錬鉄の軌跡 (凍結中)   作:倉木遊佐

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どうも皆さん、エヌマ・エリシュ前も読んでいた方はとてもお久しぶりです。
そのあとの方もお久しぶりです。
倉木遊佐です。
今日から再び更新を再開しようと思います。
言い訳としては、はい。
閃の軌跡Ⅱからの方が絡ませやすいなぁ~、
この作品の二次書こっかなぁ~、
あれスマホ何処いったの、等々。
簡潔に言って、色々です。


とある一日の光景~2~

 サラにとある話をつけたアーチャーは第三学生寮に向かっていた。

 アーチャーの私生活は、基本的に決まってなく、フィーと共に昼寝することもあれば技術棟で作業服を着た太り気味の青年(ジョルジュ)の様子を盗み見したりするのが基本的。彼の技術力はブラウニー時代のアーチャーを大きく上回っており、元の世界には無かったモノの修理方法も判るので重宝している。

 だが、この日はそのどれにも当てはまらず、一人寂しく帰宅していた。

 最近では各部屋に防音性を持たせる(フィーの部屋以外も深夜に行った)事等も大仕事も行い、扉の前に立たない限り音が漏れないという会心の出来で、その他様々なことを陰ながら行っていた。

 だが、アーチャーは一つ悩みがあった。

 ーーーー魚料理が少なくなっていることだ。

 本来、バランスよい栄養摂取の為に取り入れるべき、魚なのだがこの世界の魚は力が強く、元の世界産の釣竿(投影品)ではすぐに駄目になってしまう。

 生徒会の依頼に頼むか、と悩むアーチャー。

 そんな事を頼まれても困るだろうが。

 そんな四苦八苦を繰り返していれば、気付けば学院から出ており、七耀教会の近くまで来ていた。

「む、この音は……川の方からか?」

 川付近に人声が聞こえ、気になったアーチャーは川の方面へ向かう。

 そこには、年齢からして学院生であろう貴族制服の少年が川の端に座っていた。

 だが、アーチャーはそこには目を付けなかった。

 見るのはその少年が持つーーーー釣竿と魚の入ったバケツ。

「ーーーーすまないが少年、その釣竿を見せてくれないか?」

「はい……釣りに興味があるんですか?」

 アーチャーは霊体化を解き少年に声を掛け、少年は声を発しながら振り向く。

 少年はアーチャーを見つめると、釣竿を渡した。

「あぁ、故郷で少々嗜んでいてな。ここの魚は力強くて竿が駄目になってしまう」

「となると、北国の方でしょうか。アイゼンガルド連峰付近は引きが弱いらしいですね」

 そのような会話をしたのち、アーチャーは目を閉じ数分待つ。

 竿がちょんちょんと震えた瞬間目を開き、竿をサーヴァントの人外染みた力で振り上げる。

 空を舞い、大きめのバケツ(いつの間にか投影していた)に入ったのは、日本で言う鮭が一回り大きくなったかのような魚。

 サーヴァントの力とこの魚の重さに耐えきった竿にアーチャーは称賛を送りながら、こっそり解析魔術を掛け、自身の脳内に構造を保存する。

 過去には機械の部品やサッカーボールを投影するという『才能の無駄遣い』をした彼には単純な物なら白兵武器以外も投影可能である。

 努力の方向を間違えながらも才能の利便性を上げる所業に感服する他ない。

「これはサモーナですね。ですが、流石の腕前です。故郷とやらでは嗜む程度でなくやっていたでしょう」

「ああ、それなりにな」

 アーチャーが竿を少年に返すと、

「あっ、自分は士官学院二年のケネス・レイクロードと言います。この時期だとすると、新入生の関係者でしょうか?」

 と自己紹介をしてきた。

「ああ、Ⅶ組の生徒の一人の(一応)保護者で、アーチャーだ」

 アーチャーもそれに習い返すが、ケネスは首を捻る。

弓兵(アーチャー)、ですか?」

「とある事情で本名を名乗りたくなくてな。過去に呼ばれていた二つ名を名乗っている」

 ケネスの疑問に嘘半分で返答をする。

 平行世界なのだから、本名を名乗っても問題無いと当初考えていたアーチャーも、フィーの令呪、英霊召喚が行えた事などからある事に気付き、この様な行動を採っていた。

(推測に過ぎないが、。自分が現界しているからには他にもサーヴァントは居るであろう。もっと言えば、この世界に『聖杯』がある可能性は高い。最悪の場合、汚染されていないとも限らない)

 その後、少し談話しながらサモーナ四匹釣り、帰宅するアーチャー。

「ふはは、四匹もフィーッシュ!今夜は晩餐だ!」

(あぁ、確かに趣味として楽しんでますね。性格が最初と大違いですし)

 そんなアーチャーのハイテンションぶりを優しく見届けるケネス。

 かれが、未だ、フィーも見たことのない、アーチャーのハイテンションの第一人者となった瞬間だった。

 

 

 

 第三学生寮、この寮に泊まっているものが粗方寝静まった頃、アーチャーとフィーは魔術回路の初起動を行おうとしていた。

 実際は部屋の遮音性に物言わせて就寝時間直後から始めようとしたが、生徒手帳を届けに来たリィンの登場で延期されていたのだ。

「レッツ、魔術(マジック)

「その軽さで挑める代物ではないがな……」

 開き直ったフィーを片目に嘆息するアーチャー。

 なんとも締まらない光景だ。

 アーチャーはため息をつくのを止め、厳しめにフィーを見据える。放たれた威圧感にフィーが背筋を伸ばす。

「さて、魔術回路が活性化しているからには、魔術を使えるようにしたい。そのため、これから魔術回路の起動を行う。まず、私がフィーの中に魔力を流し、魔術回路を強制起動させる。そのあとは何とかして起動停止してくれ」

「……まず、魔術回路の起動ってどんなの?」

 最後の最後でフィー任せの発言をしたアーチャーだが、魔術回路の操作は人それぞれ違うもの。変な先入観を与えたくないがためだろう。

 流石に曖昧過ぎたのかフィーが疑問を口にする。

 アーチャーは少し考える。

「そうだな、簡単に言えば蛇口だ。蛇口(魔術回路)は人それぞれハンドル(起動スイッチ)が違っているのだが、フィーはそれをどうやって動かすのかは構造を把握しないと分からない。

 だから私が強制的にハンドルを回させ(起動させ)(魔力)を流させるからその間に構造を把握して、ハンドルの回し方(起動方法)を知る、と言ったところだな」

「例えはもうちょっとどうにかならなかったの?」

「こういうのは人それぞれ違うからな。これ以外の在り得ないだろう魔術回路の起動方法は思いつかないな」

 やはり具体性を持たせないと説明しづらいのが魔術、そうアーチャーは心の奥で決めつける。

 

 閑話休題

 

 フィーはベッドの上でうつ伏せになり、アーチャーはその横でスタンバイ中。また、最初は弾薬を詰めた木箱の上で行おうとしていたが、アーチャーが必死で阻止した。

(これまでフィーの就寝中の様子は見ていなかったが、まさかこんなところで寝ているとは。これからは注意しておこう)

 そんなことを考えながら、アーチャーはフィーに視線で「準備は出来たか」と問う。その視線と目を合わせたフィーは返答する。

「……ふふご(いいよ)

「準備が良いな……」

 自分の口に厚めの布を噛ませているフィーの様子を見て、そう口にするアーチャー。少しひいているのを鉄面皮スキルC₊で隠し、話を進める。

「それでは、今から数十秒起動させる。その間で見つからなければ一旦塞ぐ。あとは見つけるまでその繰り返しだ。続けてやった結果、ショック死されては目覚めが悪いのでな」

「えっ」

 アーチャーの最後の一言に少し呆けるフィー。だが、そのような様子を見せてもアーチャーが止まるわけがなく、

回路起動(トレース・オン)

 本人に自覚はないだろうが、その呪文は無慈悲に放たれた。

 




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