「あ、飯係だ」
慶が声を漏らした。例によってあのくじである。
「はい!私、カレーがいい!」
茜が元気よく手を上げる。が、それをまったく無視して慶は栞の前に座った。
「栞は何がいい?お兄ちゃん、栞の食べたいもの作っちゃうぞー?」
「………私は、うーん……おさしみとカレーパン」
「はっ?か、カレーパン?」
「うんっ。この前テレビでね、インドの人はパンをカレーに付けて食べるんだって」
「ナンの事か?」
「たぶん……」
(カレーと刺身か……もっとも合わせちゃいけない組み合わせだなオイ)
「な、なぁ栞。どっちかじゃダメか?」
「りょうほう食べたいの!」
「OK任せろ。両方な」
「アホか」
後ろから修に頭をチョップされた。
「お前なぁ、それはダメな組み合わせだろ。どっちかにしろっての」
「……だってよ栞。どっちがいい?」
「やだ!りょうほう!」
「だってよ修お兄ちゃん」
「そもそもそんなにたくさん食べれないだろ」
「だってよ栞」
「たべられるもん!」
「だってよ修」
すると、葵が入ってきた。
「栞、両方欲張っても両方とも微妙な感じになるだけよ。ちゃんと選びましょう?」
「だってよ栞」
「あなたさっきからうるさい」
スパッと葵に言われて慶は黙った。
「う〜……じゃあ、どっちでもいい」
「へっ?」
「慶お兄様に任せる」
「えっ?お、おう……え?」
「栞、寝る」
そのままソファーの上で寝息を立て始めた。
「………段々我儘になってきた気がする」
「「お前(あんた)が甘やかすからね」」
「えっ?そなの?」
2人に声を揃えられて、思わず間抜けな声が出てしまった。
(…………にしても任せる、か。一番困るんだよなぁ。そんな時は遥に決めてもらおう)
そう決めると慶は遥の部屋に向かった。
*
「おーい遥。ちっといいカネ?」
中に入ると、岬と遥の間にカーテンが掛かっていた。
「遥。ちょっと予知してもらっていいか?」
「やだ」
「ダメ」
「やだにダメってなに⁉︎悪いけど僕、そんな気分じゃないよ」
「今日の晩飯に刺身カレー出されなくなかった答えろや」
「…………何の用?」
「いやー栞たんがご飯に刺身かナンが食べたいとか言い出しちゃうもんだから。どっちが栞が喜ぶカナ〜って、それで予知してくんない?」
「能力の無駄遣いもいいとこだろそれ……まぁいいや。それで出てってくれるなら」
「あくしろよ」
心底イラッとしつつも遥は予知した。
「…………ナンが78%、刺身が20%」
「残りの2%は?」
「ガララワニだって」
「捕獲レベル5か……いや、デッカいのは7か8だっけ?」
お礼だけ言って出て行こうとする慶。
「けーちゃん」
「あ?」
岬に声をかけられた。
「ちょっと、来て」
「あ?」
答える間も無く慶は岬に連れて行かれた。で、慶の部屋。
「なんだよ」
「遥と、喧嘩した……」
「あっそ。じゃ、俺飯作んなきゃだから」
「聞いてよー!」
「だって俺カンケーねーもん」
「むぅ……じゃあ、いい」
「冗談だよ。どした?」
「その……私は遥と一緒にアカ姉達の学校に行きたかったのに、遥が黙って全寮制の私立高校を受験してて……それで……」
「あっそ。残念だったな。じゃっ」
「待って!待ってよ!それだけなの⁉︎」
「ブラコンも大概にしろ。じゃっ」
「なーんーでーよー!分かった!iTunesカードでどう⁉︎」
「OK。お兄ちゃんに任せろ」
で、慶はとりあえず遥の部屋へ向かった。