「スカーレットブルームにナイトブルームだと?面白い!我ら『黒い黒マント』と『白い白衣』の前に朽ち果てるがいい!」
また一言一言言うたびに変なポーズをとる修……黒い黒マント。
「朽ち果てるのはあなた達よ!この世界はあなた達なんかに渡さない!」
スカーレットブルームがそう言うと、白い白衣が言った。
「面白いですね!ならばまずはあなた達から始末してあげましょう!かかって来なさ……」
「ホワチャアァッ!」
「ゴッファアッ!」
ナイトブルームの飛び膝蹴りが白い白衣の顔面に諸に入り、鼻血を噴射しながらステージの傍に突っ込んだ。
「んなっ……⁉︎」
素の声が黒い黒マントから漏れる。その黒い黒マントにナイトブルームは邪悪な笑顔を浮かべて言った。
「先手必勝」
「ひ、卑怯な!行け!桃色のピンクタイツ軍団!」
黒い黒マントの命令でナイトブルームに飛び掛かる桃色のピンクタイツ軍団(岬軍団)。だが、ほとんどがフルボッコにされている。それをゲンナリした表情で眺めている黒い黒マントに葵が言った。
「ちょっと修。なんとかしなさいよ」
「オイオイ冗談だろ。見ろよあの顔。完全に悪役の顔だよ。完全にお楽しみモードだろうが」
「いや、行かないと岬達が全員死んじゃうわよ。子供達も幸い盛り上がってるし、あなたなら瞬間移動があるじゃない」
「……………」
「お願い。あの中に飛び込むのが嫌なら茜の方に行けばいいしさ。というか慶の気が引ければいいからさ」
「………わかったよ」
そんなわけで、黒い黒マントは瞬間移動を使った。
「スカーレットブルーム!貴様の相手は俺がしてやろう!」
言いながらスカーレットブルームの背後を取った。
「修ちゃん助かっ……!じゃないや、かかって来なさい!黒い黒マント!」
一瞬、本音が漏れたがスカーレットブルームは身構えた。で、お互いの拳が交差する。あ、もちろん寸止めな。だが、その二人に岬の分身が一人飛び込んできた。ナイトブルームが投げ付けたのだった。
「! 大丈夫かスカーレットブルーム!」
言いながら駆け寄るナイトブルーム。そして、茜を抱き抱えた。
「いや、私はけーちゃんに……」
「おのれ、卑怯者どもめ!」
「いや卑怯なのはナイトブルー……」
「お前の仇は俺が討つ!」
「なら切腹でもなんでもして」
なんてやってる時だ。
「ハーッハッハッハッ!」
高らかなのに乾笑いが聞こえた。見ると、目から嫉妬ビームをスカーレットブルームに飛ばしてる奏……黒きホワイトタイガー・奏が立っていた。
「! お、お前は……!」
「殺す」
「台詞端折り過ぎだろ!」
だが、奏は間髪入れずに5mくらいのロボットを呼び出した。右手にドリル、左手にチェーンソーを持ったロボだ。
「な、なんか……あれ本物っぽいんだけど……」
「気のせいよ。行きなさいブルームデストロイヤー!」
キュウィィィィイイインッッ‼︎と音を立ててドリルがナイトブルームに迫る。スカーレットブルームを抱えて後ろに躱す。ドリルはステージにデッカい穴を開けた。
「明らかに本物じゃねぇかァァァッ‼︎‼︎」
「この世界は私のものよ!」
「ほんっっっとに世界制服でもする気かお前は!」
で、ナイトブルームは武器である金属バットを取り出した。
「おいスカーレットブルーム!あいつヤバい。力を貸せ!」
「なっ、なんでカナちゃん本物出してんの……?」
「愛が重いだけだよ!」
「自覚してたんだ……」
そんなわけで、ダブルブルームは応戦を開始した。スカーレットブルームは飛び上がり、ナイトブルームは金属バットを構えて突撃。
「スカーレットブルーム!武器は俺が引きつける!その隙に得意のグラヴィティ・ブラストでぶっ壊せ!」
「了解!」
で、ナイトブルームに向かってくるドリルとチェーンソー。それを金属バットで弾く。
「ナメんなッ!」
ギィンッギィンッ!と鈍くて鋭い音が響く。どっちだよ。その時だ。ロボの腹からハンマーが出てきた。それがグオォォォッッとナイトスカーレットに向かってくる。
「ッ!」
ガードするも、ステージ傍にぶっ飛ばされた。
「! ナイトブルーム!」
司会の葵が声を漏らした。そして、ステージ傍に向かってドリルが伸びてくる。ドガァァアアアンッ!と何かが壊れる音がした。
「け、慶!」
素の声が響いた。今更、「やべっ、やりすぎた」と声を漏らす奏。すると、ガギンッという鈍い音と共にステージ傍から何かが回転しながら飛んで来た。ドリルの先端だった。そして、ステージ傍からナイトスカーレットがバットを担いで歩いてきた。
「あーびっくりした。流石に死ぬかと思った。あと奏、お前は後で殺す」
そして、再び突撃。すると、腹からハンマーが飛んできた。が、それを踏み台にして飛び上がり、チェーンソーをぶっ壊した。
「今だァァァ‼︎スカーレットブルームゥゥウウウウッッ‼︎‼︎」
「やぁぁあああああ‼︎」
ナイトブルームの声とともにスカーレットブルームはロボを持ち上げながら空中に舞い上がった。そして、地面に頭から叩きつけた。その瞬間、客席からすごい歓声が上がった。
ヒーローショーは大成功に終わった。
*
櫻田家。奏は葵と慶に泣くまで怒られた。