オーバーロード~狼、ほのぼのファンタジーライフを目指して~   作:ぶーく・ぶくぶく

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第124話:やったね!プレゼントだよ

 

 

/*/

 

 

ジョンが静かにルプスレギナの前に歩み出る。

その手には、漆黒に輝く宝玉を埋め込んだ護符があった。

 

「これは……?」

 

ルプスレギナが目を丸くする。

ジョンはわずかに微笑み、護符を差し出した。

 

「大魔術師の護符《アミュレット・オブ・ワードナ》――お前に持っていてもらいたい」

 

ルプスレギナは思わず一歩下がり、息を呑んだ。

 

「こ、これって……神話級《ゴッズ》アイテムじゃないっすか!?」

 

普段の軽口も忘れ、狼耳がぴんと立ち、尻尾まで硬直している。

彼女は両手で大切そうに受け取りながら、それでも困ったようにジョンを見上げた。

 

「で、でも……これを手放したら、ジョン様が〈ゲート〉使えなくて困るっすよね?」

 

ジョンは肩を竦め、もう一方の腕を掲げる。そこには不気味に輝く銀の腕輪があった。

 

「心配するな。――”ヨグ=ソトースの腕輪”があるからな」

 

「……っ!」

 

ルプスレギナの目が揺れる。

自分を信じ、最上級の神器を託すその想いに、胸の奥から熱いものが込み上げてきた。

 

「……ジョン様、わたし……命に代えても、この護符を守り抜くっす!」

 

ジョンは護符をルプスレギナに渡すと、じっと彼女の目を見つめた。

 

「……ルプー」

 

「ジョン様?」

 

「護符よりも、お前の方が大事なんだ。だから渡す。だけど――」

ジョンは護符を握らせたまま、彼女の鼻先に自分の鼻を軽く触れさせる。

 

「護符のために命を落とすような真似はするなよ」

 

「……っ!」

ルプスレギナの狼耳が一気に真っ赤になったかのようにピンと立ち、尻尾がぶんぶんと揺れる。

 

「な、なななっ……ジョン様……鼻チュウって……ずるいっす……」

 

ジョンは小さく笑い、彼女の頬を撫でる。

 

「お前が無事でいることが、俺にとっての本当の勝利なんだ」

 

「……っ、もう……! 護符も、命も、全部大事にするっすから! だから、もっと……そばにいて欲しいっす……」

 

二人の距離は、神器よりも深く、甘く――確かに結ばれていた。

 

 

/*/モモンガの執務室

 

朝の報告書を読みながらのコーヒータイムにモモンガが驚きの声を上げる。

「ジョンさん、ルプスレギナに――神話級《ゴッズ》アイテムの《大魔術師の護符》を渡しちゃったんですか!? 〈ゲート〉はどうするんですか!」

 

ジョンは平然とした表情で、静かに答える。

「いや、"ヨグ=ソトースの腕輪"があるから大丈夫」

 

モモンガは絶句する。

「……同じ台詞を、まったく同じ調子で返すんですね」

 

ジョンは肩を竦めて笑う。

「〈ゲート〉のためだけに持ってたようなものだし、シナジーはルプスレギナの方があるからね」

 

アルベドが小さく頷く。

「ああ……魔力系の一部も、『ワードナの遺産』で使えるのですね」

 

ジョンは左手の腕輪をちらりと見せる。

「ヨグ=ソトースの腕輪もセットアイテムだけど……まあ、腕輪くらいしか使ってないよ。俺はモンクメインだからな」

 

少し間を置き、ふっと笑みを浮かべる。

「”黄衣の王の衣”に”青白い仮面”……は俺には向いてないし」

 

モモンガは腕を組み、しばし黙考する。

「……ジョンさんがルプスレギナに神話級アイテムを贈ったのなら……私も、アルベドに何か渡すべきなのでは……?」

 

その呟きにアルベドの目がきらめく。

「モモンガ様……!」

 

しかしすぐに困惑の声が漏れる。

「で、でも……私が持っている装備はほとんどナザリックの管理物資だし、勝手に渡すのは……」

 

ジョンがコーヒーを啜りながら口を挟む。

「なら、新しく作っても良いし、モモンガさんの個人コレクションだって立派なもじゃないか」

 

アルベドは頬を染めて、両手を胸の前で組む。

「モモンガ様の手ずから……! どんな物であれ、私にとっては世界で唯一の宝物です」

 

モモンガは一層気まずそうに視線を逸らした。

「……いや、その反応をされると余計にハードルが上がるんだが……」

 

ジョンは悪戯っぽい笑みを浮かべる。

「バニースーツとか? ああ、それはもうやったっけ?」

 

「え?なぜそれを……」

「え?」

「……ごほん」

「誤魔化したな」

 

モモンガは顔を覆い、声を荒げる。

「ええい、だまらっしゃい! その件は記録抹消だ! 二度と口にするな!」

 

アルベドは頬を真っ赤にしながら、夢見るように目を細める。

「……あの時のバニー衣装……今でも大切に保管してあります……」

 

「やめろォォォ!」モモンガは椅子の上で頭を抱え、椅子ごとガタリと揺らす。

 

ジョンはわざとらしく咳払いをして話題を戻す。

「ええい……じゃあ”勇気ある者の盾”とかはどうだ? 持ってたよな」

 

モモンガは小さく首を振る。

「あれは神話級アイテムではないし、アルベドに相応しいかどうか……」

 

アルベドは即座に身を乗り出す。

「神話級である必要などございません! モモンガ様から賜るものであれば、木の枝であろうと石ころであろうと、私にとっては至宝です!」

 

モモンガは思わず口ごもる。

「そ、そんなに言うなら……本当に木の枝を渡したらどうするんだ……?」

 

アルベドは真剣な表情で答えた。

「額に飾り、毎日祈りを捧げます!」

 

ジョンはコーヒーを吹き出しかけた。

「……さすがだな、アルベド。お前に贈るものは何であっても伝説級に化けそうだ」

 

モモンガは深く溜息をつき、執務机に額を押し付ける。

「……ハードルが、無限に上がっていく……」

 

/*/モモンガの執務室(続き)

 

モモンガは机に突っ伏したまま呻いた。

「……このままでは、私が何を渡してもアルベドの反応で伝説級扱いされてしまう……」

 

ジョンが肩を竦めて笑う。

「それはそれでいいんじゃないか? 愛情補正で性能跳ね上がるとか、アルベドらしいぜ」

 

アルベドは真剣に頷く。

「ええ、間違いありません。モモンガ様から頂いた時点で、神器に匹敵する価値が生まれるのです」

 

「……だめだ、余計にプレッシャーが増した……!」モモンガは頭を抱える。

 

ジョンはニヤリとしながら提案する。

「いっそ、何の効果もない”飾りアイテム”を作って渡すって手もあるな。性能を期待されないぶん、気楽だろ」

 

アルベドは目を輝かせる。

「モモンガ様の愛が込められた”唯一無二の装飾品”……! ああ、素晴らしい……!」

 

モモンガは沈黙した。

「……待て。性能がなくても神器級扱いされる? じゃあ余計に手抜きできないじゃないか……」

 

ジョンは楽しそうにコーヒーを啜った。

「おう、頑張れモモンガ。ハードルは天を突いたぞ」

 

モモンガは天を仰ぎ、骨の顎を押さえながら呻いた。

「……アルベドに渡す贈り物を考えるだけで、胃が痛い気がする……」

 

/*/モモンガの執務室(続き)

 

モモンガは顎に手を当て、考え込むように呟いた。

「……そもそもアルベドの装備は全部、神話級《ゴッズ》アイテムだ。新たに作るといっても難しいな……」

 

ジョンが頷く。

「確かに。鎧も武器も盾も、これ以上強化する余地はあまりないだろ。盾役なら護符か……いや、指のスロットはまだ余ってるんじゃないか?」

 

その言葉に、アルベドはふと自分の左手を見つめ、うっとりと微笑んだ。

「……もっとも価値ある結婚指輪〈リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン〉は、すでに頂いておりますから……」

 

指先で薬指の指輪をそっと撫でながら、陶然とした吐息を漏らす。

「これ以上の幸福など、本来ありえません……」

 

モモンガは慌てて視線を逸らしつつ、低く唸った。

「う、うむ……ならば被らないように、別の指輪を贈るべきか……」

 

ジョンがニヤリと笑う。

「なるほどな。結婚指輪の隣に並ぶ”護りの指輪”……か」

 

モモンガはしばし黙考したのち「あれがあったかと」コレクションルームに引っ込む。

 

やがて戻ったモモンガの手には、深紅の宝石を嵌め込んだ白銀の指輪。宝石の奥では、揺らめく炎が永遠に燃え続けているかのように煌めいていた。

 

モモンガはそれを静かに手に取り、言葉を紡ぐ。

「……名を《紅蓮の守護指輪(リング・オブ・クリムゾン・ウォード)》という。身に着ける者の身を常に護り、傷ついた時には自動的に癒す効果を持つ」

 

アルベドは瞳を潤ませ、両手でその指輪を受け取った。

「モモンガ様……! このような宝物を、再び……!」

 

ジョンは肩を竦め、からかうように笑った。

「いやはや……指輪を二つも贈るなんて。もう完全に”旦那ムーブ”じゃないか」

 

「だまれジョン!」モモンガは即座にツッコミを入れ、骨の頬を押さえながら溜息をついた。

「……また胃が痛くなってきた……」

 

 





設定作ったけど、使ってないアイテムが一杯w

次回!
第125話:新開発

今度は誰が何を開発するのか
正解者には「古のお守り」をプレゼント!
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