考えろ、と言われて慶は部屋に篭って考え始めた。
「………そんなこと言われても、さっちゃんが俺のこと好きってこと以外思いつかねーんだけどなあ」
あっさりとゴールインした。
「………うーん、どうなんだろうな。いや、実際さっちゃん可愛いし、でもなぁ……彼女に、かぁ……。可愛いし、良い子だし……アリだとは思うんだけど……でもアイドル彼女だとデートとかできなそうだなぁ……」
しばらく考え込んだあと、彼女持ちに聞いてみることにした。
「と、いうわけだ。修、どうしたらいいと思う?」
「いや、好きにしろよ」
最もな答えが返ってきた。
「いいだろ、ケチケチすんなよリア充」
「いや、だから好きにしろって。お前がさっちゃんのことを好きなら付き合えばいいんじゃないの?」
「いや、好きっちゃ好きだけど……」
「なんか曖昧だな。その子とキスしたり手を繋いだり二人きりでどこか出掛けたりしたいかってことだよ」
「いや、向こうアイドルだからそんな暇ないと思うよ」
「例えだっての」
「うーん……そうだな……。あっ、そういえば修って佐藤さんとどこまでいったの?」
「ぶふっ!なんで俺の話になるんだよ!」
「いや、魔が差して。で、どうなの?」
「どこまでもなにも……健全なお付き合いをしてるんだ俺たちは」
「ふぅん……じゃあまだセ○クスしてないんだ?」
「してない!というかハッキリ言うな!」
「実際、健全な男子なら彼女に手くらい出すと思うよ俺は。ゴムつければ健全と言えるだろうしな」
「う、うるさい!」
「でもシたいと思ったことはあるんでそ?」
「そりゃあるよ」
「ならすればいいじゃん」
「そんな『そうだ、京都に行こう』みたいなのりでヤれるか!さっきの話の続きしないなら出てけよ!」
「えー。じゃあ出てく」
「何しに来たんだお前は!」
慶は出て行った。
数分後、奏が部屋に入ってきた。
「………修ちゃん」
「何?」
「さっき、慶と話してたことについて詳しく」
「あっ……」
当分、解放されないことを予期した。
*
翌日、アイドルの事務所。どうやって慶に謝ろうか、紗千子が考えてると、携帯が鳴った。
「もしもし?」
『もしもし、さっちゃん?』
「け、けけけけーくん⁉︎何⁉︎」
なっ、ななななんで⁉︎と、内心怯えながらもなんとか平静を取り戻しつつ、聞いた。
「……ふぅ、何?」
『や、この前の件についてと、あと告白したいから今度時間取れるか?』
「え?うーん……来週の土曜日ならなんとか……」
『おk、じゃあその日に駅前で』
「分かった。じゃあ、またね」
そう言って、通話を切った。ふぅ……と、一息ついてから、紗千子は「ん?」と声を漏らした。
「あれ、さっき告白って言った?」
顔を真っ赤にして倒れた。