Fleet Combat -Dawn of the horizontal line-   作:大川静真

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みなさんおはようございます、こんにちは、こんばんは
まさか投稿がここまで遅れるとは思ってもいなかった大川静真です。

さて今回は圭達竹ヶ島のメンバーとは別の相手の視点からのお話となります。
まあぶっちゃけると竹ヶ島組として登場予定の無い艦娘を出してみようという試みでもあります。
言うなれば主役級の活躍の無いキャラという事になってしまいますが、圭の夜戦の相手の可能性が消えたともいえます。

それではどうぞ。


#23 閑話・とある泊地の艦隊・鹿野基地

「あかんなぁ……」

 

 偵察機から貰った情報を整理しつつ彼女は誰にともなく呟いた。

 竹ヶ島から北上する事100キロ程。鹿児島県の南東の海上にて彼女「達」は偵察活動を行っていた。

 

 旗艦である彼女。こげ茶色の髪をツインテールにし、そこにサンバイザーと思しきものを付けている。

 水干とも取れる赤い上着に黒いミニスカートをはいた和洋折衷とも取れる服装に襟首には紅い勾玉が3つ繋がったアクセサリーが付いている。

 彼女に置いて特徴的なのはその高下駄を彷彿とさせるかのような非常に厚底のブーツと、手に持っている飛行甲板が描かれた大きな巻物であろうか。

 

「やっぱ異常やな……艦隊2つ見えたよーやけどフツーにエリート級が闊歩しとる。フラ級が見えないだけでも御の字レベルやなぁ」

「そうですカー、私や龍驤ならともかく他のmemberにはまだeleet classの相手は厳しいですからネー」

 

 艦娘―――軽空母龍驤―――に隣にいる霧島と似た服装を来た艦娘が英語交じりの独特な口調で語りかける。

 

「その台詞に追加やコン。ポイの奴もサシやったら特に問題あらへんわ」

「but.普通1on1の状況がそう易々と来ると思いますカ?」

「まあそうやけどな。頭数に入れとったら万が一の時に役に立つやろ」

「確かにそれもありますネ」

 

 龍驤の言葉にコンと呼ばれた艦娘―――金剛型戦艦1番艦金剛―――は頷く。

 そして龍驤は周囲を見回しながら「しっかし」と呟いて続けた。

 

「この分やと竹ヶ島は深海棲艦に占領されとると考えた方がええやろうな」

「それは私も同意見デース」

「じゃあそいつらを倒せばいいっぽい?」

「ダァホ!!ええかポイ!今のうちらは捜索任務がメインや!全部倒しゃあええっちゅう話やないんやで!」

「龍驤さんの言う通りだよ夕立、戦いたい気持ちは分かるけど今回は抑えましょう」

「むぅ……」

 

 金剛たちの会話に、先端が桜色になっている亜麻色の髪をした夕立と呼ばれた少女が提案するも龍驤に怒鳴られ、薄茶色の髪をツインテールにして彼女と同じ服と艤装を装備した少女に諭されて押し黙る。

 

「龍驤さん、提督さんに言われていた輸送船の残骸とかは見つかってますか?」

「駄目やなユラ。この辺には残骸の「ざ」の字すら無いわ」

「とは言え提督が申していた情報ではこの辺りで通信が途絶えたとありましたし……そうなるともう少し南という事になるのでしょうか?」

「そうやなぁ……」

 

 桃色のロングヘア―をポニーテールにして黒いリボンで幾重にも結んだ少女が龍驤に問いかけるも、帰って来たのは否定的な答え。そこに栗色の髪をポニーテールにして茶色のブレザーを着たいかにもお嬢様然とした少女が提案する。

 

「そやな、クマの言う通りにちょっち南に行ってみよーか。コン、ユラ、ポイ、ムラ、それでええな?」

「私はOKデース」

「由良も異論はありませんよ」

「構いませんが、わたくしは熊野ですわ。その呼び方は何処かの軽巡と被りましてよ」

「大丈夫っぽい!」

「はいはーい、村雨もOKです」

 

 龍驤を旗艦としてそれぞれ金剛、由良、熊野、夕立、村雨の順で答えたのを聞いた龍驤はそのまま進路を南へと向けて行った。

 尚、熊野の修正意見は完全に無視であった。

 

 

 

「ビンゴ、やな」

「Yes.熊野の推測通りでしたネ。とは言え大半はもう海の底でしょうケド」

 

 先程の場所から南へ少し向かい、龍驤たちは残骸と思われる浮遊物を見つけることとなった。

 浮遊物自体が件の輸送船にて運搬していた物資なのかは確認する術を持たないが、通信の途絶えた海域に残っていた事から恐らく輸送船に積まれていた物が漂流していると推測している。

 

「仏さんもこの分やと海の底やろうなぁ……なんまんだぶなんまんだぶ」

「護衛していた艦隊も恐らくはみんな……でしょうね」

 

 合掌する龍驤に由良は気を落として言う。

 

「とりあえずはこれでmission completeですネ」

「そうやな……遺品とかの回収も無理やろうしな。そろそろ引き上げよか」

 

 と、そこへ偵察に出していた彩雲から通信が入ったため龍驤はそれを聞き……

 

「なんやと!?」

「what!?どうしましタ龍驤?」

 

 いきなり驚愕の声を出したため金剛が問いかけてくる。龍驤はそれにすら構う暇なく全員に向けて言った。

 

「全員撤退や!今すぐダッシュでズラかるで!!」

「「ええっ!?」」

「ちょっと龍驤さん、いきなり何事ですの?」

「Hey龍驤、事情を説明してもらわないと私達も理解できませんヨ!」

 

 あまりに唐突な事態に村雨と由良は驚き熊野と金剛は理由を求めてくる。

 

「未確認の個体が来ちょるんや!重巡ネ級の改フラ個体とか聞いた事ないやろ!そいつがこっちに接近中なんや!!」

「そういう事でしたか」

「そいつだけならやっぱりぶっ倒せばいいんじゃないっぽい?」

「却下ですわ夕立さん!未確認個体との戦闘など不確定要素が多すぎますわ!」

「クマの言う通りやポイ!情報が少なすぎるわ!こいつは囮で奇襲の可能性だってあり得るんやからここは逃げの一手や!」

「ええーっ!?」

 

 龍驤と熊野の反論に夕立は戦いたいのか途端に不満げな顔になる。

 

「バトルジャンキーも大概にせぇや!それともなんや……そのでかい乳を好きなだけ揉みしだかれたいんかい。ウチはそれでもええんやでぇ……」

「ひいっ!?」

 

 いきなり怪しげな笑みを浮かべながら手をわきわきと怪しく動かし始めた龍驤に夕立は自分の胸部を押さえて龍驤から後ずさる。

 

「わ、分かりました!従いますから龍驤さん夕立の胸部装甲を弄るのはやめてほしいっぽい!!」

「チッ……まあ従うんならええわ。コン、そっちも撤退でええな!?」

「OKネ!本来のmissionも完了してるから長居は無用デース!」

「よぉし、最大船速や。真っ直ぐ基地までズラかるでぇ!!」

 

 龍驤の言葉を皮切りに艦隊は基地へと移動を開始した。

 

 

 

 

 

 

「とまぁ、報告は以上やな」

「あいセンキュー。前任提督搭乗船の捜索何てみょーな任務とは言えよくやってくれたな龍驤。ご苦労さん」

「まあ正直任務内容聞かされたときは内心生きてる可能性とかゼロやろって思ってたんやけどな」

「俺だって思ってたよ。しかし上から言われた以上はやるしかないさ」

 

 九州地方は鹿児島県に位置する鹿野基地。その執務室にて龍驤は執務机に座った自身の司令官でもある男に任務の報告を行っていた。

 年の頃は30に至ったぐらいか、黒髪を短く切りそろえて無精ひげを生やし、汚れ一つない第2種軍装をきっちりと着込んだ男。

 

 先任の提督が異動となった際に交代要員としてやって来た彼であるが、まさか交代後の初任務がその先任が乗っていた船の捜索だとは夢にも思っていなかったのだ。

 

「しっかし、気になるのはネ級の改フラグシップか。聞いた限りだとエリート級までしか確認されていない筈なんだがなこいつ。おまけにこんな日本の近海に来てるってのが引っかかるんだよなぁ」

「深海棲艦達の新戦力っちゅう訳かいな?それをここいらでテストしてるとか?」

「だったら別の場所で行う筈だろ?肝心のテストモデルを撃破されたら元も子もないからな」

「確かにそうやなぁ……」

「とは言え事実この辺りでネ級改フラッグシップが確認されている。仮にこれが連中が戦力増強を行い始めた事実となると厄介な事になるな……」

 

 それが事実だった場合対深海棲艦戦に更なる難敵が生まれたという事になる。ただでさえ制海権を奪われ、苦しい戦いを行いながらも何とか海を取り返してきた状況なのだ。

 そんな状況に置いて強力な戦力を敵の中枢や重要拠点では無く国の近海に提供できているという事は、これと同一個体が最前線では量産されているという事になる。

 

 間違いなく人類の勝率は下がる。間違いなく更なる難局が訪れることとなる。

 

 しかしこれは最悪の可能性ではあるのだが、その最悪を考えておくのも大事ではある。だからと言って最悪の可能性ばかりに目が行き過ぎて行動を起こせなくなるのも不味い。

 とは言え今回の一件に関してはこの提督だけで対処できる事態を超えている可能性がある。

 

「まあ兎に角任務ご苦労さん。後は報告書作って上に送るだけだからお前も入居して来ていいぞ」

「了解や。それじゃあな」

 

 龍驤は敬礼して退室して行った。執務室に残されたのは提督のみ。

 

 

 

「面倒な事になったもんやなぁ……」

 

 それから数十分後。入渠を終えた龍驤は1人鎮守府の廊下を小声でつぶやきながら歩いていた。面倒とは勿論先程提督に報告を行ったネ級改フラグシップの事だ。

 何故あのようなフラッグシップ級の個体が深海棲艦の主力が存在する南方や中部海域等では無くこんな近海にいるのか。何故艦隊を組まずに単艦で行動していたのか等々……疑問は尽きない。

 偵察任務の可能性も考えたがそれならば駆逐級にでも任せた方がいい筈である。

 

 可能性として考えられるのは

 

「やっぱ遊撃任務の類かいなねぇ。とは言えそれでも単独で行動しちょる……っちゅうのが気になるなぁ……ん?」

 

 顎に手を当てながら廊下のT字路に差し掛かると、視界の片隅に人がいるのが見えたのでそちらを見る。

 

 龍驤の振りむいた先の廊下にいたのは少女。紺色の髪を背中辺りまで伸ばしてセーラー服を着た、頭頂部の1回転したアホ毛が特徴的な少女。そんな子が1人歩いていた。方向的に向かっているのは執務室であろうか。勿論この艦隊に所属している艦娘であり、龍驤も知る子であった。

 

 そして、艦娘が誰なのかを理解した瞬間、龍驤は口角を釣り上げ傍から見たら凄まじく嫌な笑みを見せた。具体的にはろくでもない事を考えているかのような……

 

 そのまま龍驤はその艦娘に向けて歩き始めた。ただし、今度は忍び足で……

 

 艦娘に気付かれないよう音を立てずに……ゆっくりと、だが少しずつ距離を詰めていき……

 

 

 

「潮ちゃぁぁぁぁぁぁん!!」

「ひにゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 至近距離まで近づいた瞬間、龍驤は思いっ切り彼女―――駆逐艦潮―――の胸に手を回し、彼女の駆逐艦娘とは思えない程豊満な胸を揉んだ!そしてそのまま胸を弄り回す!

 

「今まで遠征やったんやろぉぉぉぉっ!?お疲れさんやなぁぁぁぁぁっ!!」

「あっ、嫌っ、やめてください!」

「ああーもう今日もええ感じの揉み応えやなぁぁぁぁぁっ!!げぇぇぇっひぇっひぇっひぇっひぇっ!!たまらんわなぁ!!」

「嫌ぁぁぁぁぁぁっ!!お願いですからやめてくださいぃぃぃぃぃぃっ!!」

「よいではないかよいではないかぁぁぁぁぁっ!!」

「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

 

 

 

 

 龍驤が入渠に向かって暫くした時。執務室には提督と変わりの秘書艦である金剛、そして艦娘がもう1人の計3人がいた。提督は書類整理を行ってはいたが、それはほぼほぼ終わっており、後は念の為の確認だけとなっていた。

 

「よし、今日の書類は終わり!」

「お疲れさまデース!」

「Admiral,終わったようですね」

 

 記入等の漏れが無い事を確認した彼は軽く伸びを行い、一息付いて執務机の引き出しを一つ開けるとそこに置いていた煙草を1本取り出して一緒に置いていたマッチ箱からマッチ棒を取り出して火をつける。

 ゆっくりと煙を吸った後、口から煙草を離して煙を吐き出す。

 

「しっかし、面倒な事になったもんだなぁ……」

 

 思わずぼやきが出た。

 

「あのネ級フラ改の事デスか?」

「What?それは一体?」

「ああ、ウォースパイトにはまだ話してなかったな」

 

 金剛の言葉にもう1人のウォースパイトと呼ばれた艦娘が問いかけて来た。

 

 見た目は色白で碧眼、セミロングの金髪を一部を三つ編みとし、それに加えてティアラを付けている。服装は肩が露出したドレスのような服を着ている。

 まさにヨーロッパ圏の貴族の女性のような佇まいであるが、彼女は最近になってこの鹿野基地にやって来た純英国艦のクイーンエリザベス級戦艦2番艦のウォースパイトであった。

 実艦が英国生まれ繋がりが原因なのか、ここに来てすぐに金剛と意気投合し、今では熊野も参加して3人で茶会を開く程仲良くなっている。

 この基地ではまだ新参だが実力は十分にある彼女にこの事を伝えていない事を忘れていた。

 

「まあウォースパイトにも伝えておいた方がいいか。今日龍驤達が探査任務にあたっていた時に、単独行動している異常な個体を確認したんだよ。以前からこういった個体は他の海域でも発見ないしは交戦した記録はあったんだがその殆どが良くて相手の撤退、悪けりゃ艦隊が壊滅していたんだよ。幸い今回は龍驤が即座に撤退に移ったために被害は無かったんだがな」

「それが金剛の言っていた「ネclass flagship custom」ですか……」

「ウォースパイト。イギリスから来たお前だが、今回のネ級みたいに普通とは違う個体の情報を聞いたりしたことは無かったか?」

「sorry.私も本国でそのような話は聞いたことありません」

「そうか……分かった。まあ特に気にしなくていいよ」

 

 ウォースパイトの申し訳なさそうな言葉にある程度の予測をしていた提督は特に気にすることは無く煙草を吹かせる。

 

「一応今のうちに伝えておく。今回確認されたネ級改フラッグシップみたいに、こう言った明らかに未確認な連中と遭遇ないしは発見した場合、現時点においては俺か上の許可が出ない以上手を出すな。下手に手を出して大損害何て目も当てられんからな。後で他の連中にも俺から伝えておく」

「「Yes sir!」」

 

 金剛とウォースパイトは同時に敬礼して返答する。と、そこへ……

 

「潮ちゃぁぁぁぁぁぁん!!」

「ひにゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 廊下の方から大きな声と悲鳴が聞こえ、その声の主を理解した提督と金剛は腰を抜かした。

 

「悲鳴!?What happened!?」

 

 この艦隊に来て日の浅いウォースパイトは何が起こったのか理解できず、執務室を出て廊下の状況を確認しようとする。

 

「あー、いや……ウォースパイト。気にしなくていい。内の龍驤の悪癖とそれによる哀れな犠牲だ」

「えっと……どういう事でしょうカ?」

「恐らく龍驤が潮のbreastを掴んだんでしょうネ……」

「艦娘に個体差が出てくるというのは理解していたが……何故うちの龍驤は変態になってしまったんだ……」

「Oh……大丈夫でしょうか?」

 

 さすがにウォースパイトも返答に困ったのか、それ以上何も言ってこなかった。

 

 提督が述べたように現出する同じ艦が原形となっていながらも、艦娘に微妙な性格の差が出てくると言うのは各提督達の周知の事実であった。

 例えば空母加賀と空母瑞鶴の一航戦と五航戦の2人は場所によっては艦隊運営に支障が出ない程度とは言えいざ目を合わせたら無言の睨み合いが始まる個体も存在すれば、お互いに悪口を言い合いながらも絶妙なコンビネーションを発揮する個体も場所によっては存在したりするのだ。

 

 ここの龍驤もまたその性格の違う個体の1つではあったのだが……

 ここの彼女に関しては事あるごとに胸部装甲の大きな艦娘の胸を揉もうと画策したリ、いざ行動が成功すればオッサンのような酷い笑い方を行ったり、あまつさえは着任したスタイルの良い艦娘に「ちちしりふとももーーーー!!」と雄叫びをあげながらどこぞの怪盗3代目の行うようなダイブを行ったりもしたのだ。

 早い話が凄まじいまでの助平であったのだ。おまけに幾度となく迎撃を受けて大破しても懲りないのだから始末に負えない。

 この基地の艦隊において金剛と1、2を争うほどの実力者であるのは確かなのだが、その性格が全てを帳消しにしているどころかマイナス方向に天元突破しているかのようであった。

 

 だが、そんな危険物とも取れる彼女をのさばらせて置くほど提督は甘くは無い。

 

「ドーモ。龍驤=サン。憲兵です」

「アイエェェェェェェ!?ケンペイ!?ケンペイナンデ!?」

 

 そんな会話が廊下の方から聞こえた後、しばらく何かを引き摺るような音が聞こえたがやがてそれも収まり、執務室の外は静かになった。

 つまりはそういう事。憲兵隊を少しだけ多めに配備していたのだった。

 

 その配備した憲兵隊が全員が全員、「憲」「兵」と彫られた鋼鉄メンポを装備しているのは謎である。

 

「まあこういう事だ。うちには優秀な憲兵がいるんで問題ない……とは言えいい加減龍驤も懲りて欲しいんだがな」

「以前問いただしたら「貧乳キャラには巨乳を揉みしだく理由と権利があるんや!」と力説してましたネー」

「Oh my god……俗に言うJapanese HENTAIですか……」

 

 溜息を吐く提督に金剛も彼女の力説を思い出したのか頭を抱えながら呟く。

 

「と、兎に角さっきも言ったように明らかに見た目が異常な個体を見つけたら戦闘は避ける事。頼むぞ」

「「Yws sir!!」」

 

 再び2人は敬礼を行い、執務室から去って行った。部屋に残されたのは提督のみ。

 提督は煙草を消して一つ溜息を吐く。

 

「まったくもって面倒な事になったもんだ。何だよ重巡ネ級改フラッグシップって……深海棲艦太平洋艦隊の中枢近辺でもそんなもの確認された事は無いぞ……」

 

 執務机に海図を広げつつ呟く。海図に描かれていたのは九州地方南部のもの。提督は海図に描かれている竹ヶ島の北の海上部分に指を置いた。

 

「場所的にこの辺か。で、輸送船の残骸があったのもほぼ同じ場所……これは輸送船撃沈の犯人はこいつの可能性が高い訳か……こうなると竹ヶ島は制圧されて敵に利用されていると考えるべきか……いやしかし」

 

 そこで言葉を止めて唸り、海図を指でなぞって行く。

 

 なぞった場所は、深海棲艦のエリート級が確認された付近の海域。

 調度琉球海溝の真上を通るラインから南東方面にエリート級が確認されており、九州よりになるとそれが途端に確認されなくなる。

 これが現時点における深海棲艦達のエリート級が防衛しているラインぎりぎりなのではないかと提督は推測している。

 

 だが、しかし……

 

「仮に竹ヶ島が制圧されていて深海棲艦の拠点として使われているんだったらとうにこの辺りにも深海棲艦の主力艦隊が襲ってきている筈か……」

 

 そうなっていた場合、この辺りは南方や太平洋中部程ではないにせよ最前線となっていた筈だ。

 それが無いという事は……

 

「あーもう、ここで推測をおしなべても意味無いか。取りあえずは上に深海棲艦の拠点化の可能性と言う名目で竹ヶ島の調査を打診してみよう。現状あの辺りに何かあるかもしれんし、仮に拠点になっていたら喉元に刃突きつけられっぱなしの状態になるからな。よし、そうしよう」

 

 そのまま提督はかぶりを振り、行動を開始した。

 

 

 

 そんな、とある鎮守府での一幕であった。




いかがでしたでしょうか。

今回は艦娘の性格に結構な改変を入れた子がいる為その子が嫁の提督に石を投げられるんじゃないかと不安だったりします。
まあ言わずもがな龍驤ですが。

言ってしまえばこの作品世界の艦娘には微妙な個体差がある設定ですが、それならばおっぱい星人の龍驤がいてもいいんじゃないかというちょっとした作者の暴走の結果です。

それではこの辺で。
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