バカとテストと文学少女っ!   作:しほ

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お久しぶりです。やっとこさ、色々落ち着いて来ましたよ。


第4話 -開戦-

 

 

問 以下の文章の( )に正しい言葉を入れなさい。

『光は波であって、( )である』

 

 

姫路瑞希の答え

『粒子』

 

前原玲奈の答え

『粒子』

 

教師のコメント

よくできました。

 

 

土屋康太の答え

『寄せては返すの』

 

教師のコメント

君の解答はいつも先生の度肝を抜きます。

 

 

吉井明久の答え

『勇者の武器』

 

教師のコメント

先生もRPGは好きです。

 

 

 

 

 

「吉井!木下たちがDクラスの連中と渡り廊下で交戦状態に入ったわよ!」

 

ポニーテールを揺らしながら駆けてきたのは同じ部隊に配属された島田さん。こうして改めて見ると、背は高くて脚も綺麗なのに、どこか女性としての魅力に欠ける。一体何が足りないんだろう。

 

「ああ、胸か」

「アンタの指を折るわ。小指から順に、全部綺麗に」

 

マズイ。何かのスイッチに触れたらしい。

 

「そ、それより…ホラ、試召戦争に集中しないと!」

 

そんな言葉で誤魔化して(誤魔化せていない)、なんとか戦線に集中する。

今現在、前線にいるのは秀吉率いる先行部隊で、そことFクラスの中間辺りに僕がいる中堅部隊が配置されている。引き受けた覚えもないけど、部隊長になっている以上は、僕には部隊の皆を導く義務がある。

ここは気を引き締めていこう。

 

まずは戦場の雰囲気を感じよう。耳を澄ませて、前線部隊の先頭の様子を聞き取るんだ。

 

『さぁ来い!この負け犬が!』

『て、鉄人!? 嫌だ!補習室は嫌なんだっ!』

『黙れ!捕虜は全員この戦闘が終わるまで補習室で特別講義だ!終戦まで何時間かかるかわからんが、たっぷりと指導してやるからな』

『た、頼む!見逃してくれ!あんな拷問耐え切れる気がしない!』

『拷問?そんなことはしない。これは立派な教育だ。補修が終わる頃には趣味が勉強、尊敬するのは二宮金次郎、といった理想的な生徒に仕立てあげてやろう』

『お、鬼だ!誰か、助けっ……イヤァァーー!』

 

____総員退避。

 

 

 

 

 

 

 

そんな逃げ腰を吉井くんが発揮しているとはつゆ知らず、私はといえば、瑞希ちゃんと一緒に0点しかないテストの補修を受けていた。

 

「どの教科から始めますか?」

 

補充試験の監督を務める高橋女史こと学年主任の高橋先生に問われる私たち。

確か、今回戦う相手はDクラス。制限時間が一時間もあっては3教科補充するだけでみんなやられてしまうかもしれない。

私は姫路さんみたいにすべての教科をバリバリ解けるわけじゃないから、いくつかに絞って受けることにする。

 

「現代国語でお願いします」

「わかりました。

それでは、準備が出来たら始めてください」

 

この一教科に___賭ける。

 

 

 

 

「Fクラスは全員一度撤退しろ!人混みに紛れて攪乱するんだ!」

 

相変わらずよく通る雄二の声を聞きながら、戦況が良くないことが伺える。しかし僕が今やらなくちゃいけないことはそんなことじゃない!

 

「逃がすな!個人同士の戦いになれば負けはない!追い詰めて討ち取るんだ!」

 

個々の実力に勝るDクラスだから取れる作戦。

見れば本隊の人達も分散し、追討にかかっているみたいだ。

その分、Dクラス代表である平賀くんの防備が薄くなるけど、代表である、ということはDクラスで最も点数の高かった人、ということでもある。

Fクラス相手なら、取り囲まれるようなことがない限りは負けることはないと踏んでいるのだろう。そしてその判断は間違いなく正解だ。

 

そして、こそこそ逃げ回っている僕には平賀くんの姿が見える!

 

「向井先生!Fクラス吉井が___ 」

「Dクラス玉野美紀、試験召喚(サモン)

「なっ!近衛部隊!?」

 

突如僕の目の前に現れたのは、Dクラスの女子。

いくら下校中の生徒に紛れているとはいえ、やはりFクラス所属に見える奴の動きには注意していたらしい。

 

「残念だったな、船越先生の彼氏クン?」

 

勝ち誇ったような平賀くんの顔と言動が腹立たしい。

 

「ち、違う!アレは雄二が勝手に」

「そんなに照れなくてもいいじゃないか。さ、玉野さん。彼に祝福を」

「わかりました」

 

玉野さんは既に古典の点数で武装した召喚獣を喚び出している。

 

「ちくしょう!あと一歩でDクラスを僕の手で落とせるのに!」

「何を言うかと思えば、彼氏クン。いくら防御が薄く見えても、さすがにFクラスの人間が近づいたら近衛部隊が来るに決まってるだろう?ま、近衛部隊がいなくてもお前じゃ無理だろうけど」

 

フン、と鼻を鳴らして僕を一瞥する平賀くん。うぅっ、ムカつく!死ぬほどムカつく!

 

だから僕は対抗して、片目を瞑って応えてあげた。

 

「それは同感。確かに僕には無理だろうね。だから____ 」

 

もったいぶって一息入れて、

 

「玲奈ちゃん、よろしくね」

「は?」

 

『何を言っているんだ、この馬鹿は?』といった顔をしている平賀くん。ふふん、平賀くんが玲奈ちゃんと関わりがありそうだと言うことはこの間のことでよく知っていたのさ。

だからこそ、平賀くんは玲奈ちゃんの努力や成績を知っているはず。ならば当然、Fクラスにいるなんて一ミリも思っちゃいないだろう。

それが仇になったのさ!

 

「あのう…」

 

馬鹿じゃないのか、今にもそう口走りそうな彼の後ろから、申し訳なさそうに、でも強い瞳で玲奈ちゃんは声をかける。

 

「え?あ、前原さん。どうしたの?図書室はこの廊下を使わなかったと思うけど…」

 

未だ現状をよく認識できていない平賀くん。

そりゃそうだ、彼女がFクラス所属だなんて、普通は誰も思わない。

僕だって、微塵も思っていなかったんだから。

 

「あ、そうじゃなくて…」

 

言いづらそうに萎縮して、体を小さくする玲奈ちゃん。

うーん、やっぱり秀吉よりも断然かわいい。いや、そもそも秀吉を可愛いと思ってしまうことが間違っているんだけど。

 

「Fクラスの前原玲奈です。えと、よろしく…お願いします」

「あ、こちらこそ」

「Dクラス代表の平賀くんに、現代国語勝負を申し込みます」

「……はぁ。どうも」

「じゃあ…あの、試験召喚(サモン)です」

 

『 Fクラス 前原玲奈 VS Dクラス 平賀源二

現代国語 533点 VS 129点 』

 

「え?あ、あれ?」

 

戸惑いながらも平賀くんは召喚獣を構えさせ、相対する。

けど、正直この点数差じゃ相手にならないだろうなぁ……。

玲奈ちゃんの召喚獣は見るからにとても強そうだ。二丁拳銃を携えてライフルを構える姿は勇ましい。

 

「ごめんなさいっ」

 

その大きな得物に似合わない素早い動きで相手を蜂の巣にする玲奈ちゃんの分身は相手の反撃も許さず、一撃でDクラス代表を下して、この戦いに終止符を打ったのだった。

 

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