クリミナルガールズ ~時給3000円~   作:DAMUDO

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分裂

「なっ……なにやってんだよ、オマエら!?」

 

これまでの経緯を話した途端、ランが声を荒げる。

 

「弱ってるサコを一人で置き去りにするなんて……オヤジは止めなかったのかよ!?」

「止めたに決まってるだろ!!でも……サコは何を言われても意思を曲げないって顔をしていて、俺は何も言えなかったんだ……」

「だけど……だけどさ……!!アタシはそんなこと絶対できねーよ!!」

 

ランの怒りの言葉を前に、俺は彼女の目を真っ直ぐ見ることができなかった。

 

「はぁ……オヤジもしょせんその程度のヤローだったってことだな。アンタのこと……もう信用出来ないよ」

 

ランの言葉が胸の奥深くまで突き刺さる。

 

「これからはアタシがみんなを守る。オヤジの意見は聞かねぇからな」

 

ランは俺を睨み付けてキサラギ達と俺の間に入ってくる。

俺からみんなを守るってことか……。

 

「わかった。好きにしろ。けど、俺にも俺の覚悟がある。みんなを必ずゴールまで導くってな。そうすればまた、みんな

合流できるはずだ」

 

俺はそう言って先に進む。

その後ろをみんなが歩き出す。

 

「……ラン……ユウ……」

 

アリスが二人を交互に見る。その表情は何もすることができない葛藤から生まれる悲しげなものだった。

 

 

────────

 

 

雪は勢いを弱めることなくユウ達一行に冷たく降り注ぐ。

彼らの会話は本当に少なくなっていた。しかし、言葉は発っする必要がないほど、空気がそれぞれの心情を物語っていた。

 

「また、門……」

 

そんなもん知ったこっちゃないと目の前に再び現れた門。

 

「もう……イヤ……」

 

目の前にあるだけで辛くなる。

それでもこの門の先にしか道がないいじょう、門を開けるための課題をのまなければならないのだ。

 

ユウはなにも考えないように門の文字を読み上げた。

 

『四人のうち、一人の力を我に捧げよ。さすれば扉は開かれん』

 

ユウの頭にサコの顔が過る。

大丈夫だと自分に言い聞かせて落ち着きを取り戻す。

そんなユウを無視して少女四人が話を進める。

 

「ここまで来たんだもの。じゃんけんで決めましょ」

「……わかった」

 

シンの提案にキサラギが元気なく答える。

 

「よし、やるぞ。じゃーんけーん……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……負けた……?……私が……」

 

負けたのはシンだった。

シンは顔面蒼白で震えてうつむいていた。すると、

 

「あはははははっ!!」

 

突然、大声で笑ったのだ。

 

「し、シン?」

「ま、いーんじゃない?私抜きで戦えると思うんなら、アンタ達で勝手にやれば?」

「何言ってるのよ?あたしたちだって好きでアンタを犠牲にしてるわけじゃないのよ!?」

「はいはい、わかってるって。恨みっこナシなんだから誰も恨んだりしないし!ま、私のクソ弱い私の運を恨めってことよね」

「シン……」

 

自傷的に、嫌みも込め、溜まったストレスを全て吐き出すように声を荒げる。

逆ギレにも見えるがユウ達からすれば痛々しいとしか思えず、かける声すら見つからない。

そんな中、ランはユウを一瞥するとシンに歩みより、

 

「……大丈夫だ、シン。アタシが守ってやるから」

 

と言って励ます。

しかし、シンの態度は落ち着く気配がない。

 

「ふふっ、いーのよ?足手まといって言っちゃっても」

 

シンの自傷的な言葉にキサラギが食って掛かった。

 

「シン!馬鹿なこと言わないでよ!」

 

中々見せることのない本気で怒ったキサラギの姿に流石のシンも黙ってしまった。

シンはみなから目線を合わせないように下を向いて扉の前に移動する。

 

シンの周りに光が生まれ、その光を扉が吸収した。そして、扉は開いた。

 

それを確認していたかのように動かなかった五人は門をくぐり抜けて先にへと歩を進め始める。

 

 

─────────

 

 

重い足を引き摺るように暫く歩き続けていると前方に人影が一つ、立っているのが見えた。

 

「あら、みなさん。また会えるなんて……嬉しいな♪」

 

ピンク色の長髪を揺らして、ユウ達に笑顔を向けるヒメカミがいた。

 

「ヒメカミ……!!あなた、仲間は見つかったの?」

「仲間?ううん、いないけど……それがどうかした?」

 

それがどうかした?ヒメカミは仲間を探していたはずなのに、その言葉はあまりにおかしい。

この娘はいったい何を考えているのか?

 

ユウ達の疑念の視線をも気にしないと言った感じで笑顔を崩さないヒメカミにシンが問いただした。

 

「前も不思議に思ったけど……貴女、いったいどうやってあの門をくぐったわけ?」

「犠牲を捧げないと通れない門なのに……」

 

確かに……ヒメカミ一人であの門の課題をこなせるはずがない。なのに、彼女はすでに先の道にてユウ達を待ち受けていた。

疑問に思うのは当然だ。

そんなシンからの質問にヒメカミはただ笑顔で、

 

「そんな門……あったっけ……?」

 

と言った。

つりそれは、ヒメカミが進んできた道にあの門はなかったということなのか?それとも、他に道があったのか?いやいや、ユウ達は隅々まで探索して唯一の道として数々の門を潜ってきたのだ。

門は確かに存在したし、他の道なんてなかった。

 

「ど、どういうことだよ……?ああーーーっ!!もう、いみわかんねーー!!」

「ラン……!!落ち着くの……!」

 

不可解な状況に今までのストレスも相成って乱心するラン。それを宥めるアリス。

そんな二人にも目もくれず自身のペースを崩さずに、ヒメカミは先の道に指を差す。

 

「……あなた達、先に行きたいんでしょ?わたし、案内してあげる。こっちよ」

 

 

──────────

 

 

「ほら、あの先に階段があるわ」

 

ヒメカミに連れられて、一本道を進んでいると見慣れた氷に囲まれた広い場所に出た。

そして、ヒメカミの示す先にあの門が再び……。

 

「チッ……また門かよ」

「仕方ないわね。行きましょ」

 

門の課題を読むために近くに向かう。

 

「……今度は誰を置いてくのかな……?」

 

後ろからヒメカミの声がかかる。しかし、その声色はさっきまでのものとはかけ離れた冷たさを孕んでおり、ユウ達の罪の意識を大きくさせ、罪悪感を強めさせた。

 

「はあ!?お、おいテ……「いい加減にしてくれぇ!!」

 

叫び声と轟音が響き、みなが驚きのあまりその方向に目を向けると、そこにいたのはユウだった。

彼の足元の床はひび割れており、さっきの轟音がそれだとわかる。しかし、足で床を砕くと言う離れ業を目の当たりにしても、普段の彼からは想像できない表情に少女達は恐怖ですくんだ。

ユウはヒメカミ……かどうか対象をはっきりさせず怒鳴り声をあげる。

 

「なんなんだよさっきから!全部、全部俺のせいなのか!!バラバラになって、喧嘩して、俺の努力不足が原因か!?そう言いたいんだよな!?ふざけんな!!俺が今まで、どんだけ頑張ってきたか……俺がどんな気持ちでいたか考えたことあるのか!好き好んで失敗してるわけじゃねぇんだよ!!俺の何が悪かったんだ!」

 

叫んでいるうちに涙を流し始めるユウ。

不満や不安がストレスとなって溜まっていたのは少女達だけではない。彼もまた人間だったのだ。なにかと色々こなしてみせるが、好き嫌いがあり、普通に怠けていたい一人の青年なのだ。

彼も精神の限界のあまり、懺悔のような弁明のような叫びをあげてしまったのだ。

そんな彼に誰がなにを言えるか。

 

「そんなの……簡単ですよ……」

 

いた。冷たい声で感情の変化もなく、ただ嘲るように話す少女──ヒメカミが。

 

「人の上に立つ人ってだいたいそうなんですよ。そうやって上からものを言って自分が正しいと主張して、危うくなったり、うまくいかなかったら下の人を切り捨て、裏切り、責任を押し付け、ストレス解消の捌け口にするんですよ。正に無能ですよね?簡単で当たり前なことでしょう?上の者が下の者を守るなんて。そんなこともわからず、自分の立場もわきまえない人が足を引っ張って邪魔をして、周りに危険性をもたらすんですよ!」

「お……俺は……邪魔……?」

 

ヒメカミの言葉を復唱してユウは膝から崩れ落ちる。

そして、下を向いたまま動かなくなった。

 

ユウが膝をついたことで我に返ったキサラギがヒメカミに意義を唱えようとする。

 

「そんな言い方は──「もういい!!!」」

「……し……シン?」

 

突然、シンが大きな声を上げ、キサラギの言葉を中断させる。

 

「どーせ…………どーせ次は私を置いてくんだろ!!レベルも上がらねぇ初期キャラとかクソの役にもたたねーし!!邪魔者は消えるから!!あんたらは勝手に行けば!?じゃーね、バイバイ!!」

 

そう言ってシンは走って行ってしまった。

ヒメカミの言葉が自分に向かって言われているものだと思ったようだ。

 

「お、おい待てよ!!そんな状態で一人になんなよ!」

 

走って行ってしまったシンはサコと同じ呪いにかかっているため、それが心配でランがシンを追いかけて行ってしまう。

 

「ラン……!!追いかけないと……」

「は?もうどーでもいいよ。あんなやつらほっときなって!」

 

シン達を追いかけようと言うアリスの案にキサラギは反発。

シンにわけもわからずキレられたのが気に食わなかったようだ。

 

「だ……だけど……」

「何よ!?みんながいなくなったの、私のせいだって言いたいの!?こんなの私のせいじゃないし!みんなが勝手ばっか言ってるからダメなんじゃん!!」

 

それでもなんとか説得しようとするアリスだが、キサラギの態度は変わらなかった。

 

「あーーもーーやだーーー!!暗いし辛気くさいし!!地獄もヨミガエリも、もーーうんざりなの!!」

 

キサラギはそれだけ言い残して走って行ってしまった。

 

「…………!…………!…………!」

 

アリスは少女達が行ってしまった方向とユウがいる方向を交互に見て、どちらにいくか悩んでいた。

そして、彼女が選んだのは、少女達を追いかけると言う選択肢だった。

 

この瞬間、ユウは一人取り残されてしまった。

周りには誰もいない。ヒメカミもいつの間にかいなくなっていた。

 

雪がいっそう強くなった。




遂に分断した。

ここ好きだから一生懸命書いてたら一週間遅れですよ。
しかもできばえは中途半端ってね。

後で手直し入るかもです。
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