした。妖精達への突っ込みで色々疲れたが頑張るかね……

 

「ほんとに……あの浪漫に全てを賭けるようなキャラじゃ無かったら非常に優秀なんだがなぁ」

「ア、アハハハ……」

 

 溜息を吐きながら呟く俺に苦笑するしか出来ない神通であった。

 

 

 

 本日実施の哨戒任務は戦闘も無く無事に終わる事となった。あったとすれば神通による陣形変更の訓練か。こう言った事に詳しくない俺としては陣形の内容やどういったときに行うのか等を聞くことが出来たので非常に有意義な訓練ではあったな。

 

 

 

「マイク音量大丈夫?チェック、1、2……よし。はじめまして、私、霧島です」

「いやこの辺にマイク無いからな」

 

 哨戒を終えて基地に帰って来たところ残り数分で現出完了だった為、他のメンバーと別れた俺は艤装を付けたままで艦娘の現れるのを待った。そして出て来た艦娘の言った事が上述の通りである。

 

 現れた霧島と名乗る艦娘は黒髪のボブカット……って言うんだっけ?そんな髪型に何やら板みたいなのが付いたカチューシャを付け、眼鏡を着用している。服装は何と言うか……巫女服のような和服のような服装の上着に下は藍色のスカートをはいている。

 背中には彼女の艤装であろう、4つの主砲がXの字を描くかのように配置されている。

 

 パッと見では知性を感じさせる部隊の頭脳とか参謀とかが似合いそうな女性だ。

 

「それで……その、貴方はここの司令なんでしょうか?後ろに見えるのが見間違いでなければ私達が付けている艤装のそれと同じものに見えるんですが?」

「察しがいいな霧島。まあ俺はちょっと込み入った事情があってな、それを伝える為に手っ取り早い手段としてこうやって装備しているわけだ」

「成る程……その込み入った事情とは司令の事やこうして艦娘の気配の殆ど無い工廠やらが関係しているのですか?」

「よくもまあ少し見ただけでそこまで分かるなぁ……おっと褒めてるんだよ。今からそれを話すよ」

 

 俺の言葉に気を悪くしたのか少し目を細めて来たので慌てて事情を説明し始めた。

 

 

 

 ―――青年説明中―――

 

 

 

「成る程そういう訳でしたか」

「そういう訳さ。現状ちょっと資材的に厳しいものがあるから戦闘に参加できるか分からないがいざ戦闘となったら戦力として期待させてもらうが……大丈夫か?」

「ちゃんとした理由があるなら霧島は構いませんよ」

 

 あれから俺やこの島の事情を一通り話し終えて、俺は問いかけるが霧島は笑顔で答えた。

 因みに霧島と話していたらいつの間にか主任が俺の横に立っている。何か用事でもあるのかね?

 

「じゃあ決まりという事で。取りあえず自己紹介でも。俺は永瀬圭だ。好きなように呼んでくれて構わないよ」

『おっとそれじゃあ私の方も。現時点でこの工廠のリーダーを担当しています。主任とお呼びください』

「はい。了解しました主任。それとよろしくお願いしますねボス」

「…………ボス?」

 

 いきなり予測すらしていなかった呼び方に俺の思考が止まる。……何故に?

 

「ご不満でしたか?霧島的にはこれが一番しっくり来たので呼んでみたのですが」

「あー、いや、いいよ。好きなように呼んでと言ったのは俺だし、そもそも呼ばれたことの無い呼び方だったんで少し思考が止まっただけだ」

「成る程そういう事でしたか……それにしても……」

「どうした?」

 

 納得したと思ったら今度は何やら霧島が俺の艤装をジロジロと見つめ始めた。何だ何だ何だ?

 

「それにしても、どうしてこの空母の攻撃隊は艦攻だけで編成してるんでしょう?艦爆も配備すればスッキリするのに……」

『もー霧島さんったら古いんだ』

「私が実艦だった頃空母は普通に艦爆も配備していましたよ。案外それが一番正しい編成なのかもしれませんね」

 

 

 

 …………ん?

 なんか聞いたことのあるような会話をした気がするんだが……気のせいか?

 

「さて、他の子達にもあんたの事を紹介させるから付いて来てくれるか霧島」

「了解しました。それでは主任、霧島はこれからボスと大事なお話がありますので」

『そうですか、令状はあるんですか?』

「きつい冗談を言いますねぇ」

 

 

 

 …………んんんんん!?

 おい待ておい待て!やっぱり何か霧島と主任の掛け合いにすっげぇ既視感(デジャビュ)を感じたぞ!!

 

「なぁ霧島」

「何でしょうか?」

 

 主任と別れ入渠施設に向かう途中で俺は霧島に向けて問いかけてみる事にした。

 

「さっきの主任との会話、あれって一体どういった気持ちで言ってたんだ?」

 

 霧島はしばし考えるも首を傾げたまま告げた。

 

「……何ででしょう?こう何と言いますか、こう言わなきゃならない!と言った感じのふいんき「雰囲気だからな霧島」そうそれです。それを感じまして……例えるならばこう武器を肩に担いだ時にデェェェェェェェェェン!!と口で擬音を表現しなければいけない的な!」

「いや意味分かんねぇよ!」

 

 ……ああ何か、この霧島って艦娘も妖精達程ではないにせよ駄目な気がする……

 そのまま歩いて行くと調度入渠―――誰も怪我してないが体を洗うために行わせた―――が終わったのか山城が施設の入り口から出てきているのが見えた。

 

「よう山城」

「あら圭……それで、その人が出撃前に起きた一悶着で生まれた艦娘なの?」

「一悶着が何なのか分かりかねますが、私は金剛型戦艦の4番艦霧島です。よろしくお願いしますね山城さん」

 

 そう笑顔で言う霧島を見て山城はしばし無言を貫いていたがやがて何か諦めたような表情で地面にへたり込む。

 

 …………あ、これはまさか

 

「フフフ……やっぱり優秀な戦艦が来たわねとうとう私の立場が危うくなってきたみたいねだって金剛型とか大東亜戦争で一番活躍してた戦艦だしおまけに霧島って確か至近距離からの撃ち合いを行ったって聞くから十分砲撃能力高いでしょうしやっぱり私って替えが来たらお役御免の欠陥品みたいね扶桑姉様との再会なんてどうせ守るつもりなんて毛頭なかったんでしょうねどうせこの後は奴隷のような扱いを受けてポイ捨てされるのよねああもう不幸だわ「ふんっ!」はうっ!?」

 

 案の定、とんでもない妄想が始まったため拳骨で止める。さて、もう何度目かは分からんが伝えておくかね。

 

「全く落ち着け山城、そういう妄想を連呼されたらおちおち会話もできやしない。もう一度言っておくがな山城、あんたがこの基地所属になった時の約束は健在だ。今も尚な。姉様と再会したいんだろ?だったら俺達に協力してくれ。OK?」

「OK!」

「ごふぁああっ!!?」

 

 

 

 な、何で…………

 

 俺の言葉に応えたのは何故か霧島であり、さらには思いっ切り砲撃を叩き込んで来たのだった。完全に認識外からの攻撃であった為回避どころか反応する暇すら存在せず、直撃を受けた俺は吹き飛ばされるだけであった。

 

「え、ええええええええっ!?ボスぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!?」

「貴女一体何をしているのよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

「御免なさいつい体が反応しましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 霧島と山城の2人が何やら叫んでいるが、今の俺にはそれがひどく遠くに聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 後日分かった事だが、どうやら撃ったのは模擬弾だった為に大した被害は無かったのだが……

 何だったんだ霧島の行動は?




いかがだったでしょうか?
時雨の暴走は前書きで言ってた「時雨との生活」ネタでぱっと思いついたものを書いてみましたが……また壁の追加発注しなきゃならないだろうなぁ(遠い目

そして深雪と舞風ですがこの2名は登場艦娘を決めるときにクジで選ばれたというだけで特に理由は無かったんですが……

史実で赤城の雷撃処分を行ったのが舞風の所属する第四駆逐隊だったと気付いたのは決定後にキャラを再確認するためにwikiの彼女のページを見た時でした。偶然って怖いですねぇ……

そして霧島ですがこちらは最初からメンバー入りが決定していましたが……あの性格になったのは決して「コマンドー」の製作30周年記念日本語吹替新録版を最近買ったからではありません。ありませんったらありません。ええ、ありませんとも……

それではこの辺にて。
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