ある日の夜中。慶は寝ていたのだが、胸の苦しさに目が覚めた。恐る恐る目を開けると、ボルシチが立っていた。
「○△□※☆〜〜〜ッッ‼︎」
声にならない叫びを上げながらベッドから転げ落ち、隣に寝ている茜を叩き起こした。
「茜!起きろ!助けて!」
「ん……」
が、中々起きない。そうしている間にボルシチはのっしのっしと慶に向かって歩みを進める。
「やめてぇ!来ないでぇ!」
と、声を上げた時だ。
「もぉ……うるさいなぁ……」
「! 茜!助けてください!明日辺りにスタバでなんでも奢ってやるから!」
「わかった、わかったから……。で、どうしたの?」
「ぼ、ボルシチが……」
「やっぱりね……。はいはい、ボルシチおいでー」
茜は言いながら起き上がり、部屋から出る。その後を追うボルシチ。下に行って茜はボルシチにキャットフードをあげる。壁の脇から慶は隠れるように覗いた。
「……いつもいつも飯をねだってたのか。なんで俺を起こすんだよ……」
「さぁ?仲良くなりたいんじゃない?」
「言っとくが無理だぞ。号泣するぞ」
「情けない……。本当に男の子?強盗の方がよっぽど怖いじゃない」
「お前は分かってない。その人類滅亡兵器の恐ろしさが…」
「はいはい、わかったわかった。じゃ、そろそろ寝るよ。おやすみボルシチ」
だが、せっかくあげた飯にボルシチは興味を示さない。それどころかビニール袋に噛み付きはじめた。
「ビニールのがマシだっての⁉︎」
「もういいだろ。ビニールでもなんでもあげとけよ。そいつの好きにさせてやれよ」
慶が言うと二人は自室に戻った。で、ベッドに茜が入った時だ。
「………茜」
「なに?」
「その……眠れないから……」
「またぁ?仕方ないなぁ……。ほらおいで?」
茜が言うと、慶は同じベッドに入った。
「いつも悪いな……」
「別にいいよ。でももう少し慣れなよ?」
「それはわかってるんだが……だいぶ前にコタツに足入れたら噛まれて……」
「あー騒いでたね……」
「ほんとごめん……」
「いいよ。私だって監視カメラで迷惑かけてるもん」
「そうだな。さっき謝ったのなしで」
「ベッドから落とすよ?」
*
翌日。
「と、いうわけだ栞。こいつがなぜ俺のところに来るのか教えてくれ」
「わかった」
で、能力発動。
「『彼の元へ行くと涙目になって逃げようとするから面白いwww』」
「上等だこんの糞猫がオラァッ‼︎表出ろハゲェ!粉々に粉砕してやるよォッ‼︎」
「にゃー」
「『よろしい、ならば我が秘伝奥義ー真・六爪桜の舞ー(ルビの振り方は各自テキトーに読んでください)で返り討ちに……』」
「ごめんなさい参りました」
と、慶は土下座した。すると、栞がボルシチにデコピンした。
「ボルシチ、お兄様いじめちゃ、めっ」
「なぅ……」
すると、一歩後ずさるボルシチ。そして、栞は泣きそうな顔をしている慶の頭を撫でた。
「お兄様、だいじょうぶ?」
「おっほおおおおおお!俺もう死んでもいい!」
「だいじょうぶ?」
なんてやってると、奏が呟いた。
「私もそいつの性格なんとなく好きになれないのよね」
「またまたそんなこと言って。本当はけーちゃんがいじめられてるからじゃないの?」
岬が言った。ニヤニヤしながら言った。
「そ、そんなわけないでしょ」
「いや、むしろいつもけーちゃんが普段見せない顔を見させてくれるから好きなのかも?」
「だ、だから違うわよ!」
すると、岬はボルシチを抱っこして慶に放り投げた。
「あああああああッッ‼︎岬テメェ後で木っ端微塵に……!」
パシャッと奏の携帯からシャッター音が鳴った。
「後者だったかー」
「………悪くないわね」
「二人とも、お兄様いじめちゃだめ!」
そんな二人に栞が立ち塞がった。
「うっ、ごめんなさい……」
「栞、本当に結婚しない?」
「けーちゃん、それだから気持ち悪いって……」
岬が割と本気で引いていると、ボルシチはソファーで寝転がってる茜の上に座った。
「そういえば、」
と、修がそれを見て言った。
「ボルが茜以外の上で寝てるのってあんま見ないな」
「そりゃ、オッパイ小さいけど柔らかいからじゃね?」
「けーちゃん?明日から一緒に寝てあげないよ?」
「ゴメンなさい……」
「えっ、待って。あなた達一緒に寝てるの?」
奏が聞いた。
「うん。最近、けーちゃんのことボルシチが起こしにくるからその度にけーちゃんが一人で寝れなくなっちゃってねー」
「羨ま……あっ、いやだめよ。姉弟で不健全だわ」
「いや本音だだ漏れだから……」
茜が軽く引いてると、その隣に光が寝転がった。
「それならあたしも小さくて柔らかいよー」
「いや光、お前の方が大きい。無理だ」
「そう?あたしまだ小学生だし茜ちゃんよりは……」
「揉んで見ればわかる。おい、二人とも服を脱げ」
殴られた。