(なんだろ、……悲しい気分)
ある意味騒然とした特別オリエンテーリングから数日後、半分寝ぼけながらもフィーは自身の感情の違和感を悟る。
「ん、問題ない」
自身のたいちょうを軽く確かめ、異常なしと判断し、ベッドからモソモソと起き上がる。
自分の枕に染み付いた涙は、どうやら閉じかけの眼には映らなかったらしい。
フィーが夢見心地ながら毎度の眠たそうな目をして、食堂に向かうと、アーチャーが朝食の準備をしていた。
Ⅶ組はほぼ特例扱い。学生寮が違えば、授業内容も一般生徒と少々違う。
だが、あくまで『特例』。『特別』扱いはされないのがⅦ組。
その辺を勘違いしている生徒も多く、貴族生徒からは『寄せ集め』と呼ばれる始末だ。
そんなこんなで日々は過ぎ、四月十七日。明日には自由行動日が控える日となった。
今日はフィー(+アーチャー)が食事作りの担当となっている。
ここ、第三学生寮ではサラ以外のⅦ組一行が一日置きに交代してコレを担当している。
他にも掃除担当、生活用品担当、健康確認担当などがあり、これら全てアーチャーの助言を挙げた、フィーの案である。
少人数だからこそできるこの案に全員が賛成。満場一致で採用された。
何故、サラが例外扱いとされているのか、それは彼女の戦果によってのものである。
食事の準備をすれば皿は割る、掃除は大胆で隅までやらず、生活用品を飲酒しながらやったのか数が正しくない。この結果サラは免除。
傍から見れば、矛盾と違和感満載だが、真相はアーチャーを以ってしても判っていない。
「やっと来たか……それでは朝食を作るとしようか」
「
アーチャーはフィーを見やると一言漏らし、調理を開始。
フィーもそれに了解する。
普段フィーは寝起きがあまりよろしく無い。更に、最近は授業やアーチャーの体力増加トレーニングを行っている為、疲れが溜まり直ぐに寝てしまう。
大半の授業は寝ているので、疲れの原因はアーチャーの特訓だろうが。
その為か、髪の寝癖や服の着崩れが多く、その度にアーチャーが注意したりエマが直してやったりしている。
疲れが溜まり直ぐに眠る程ハードなアーチャーのトレーニングだが、効果は無い訳がなく、着々とフィーの体力を増やしている。
そうこうしている間に調理は終了、テーブルまで食事を運ぶが、まだ誰も居ない。
そこでアーチャーが口を開いた。
「そう言えばフィー、体力はそれなりに増えただろうから、特訓内容を少々減らすぞーー」
「ーーっ!?」
その言葉にフィーは喜ぶ。どこぞのアニメの様に頭のてっぺんの短いアホ毛が左右に揺れる。
それだけでどれぐらい特訓が嫌だったのか分かる。
だが、アーチャーはまだ口を閉じていなかった。
「ーーあと、今日は魔術回路の開通を行うからな。やっと部屋に防音性をつけることが出来てな」
「ーーっ!?」
今さっきと同じ反応をするフィー。だが抱いた感情は真反対。
防音性をつける程の何かが起こる、フィーのアホ毛はその恐怖に短いながらにもそそり立っていた。
アーチャーはその様子を見て、
(どのアホ毛持ちでも動くのだな……どういう構造をしているのやら)
昔憧れた、元自身のサーヴァントに思いを馳せ、いつか解析魔法をかけてみようと考えていた。
時は変わって、帰りのホームルーム。アーチャーはフィーに問いかけていた。
『フィーはどの部に入るのだ?』
『園芸部』
『これは予想外、もう決めていたか』
『ん、昼寝ができるって言われた』
『……一応部活動はするようにな』
授業中や昼休み、放課後も大抵寝ているというのに、とアーチャーは思うが、マスターがそう決めたなら従うがサーヴァント。反論は特にしない。
せめて、授業中は嫌が応にも起きてもらおう、と策を練っているアーチャーを端に時間は進む。
「ーーーーそれで、自由行動日が終わった後だけど……Ⅶ組特別カリキュラムの実技テストと特別実習があるわ」
その言葉を聞くと同時にⅦ組全員に緊張が走る。
自由行動日の一週間後にある実技テスト、そして詳細が知らされていないーー実技テストが終わった後に伝えるらしいーー特別実習。
このことにはアーチャーも興味を抱いていた。
さて、何故アーチャーがホームルームに参加しているのか。
勿論、毎度恒例の霊体化だ。これにより、フィー以外のⅦ組生徒にバレずにフィーのそばに待機している。
(まあ、例外はあるのだがな)
そう思いながら、ある人物を見るアーチャー。
そこには、眼鏡をかけた三つ編みの少女ーーエマ・ミルスティンが居た。
彼女はどうも『霊感』が強いらしく、実際今もアーチャーが居るであろう場所付近に視線が彷徨っている。
それのお陰なのか、アーチャーとエマの二人が近づくことはそうそうない。霊体化していても感じられるアーチャーの『何か』をエマは警戒しているのだ。
被害者たるアーチャーも彼女を避けている。
一度、アーチャーはⅦ組全員(サラ含め)を夜間に解析魔法で調べており、全員が魔術回路を有していることを確認していた。
おそらく、新型戦術オーブメントの適正が魔術回路に関係していたのだろう、全員が多い量の魔術回路を活性化していた。
その中、エマだけは怪しい結果が出たのだ。
彼女の魔術回路はかなり昔に開通していて更に
その点からアーチャーは彼女が
閑話休題
アーチャーはサラの話を聞き、一つの計画を立てた。
(……これならどれ程フィーが強くなったか、分かりやすい)
アーチャーはホームルームが終わった後にサラにある話を付けに行った……。