外見は勿論のこと、仕草や話し方まで似ている。
そしてあの『スタンド』も……………
そんな孫はある日、親友からとあるゲームを薦められて始めることになる。
いつもと同じ授業風景、いつもと同じ態度のクラスメイト。
思わずため息が出そうになる程に退屈な授業だ。
周りの生徒は、こちらが顔を向けると必ず顔をそらして目を合わせないようにする。理由は因縁をつけられたくないとか、危ない人に近づくのが怖いとかだろう。
空中の黒板にアホみたいに指紋で公式を書いている教師もそうだ。
自分にだけは決して関わろうとしない。まるで自分には触れないのが当然とでもいうような態度で授業を続けている。
今日も暇な1日が訪れるーーー
「……………はぁ、」
少年は耐え切れずに深いため息を吐いた。
そして次の瞬間、教室から物音が消えた。
クラスメイトが物音を立てるのをやめたのだ。教師でさえ音が出ないはずの指先チョークを動かそうとしない。
このクラスになってから少し経つが、それでもこの風景は変わらない。
ただ少し他の生徒よりも体格が大きいだけで怖がられ、ただ少し顔が厳ついだけで見ることを避けられる。
寂しいなどという感情はとうに消え失せた。
今は只々つまらない。
それもそのはず。学校生活での普通の時間の潰し方と言えば、級友との会話が主だろう。
だが周りに一切人が寄り付かない彼にとって、電子書籍を読むかゲームで得点を更新するぐらいしか時間の潰しようが無いのだ。
梅郷中の2年部には2人の有名な生徒が存在する。
1人はとても美しい黒髪を持つ少女。
2年でありながら生徒会長を務め、仮想世界の瓜二つなアバターは《スノー・ブラック》《黒雪姫》などと呼ばれるほどの美貌。
勉学や運動にも炊けており品行方正で完成された美しさを持つ人間。
そしてもう1人はとても中学生とは思えない体格の少年。
2年の平均身長である168㎝を大きく越した185㎝もある背丈、プロレスラーのような肩幅、そしてヤクザのようなその顔つき。
仮想世界のアバターは《番長》《梅郷の龍》などと呼ばるほどの凶悪さ。
勉学や運動は出来る方であるが反抗的な態度ばかりするとても捻くれた性格を持つ人間。
1人は黒雪姫の愛称で慕われている。
1人は番長の通り名で恐れられている。
同じように通り名を持っていても、その扱いは天と地ほど差があったりする。
夜、彼の元に一通のメールが訪れる。
相手を確認してみると、自分の親友の《
本文は簡単に言うと『面白いゲームがあったのでやってみないか?』という内容だ。
花京院はかなりのゲーマーだ。
新しいゲームが出ると発売日には必ず手に入れており、学校が別なのにも関わらず自分にも忘れずに薦めてくれるのだ。
聞いた話によると曽祖父の典明から代々ゲーマーだったらしいのだが、彼は祖父や父とは比べ物にならないぐらいゲームに手を伸ばすのが早かった。
そして殆どハズレがない。
花京院が面白いと言うのならそのゲームはほぼ確実に面白いのだ。ハズレのゲームも、そのゲームが『自分には合わない』というだけであって面白くないことは無い。
そして彼はその事を理解していた。
つまらない学校生活のストレスもあってか、彼はすぐにそのゲームをダウンロードすることに決めた。
しかしそのゲームは《有線直結通信》略して《直結》と言うニューロリンカーを直接繋げる方法で直にインストールするしかないそうだ。
彼はメールを読み終えるとすぐさま家から出て典次の家へと向かった。
夕方を過ぎ時間が夜に入ろうとする頃、彼は花京院の住むマンションのチャイムを鳴らした。
そして暫く待つこと30秒、中から彼よりも15cm程身長の低い少年が出てきた。
「いらっしゃい、待ってたよ」
花京院は憎たらしいほどのハンサムフェイスで彼を出迎える。
本当なら一発、いつものように腹に入れたいところだがそれよりも今はゲームの方が大切だ。彼は玄関で乱暴に靴を脱ぎ、挨拶をしながらグイグイ中に入っていく。
それほどまでにそのゲームが気になるのだ。
「邪魔するぜ」
「とうぞ。ちょっと待ってて………ええっと、今日は珈琲?それとも烏龍?」
「珈琲でいい。それでそのゲームってのはどんなものなんだ?アプリか?」
「ちょっと落ち着きなよ…………ゲームは僕の《ニューロリンカー》の中にあるよ。ゲームは逃げたりはしないさ」
「落ち着いてる。さぁ、早くそのゲームを俺によこせ。さぁさぁ」
「落ち着いてないじゃないか…………あのね、修夜にゲームをやる前に質問があるんだ」
「質問だと?早くしろ、俺はそのゲームが気になって仕方ない」
「………………最近、お祖母さんの様子はどうだい?」
「?質問の意図がわからんぜ。お祖母ちゃんならまだ健在だが………」
「ストーン・フリーは使えるのかな?」
「………スタンドか」
「ゲームを始める前にこの質問だけはしておきたかったんだ。そうでないと後悔する事になるからね」
「ゲームと関係があるってのか?」
「ああ。このゲームにはスタンドを持っている人間がいる。今の所、確認できているのは僕だけなんだけどね」
「お前、スタンドを使えるのか?」
「《
「ん?確かその名前は………」
「そう、僕の曽祖父である《花京院典明》が持っていたあのスタンドだよ」
「………………俺はスタンドを使えないぜ」
「いや、君の曽祖父《空条承太郎》は史上最強のスタンド使いだ。君にもその才能は受け継がれているはず」
花京院はほぼ確信を持ってそう言った。
花京院典明のスタンドを限定的とは言え使えるのだ。空条承太郎のスタンドを彼が使えても不思議ではないと花京院は考えていた。
「………やってみないことには分からん」
「それならまずはゲームをやってみよう」
花京院は自分と修夜のニューロリンカーを直結し、とあるゲームをインストールさせる。
この直結という行為、実はかなり危険な行為なのだ。
普段はまわりの無線を通じて管理している情報を有線でやり取りするのだ。
セキュリティをほぼ解除するようなもので、直結を行う相手は信頼できる相手、つまり家族や恋人、親友などに限られてくる。
通信をして30秒程経ったぐらいでインストールは終わった。
ニューロリンカーを使ってのインストールとしてはかなり長いものだが、おそらくその価値があるのだろうと彼は思った。
「ふぅ……………インストールは成功したみたいだね」
「成功した………?失敗があるのか?」
「このゲームは簡単に言うと遊べる人間を選ぶんだ。僕や君のようにゲームに対してかなりの適性を持っていたり、思考速度が一定以上無いとインストールすらできない」
「ふむ…………なら仗助のジジイにも教えてやろうぜ。あのジジイは下手をすれば俺たちよりもゲームの適正が高い」
「ところがこのゲーム、僕たちのように生まれながらにしてニューロリンカーを装着していた世代では無いとインストール出来ないんだ」
「なに?」
「ニューロリンカーの普及が始まったのは十数年前の事だからね。仗助さんはそもそも2000年より前に生まれている。オリジナルのアナログゲームが生まれた頃の世代だよ」
「………その理屈だとこのゲームの世代層は」
「僕たちの年代に近い人間にしか遊べないんだ」
花京院から一通りの説明を受けた後、時間もいい頃という事で彼は自宅へ帰る事にした。
そして一晩明けた後、彼は加速世界へと踏み込んだ。
詰め詰めで書いていきます。