俺だけ能力を持ってない   作:スパイラル大沼

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第72話

 

 

 

ある日、慶は寝ていた。その慶の腹の上に何かが落ちてきた。

 

「ゲッフォアッ!」

 

「起っきろー!」

 

光だった。

 

「ひ、光……親愛なる妹に起こしてもらうのは俺の夢だったが、もう少し穏やかに起こしてくれ……」

 

「ねぇ、お願いがあるの」

 

「なんだよ」

 

「実はさぁ、動物園に行きたくてねぇ〜」

 

「はぁ?なんでまた」

 

「虎の赤ちゃんが産まれたんだって!」

 

「それで?」

 

「見に行きたいの!」

 

「行けばいいじゃん。アイドルやって稼いでんだろ」

 

「お願い、お兄ちゃん」

 

「よし任せろ。交通費食費入場料お土産代全て俺が出してやる」

 

「ありがとう!栞と輝の分もお願いね!」

 

「へっ?ち、ちょっと待ってそれは聞いてな……」

 

「じゃ!明日よろしくね!」

 

そのまま出て行ってしまった。ちなみに財布の中には45円しかない。

 

「………さて、二度寝するか」

 

現実から逃げた。

 

 

*

 

 

「と、いうわけで葵お姉様。助けて下さい」

 

気が付けば土下座していた。

 

「なんで私なのよ……」

 

「そりゃあ、俺の3人の姉の中で一番頼れるからだろ」

 

「そ、そう……そうね」

 

ストレートに言われて少し顔を赤らめる葵。葵なのに。

 

「頼むよマジで。金は返すからさ」

 

「ていうか、そもそもどうしてお金ないのにOKしたのよ」

 

「俺が可愛い光の頼みを断れるわけないだろ」

 

「アホね……まぁ、お金返してくれるならいいわよ。行きましょう」

 

「いや、お前いらねーから金だけくんない?」

 

「………あんたぶっ殺されたいの?」

 

「や、冗談ですごめんなさい」

 

 

*

 

 

そんなわけで、翌日。五人は動物園へ。

 

「へっ?小学生以下入場料無料なの?」

 

慶がマヌケな声を上げた。

 

「なんだよ……じゃあ本当に葵いらなかったじゃん」

 

「電車代、誰が出したと思ってるの?」

 

「そ、そういやそうだったなー」

 

で、ご入園。

 

「すごーい!あそこ!猿!可愛い!」

 

「あっ、待ってください姉上ー!」

 

パタパタ走る光と追う輝。

 

「あんま離れんなよー。………ったく、はしゃぎやがって」

 

「あら、いいじゃない。子供だもん」

 

なんて慶と葵が話してると、慶の肩の上の栞が言った。

 

「なんか、今の会話、パパとママみたい……」

 

「うえっ⁉︎」

 

言われて顔を真っ赤にする葵。

 

「し、栞?き、兄弟で結婚すると思ってるの?」

 

「栞は、慶お兄様と結婚する」

 

「俺も栞と結婚する」

 

「なんか一度通報したほうが身のためみたいね……」

 

「それは勘弁してくれ、死んじゃうから社会的に」

 

「どうしよっかなー。………って、輝!余り遠くに行かないでね!光もちゃんと見てあげてて!」

 

慌てて二人のあとを追った。

 

「まっておにいさま!お猿さん見たい!」

 

「ああ?でもあいつら先に行っちゃってて……」

 

「いいわよ慶。二人は私が見てるから栞と一緒にゆっくり後から来て?」

 

「………いいのかよ」

 

「もちろん」

 

「なら、ゆっくり回るか栞」

 

「うんっ」

 

フヒヒ、栞たそと一緒に動物園デートとか死んでもいい。

 

「さて、栞。何処に行きたいー?」

 

「おさるさん」

 

「うんすぐそこだね。好きなだけ見てけ」

 

「うんっ」

 

と、まぁこんな感じで二人でデートを続けた。

 

 

*

 

 

数時間後、慶の携帯……略して慶帯にLINEが来た。

 

あおい『そろそろお昼にしましょう』

 

それだけ確認すると、慶は栞に言った。

 

「栞、そろそろ飯にしようだとよ」

 

「分かった」

 

そんなわけで、飯屋。モンハンコラボのつもりか、こんがり肉なんてものが売っていた。

 

「おーい、こっちこっちー!」

 

光の元気な声がして、ようやく合流した。

 

「さて、じゃあ何食う?俺が買ってきてやるよ」

 

「僕はこんがり肉がいいです!」

 

「あたしも!」

 

「私はハンバーガーでいいわよ」

 

「栞も、お子様ランチ」

 

「うぃっす。………一人じゃ無理だから誰か手伝って」

 

「じゃあ僕が手伝います!」

 

威勢良く手を挙げた輝と飯を買いに行った。

 

 

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