Fleet Combat -Dawn of the horizontal line-   作:大川静真

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みなさんおはようございます。こんにちは。こんばんは。大川静真です。
秋刀魚漁イベントが始まりましたが進捗はいかがでしょうか?

タイトルの元ネタはエースコンバット04にて民間航空機の護衛ミッションの所からですね。護衛つながりでの採用だったりします。

後、今回から圭以外の相手からの視点を導入してみました。今後こういった別視点も増やして行こうかと思っていますので試験的な導入と言うべきでしょうか。

それではどうぞ。


2015/12/20 F-15C妖精達の発艦時の会話を一部追加しました。


#8 エスコート-Escort-

「いっけぇぇぇぇぇっ!!」

「見つけたよ!」

 

 時雨と白露の2人から発射されたハープーンミサイルが砲撃を行おうとしていた重巡リ級に直進。自分の射程外から駆逐艦達の攻撃が来るとは思っていなかったであろうリ級は反応することすら無く爆散した。

 

「攻撃隊、発艦始め!A-10隊、行って来い!」

≪≪≪休んでいる暇はない!さあ出撃だ!≫≫≫

 

 俺の合図で射出時の強い衝撃とともにA-10隊が発艦。駆逐ロ級2体の少し後ろで魚雷を放たんと待機していた雷巡チ級にアベンジャーの乱射が直撃し撃沈した。残り2!

 A-10隊がチ級を攻撃しているその間に俺は左手にファランクスを持って移動、砲撃体制に移行していたロ級2体の間に照準を合わせる。

 狙うは敵の足元付近。直撃しなくても牽制になればそれでよし!

 

「白露、時雨!相手が足を止めたら砲撃開始!」

「まいどありー♪」

「残念だったね!」

 

 俺のファランクスによる掃射が残っていたロ級2体の足を止め、その隙を時雨と白露2人によるオート・メラーラ76mm砲の一斉射撃が2体をそれぞれ撃ち貫いた。

 

 

 

「周囲の敵影なし。レーダーにも反応は皆無っと……戦闘終了だな」

「ふぅ……何とかなったね」

「いぇーーい!大勝利ーーー!」

「2人ともお疲れ」

 

 一息ついた後一か所に集まり俺は時雨達に労いの言葉をおくる。相変わらず白露はハイテンションだな。

 

 現在時刻は昼前。相変わらずの青い空と青い海が広がっているだけだ。こうして平穏な海だけを見ていると深海棲艦の脅威が襲ってきている何て思えないくらい平和だよなぁ。

 まあそんな平和を謳歌できるような状態じゃないのは理解しているのだが。

 

「圭、ちょっと気になったんだけどあの艦載機妖精達って何であんな事言ってたの?」

 

 艦載機達の着艦作業を行っていたところA-10隊を見て気になったのか時雨が俺に問いかけてくる。あれか……

 

「あー、それか。俺も気になって以前聞いたことがあったんだよ」

 

 「そしたら……」と続け、A-10隊の妖精達に視線を送る。俺の視線に気づいた妖精達は口をそろえて

 

『『『我らが敬愛する爆撃神様のありがたいお言葉です!』』』

「……だそうだ」

「あはは…………」

 

 力説して来た妖精達に時雨は苦笑いするしかなかったらしく、口をひくつかせていた……うん、気持ちはよくわかるぞ時雨よ。つーか誰だよその爆撃神って……

 

「まあ、2人も現状の艤装に慣れてきているみたいだし今日はこれで充分だろ。連中の残骸を回収したら帰還しよう」

「うん」

「はーい!」

 

 そのまま俺達は残骸の回収を始めた。

 

 

 

 あれから3日ほど経過し、相変わらず俺達は近海で散発する深海棲艦の掃討を行いつつ2人を艤装に慣れさせるための訓練も行っていた。

 白露達2人の魔改造艤装は現状問題なく動作しており、2人もある程度勝手を掴みつつあった。

 とはいえよく言われるように慣れ始めが一番危ないのは俺自身重々承知している為、2人―――特に突撃癖のある白露―――の動向に注意しつつ戦闘していた。2人の動きを見つつ俺も戦わなきゃいけない為つらい部分もあるが、この辺は仕方あるまい。

 

 今まで動きを見ていた感じでは、まずは何かと1番に固執して突撃する白露。確かに彼女の突撃は切り込み役としては優秀かもしれんが、無策の突撃が原因で窮地に陥ろうものなら笑い話にはならない。だが彼女の突撃が敵の動きを乱し、相手の足並みを狂わせているのも確かではある。

 逆に時雨は俺達の動きをよく見ていて、攻めるときは白露と一緒に攻めるが引き際を弁えており無謀な突出はしていない。時々こちらを見てたりもするしな。そして白露が危ない時は彼女を引き止めてでも待ったをかけているし、時雨は自分の中でブレーキ役としての役割を認識しているのかもしれない。

 これが、俺の中での彼女達2人の評価。

 

 まあ、純粋に戦力が増えたこともあって現状苦戦するような事態は起きてはいない。

 だからといって油断する訳にもいかない。未だに戦闘経験のない敵の戦艦級や空母級が出てきたら苦戦は必至だろうしその辺の対策も追々考えておかねばならんな。

 さて、どうしたものか……

 

 

 

「しかし、どうしてA-10はこうも射出時に結構な衝撃が来るんだろうか?」

『大将知らんのか?本来ならA-10は艦載機じゃないぞ』

「…………マジ?」

『マジだ。それと俺達のF-15もまた本来なら艦載機じゃない筈なんだ。それが何故ケストレルから発艦できるかは俺達も知らん』

 

 じゃあエースコンバット5でのあれはどうやったんだろうか……ゲーム上の演出と言ったらそれまでな気がするなぁ。

 

 

 

「「「艦娘が深海棲艦に追われながら島に接近している?」」」

『ええ』

 

 基地に帰還して艤装を外し、使用した弾薬や艤装の燃料を補給している最中に主任から聞かされた事態に俺達3人はものの見事にハモった。

 なんでも基地近海偵察用の偵察機が哨戒中に捉えたらしく、1人の艦娘が結構な数の深海棲艦に追われながらこの島に接近しているらしい。

 

「どうするの圭?」

「ふむ……」

 

 時雨が俺に問いかけてくるが、俺は顎に手を置き考える。

 

 この件に関しては助けるのが道理なのだろうが……俺が出撃するとなると話が変わってくる。

 仮にその艦娘が人類側につながりのある場合、俺と遭遇後そのまま芋づる式に人類に知れ渡った場合を考えてしまう。

 確か聞いた限りでは艤装の適合に成功した男性個体は艦娘の登場以来1度とて確認されていないのだ。

 

 俺以外には。

 

 それを踏まえて想定すると、男性に適応した艤装ユニットの開発や近代兵器の開発、艦娘達への移植という名目で捕らえられ、実験動物的扱いをされる可能性がある。

 そう言った可能性が消えないからこそ人類側への接触を躊躇しているのだが……

 

 チラリと時雨の方を見る。白露と時雨は俺の考えを察したのか否か、心配そうにこちらを見ている。

 

 

 

 ……艤装さえなけりゃ何の変哲もない普通の少女にしか見えないよな……そんな子が殺されそうになっている……か。

 

 

 

「行こう。さすがに見ないふりは寝覚めが悪いからな」

「……っ!うんっ!」

 

 心を決めた俺の言葉に2人は顔を明るくし、力強くうなずいた。

 この選択がどうなるかは分からない。だが目の前で奪われそうになっている命を無視できる程俺は外道にはなれない。

 妖精Bに言わせたら甘い考えかもしれん。だがこの考えは、この考えだけは変えたくない。せめて……自分の手の届く範囲でだけは可能な限り救いたいから。

 

「という訳だ主任。俺達の艤装の弾薬類の補給を急いでもらえるか?」

『分かりました!聞きましたね皆さん!作業を急いでください!』

 

 主任は笑顔で答えると他の妖精達に行動を急がせる。

 

「2人とも聞いてたな。連続出撃だが頑張ろう」

「うん!頑張るよ!」

「僕もやるよ!」

 

 この選択がどうなるか……後は野となれ山となれ……だっけか?

 

 

 

―――side out―――

 

 

 

―――side ???―――

 

 

 

 彼女は只管逃げていた。

 

 

 

 何に?

 

 

 

 深海棲艦に。そして彼女を取り巻く環境に……

 

 

 

 どうして?

 

 

 

 不要な欠落品扱いされ、艦娘としてすらも扱われず、あまつさえ偵察とは名ばかりの使い捨ての駒として扱われたが故に……

 

 

 

 でも……

 

 

 

 何処へ逃げればいいというのか?

 

 

 

 自分の所属していた鎮守府から捨てられ、深海棲艦からも追われ、今も砲撃を放たれ傷つきながら何処へ行けば助かるとでもいうのだろうか。

 

 

 

「ここまで……なのかしらね……」

 

 誰にともなく呟いた。そしてその呟きを聞き取ったかのように直後に敵の砲撃が彼女の左すぐそばの水面に直撃、水柱を上げる。気を取られ、足を止めるがすぐにそれが失敗だと理解した。

 後ろを見れば追跡していた深海棲艦達の旗艦と思われる戦艦ル級がこちらに砲を向けており、完全に追い付かれたようだ。

 

 戦艦ル級の他にも軽巡へ級が2体に駆逐ハ級が3体、駆逐ニ級が1体に重巡リ級が1体、さらにはル級の後方に軽空母ヌ級が2体と計10体。自分一人を討つ為だけなのだろうか、或いは別の理由があるのか深海棲艦達の心理は分かりはしないが、大盤振る舞いの大艦隊だ。

 

 完全に、積んだ。最早回避運動を行う余地すら与えずにル級達の砲撃が自身を貫くだろう。追いかけっこは終わりと言わんばかりに爛々と発光している目がこちらを捉えて離さない。

 

「本当……不幸だわ……」

 

 艦娘としての存在意義すら与えられず、何のためにこの世に生み出されたのかすら分からぬまま死ぬ。これ以外の選択肢は与えられない。

 そんな絶望的な状況下で彼女―――扶桑型戦艦2番艦山城―――の呟きは自分以外に聞かれることすら無かった。

 

 そして集まって来た深海棲艦達が自身に砲門を向け今まさに一斉砲撃が始まろうとした瞬間。

 

 

 

 周囲にいた敵の駆逐ハ級が1体、突如として爆散した。

 

 

 

「…………へ?」

 

 突然起こった深海棲艦の爆発に山城は呆然とする。見れば周りの深海棲艦達も予想外の事態に何が起こったのか理解が追い付いていないようだ。

 

 そして、後方から何やら自身の船としても艦娘としても記憶にすらない音が聞こえる。段々と大きくなっている事からその音の主は此方に接近して来てるようだ。

 

 やがて、彼女の横を自分が体験したことの無いほどのスピードで何かが通り過ぎた。その数12。

 

「……何……あれ?」

 

 見えたのは奇妙な飛行ユニット。かつての零戦のようなプロペラを持たず後ろから勢いよく吹き出る炎で推進しているであろう機体。それが自身を無視して深海棲艦達に襲い掛かった。

 ヌ級が慌てて艦載機を飛ばし始めるが、既に遅きに失しており発艦は行えたものの艦載機の悉くが即座に叩き落とされていった。

 

「……味方……なのかしら?」

 

 問いかけに答えてくれる相手はここにはいなかったが、ふと上を見ると上空にオートジャイロと思わしき機体が自分に近づいてきた。

 それはある一定の高度に付くとライトを点滅させてきた。点滅は不規則のようでその実一つのメッセージを彼女に送っていた。

 

 

 

 点滅の正体……モールス信号。

 

 

 

「「コレヨリ貴君ヲ援護スル。ソノママ撤退サレタシ」……ほんとに、ほんとに味方なの!?」

 

 事実を確認するために山城は深海棲艦に背を向け移動を再開する。しかし迷走していた先ほどまでとは違い、今度ははっきりとした意思で進む。

 何故自分を助けたのか。何故欠落品と呼ばれた自分に対し援護を行ったのか。それよりも山城の船としての記憶にすら存在しないあの飛行ユニットは一体何なのか。

 

 

 

 そして、何故こんな「あいつら」の存在が確認された危険な海域で援護を出す等の活動が可能なのか。

 謎は尽きないがそれでも山城は進む。自身が助かる可能性に賭けて。

 

 

 

 やがて少し進んだ辺りで一つの人影が接近しているのが見えた。それは自分を確認すると真っ直ぐと向かって来た。

 近づくにつれてその影の正体がはっきりと分かるようになり……山城はまたも驚愕した。

 

「山城っ!」

「……へっ?……あなたは」

 

 黒髪を三つ編みにして左肩から前に出し、頭頂部付近の髪が左右1ヵ所だけ少しはねた髪型をし、黒い制服のような服を着て艤装を纏った少女。

 艦娘としては初対面ではあるが山城は確かに彼女の事をかつての「船」として知っていた。

 

 

 

 ―――運命のあの日、自分と姉の指揮する艦隊の随伴艦の1つとして行動していた駆逐艦―――

 

 

 

「時雨……なの?」

 

 

 

―――Side out―――

 

 

 

―――Side 圭―――

 

 

 

「圭さん!いっちばん初めに敵艦隊を見つけたよ!」

「よくやった白露。敵の数は?」

「ハ級3ニ級1ヘ級2リ級とル級が1ずつ、それと後ヌ級が2体いるよ!」

「駆逐4軽巡2重巡1戦艦1軽空母2……計10体か。多いね」

「だな……とはいえやるしかあるまい!」

 

 時雨の言葉に俺は頷く。そうだ、今この状況において自分に出来うる事を1つ1つやっていくしかない!

 

「攻撃隊!発艦始め!戦闘エリアの制空権の確保、攻撃隊は可能ならば敵艦船の撃破を頼む!白露と時雨は60を発艦させて艦娘の方の護衛に当たらせてくれ!ホークアイも発艦して周辺海域の索敵を!」

≪≪≪了解しました!≫≫≫

「うん!」

「りょーかいです!」

 

 俺はいつものごとく艦載機を発艦させる。今回に関しては敵の軽空母級がいるから艦載機も多めに必要だろうと判断し、いつもより少し多めにトムキャットとスーパーホーネットを6機ずつだ。状況次第ではさらに追加で発艦も考えておこう。

 攻撃機のスーパーホーネットにはロングレンジ対艦ミサイルを装備させた。これで敵の戦艦級を叩き潰すことができれば御の字ではあるが……

 

 

 

 その後、交戦距離に入った艦載機達は艦娘の近くにいた敵の駆逐ハ級をミサイルで撃沈させた後、ヌ級が発艦させた艦載機と戦闘を始めた。

 戦艦級や軽空母級の撃沈には至らなかったが、敵の数が減っただけマシか。ヌ級の慌ててるようにも見えた発艦状態から相手の方も想定外の増援に浮き足立っているみたいだし。

 

「さて、俺の艦載機が敵の空母級にどれほど効果があr「山城!?」……って時雨どうした?」

 

 いきなり横から時雨が叫ぶ。俺の問いかけにも聞く耳持たず時雨はそのまま前進した。って今の台詞からしてまさか!?

 

「待て待て時雨!お前あの艦娘が誰なのかしってるのか!?」

「僕の……僕の知ってる艦娘だと思う!ごめん圭、僕先行するね!」

「いや、どうしてそうなる。全員で行ってその山城って艦娘を守る選択肢は無いのかよ」

「…………あっ」

 

 しばしの沈黙の後、時雨は我に返ったかのように顔を赤くする。思い立ったら突撃する癖は姉妹共通か……

 しかし、時雨の方は今にも飛び出していきそうで体がうずうずしているのが目に見えるほどだ。うーむ。

 

「とはいえ少し急いだ方がいいのは確かか……」

「圭さん。やっぱりこのまま時雨に先行させて山城って艦娘さんを援護させた方がいいんじゃないの?」

「白露!?」

 

 白露が思わぬ提案をしてきた為、俺は驚く。いつもなら「いっちばん最初に攻撃するよ!」って言って突撃する筈の白露が、だ。

 少し俺は思案する。これはやはり……

 

「ふむ……確かに艦娘の方に護衛を付けたほうが万が一に対応できるか……よし、時雨はそのまま先行して山城って艦娘の援護を!白露は俺の護衛を頼む!」

「うん!」

「わっかりましたー!」

 

 そのまま時雨は山城の方に向かって進撃していき、残ったのは俺と白露だけになった。時雨を見送って俺は白露に顔を向ける。

 

「しかし、いっつも突撃するお前が自粛して時雨の方を先行させるとは思わなかったぞ」

「時雨の知り合いじゃなかったら私が突撃してたけどね。多分船としての時に知り合った相手みたいだから、ここは時雨に向かわせて少しでも再会を祝わせてあげようって思っただけだよ」

「お前なりに考えてたって訳か」

「エッヘン!私がいっちばんお姉ちゃんだからね!」

「自分が長女って事と関係あんのかそれは?」

 

 まあいいか。こいつが妹想いな姉だってことが、普段の性格が固定概念みたいな感じで頭にあったため意外ではあったな。

 とはいえ今は目の前の敵を何とかしよう。

 

 空の状況を見るに先手を取れたのが幸いしたのか此方側の優勢に思える。俺とヌ級の艦載機の性能が違うという可能性もあるが、それだけが原因じゃないだろう。

 

「さて……第2次攻撃隊、続けて発艦始め!行って来いA-10隊!白露は敵艦船にミサイル攻撃後俺と一緒に前進!時雨達のそばまで向かうぞ!」

「りょーかい!」

≪≪≪休養などはとっていられない!すぐに出撃だ!≫≫≫

 

 何故かナチス式敬礼を行いながらハモるA-10妖精達。いや、それは取ろうよ……というその敬礼は色々と不味くないか?

 こいつらは「爆撃神」とやらの言葉を出撃時に言うみたいだけど、どんだけ休みなしで戦ってたんだよその人?神?は……

 うん。気にしない事にしよう。

 

 さてさて軽空母級の艦載機と戦っている方を見るとトムキャット隊が敵の艦載機部隊を悉く撃沈している。制空優勢と言ったところか。やっぱり先手を取れたのが大きかったようだな。

 あ、軽巡ヘ級が1体、白露の発射したミサイルの直撃受けて爆散した。さらにハ級の1体も山城って艦娘の前に出ていた時雨の砲撃を受けて沈んだようだ。

 

 これはもう制空権確保も時間の問題k

 

≪オメガ11、イジェークト!≫

「……」

 

 白露と一緒に前進しようとした所に1機、煙を吹いて落ちつつある艦載機が視界に入る。だがその時に入って来た通信に俺は思いっ切りずっこけた。

 

「ふえっ!?圭さん!?」

 

 白露が俺の突然の奇行に驚くが、戦闘中という事で俺は慌てて体制を整えた。

 というか待て今の通信は!何であのベイルアウトの達人(笑)が妖精達の中にいるんだよ!艦娘として活動してから初の艦載機被撃墜だってのにそれが全部吹っ飛んだわ!

 

「だ、大丈夫圭さん!?もしかして今煙吹いてた艦載機に何か原因があるの!?」

「大丈夫だ、問題無い」

 

 頭を抱えながら白露の問いかけに答える。それは大丈夫じゃない台詞だと何処からか聞こえた気がするが気のせいだ。

 

「と、とにかく前進だ。あの艦娘の前に出て可能な限り彼女に被害が及ばないよう敵を撃破して行こう」

「う、うん!」

 

 俺と白露の2人は敵の軍団に向けて進撃する。

 やがて時雨と山城という艦娘に近づき、そのまま2人を横切って敵の前に躍り出た。

 

「時雨はそのままその山城って艦娘の撤退を護衛!俺と白露と艦載機達で残存している敵を迎撃する!行くぞ白露!」

「うん!」

「いっちばん多く敵に攻撃するよ!」

 

 横切るついでに2人に指示を出し、時雨と白露の返事を聞いて俺は敵に向き直る。山城が何か言いたそうな顔をしていたが今は彼女の相手をしている暇はない。

 相手も状況を理解したのか時雨と共に後退していった。これで当面は大丈夫かね。

 さて、山城の護衛は時雨に任せて俺と白露は敵の迎撃に専念するとしようか。俺は発艦ユニットをファランクスに持ち替えつつ白露と共に敵艦隊に接近した。

 

 現在の相手の残存戦力は駆逐ハ級及びニ級が1ずつ、軽巡へ級1重巡リ級1に戦艦ル級1、そして軽空母ヌ級が2か。うちヌ級1体は少しずつだが後退しているように思える。

 これは、相手の艦載機が全機撃墜されたとかか?或いは異常事態を察知して増援の要請にでも行く気か?

 

 まあ、だからと言って逃がすつもりはない!非情だろうがこちらも命がかかっている!

 

「ハープーン発射!」

 

 俺は奥にいたヌ級に向けてミサイルを発射した。

 ミサイルはヌ級に向けて真っ直ぐ進み、ヌ級が反応する暇すら与えず直撃し、一撃で轟沈させた。残り6!

 

「散開して攻撃、各個撃破するぞ!くれぐれも戦艦の砲撃に当たるなよ!」

「はーい!」

 

 白露に指示を出しつつ俺はファランクスを構え軽巡へ級に向けて斉射する。へ級は砲撃を行おうとしていたが実行すること叶わずハチの巣となり、爆散しそのまま海に沈んでいった。残り5。

 この短時間で複数の艦が沈められるという異常事態に半ば呆然としていた深海棲艦達だったが慌てて俺達に砲撃を開始した。

 特に空母でありながら直接攻撃手段を持つ俺を危険因子と判断したのか、ル級とリ級の2体とニ級がこちらを狙っている。残っていたヌ級とハ級の2体は白露の方に行ったか。

 

<艦載機隊は白露に向かったヌ級及び艦載機の相手を!それが終わり次第こっちに来てくれ!>

≪戦艦相手に大丈夫ですか!?≫

<持たせてみせる!>

 

 艦載機妖精達に指示を出しつつ移動して次の狙いを定めようとしていた時、ぞくりと寒気のようなものが背中を走った。寒気の正体が何なのかは不明。

 だが、これは今までの戦いの中何度か感じた感覚……

 

 

 

 恐らくこれは敵の殺意……そして、何かが……来る。

 

 

 

 慌てて俺は急旋回を行い進行方向を変える。その直後に俺の向かおうとしていた先に今までのとは明らかに違うと分かるほどの巨大な水柱が発生した。

 水柱の大きさからその攻撃の威力が一体どれ程のものだったかが窺える。そして今、それを実行に移せる奴が確かに存在する。

 

 

 

 戦艦ル級の砲撃。

 見るとル級が砲塔をこちらに向けており、そのうちの1門から煙のような物体が上がっている。

 

 ええい!これが戦艦級の砲撃かよ!仮に当たったらひとたまりもないじゃねぇか!普通の戦艦級でこれなら他の鬼や姫クラスは一体どんな火力を持ってるんだよ!

 

「だがやるしかない!≪こちらホークアイ。ケストレル、緊急事態です!≫<どうした!?>」

 

 唐突に偵察を行っていたホークアイから通信が入る。

 

≪時雨と山城の進行ルート上に敵の増援を確認!空母ヲ級と重巡リ級がそれぞれ1、駆逐イ級が2の計4体です!≫

<何だと!?>

 

 良くない事は連続して起こるものなのだろうか。ホークアイからの通信内容に俺は驚く。

 こんな状況で増援、しかも空母ヲ級がいるとなると護衛が時雨1人ではさすがに拙い!俺がヲ級の相手をするのがベストなのだろうが、向かおうにもル級がむざむざと見逃してくれるはずも無し!ええいどうすれば!?

 俺が必死に対応を考えていたそこへ、妖精Bが俺に話しかけて来た。

 

『大将!俺達が出て時雨達の方の護衛につく!』

「っ!?」

 

 自分達が時雨の方の護衛に向かうという発言。それは「彼ら」が出撃するという事だ。

 

 だが、それは……

 

 正直な話、俺は「彼ら」をメインで戦わせたくないのだ。

 現状彼の提案がベストなのは分かってはいるが……

 

『迷ってる暇があったらはやくやれ!間に合わなくなっても知らんぞ!』

「っ!?分かった。すまんが頼む!2人が無事に撤退できるようにエスコートしてくれ!」

『了解です!』

 

 俺は声を荒げて来た妖精Bの提案を飲みル級の砲撃を回避しつつ時雨達のいる方向の上空に発艦ユニットを向ける。

 

<発艦始め!護衛頼んだぞ!>

≪お財布握りしめて待ってろよ!行くぜ相棒!お前も遅れるなよ!≫

≪……(コクリ)≫

≪分かってますよ!ようし!さあ行くか!≫

 

 F-15C隊の3機が発艦した。傍から見ればたった3機の編成だが……まあこいつらならさっきのオメガ11妖精とは違って撃墜される可能性はかなり低いだろう。というか妖精AとBの撃墜されるイメージが想像できないんだよな。

 

「さて、向こうは時雨と妖精達に任せるしかないか……」

 

 俺が出来ることはやった!後は時雨や妖精達を信じるのみ!

 意気込み武器を構えつつ移動する。兎に角狙いを定まらせないように!動きを予測されないように不規則に!同時に相手の隙を逃さないように!

 やらねばならないことがあまりにも多いがワンミスがそのまま死を意味する。やるしかない、やらねばならない。

 相手の殺意に呑まれるな!呑まれて動きを止めればそれは自ら首を差し出すことと同義!ならば焦るな。血気にはやるな。冷静に周りを見て行動しろ。第六感を含むすべての感覚を極限まで研ぎ澄ませ。

 

 そう、(EDGE)のように。

 

「そこだ!」

 

 回避をしつつ俺に向けて狙いをつけていたニ級に、数減らしと牽制の両方の思惑を乗せてファランクスを発射する。沈めることが出来れば御の字、そうでなくても時間稼ぎになればいい程度だ。

 ニ級は弾丸の嵐を受けて大破したものの、攻撃中にリ級がこちらに砲塔を向けてきたため俺は攻撃を中断、回避に専念する。撃沈することは無かったがまあ結果としては悪くないか。

 

≪FOX3!≫

 

 しばらく回避に専念していると、ヌ級の艦載機達を叩き落としたのであろうスーパーホーネットの1機がル級に向けて対艦ミサイルを発射して来た。ナイス!

 俺に攻撃を集中していたためか、予想外の攻撃にル級は反応が遅れミサイルが直撃した。しかしル級はダメージは受けはしたものの撃沈には至らなかったらしく、ぎこちない動きながらもまだ健在といったところらしい。

 

「ちっ、さすがは戦艦……簡単には終わらんか!」

 

 だが戦闘能力の低下は否めないはずだ。ならば健在なリ級を狙って数を減らす!

 俺はターゲットをル級から接近して来たリ級―――魚雷でも放つつもりだったのか?―――へ変更し、ファランクスで牽制しながら移動してある程度距離を取る。

 

「ハープーン発射!」

 

 そのまま逃げ撃ちの体勢でリ級にミサイルを発射。そのまま吸い込まれるようにリ級に直撃し無事に撃破した。

 よし、後は大破状態のニ級とル級のみ。

 

「よし!このまま残りを……っ!」

 

 リ級のいた場所から移動しようとした瞬間に……再びあの寒気のようなものを感じた。また何か来る!

 

 俺は半ば飛び込むように前方にジャンプ。ヘッドスライディングのような体制で自分のいた場所から退避した次の瞬間!

 

 背中から聞こえる轟音と衝撃波を感じながら、俺は思いっ切り吹っ飛ばされ、水面にヘッドスライディングを行う事となった。普通は沈むはずの水面を滑るってのは何か変な感覚だな。

 衝撃により一瞬思考が完全にストップし、慌てて頭を再起動して体制を整えようとするも、視線に入ったものを見て俺は驚愕し、絶望した。

 

 

 

 俺の視線の先には、大破状態のル級が満身創痍の状態ながらも砲門を俺に向けて構えており、狙いをつけていた。対する俺は武器を向けるどころか立ち上がってすらおらず、少しでも動けば砲撃が飛んでくるであろうことが目に見えていた。

 

 

 

 完全に、俺の判断ミス。戦艦級の耐久の高さを過小評価していたのが原因。大破させたル級を放置する事無く止めを刺しておけばこんな事態にはならなかった筈の状況。

 

 

 

「マズった……糞っ……」

 

 悪態を吐くも既に後の祭り。最早俺の命は風前の灯火と言ったところだろう。

 そしてル級が今まさに砲撃を行おうとした瞬間!

 

 

 

「行っけえええええええええっ!!!」

 

 

 

 あらん限りの声を出したであろう叫びと共に、白露の放ったハープーンミサイルがル級に直撃し、今度こそ沈黙させた。

 

 

 

「圭さん大丈夫!?痛い所とかあるの!?」

「…………っ!?あ、ああ……白露か……俺は大丈夫だ」

 

 未だ放心状態だった俺だが白露の心配そうな顔が目に入り、思考を再起動させた。まだ頭の回転が正常ではないがそんな状況ではない。

 辺りを見るとニ級の沈みゆく姿が見えた。恐らくこっちも白露が片づけたのだろう。

 

「ニ級も白露が片づけたのか?」

「うん……他の奴らを倒して圭さんの方に向かおうとしたら圭さんが吹き飛ばされてるのが目に入って、大慌てでこっちに来たの。それで残ってた駆逐艦とか倒してミサイルで戦艦を攻撃したの」

「そっか……お前に助けられたな。ありがとう」

 

 俺は起き上がりながら素直に感謝の言葉を述べる。それを聞き白露は満面の笑みを浮かべて来た。

 

≪こちらホークアイ。ケストレル、聞こえますか?≫

 

 と、そこへ偵察に向かっていたホークアイからの通信が入る。おっとこれは恐らく……

 

<ああ、聞こえているよ>

≪周辺に敵影の反応なし。時雨、山城の両名共に無事交戦エリアからの離脱に成功しました。敵の増援も時雨と貴方の艦載機の活躍もあって全滅です≫

「<分かった、じゃあ俺達も帰還しよう。全機戻ってきてくれ。>という事だ白露、俺達も帰るか」

「はーい!」

 

 通信を終えて俺達はそのまま島へと帰還して行った。

 

 危険な状況があったものの、今回もまた生き残ることができたようだ。

 

 

 

 だが、山城という艦娘の処遇をどうするか、敵戦艦級との戦闘への対策をどうするか課題は多い。

 だけど、疎かにする訳にもいかない。全員で生き残ろうと誓った以上俺がしっかりして白露や時雨を生かせるよう頑張らなきゃならないんだ……

 

 

 

 そしてもう一つ……人類との接触をどうするべきか……いくつもの課題を抱えて……

 

 

 

『おーい!おーい!待ってくれー!』

 

 戦闘が終わり、静寂を取り戻した海を泳いでいる妖精がいる。彼は先ほど撃墜されたオメガ11妖精だ。無事にベイルアウトした彼だがここにきてようやく戻ってくることが出来た為、ケストレルに向けて声を上げている。

 やがて影が差しため、主が来たかと思い移動を止める。

 

『ふぅ、行ったかと思ったよ』

「とんでもない、待ってたんだ」

『えっ?』

 

 オメガ11妖精が顔を上げた瞬間に摘み上げられ

 

「お前何やってるんだよ?うちの飛行隊初撃墜だぞオイ……」

『タハハ……スンマセン』

 

 主―――まあ俺だな―――の言葉にバツが悪そうに言うオメガ11妖精だが……大丈夫なのかこれは……

 まあいいか。パイロットが無事なら問題ない。

 

「さて60隊、残骸の回収は出来るかな?」

『可能な限りやってみますが、時間が経ちすぎているのもあるんで厳しいかと思います』

「了解だ。深海棲艦達に俺の戦闘機が解析される可能性を考えての行動だが、無理そうなら仕方ない。適当なところで切り上げてくれ」

『分かりました』




いかがだったでしょうか?
戦闘描写をもうちょっと上手くなりたいとは思いますが皆さん俺の描写はどんな感じでしょうか?

さて、3人目の艦娘の山城です。彼女の魔改造はどうしようかねぇ……

ラストのオメガ11妖精の会話?すんません酒に酔ってできたネタです。

それではこの辺で。次話にてお会いしましょう。
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