俺だけ能力を持ってない   作:スパイラル大沼

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第61話

 

 

 

さっそく帰宅して二人は茜慶の部屋でお話。茜は下でテレビ見ている。

 

「で、どうする?このことみんなに言うか?」

 

慶が聞いた。

 

「いや、いいわよ。葵姉さんですら信じなかったんだもの。他の人に言っても無駄よ」

 

あれ怒り心頭だったからだろ……と、思いつつも慶は口にしなかった。

 

「まぁとにかく、それならバレないようにしといたほうがいいんじゃないか?」

 

「そうね。しっかり私の代わりをしなさいよ」

 

「おー。じゃ、早速お前の部屋で待機でもしてるわ。あんま人と関わらないほうがバレないだろうしな」

 

「はーい。あっ、勝手に物色しないでよね。下着とか盗んだら許さないから」

 

「盗むどころかこれから履くんだけどな」

 

その瞬間、ハッとする奏。

 

「待ちなさい!」

 

「なんだよ」

 

奏はアダルティーな下着も持っていた。そんなもん慶に見られたら自殺ものである。

 

「ち、ちょっと今から履いてもいい下着と履いちゃいけない下着選別してくるからここで待ってて!」

 

「あ、おい!」

 

慶は止めようとしたが、奏は行ってしまった。

 

「その体でお前の下着選別してたらヤバイだろ……」

 

見つかるのを想像しただけでゾッとした。慶も慌てて後を追った。

 

 

 

 

下着の選別も無事に終わり、二人は各自の部屋で過ごす。まずは奏ルーム。慶は早速、デンドロビウムのガンプラを出した。

 

「いやー良かったよ入れ替わって。これ高くて中々手が出なかったんだからよ。さて、あとは……」

 

慶はさらにニッパー、ヤスリ、パソコン、ポテチ、ジンジャエールを召喚。パソコンで銀魂のアニメを流しながら、ポテチを嚙りつつ、ジンジャエールを飲みながらガンプラを作り始めた。

 

 

 

 

一方、慶の部屋。

 

(………まったく、茜に選挙負けてきて焦ってるって時にこんな……)

 

奏は慶の部屋で選挙対策を考えていた。だが、チラッとベッドを見た。見てしまった。

 

「…………………」

 

(慶のベッド………)

 

何を思ったか、ベッドにダイブした。で、スンッと匂いを嗅いだ。はい、このまま一時間同じことループな。

 

 

 

 

飯の時間になった。

 

(あのバカ……ちゃんと私らしくしなさいよね)

 

さっきまでベッドの匂い嗅いでた奴とは思えない思考である。で、下の階に降りて、奏がそーっと中を覗いた。

 

「はい栞。これ運んでくれる?」

 

「はい、奏お姉様」

 

「カナちゃん、そこの醤油取ってくれる?」

 

「えー?それくらい自分で取りなさいよ……はいこれ」

 

「奏、俺はなんか持ってくものはあるか?」

 

「修ちゃんには……じゃあ、あそこのお刺身お願い出来る?」

 

「うい、了解」

 

「奏姉様!僕にもお仕事を!」

 

「ボルシチが机の上を荒らさないように見張っててくれる?」

 

「お任せください!」

 

(あ、あれ……?あそこに私がいるよ……?)

 

困惑する奏だった。

 

(それどころか……私より、お姉さんやってるよ?)

 

すると、慶は奏を見た。

 

「何やってんのよ慶。あんたも手伝いなさい」

 

「え?あ、ああ、うん……」

 

思わず素直に言うことを聞いてしまう慶。

 

「うわっ、けーちゃん素直!どしたの?」

 

岬が引き気味に反応した。

 

「え?い、いややっぱかったるいわ。準備できたら呼んで」

 

(こ、こんな感じかな……?)

 

「じゃああんたには食べさせない。光ー、お皿一人分回収してきて〜」

 

(人によって対応変えるとか何完コピしてんのよあいつ!本当に私としゃべってるみたいでムカつくんだけど!)

 

と、思ってると皿を回収する光が目の前を通った。

 

「い、いややっぱ手伝うわよ!」

 

『…………わよ?』

 

全員が反応した。

 

「じゃなくて手伝えばいいんだろ!」

 

(チッ、バカが……)

 

慶は心の中で舌打ちすると、再び晩飯の用意を始めた。

 

 

 

 

飯が終わり、風呂の時間。

 

「さて、じゃあお風呂入ってくるわね」

 

と、慶が立ち上がった瞬間、奏はピクッと反応した。

 

「………トイレ」

 

二人して部屋を出た。瞬間、奏は慶を壁に叩き付けた。

 

「ね、ねぇあんた。風呂ってどうするつもり?どういうつもり?」

 

「だって風呂は入んなきゃダメだろ。それともお前何、風呂嫌いだったっけ?」

 

「風呂に入るってことはあれよ⁉︎私の全てを見るってことよ⁉︎」

 

「姉弟で何言ってんだよ。てかお前の体だぞ。風呂入んなくていいのか?」

 

「いいわよ1日くらい!」

 

「俺は嫌だ。眠れなくなる」

 

「ち、ちょっと!」

 

「あとお前も風呂入れよ。俺は風呂入れる日は入らないと嫌だ」

 

「っ」

 

で、奏は立ち止まった。と、思ったら声を絞り出す。

 

「………………る」

 

「あっ?」

 

「だから、入るって言ったの!」

 

「そう。よろ」

 

「一緒によ!」

 

「………………は?」

 

 


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