俺だけ能力を持ってない   作:スパイラル大沼

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第20話

 

 

 

 

何処ぞの喫茶店。慶と、先ほど助けられた女の子は一緒に座っている。あ、女の子サングラスしてるからね。言い忘れたけど。アイドルだし。

 

(米澤紗千子……どっかで聞いた気がしなくもないんだが、なんだっけ?なんか光あたりが騒いでた気がするんだけど)

 

「そ、その、慶さん」

 

「あ?」

 

「二度もたすけていただいて、ありがとうございます」

 

「二度?なんで?いつ?」

 

「実は、前にストーカーにおわれていたところを助けていただいて……」

 

「あー」

 

(どっかで見たことあると思ったらそれか。あれ……確かそいつって……なんだっけ?)

 

と、思い出しながらも慶は言った。

 

「別にいいですよ。ただムカついたから減り込ませただけですから」

 

言いながら注文したコーヒー(ガムシロ、ミルク3個入り)を啜る。

 

「それで、今日はどこに行こうとしてたんですか?」

 

「あー今日は買い物です。一昨日から今日の朝までサバイバルやってたから正月中に買う予定だったもん買いに」

 

「サバイバル?」

 

「とにかく買い物ですよ」

 

「そうですか。何を買うつもりだったんですか?」

 

「とりあえずプラモデルかな」

 

「プラモデル?」

 

「ガンダムの。とりあえず4機欲しいな」

 

(なるほど……趣味はプラモデルか)

 

紗千子は心のメモをすると、深呼吸をした。そして言った。

 

「あ、あの!もしよろしければ一緒に行っても構いませんか⁉︎」

 

「ふえ?なんでまた急に」

 

「お願いします!その……行きたいんです……」

 

「いやそんなん言われても……」

 

だが、慶はハッとする。

 

(俺と女の子が一緒→誰かに見つかる→スキャンダル!熱愛発覚!→俺の支持率大幅ダウン)

 

「いいですよ。行きましょう」

 

「! は、はい!」

 

5秒で手のひらを返す慶だった。

 

 

 

 

櫻田家。

 

「いやー……流石にけーちゃんには悪いことしちゃったね……」

 

光がテレビを見ながら言った。

 

「ああ。そーだな……あの時に『俺のお年玉あげるから』がなかったら確実に俺死んでたな……」

 

「……修ちゃん、大丈夫?」

 

「ああ。大丈夫だ」

 

そう答える修はボッコボコだった。

 

「むしろ、奏は大丈夫なのか?」

 

「あー……奏ちゃんは……」

 

光がチロッと部屋の隅を見ると、奏が壁に頭を打ち付けていた。なんか呪いの言葉みたいなのをブツブツ言いながら。

 

「…………まぁ、そうなるよな」

 

「誰か止めてあげなよ」

 

 

 

 

ビックキャメラ。そこのプラモコーナー。

 

「わあ!これ全部ガンプラなんですか?」

 

驚く声を上げる紗千子。

 

「ああ。っと、こっちだな」

 

慶はMGの方へ。普段ならHGなのだが、正月ということで奮発したいらしい。もらった金だし。

 

「うわあ、金色ですよこれ……」

 

「百式?………ああ、ゴールドスモーね」

 

「なんかお金持ちってイメージあります……」

 

「まぁ分からなくもないですね」

 

なんて話しながらも慶はプラモを選ぶ。

 

「なぁ、どっちがいいと思いますか?」

 

「へっ⁉︎わ、私⁉︎」

 

慶が聞くと、ビクッとする紗千子。

 

「や、この黒いリックディアスと赤いリックディアス、どっちがいいかなーって」

 

「へ?あ、あーそういう……。何が違うんですか?」

 

「パイロットが違うかな。俺的に黒い方が好きなんだけど、赤い方は色んな人が乗ってるからさ」

 

「なるほど……。んー……なら、赤い方かなぁ」

 

「そっか……。なら黒い方にするわ」

 

「ええっ⁉︎なにそれ!」

 

「誰も米澤さんが選んだ方を選ぶなんて言ってない」

 

「ずるいよー!」

 

「それが人間だ」

 

「なんか大袈裟だし!」

 

なんて話しながらリックディアスを買った。その後もお互いに色んなところを周り、気が付けば夕方になっていた。

 

「そろそろ帰るか」

 

「そうだね」

 

「送るよ。家まで」

 

「え?い、いいですよ」

 

「ストーカーが多いんだろ?」

 

「う、うん」

 

「しかしストーカー多いとか、アイドルみたいだな」

 

「はっ?」

 

「えっ?」

 

「…………や、なんでもないです。そうだ、今日の8:00からテレビ見てみてください。10chで」

 

「へ?なんで?」

 

「いいから。お願いします」

 

「? お、おう」

 

「あと、その……アドレスの交換出来ますか?」

 

「別にいいけど……LINEじゃダメなのか?」

 

「じゃあ両方で」

 

「うい」

 

 

 

 

紗千子を送った後、慶は帰宅した。

 

「ただいま」

 

「おかえりぃ〜っ!」

 

ガバッと飛び込んできた奏。それに抱き着かれながらもまったく無視しながら慶は家の中へ。

 

「あ、けーちゃんお帰り」

 

「おう、光」

 

言いながら慶は時計を見た。19:30。

 

「なぁ、20:00から見たいテレビあるんだが、いいか?」

 

「お、けーちゃんが珍しい。何チャン?」

 

「10」

 

「おーあたしと同じ。いいよ」

 

「さんきゅ」

 

「今日はさっちゃんが出るんだー!Mステ!」

 

「ふーん……音楽番組か……」

 

「そんなのも知らずに見たいとか言ってたの⁉︎」

 

「はいはい、さっちゃんねぇ……」

 

そんなことを考えながら奏を引き剥がしてその辺に捨てながらソファーに座って携帯を弄った。

 

「は?さっちゃん?」

 

「え、なにどしたの?」

 

「光、さっちゃんの本名は?」

 

「はぁ?米澤紗千子だけど?」

 

「………よ、米澤さん……?」

 

慶は携帯を見てアドレス帳を確認。米澤紗千子の文字。

 

「…………す、スキャンダルになるのむしろ向こうだったかも……」

 

「どしたの?」

 

「や、なんでもない。サイン頼んどきゃ良かったなーって」

 

とりあえず今度会うときに頼もうと心に固く誓ったのだった。

 

 

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