と言っても素人が趣味で描いたやつなので、あまり過度な期待はしない方がいいです。
もし邪魔なら、面倒かもしれませんが非表示にしてください。
爽やかな日差しが射し込む朝。
ルイズはご機嫌であった。
その理由はもちろん。ついにあの黒龍に認められ、自分の使い魔にすることができたからだ。
これでテンションが上がらぬはずがない。
昨夜は嬉しさのあまりよく寝付けず、布団の中でずっとにやけ、それを見ていたミラボレアスを若干引かせるほどであった。
「そういえばミラ」
朝の支度をしながら、ルイズはミラボレアスに話しかける。
因みにミラボレアスは長いので、ルイズは縮めてミラと呼んでいる。
「昨日の夜途中からどこかへ出かけてたみたいだけど、一体どこに行ってたの?」
「寝つけなかったので、少し気晴らしに。
何か…いけませんでしたか?」
「いや、別にそうじゃないけど……主人としては使い魔の動向はなるべく知っておきたいのよ」
「そんなもんですかね…」
そんな会話をしている内に、ルイズの支度が完了した。
「それじゃあ、食堂に向かうわよ。着いて来なさいミラ」
ドアを開けて部屋を出て行くルイズの後を、ミラは黙ってついて行った。
朝食の時間であり、たくさんの生徒達で混雑しているトリステイン魔法学院の食堂。
そこで朝食を取ろうとした矢先、ルイズはあることに気がついた。
「そういえば、使い魔は普段外で食べるのよね…連れて入っていいのかしら」
「ふむ…では、私は一旦外に出た方がいい…というわけですかい?」
「ですかいって…あんた時々口調おかしくなるわね…」
「そうですか?」
そんなはずは…と首を傾げるミラ。
本人の中では結構気をつけているらしい。
「まぁでも、たぶん中に入ってもいいと思うわ。
だって今のあんた見た目は完全に人間だし、別に使い魔は絶対に入っちゃダメって決まりもないし」
と、ルイズが言った。
「では、そうさせていただきます」
そんなやりとりをしながら食堂に入るルイズとミラ。
そんな二人の前に、ルイズがもっとも会いたくない人物が現れた。
「あれ?今日はちゃんと早起きできたのねルイズ」
キュルケがニヤニヤと悪戯っぽく笑いながら、ルイズに話しかけてきた。
ルイズはゲッと、顔を歪ませるも、すぐにキリッと表情を戻した。
「勝手なこと言わないでくれるキュルケ?私がいつ寝坊で遅れたのよ」
「遅れかけたことはなんどもあるけどね」
朝から早々に睨み合う二人、その視線の間からは火花が散っている。
「いいことミラ!ツェルプストー家の連中とは一切口を聞いちゃダメよ‼︎」
「仲が悪いんですか?」
あまりの嫌いっぷりに、少し面食らうミラ。
「ヴァリエール家とツェルプストー家には代々因縁があるの!まぁ家系なんて関係なく憎たらしい女だけどね」
ヴァリエール家とツェルプストー家は国境を挟んだ隣同士に位置するため、両国の戦争の際は真っ先に争っていたために、その中はあまり良いものではないらしい。
また、ゲルマニアの人々は恋愛に関して積極的であり、それ故に好色で多情などの印象を持たれている。それもあってか、ゲルマニア人であるツェルプストーは、代々ヴァリエール家の恋人を奪ってきたという因縁もあり、それが双方の溝をさらに深めている原因の一つとなっている。
しかしこの二人を見ていると、キュルケの方が二歳ばかり年上であり、恵まれた体型があってか…イラつきを隠せていないルイズに比べ余裕があるように見える。
おそらく口喧嘩ではだいたい勝つのはキュルケだろう。
「…で、あなたは誰?」
キュルケがルイズの隣に立っているミラに話しかけた。
当然だろう、昨日ルイズを見たときは、こんな人間など連れていなかったのだから。
「私はーー」
「ツェルプストー家の人間なんかと仲良く話しちゃダメって言ったでしょ」
ミラとキュルケの間に立って口を挟むルイズ。
これだけ躍起になっていたら、かえってルイズにとっては悪い方向に相手を煽っているような気がするのだが…
「落ち着いてくだせい。ちょっと自己紹介をするだけです」
ミラがそう言ってルイズをせいし、キュルケの前でお辞儀してこう言った。
「私はヴァリエール家で使用人をしている者です、ミラと読んでください」
「使用人…?何でわざわざ学校にまで…?」
普通、この学院にいる者は全員貴族や王族だが、家の召使いが学院にまでくることはほとんどない。
「あんた何言ってーー」
ルイズが口を出そうとするが、ミラの手で目の前を塞がれ遮られる。
ミラの言ってることには間違いがある。ミラはヴァリエール家の使用人ではなく、ルイズの使い魔だ。この二つは似ているようで全く違う。
しかしミラはそのことを承知か知らずか、ルイズを無視してこう続けた。
「最近、ルイズ様が召喚されたあの黒龍…あれの管理はルイズ様一人では難しいと判断されたため…私がここへと申し行けとおっしゃられました」
「も…申し行け…?」
「…また言葉使いがおかしくなってるわよ」
ここでちゃんと言うことができれば、少しはかっこがついたものの…ルイズは少し呆れながら口調を注意した。
「あっ……これは失礼…
つまりは、あの黒龍をルイズ様が完全に扱えるようになるため、私がここに配属されたわけです」
再び言い直すミラ。
とりあえずこれで、言いたいことはだいたい伝わっただろう。
「なるほどね〜…確かにルイズはあのドラゴンをちゃんと扱えていなかったもんね〜…」
ニヤニヤとわざとらしい笑みを浮かべてルイズを見るキュルケ。
当然ルイズは怒る。それも顔が真っ赤になるくらいの大激怒だ。そのドラゴンが今、目の前にいるのだから尚更だ。
(お…落ち着くのよルイズ。現実は全くの真逆、そう!私はちゃんとあのドラゴンを従えているのよ!
それをキュルケにわからせてやるんだから!)
そう堂々と叫ぼうとしたキュルケへの言葉は、口元に伸びたミラの手によって再び遮られた。
「そういうことなので、これからもよろしくお願いします」
ミラがルイズの口を抑えたまま、キュルケに向けてもう一礼する。
「こちらこそ」
爽やかな顔…宝石のような紅い瞳でこちらを見るミラに対し、キュルケはこんなことを思っていた。
(…結構いい男ね……顔もまぁまぁいいし…)
恋…とまでは言わないが、キュルケの心にほんの僅か…それこそ彼女の二つ名である“微熱”程度の小さな熱がともった。
「私はキュルケよ、よろしくね」
キュルケはその豊満なバストを寄せて強調し、背の高いミラに対し上目遣いになる形でそう言った。
色気溢れるキュルケのこの仕草、男ならば何かと反応を見せるだろうが、キュルケの目の前に立っているのは男でも中身が中身…ミラは眉毛一つ動かさずにただ見ていた。
一方でキュルケの方は、ミラがどんな反応をするかを見て楽しもうとしていたが、何も反応を見せないミラに対し少しムッとした顔で「じゃあね」と冷たく言ってその場を去って行った。
「なんでわざわざあんな嘘をついたの!?」
キュルケが席についたところでミラに解放されたルイズが、額に青筋を浮かべながらミラの行動についての説明を求めた。
ゼェハァと息を荒げるルイズ。長時間口と鼻を抑えられていたため、若干過呼吸になっているのだ。
ミラは冷静に返した。
「驚かせようと思いまして…どうせ明かすのならもっと授業中のような…生徒の集まっている時がいいかと」
その言葉をきいても、ルイズはまだ腑に落ちないといった顔をしていたが、他の生徒達を驚かせたい…というよりルイズの場合は見返してやりたい…との方が正しいが…ルイズもそちらの方は賛成だった。
なのでルイズはこれ以上は何も言わなかった。
そして他の生徒達同様、朝食を食べようと席を探すルイズ。
道中、周りの生徒達が不思議そうにルイズとミラをチラリ見ていたのが少しばかり居心地が悪かった。
自分の席の前に立つルイズ。
ここでミラが少しだけ考える。
(“やつ”は貴族の使用人になるのなら、細かい気遣いができなくてはならないと言っていたな…)
ミラは一瞬だけあたりを見回し、誰かから貰った助言通り、ルイズが直ぐに座れるようにと席を下げた。
「気が利くわねミラ」
細かいことだが、言われるまでもなく実行したミラに対し、ルイズは少し上機嫌になってそう言った。
これが人間ならばできて当然と思うが、ミラはドラゴン、正直こういう面ではそこまでの期待はしていなかった。
しかし細かい気遣いもできる、予想以上のミラの優秀さに、ルイズは「(本当にいい使い魔と契約できた)」と、更に喜んだ。
「あっ…そういえば……
…ごめん、あなたの朝食はまだだったわよね?」
ミラの朝食について思い出すルイズ。使い魔との行動と扱いがいつもと違っているため、ルイズの頭からはそういった細かい事情が抜けていた。
ミラにはいつも、牛や羊の肉をそのまま与えていた。今回もいつも通り同じ物を与えたいが…ここは貴族達の食堂であり、貴族達が食事の作法を学ぶ場所でもある。そんな場所で生肉にかぶりつく姿など、不相応この上ない。
なにより見てる方も気分が悪くなる。
「悪いけど…私が食べ終わるまでまっててくれない?食べ終わったら直ぐに持ってこさせるから」
そんなルイズの提案に、考えるように黙りこむミラ。
正直腹は結構空いている、早く食べたいが広い心を持って妥協した。
「まぁ…構いませんが…」
「ありがと、なるべく急ぐから」
しばらくすると生徒達による、始祖ブリミルと女王陛下への祈りが聞こえてきた。
そして祈りが終われば、食堂の中はナイフやフォークが触れ合うガチャガチャという音と、生徒達の賑やかな話し声で溢れかえった。
ルイズの食事が終わるまで暇なのでその辺をブラブラと歩き回りながら生徒達を眺めるミラ。
歩き回って時間を潰すのはいいが、嫌でも目に入るご馳走がミラを苦しめた。
人間の姿で人の言葉を話せるといっても、ミラはつい最近まで野生で暮らしていたドラゴンなのだ。
空腹の上に目の前にご馳走があるというのに、それを食べることができないということは、今まで本能のままに生きていたミラにとっては辛いことだった。
ミラは貴族達が口にしていく食べ物を、物欲しそうな目で穴が空くほど見つめた。
一瞬目の前の者を倒して食べ物を奪おうかという考えが浮かんだが、ミラは自分の顔を手で叩き、今頭に浮かんだ欲求を払いのけた。
ここで僅かにも理性が働き、耐えることができる…これが他の生物よりも優れているものの一つだろう。
ミラはこれ以上は危険だと考え、生徒達に隠れてご馳走が見えない…そんな位置に移動した。
ここならば見えるのは生徒達の後ろ姿のみ、これならば目の前に広がる欲望を駆り立てる物達からの誘惑に耐えることができる。
しかし食堂中に広がる胃袋にまで染み渡る匂いに刺激され、今度は席に座っている生徒達が美味しそうなご馳走に見えてきた。
ミラの主食は肉である、そしてそれは、人間の肉とて例外ではない。
ミラは外と自分をなるべく遮断するため、塞ぎ込んで生徒達を食い殺したいという衝動を抑えていた。
そして30分あまりの戦いの末…ミラは自分自信に勝利した。
食べ物を盗み食いしようかと考えた数、実に四十と三回…
目の前にいる生徒の腕や足の一本くらいならつまんでいいんじゃないかと考えた数、二十と六回…
衝動に身を委ねて食い殺そうと考えた数、十と四回…
もういっそ全滅させてやろうかと考えた数、五回…
本当に本当に、様々な思考に悩まされた長い戦いだった。
生徒達は食事を終え、ガヤガヤ談笑に浸っていた。
その中にいる数名の男子生徒がこんな会話をしていた。
「なあ、ギーシュ!お前今は誰とつき合っているんだよ!」
「誰が恋人なんだ?ギーシュ!」
「つき合う? 僕にそのような特定の女性はいないのだ。薔薇は多くの人を楽しませるために咲くのだからね」
金色の巻き毛に胸に薔薇の花を刺したキザなメイジ…ギーシュと呼ばれる者がこの話の中心人物らしい。
話の内容は年相応のたわいもない色沙汰だ。
はっきり言ってミラには興味がなかったが、ギーシュと呼ばれる少年のポケットから小瓶が床に落ちたので、ミラは男子生徒達に近づいた。
細かい気遣いができた方がいい…と、先ほどのように誰かの助言を実行するため、ミラは小瓶を拾い上げた。
何かの薬だろうか…詳しくはないのでミラには判断できなかったが、どうせ落とし主に渡すのだから構わない、とミラはギーシュに小瓶を持って話しかけた。
「落し物です」
小瓶を手渡そうとギーシュの目の前に差し出すミラ。
「…それは僕のじゃない」
しかし否定するギーシュ。
だが小瓶は確かにギーシュのポケットから落ちた物だ、落ちた瞬間をミラは見た、間違いない。
しかし否定して受け取らないというのならば仕方ない、ミラは黙ってギーシュの机に小瓶を置いた。
「おいこれ、もしかしてモンモランシー香水じゃないのか?」
ギーシュの周りに集まっていた一人の男子生徒の言葉だ。
そしてその言葉を口火に、他の男子生徒達までもが騒ぎ始めた。
「間違いない!その鮮やかな紫色は、モンモランシーが自分のためだけに調合している香水だぞ!」
「そいつがギーシュ、お前のポケットから落ちてきたってことは……お前は今、モンモランシーと付き合っている。そうだな!?」
「違う、いいかい…彼女の名誉のために言っておくが…」
そう言い訳するギーシュの前に、一年生の茶色マントを来た女子生徒がやってきた。
「ギーシュ様、やはり…ミス・モンモランシーと…」
言い訳する暇もなく、ギーシュの頬に有無も言わさぬ平手打ちが飛び、少女は泣きながら走り去ってしまう。
「モンモランシー、誤解だ。彼女とはただ…」
そして今度は話に出ていたモンモランシー本人が現れた。
「やっぱり…あの一年生に手を出していたのね?」
モンモランシーは怒りで肩をワナワナと震わせて、ワインをギーシュの頭にぶちまけた。
「嘘つき!」
モンモランシーは怒鳴り声をあげてその場を去っていった。
これが修羅場というやつだろう。
ミラですら呆気に取られてその場で傍観していた。
そして用のすんだミラはその場を立ち去ろうとするが…
「まちたまえ」
ハンカチで顔を拭いているギーシュに止められた。
「君が軽率に香水のビンなんか拾い上げたおかげで、二人のレディの名誉が傷ついた。
どうしてくれるんだね?」
自分の二股を棚に上げた、まったくもって理不尽な言い分だ。相手が貴族ではなければ誰だって不満を漏らすだろう。
もっとも、ミラにはギーシュの言い分が、あまり理解できていなかったのだが…
しかし二人の少女と、自分の拾った香水の瓶が関係していることはなんとなく理解できていた。
要するに、自分の拾った瓶が原因で、あの二人の少女との関係が悪化してしまった…ということだろう。
「わかりました、では原因となったこの瓶を捨てます」
ミラが瓶を持って食堂の出口に移動する。
やはりわかっていなかった。ミラの結論は、言わなくてもわかるがまったくの見当違いと言う奴だ。
「いや!そういうことじゃなくてーー」
その行動と発言を聞いたギーシュが、必死にミラを止めようと否定するが、ギーシュが言い終わる前に、瓶は猛スピードで外へと投げ飛ばされてしまった。
あのスピードじゃあ瓶はまず割れているだろう。
「香水がーっ!!」
ギーシュがショックで項垂れる。
あの香水はモンモランシーが自分のために調合してくれた、ギーシュにとっては大切な物だった。
さっきは知らんぷりを決め込んだものの、ミラからは後で事情を言って返してもらうつもりだった。
それが今目の前で、無残にも台無しにされてしまったのだ。ギーシュの感情はさっきとは比べものにならないほどに怒りで燃えていた。
「これで万事解決ですね」
そう笑顔で言い切るミラに、ギーシュの炎は更に勢いを増した。
「おい君…見ない顔だがいったいどこの誰なのかな…?」
表情は影がかかってよく見えないが、声の震えと肩の震えで相当怒っていることがうかがえる。
「私はヴァリエール家で雇われている、ミラという者です」
ミラはギーシュの問いにお辞儀して答えた。ギーシュの怒りにはまったく気づいてはいない。
「そうか…雇われの身ならば…貴族に対する礼儀を知っていると思ったんだけどね…」
「まだ新参者なもので……こういう貴族同士の付き合いだとか恋愛だとかにはあまり詳しくは…
私のせいですみません…あぁいうのをその…二股と言うんでしたっけ?それがバレてしまって…あなた様にご迷惑をおかけしてしまあそばれまして…」
それを聞いた男子生徒達が大笑いし始めた。
「ははは!そうだぜギーシュ‼︎二股ばれたからってあんまいじめてやんなよ!“二股”‼︎ばれたからっ!お前が悪いんだからよぉ‼︎」
二股を強調する男子生徒達。
ギーシュの怒りは爆発寸前だった。
大事な香水を投げ捨てられ、周りからは笑われる始末。
おまけに目の前の、ヴァリエール家の使用人を名乗る男のふざけてるとしか思えない口調だ。
対するミラは特に悪気があって言っているわけではなかった。
ただ悪気がなくて発した言葉でも、相手の怒りを逆なですることはある、今みたいにだ。
「僕は貴族で…魔法が使えるメイジだ…
それに対して君は…いったい何だ?」
「魔法の使えない平民…ってところですかね?」
「その通りだ平民‼︎僕は貴族で君は平民だ‼︎
ならば僕は貴族として!君に礼儀を教えてやる‼︎」
風船が割れるように、耐えきれなくなったギーシュの怒りが爆発した。
ギーシュは胸に刺した薔薇の杖を抜き、それをミラに向けて叫んだ。
「決闘だ!場所はヴェストリ広場!そこで君に決闘を申し込む‼︎」
「決闘…?」
ミラの目つきが変わった。
「そうだ決闘だ!逃げるなよ平民」
瞬間、ミラの心の中で、何かがザワリと蠢いたのを感じた。
決闘…すなわち闘い…その言葉を聞いた瞬間、ミラの態度…雰囲気が一変した。
「フハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
突然大声で笑い始めたミラ。
周りの生徒達が気でも狂ったかと騒ぎ始める。
「いいだろう…上等だ、フフフ…受けてやるぞ小僧!」
紅の目はギロリと鋭くなって歪み、口角は不気味につり上がる。
その豹変ぶりは、周りの生徒達のザワつきが止まるほどだった。
決闘を申し込んだギーシュ本人も、その豹変ぶりには呆気を取られて一瞬動きが停止したが、直ぐに我を取り戻し、「先に行って待っている」と言い残してその場を去っていった。
「ちょっとミラ!あんた何勝手に決闘の約束なんかしてるのよ!」
先ほどの騒ぎを聞いていたらしく、ギーシュと入れ違いにルイズが駆け寄ってきた。
ミラの勝手な行動に、随分とご立腹の様子だ。
「あんたは私の使い魔でしょ!?私の許可も無しに勝手な行動はーー」
「やかましい」
ミラが吐き捨てるように言い放った。
「これは私が受けた決闘だ。許可などいらん、私が決める」
ルイズの目の前にはもう、さっきのような礼儀正しい従順な使い魔などいなかった。
今のミラからはあの時の…黒いドラゴンの姿の時のような恐ろしい何かを感じられた。
それ以上ルイズは何も言わなかった。というより…何も言うことができなかった。
「はてさて…メイジというのはどれほどの強さなのか…
楽しみだな…」
真紅に怪しく光る眼球を細め、ミラボレアスは心底楽しそうに、ニヤリと笑みを浮かべてそう言った。
少し雑でしたかね?どうもうまくいかなかった気がします。
では次回でお会いしましょう。