そんなこんなで、慶、紗千子、奏、葵の四人で席に座る。奏と紗千子は顔色を悪くしながら思った。
((どうしてこんなことになった……))
で、グルグルと思考を巡らせる。
(なんで?ちょっと見栄を張っただけでなんでこんな事になるの?そりゃ私も悪いことしたとは思うけど……)
(まさかけーくんが養子だったなんて……ただでさえその事実でメンタルズタボロにされてるのにここで嘘つきましたーなんて言ったらカミーユの如く精神崩壊起こすよ)
と、全力で後悔してる中、葵が手を挙げた。
「あの、慶?どうして私もここにいるの?」
「裁判長です。最終判断で僕に下す裁きをお願いします。死ねと言うのならば切腹もします」
(((どんだけ責任感強いんだこの人!)))
心の中でツッコむ三人。
「ちなみに慶、仮にこの二人のどちらかが彼女だと嘘付いてたら?」
「その場合は、ちょっと僕はそんな人とは関わりたくないですね……。今言えば笑って済みますが……結論が出てから『実は嘘でしたーてへぺろ☆』みたいなのは腹立ちますし何よりウザいので」
その瞬間、二人はブルッと身体を震わせる。
(と、いうことは偽物はけーちゃんと絶交するということ?そんな事になったらこっちが切腹したくなるわよ!)
(偽物の人は即刻死刑宣告喰らったと考えるべきね……。あ、あれ?ちょっと待って?)
(よく考えたら……)
((私、偽物だ………))
二人の頬を冷たい汗が流れる。
(と、いうことはあのアイドルが慶の彼女になるってこと⁉︎)
(流石にけーくんに絶交させられるのは嫌だ。だけど……ここで『実は偽物でしたーテヘペロ☆』なんてやったらけーくんに軽蔑されることは間違い無いし、何よりアレだ。恥ずかしい)
(だからと言ってここで絶交は嫌だし………どうするべきか。いや待て、これは逆にチャンスなんじゃない?)
(ここでテキトーに難癖付けて……)
((本物を蹴落として、私が本物の彼女になればいいんだ!))
そう思い2人が口を歪ませた時だ。葵が立ち上がった。
「葵さん?」
「ごめんね慶。後で好きな物なんでも買ってあげるから」
「へ?」
すると、葵は思いっきり慶の頭を殴った。
「ほげっ⁉︎」
そのままパタリと気絶した。で、奏と紗千子を見てニッコリと微笑んだ。
「二人とも、ちょっとお話しようか?」
二人は恐怖を見た。
*
30分後。慶が目を覚ました。
「えっと……あれ、ここどこ?確か、ジャンプ買った帰り道に……トラックにはねられて……あれ?」
記憶が曖昧で視界もボーッとしている。が、すぐに視界は戻った。目に映ったのは奏。
「おい奏。何があったかわかんない?なんか記憶が曖昧で……」
「知らない」
「…………なんか汗凄いけどどした?」
「知らない……ごめんなさい……生きててごめんなさい……」
「奏⁉︎どうした⁉︎」
一方、紗千子も仕事を二週間休んだ。