ハァハァと息を吐く二人。
「おいおい……どーすんだよこれ……」
「あんた……どんだけ猫にビビってんのよ……体が無意識に拒否反応って……」
「うるせっ……そんなことよりどうすんだマジ。ボルシチ以外で何か兄弟に気づかせる方法なんてねぇぞ……。どうする、最終手段行くか?」
「……………」
「正直、リスクが高過ぎるとは思うが、方法がないんじゃどうしようもない」
「そうよね……」
二人して沈黙が流れた。
「ま、また明日考えるか。そろそろ飯じゃね?下行こうぜ」
「うん……」
そのまま二人は下に降りた。
*
それから、一ヶ月近く経った。周りのみんなはバレバレのサプライズのために葵の誕生日の準備をする中、奏と慶は深刻な顔して向かい合っていた。
「…………一ヶ月、経っちゃったな……」
「そうね………」
「………………」
「………………」
「「なんでこうなったぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ‼︎‼︎‼︎」」
二人して吠える。
「そんなにか⁉︎俺が葵に『奏よりおっぱい小さいね』って言ったのがそんなに問題だったのか⁉︎」
「そんなこと言ったのあんた⁉︎てかあんたのせいじゃないそれ!」
「だぁからってさぁ!こんな仕打ち……あんまりだろ!俺が何したって言うのさぁ!」
「そ、それはそうね……。だって私全く関係ないもの……」
そのまま二人はげんなりする。
「………とにかく、今は我慢するしかないな……。今日は葵の誕生日だし」
「そうね……。そうだ、せっかくだから一緒に葵姉さんの誕生日プレゼント買いに行かない?」
「そーだな」
そのまま二人で下に降りた。その時だ。
「あっ、二人とも今日も二人でお出かけ?」
茜が声かけてきた。
「もうここ一ヶ月急に仲良しさんになったよね2人ともさぁ〜。なんかあったのー?」
((そう思うんなら気付けや……))
と、思いつつも声に出さない。
「それならお姉ちゃんも連れてってよ!ほら、色々買ってきてほしいものもあるし!」
「はいはいわーったよ。買ってくりゃいいんだろ」
いつの間にか、奏も慶の性格を完コピしていた。
「じゃ、よろしくね!」
そのまま三人でお出掛けした。
「で、どうする?どこ行く?」
「任せるわ。私は二人の買い物のお手伝いだから」
「はっ、やな姉貴だ」
奏はそう吐き棄てると、唾を吐いた。
(もう完全に俺マスターしてんなあいつ)
と、思いつつも慶は言った。
「まぁそう言わないの。それよりどうする?せっかくだからお互いバラバラに買い物しちゃう?」
「その前に、二人にお話があるんだけど」
葵が言うと、二人は「?」って感じで振り返った。
「二人は、入れ替わってるの?」
「「えっ?」」