オーバーロード~狼、ほのぼのファンタジーライフを目指して~ 作:ぶーく・ぶくぶく
/*/帝国魔法学院。
その名からして「魔法を学ぶ学校」と勘違いする者は多い。
だが実際には――必ずしも魔法を使える者ばかりが集う場所ではない。
確かに魔法を教える課程もある。けれど在籍する生徒の大半は、魔法を発動する才能を持たぬ者たちであった。むしろこの学院は、帝国における知の集積所であり、学問の門戸を開く最大の教育機関と呼ぶべきものだった。
一般的な国家において、教育とは金持ちの特権である。貴族は家庭教師を雇い、莫大な報酬を払って子弟に知を授ける。平民は、わずかな金をやりくりして私塾に通わせるのがせいぜいだ。中にはその余裕すらなく、子に教育を与えられない家庭も多い。村落に至っては、村ごとの独自の習慣や労働がそのまま教育となるのが常であった。
――だが、それではあまりに不公平である。
才ある子供が、教育を受けられずに一生を地に伏せたまま終える。
それを「国家にとっての損失」と断じたのが、かつての帝国前々皇帝だった。
彼は、当時すでに伝説と呼ばれた大魔法使い――フールーダ・パラダインに協力を求める。
そして共に築き上げたのが、帝国最大の教育機関にして学術の要塞。すなわち帝国魔法学院である。
ここでは優秀と認められた者は無償で学べる。場合によっては、逆に報奨金すら支給される。
ゆえに帝国全土の子供たちが「選ばれし者」となるべく、試験に挑み、憧れを抱き続けてきた。
では、なぜ「帝国学院」ではなく「帝国魔法学院」と呼ばれるのか。
フールーダが学院創設に深く関わったこともある。
だが何より、魔法という体系そのものが人間社会における知識の中核を占めるからだ。
建築士を志す者が、巨大な石材を運ぶときに軽量化の魔法を知っているか否か。
あるいは、何人の術者を動員すれば、どの程度の石を持ち上げられるかを理解しているか否か。
その差は計り知れない。
魔法を使えるかどうかではない。
――魔法を「知っている」ことこそが、帝国の知識人として必須の素養なのだ。
だからこそ学院は、魔法の名を冠していた。
それは畏敬と実利、そして知を守り伝える者たちの誇りを示す名であった。
/*/学院見学
帝都の一角。高い石壁に囲まれ、幾つもの尖塔が林立する広大な敷地があった。
アウレリア姫は馬車から降り立ち、思わず口を開く。
「……これが、帝国魔法学院」
壮麗な正門のアーチを見上げ、姫は息を呑んだ。漆喰の白壁と古の石組みが織り成す建築群は、荘厳さと威圧感を併せ持ち、どこか王都の王城に通じる雰囲気さえある。
隣で人化の姿をとったヘジンマールが微笑んだ。少年のような顔立ちに、どこか老成した影を帯びて。
「驚いた? でも、ここに通うのは貴族や金持ちの子供ばかりじゃないんだ。選ばれれば、平民でもこの門をくぐれる」
背後から、三人娘が音もなく寄り添う。
「アウレリア様、あちらをご覧ください」
淡々と告げるアイクの指先を追うと、芝生の庭で数十人の生徒が実習をしていた。火を放つ者、水を操る者、そして杖を握るだけで魔法の理論を読み上げるだけの者――能力の差は歴然だが、皆が真剣な顔で学んでいる。
「……魔法が使えなくても、ここで学べるのですね」
姫の声は自然と小さくなる。
セルデーナが静かに補う。
「知識は力となります。剣に勝るとは申しませんが……魔法を知ることは、生きる上で大きな糧となりましょう」
クアイアが柔らかく微笑む。
「姫様の歩む道に、必ず役立ちます。学院は、そういう場所です」
アウレリア姫は三人の言葉に頷きながらも、少しだけ目を伏せた。漆黒の剣と過ごす日々が脳裏をよぎる。彼らと共に冒険者として歩むことと、この学院で学ぶこと――どちらが自分にとって正しいのか。
ヘジンマールはそんな姫の表情を見て、ほんの僅かに目を細めた。
「姫様。僕たちがここへお誘いしたのは、決して強制するためじゃない。ただ、あなたの未来の選択肢を広げたいだけなんだ」
その声には、竜血の共鳴で結ばれた者だけが感じ取れる温度があった。
/*/学院見学
アウレリア姫はヘジンマールたちに導かれ、学院の門をくぐった。
正門を一歩越えた瞬間、空気が変わる。外の喧騒が遠のき、広々とした石畳の道が真っ直ぐに中央棟へ伸びていた。両脇には若木の並木と手入れの行き届いた花壇。色とりどりの花々が咲き誇り、まるでここが知識の庭園であると告げるかのようだ。
中央棟は城館にも比肩する石造りで、背後にはいくつもの塔が林立している。塔の窓からは光が漏れ、時折、爆ぜるような音や小さな閃光がこぼれる。姫は思わず足を止めた。
「……爆発音?」
アイクが涼しい顔で答える。
「学生実習の一環でございます。魔法の課題で、加減を誤る者が多いのです」
セルデーナが静かに補う。
「けれど、失敗もまた学び。ここでは誰も咎めません」
クアイアが穏やかに笑みを添える。
「――むしろ、失敗を重ねた者こそが、強くなるのです」
姫は内心で目を丸くした。王都の学び舎では失敗は恥であり、処罰の対象ですらあった。それが、この学院では許されるどころか推奨されているというのか。
中央棟を抜け、書庫塔へ。
螺旋階段を昇ると、天井まで届く本棚が林立する大図書室が広がっていた。羊皮紙とインクの匂い、蝋燭の明かりに照らされた無数の背表紙――その圧倒的な量に、姫は言葉を失った。
「これほどの書物を……すべて、学生が閲覧できるのですか?」
ヘジンマールが肩をすくめる。
「制限はあるけどね。けれど、知識を求める心があれば、ここは惜しみなく応えてくれる」
クアイアが頷く。
「この塔にこそ、学院の本質がございます」
さらに実験棟では、薬草を煎じる音、蒸気を噴き出す器具、結界に閉じ込められた炎が渦巻く光景があった。若き生徒たちは白衣に似た簡素な上着を着込み、額に汗をにじませながら必死に学んでいる。
最後に案内されたのは食堂だった。
広大な石造りのホールに、数百人は収容できる長卓が並んでいる。木の器に盛られた煮込み、焼きたてのパン、香草の香り漂うシチュー。ざわめきと笑い声があふれ、活気に満ちていた。
「……まるで兵舎の食堂のようです」
姫が呟くと、セルデーナが微笑みながら首を振った。
「いえ、兵舎とは違います。ここは学び舎――互いに競い、助け合う者たちの場」
その言葉に、姫は胸を打たれた。
彼女の知らぬ世界が、確かにここに広がっている。
/*/図書塔での邂逅
書庫塔の上層へと案内されたアウレリア姫は、ふと足を止めた。
棚の一角――厚い革表紙に銀の刻印を持つ古書が、ほかの書物とは異なる輝きを放っていたのだ。
「……《竜言語による古代契約譚》?」
姫は思わず声に出していた。
表紙に刻まれた竜の紋章。めくれば、硬い筆致で書かれた竜言語と、それを翻訳した古帝国語が並んでいる。ページの余白には、先人の研究者が残した細かな注釈。
姫の指先は震えていた。
竜の血を持つ自分の存在――その答えの一端が、ここにあるのではないか。
「興味がおありのようですね」
耳元に届いた柔らかな声に振り返ると、数人の学生が笑顔を向けていた。
「その本、人気なんですよ。竜族の伝承って、夢がありますし」
「……あの、失礼ですが――あなた、新入生の方ですか? 見たことがないお顔で」
アウレリアは目を瞬かせた。王女として声を掛けられるのとは違う、純粋な好奇心からの言葉。
頬が熱くなるのを感じながら、ぎこちなく微笑んだ。
「い、いえ……その、見学で」
「そうなんですか! もし入学されたら、ぜひ一緒に学びましょう!」
「竜に興味があるなら、きっと専門の先生を紹介してもらえますよ」
学生たちは屈託のない笑みを浮かべ、すぐにまた談笑の輪へ戻っていった。
残された姫は、胸が妙にざわつくのを覚える。
その様子を見ていたヘジンマールが、隣で静かに言葉を落とした。
「……ここで学べば、己を知る手掛かりも得られる」
アイクが本を抱え直し、真剣な瞳で付け加える。
「姫様が真に望まれるならば、竜血の力を制御する術も、きっと見つかりましょう」
セルデーナが視線を棚へと移し、淡々と続ける。
「知識は剣より強い盾となります。姫様が守りたいものを守るために」
クアイアが最後に、慈母のような笑みを浮かべる。
「どうかご自分の目で、感じ取ってくださいませ。ここにあるのは、未来を変える力です」
アウレリアは胸に古書を抱えながら、ふと息を呑んだ。
学院に足を踏み入れたときよりも強く――この場所に惹かれている自分を自覚してしまったのだ。
/*/揺れる姫の心
塔を出た夕暮れの回廊。
窓越しに差し込む光が長い影を作り、アウレリアは書物を胸に抱えたまま、足を止めていた。
(……ここで学べば、私の血のことも、竜のことも、もっと分かるのかもしれない)
胸の奥で小さく灯る熱。
さきほど学生から「一緒に学ぼう」と微笑まれた時の、あの胸のざわめきがまだ消えていなかった。
だが同時に、彼女の脳裏には別の光景が浮かんでいた。
漆黒の剣と共に歩いた旅路。笑い、助け合い、危険な戦場でも互いを信じたあの時間。
冒険者としての未来が、確かにそこにあった。
「姫様」
ヘジンマールの声が、考えに沈んだ姫を現実に引き戻す。
彼の瞳は柔らかくも真剣であった。
「学院で学べば、竜血の共鳴を制御する術も、国を守る力も得られる。ここは、そのための場所です」
アイクが一歩進み出て、杖を胸に抱いた。
「守られるばかりでなく、守るために。……その力をお求めになるなら」
セルデーナは淡々と窓の外を見やり、言葉を継いだ。
「冒険は魅力的ですが……学びの先にしか届かぬ未来もあります」
クアイアは穏やかに微笑む。
「どちらを選ばれても、私たちは姫様をお支えします。けれど――」
そのとき、階段の向こうから声がした。
「おーい、姫さん!」
振り向けば、ルクルットが手を振っている。その背後にはペテルとニニャ、そしてダインの姿。
「待たせたな! 街でちょっと買い物してきたんだ。今夜は一緒に宿で宴といこうぜ!」
「姫、ずっと探してたんですよ!」
ニニャが息を弾ませながら駆け寄ってくる。
「急に姿が見えなくなったから、心配で……!」
ペテルは腕を組み、真っ直ぐな目を向けた。
「学ぶのもいいが……俺はあんたと、剣を並べて戦いたい」
ダインが低く頷く。
「知識も大切である。しかし、姫が望むのはどちらだ。仲間と歩む冒険か、それとも学びの道か」
学院の静謐な空気と、冒険者たちの熱。
片方は未来を照らす炎のように、もう片方は確かな土台のように――姫の心を引き裂く。
アウレリアは両腕に抱えた古書を見下ろし、次いで仲間たちの顔を見回した。
胸の奥で、二つの声がせめぎ合う。
(知りたい……自分の血のことを。けれど……一緒に戦いたい。あの人たちと)
揺れる姫の瞳を見て、ヘジンマールと漆黒の剣は互いに一歩も引かず、しかし無言で火花を散らす。
その中心で、アウレリアは答えを出せずにいた。
/*/二つの道の間で
夕暮れの図書塔前。
アウレリアは胸に古書を抱え、片方に並ぶヘジンマールと三人娘、もう片方に漆黒の剣の仲間たちを見比べていた。
ヘジンマールの声は静かに響く。
「学院で学べば、竜血の力を制御し、国をも支える力を得られるでしょう。……姫様の未来は、ここで形作られる」
セルデーナが淡々と続ける。
「知識と技術。どちらも、命を守る盾となります」
クアイアの瞳は慈しみを宿し、姫を見守る。
「どうか、ご自身の望みを……心に問いかけてくださいませ」
一方で、ペテルが一歩踏み出す。
「俺は……一緒に戦いたい。姫が守りたいものを、肩を並べて守りたいんだ」
ルクルットは大げさに槍を肩に担ぎ、にやりと笑う。
「学院で小難しいことを学ぶのもいいけどさ! 冒険には冒険にしかない血湧き肉躍る瞬間がある。なぁ、姫さん」
ニニャは不安げに姫の袖を掴む。
「ずっと一緒に歩いてきたんです……これからも、そうだと嬉しい」
ダインは腕を組み、低い声で言葉を締めくくった。
「学びの道も冒険の道も、どちらも姫に相応しい。……だが、選ぶのは姫自身である」
静まり返る回廊。
アウレリアは古書を胸に抱きしめ、ゆっくりと目を閉じた。
(……竜のことを知りたい。自分の力を、制御できるようになりたい。
でも……みんなと一緒に旅を続けたい。笑って、戦って、助け合って……)
両方を求める思いが、胸の奥でぶつかり合う。
答えは――出せない。
やがて姫は小さく息を吐き、かすかな震え声で言った。
「……ごめんなさい。どちらも……選べません。どちらも、私にとって大切だから」
その言葉に、ヘジンマールは目を細め、漆黒の剣の仲間たちは互いに顔を見合わせる。
敵対する二つの道を、姫は同じだけの想いで見つめていた。
その揺らぎは――いずれ彼女の未来を大きく変えることになる。
/*/二つの招待
帝国魔法学院の中庭。
夕刻の鐘が鳴り響くと同時に、静寂を切り裂くようにヘジンマールが一歩進み出た。
「姫様。もし、まだ選べないのであれば……学院の試練を受けてみませんか」
アウレリアが目を瞬かせる。
「試練……?」
アイクが丁寧に杖を立てて答えた。
「ここでは、入学を望む者が必ず越えねばならぬ関門がございます。竜血の共鳴を持つ姫様であれば、その本質を計ることができましょう」
セルデーナが言葉を補う。
「力の使い方を学ぶのか、あるいは拒まれるのか。学院は、未来を映す鏡でございます」
クアイアは小さく頭を垂れた。
「もしご興味があれば、学院長に取り次ぎを」
試練――その言葉に、アウレリアの胸が高鳴る。竜に関する知識、古代の王国の記録、そして自らの力を理解できるかもしれない誘惑。
だが、その直後。
ペテルが一歩前に出ると、重い剣を地に突き立てた。
「待てよ。試練なんて後でもいいだろ。姫が迷ってるなら、俺たちと一緒に遠征に来ればいい」
「遠征……?」
ルクルットが楽しげに槍を振り回す。
「ちょうど依頼が来てんだ。帝国北部の峠で魔物の群れが現れてる。戦いの中でこそ、自分の本当の望みがわかるもんだぜ!」
ニニャが小さく微笑み、姫の袖を取る。
「学院の静かな学びも素敵ですけど……私たちと行けば、笑ったり泣いたり、全部一緒にできますよ」
最後にダインが唸るように言葉を重ねる。
「学問は未来を照らす灯火である。だが、冒険は今を燃やす炎でもある。……姫は、どちらを選ぶのか」
姫は押し黙り、両陣営を見比べる。
背後には学院の荘厳な塔と果てしない書物の知識。
前方には仲間たちの笑顔と、戦いへと誘う荒野の風景。
(……どちらも、私には捨てがたい)
胸の奥で揺れる二つの道。
試練と遠征――その両方が、彼女の未来を照らそうとしていた。
/*/帝国魔法学院・入学試験
帝国魔法学院の大講堂は、朝から熱気に包まれていた。
長机が幾列にも並び、羊皮紙と筆を前にした若者たちが緊張した面持ちで腰を下ろしている。地方から集まった平民の子弟、名門の令嬢、剣を佩いた騎士見習い――それぞれが希望と不安を胸に秘め、試験の開始を待っていた。
その中に、ひときわ落ち着いた気配で座る少女がいた。
黒曜石のように艶やかな髪を結い上げ、質素な学院生の衣をまとった少女。背筋は真っ直ぐに伸び、両の瞳は緊張を隠しながらも、どこか強い決意を宿している。
アウレリア。かの王国の姫君であることを、この場に知る者はいない。
魔法理論
試験の第一科目は魔法理論。
魔法陣の構造、詠唱補助の理屈、物理現象との相関関係を問う難題が並ぶ。
ペン先が羊皮紙を走る音があちこちから響く中、アウレリアの筆は迷いなく進んでいた。
「……補助詠唱は、通常の言語詠唱と比べて――」
彼女の筆致は速く、しかし確実だった。竜との共鳴実験で得た体験は、彼女にとって単なる知識ではなく、生きた理論として刻まれている。
答案を手に取った試験官の一人が思わずつぶやく。
「理論を実体験で裏付けている……この年齢でここまでとは」
一般教養(読み書き・計算)
次の科目は一般教養。
古典文の書き取り、そして商会で用いられる複雑な計算問題。
多くの受験生が頭を抱える中、アウレリアの指は迷いなく数字を並べていく。
宮廷教育で叩き込まれた知識は、こうした実務の問いにこそ強い。
答案を確認した試験官が頷いた。
「正確で速い。文法も数字も乱れがない。……『優』」
美術・芸術
三科目目は美術と芸術。
課題は「古代の竜を描け」。
受験生たちが苦心して竜の輪郭をなぞる中、アウレリアは静かに筆を走らせた。
夢に見た竜の姿、共鳴の際に心に焼き付いた幻影――それを紙に映し出していく。
翼を広げた威容、燃えるような眼差し、そして深い孤独を抱える影。
描かれた竜は、ただの絵を超え、そこに在るかのような生命感を放っていた。
周囲の受験生たちがざわめく。
「……生きてるみたいだ」
審査官はため息をついた。
「王族のたしなみを超えている。『優』」
体力測定
最後は体力試験。
走力、持久力、武器の扱い。
広場に設けられた走路をアウレリアは軽やかに駆け抜けた。
風を切り、誰よりも速くゴールへ飛び込む。その姿は疾駆する黒き竜を思わせた。
続く模擬戦では槍を手に取り、人形を鋭く突き崩す。兵士として鍛え上げられた者たちに匹敵する力と技。むしろ、そのしなやかさは彼らを凌駕していた。
「記録更新――!」
「姫……いや、受験生、これは『特優』判定です!」
結果発表
試験官が壇上に立ち、声を張り上げた。
「――アウレリア。結果、魔法理論『優』、一般教養『優』、美術芸術『優』、体力測定『特』。合格!」
講堂がどよめきに包まれる。
受験生たちが一斉に彼女を振り返り、その視線が熱を帯びていく。
「誰だ、あの子……」
「竜のように走って、絵も魔法も……まるで物語の英雄じゃないか」
アウレリアは頬を赤らめながら、一礼して壇を降りた。
その胸の奥には確信が芽生えつつあった。
(……学院で学べば、私はもっと強くなれる。けれど……)
ふと脳裏をかすめる。
荒野で笑い合う仲間たち、焚き火を囲んだ夜、泥にまみれて進む道。漆黒の剣の面影。
心は大きく揺れていた。
学びの未来か、冒険の今か。
その選択は、まだ答えを与えてはくれなかった。
学校で学びたいとか真面目だねー
次回!
第118話:北部遠征!
実地訓練も結構スパルタだと思うぞ。
もう感覚がみんな狂ってる。