俺だけ能力を持ってない   作:スパイラル大沼

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第71話

 

 

 

「スカーレットブルームにナイトブルームだと?面白い!我ら『黒い黒マント』と『白い白衣』の前に朽ち果てるがいい!」

 

また一言一言言うたびに変なポーズをとる修……黒い黒マント。

 

「朽ち果てるのはあなた達よ!この世界はあなた達なんかに渡さない!」

 

スカーレットブルームがそう言うと、白い白衣が言った。

 

「面白いですね!ならばまずはあなた達から始末してあげましょう!かかって来なさ……」

 

「ホワチャアァッ!」

 

「ゴッファアッ!」

 

ナイトブルームの飛び膝蹴りが白い白衣の顔面に諸に入り、鼻血を噴射しながらステージの傍に突っ込んだ。

 

「んなっ……⁉︎」

 

素の声が黒い黒マントから漏れる。その黒い黒マントにナイトブルームは邪悪な笑顔を浮かべて言った。

 

「先手必勝」

 

「ひ、卑怯な!行け!桃色のピンクタイツ軍団!」

 

黒い黒マントの命令でナイトブルームに飛び掛かる桃色のピンクタイツ軍団(岬軍団)。だが、ほとんどがフルボッコにされている。それをゲンナリした表情で眺めている黒い黒マントに葵が言った。

 

「ちょっと修。なんとかしなさいよ」

 

「オイオイ冗談だろ。見ろよあの顔。完全に悪役の顔だよ。完全にお楽しみモードだろうが」

 

「いや、行かないと岬達が全員死んじゃうわよ。子供達も幸い盛り上がってるし、あなたなら瞬間移動があるじゃない」

 

「……………」

 

「お願い。あの中に飛び込むのが嫌なら茜の方に行けばいいしさ。というか慶の気が引ければいいからさ」

 

「………わかったよ」

 

そんなわけで、黒い黒マントは瞬間移動を使った。

 

「スカーレットブルーム!貴様の相手は俺がしてやろう!」

 

言いながらスカーレットブルームの背後を取った。

 

「修ちゃん助かっ……!じゃないや、かかって来なさい!黒い黒マント!」

 

一瞬、本音が漏れたがスカーレットブルームは身構えた。で、お互いの拳が交差する。あ、もちろん寸止めな。だが、その二人に岬の分身が一人飛び込んできた。ナイトブルームが投げ付けたのだった。

 

「! 大丈夫かスカーレットブルーム!」

 

言いながら駆け寄るナイトブルーム。そして、茜を抱き抱えた。

 

「いや、私はけーちゃんに……」

 

「おのれ、卑怯者どもめ!」

 

「いや卑怯なのはナイトブルー……」

 

「お前の仇は俺が討つ!」

 

「なら切腹でもなんでもして」

 

なんてやってる時だ。

 

「ハーッハッハッハッ!」

 

高らかなのに乾笑いが聞こえた。見ると、目から嫉妬ビームをスカーレットブルームに飛ばしてる奏……黒きホワイトタイガー・奏が立っていた。

 

「! お、お前は……!」

 

「殺す」

 

「台詞端折り過ぎだろ!」

 

だが、奏は間髪入れずに5mくらいのロボットを呼び出した。右手にドリル、左手にチェーンソーを持ったロボだ。

 

「な、なんか……あれ本物っぽいんだけど……」

 

「気のせいよ。行きなさいブルームデストロイヤー!」

 

キュウィィィィイイインッッ‼︎と音を立ててドリルがナイトブルームに迫る。スカーレットブルームを抱えて後ろに躱す。ドリルはステージにデッカい穴を開けた。

 

「明らかに本物じゃねぇかァァァッ‼︎‼︎」

 

「この世界は私のものよ!」

 

「ほんっっっとに世界制服でもする気かお前は!」

 

で、ナイトブルームは武器である金属バットを取り出した。

 

「おいスカーレットブルーム!あいつヤバい。力を貸せ!」

 

「なっ、なんでカナちゃん本物出してんの……?」

 

「愛が重いだけだよ!」

 

「自覚してたんだ……」

 

そんなわけで、ダブルブルームは応戦を開始した。スカーレットブルームは飛び上がり、ナイトブルームは金属バットを構えて突撃。

 

「スカーレットブルーム!武器は俺が引きつける!その隙に得意のグラヴィティ・ブラストでぶっ壊せ!」

 

「了解!」

 

で、ナイトブルームに向かってくるドリルとチェーンソー。それを金属バットで弾く。

 

「ナメんなッ!」

 

ギィンッギィンッ!と鈍くて鋭い音が響く。どっちだよ。その時だ。ロボの腹からハンマーが出てきた。それがグオォォォッッとナイトスカーレットに向かってくる。

 

「ッ!」

 

ガードするも、ステージ傍にぶっ飛ばされた。

 

「! ナイトブルーム!」

 

司会の葵が声を漏らした。そして、ステージ傍に向かってドリルが伸びてくる。ドガァァアアアンッ!と何かが壊れる音がした。

 

「け、慶!」

 

素の声が響いた。今更、「やべっ、やりすぎた」と声を漏らす奏。すると、ガギンッという鈍い音と共にステージ傍から何かが回転しながら飛んで来た。ドリルの先端だった。そして、ステージ傍からナイトスカーレットがバットを担いで歩いてきた。

 

「あーびっくりした。流石に死ぬかと思った。あと奏、お前は後で殺す」

 

そして、再び突撃。すると、腹からハンマーが飛んできた。が、それを踏み台にして飛び上がり、チェーンソーをぶっ壊した。

 

「今だァァァ‼︎スカーレットブルームゥゥウウウウッッ‼︎‼︎」

 

「やぁぁあああああ‼︎」

 

ナイトブルームの声とともにスカーレットブルームはロボを持ち上げながら空中に舞い上がった。そして、地面に頭から叩きつけた。その瞬間、客席からすごい歓声が上がった。

ヒーローショーは大成功に終わった。

 

 

 

 

櫻田家。奏は葵と慶に泣くまで怒られた。

 

 


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