オーバーロード~狼、ほのぼのファンタジーライフを目指して~ 作:ぶーく・ぶくぶく
2020.12.9 第36話:ほのぼのは西からやってこない
上記それぞれに1行ずつ追加。
ジョン・カルバイン語る。
セバスとソリュシャンを出張に出したのを忘れてたら、セバスに叛意ありとソリュシャンから連絡があった件。
デミウルゴス、コキュートス達が大激怒。と、言うかアルベドとルプー以外が大激怒。
モモンガさんはそんなハズないだろjkとマスターシステムでセバスのネームを確認。
結果は真っ白ネームだったのだけど、デミウルゴス達がどうしてもと言うので、パンドラをモモンガさんの影武者にして王都へ送り出した。
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パンドラを待つ間、モモンガの執務室でジョンとモモンガは手持ち無沙汰で、取り留めもない会話を続ける。
「ボロボロの女性を拾ったって、それ……絶対たっちさんの真似しただけだよ」
「……真似ですか…」
「カルバイン様はセバスが意志を持って、至高の御方様の定められた限界を越えようとしているとは思わないのですか?」
不思議そうに問うアルベドへ、ジョンはないないと手を振ってみせる。
「セバスは脳筋だもの。そこまで考えてないって。ずっと、ナザリックにいて弱い者に助けを求められる経験がなかったから、弱弱しい声で『……助けて』とか言われて、コロっといっちゃったんだろ」
「だとしたら、それはそれで問題ですよ。誰彼構わず助けられても困ります」
と、モモンガはセバスを外に出すのは止めた方が良いんだろうか?と考え込み始める。そんなモモンガへジョンは軽く言葉を掛ける。
「経験を詰めば、もうちょっと上手く対処するようになるだろ……多分」
「……駄犬の多分は説得力あるなぁ、おい」
お前は村一つ拾ってきたろうと言外に滲ませるモモンガ。
「だが、後悔などしていない!!」
ジョンは分厚い胸板を大きく張って、偉そうに宣言した。
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今日はいつも通りの戦闘メイド服を着用しているルプスレギナに用意させた珈琲を飲みながらジョンは呟く。
「しっかし、セバスが拾ってきた女性の名前……ツアレだっけ?うーん、まさかなぁ」
「どうしました?」
名前がどうしたのだとモモンガが不思議そうに首を傾げてみせた。
「いやさ。
「おや。だったら良いですね」
「まーそうなんだけど、なんでもかんでも棚ぼたはあいつらの成長に良くないよなぁと思って」
珍しく難しく考えるジョンの姿にモモンガは笑った。
「そう難しく考えなくても……彼らも冒険者なんですから、なにかクエストを与えれば良いのでは?」
「それもそうだね。難しく考えすぎた」
再び、モモンガは笑った。
脊髄反射で生きてるようなジョンでも考えすぎる事があるのかと笑ったのだ。
「ジョンさんでも考えすぎる事があるんですね」
「そりゃないよ、モモンガさん。……ところで、ルプー。今日の珈琲はどこの?」
ジョンの問いにルプスレギナがそつなく答える。
「デザートに合わせて、ビターなスマトラ産の珈琲をご用意しました」
「うん。良くあってる」
そう言って、ジョンはカスタードプリンをスプーンで掬い、口に入れていく。
甘い香りと牛乳のコク、卵のまろやかさが砂糖の甘味を交えながら口の中で溶けていく。その甘味の中に苦みが混ざったカラメルが全体の柔さに筋を通し、コクを深めていた。
やっべ、スマトラ産コーヒーとか設定してたの忘れてた!
もっとも、内心は設定忘れで甘味ではなく苦味ばしっていた駄犬だった。
「村で砂糖も作れるようになったら、一緒にプリンも作ってみるか?」
「ジョン様!はい!喜んで!」
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ジョンとモモンガは、モモンガの《上位転移》で王都の館へ転移する。
視界が王都の館の一室に変わると、セバス、コキュートス、デミウルゴス、ソリュシャン。その部屋にいた4人は一斉に跪き、頭を垂れる。
「出迎え、ご苦労」
モモンガはその手に持った、人の苦悶を浮かべるような黒い揺らめきが起こるスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを振る。それから机の後ろに回ると椅子に腰掛けた。
「立て」
4人は一斉に立ち上がり、非常に機嫌のよさそうなモモンガに視線を送った。
デミウルゴスの心配を『用心しすぎだが、その心遣いは嬉しく思うぞ』的な話をしている間、ジョンはセバスの様子を窺っていた。
強い緊張から汗を掻いたらしい臭いに混じって、なにか動揺したような臭いも感じられる。
緊張は兎も角、動揺ってなにかあったかな? とジョンが考えていると、セバスが「ツアレをどのようにしましょうか?」と聞いていた。
モモンガが少し考えている間に、ジョンはセバスに問いかける。
「セバス。そのツアレの本名……フルネームはなんと言う?」
「本名……フルネームで、ございますか」
セバスが唇を噛んだようだった。緊張と恥辱からの臭いが強くなったとジョンには分かった。
「うん。本人から聞きたい。何度もすまないが、連れてきてくれないか」
だから、セバスが何か言う前にそう言った。
一礼してセバスが出て行ったのを見送るが、セバスが出て行っても誰もセバスの事を愚痴らない。
そのデミウルゴス、コキュートス、ソリュシャンの姿にジョンは愛おしさを感じる。
「……人間だったら、ここで『セバスにも困ったものだ』と悪口大会になる所だぞ」
「人間如きと一緒にされては困ります」
「ああ、分かってる。お前たちはかわいいな」
ジョンのデミウルゴスへの可愛い発言にモモンガが呆れたように口を挟む。
「ソリュシャンは兎も角、デミウルゴスやコキュートスに可愛いはないでしょう」
「そうは言ってもさ。みんな俺たちの子供みたいなものじゃない?」
「……ああ、そうですね」
「かわいくて、愛おしい、俺たちの自慢の子供たち」
その言葉にデミウルゴス、コキュートス、ソリュシャンはぶるりと背筋を振るわせる。絶対なる主人にそういってもらえるというのは、生み出された存在からすれば最大の歓喜だ。
「アルベドにも言った事だけど、お前たちの
モモンガさんの言った全てを許そうってのは、そういう意味だよ」
感極まって、ソリュシャンは腰砕けになった。絶対なる主人の前で許される姿では無いが、最大の歓喜に、もう立っていられなかったのだ。
デミウルゴスとコキュートスは守護者の意地でか両足に力を込めて立ち続けている。それでもその身が震えているのは歓喜ゆえだ。
3人は絶対の主人の愛に触れ、これこそが何よりの賜り物だと確信していた。
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扉がノックされ、そして開かれる。姿を見せたのはセバスとツアレだ。
「つれてまいりました」
ツアレが入口で小さく息をのむのが、ジョンには分かった。2度目の邂逅であるハズだが、それでも立っていられるとは済むとは胆の据わった女性だと思う。それとも地獄を見てきたのか。
部外者の姿にモモンガは支配者ロールに気合を入れ直し、ゆっくりと左手をツアレに向けて差し出す。それから手のひらを天井に向けると、ゆっくりと手招きをした。
「入りたまえ。――ツアレニーニャ・ベイロン」
その言葉に支配されるように、ツアレは1歩、2歩と震える足を動かし室内へと入る。本名を言い当てられ、驚愕したのだろうか?怯え、恐怖の他に、驚愕の臭いもジョンは嗅ぎ取っていた。
そんなツアレに対し、デミウルゴスは冷たく見据え――。
『ひざ――』
言いかけたデミウルゴスをジョンが手で制した。デミウルゴスは主人の意志を即座に理解し、それ以上の言葉を発する事を止める。
「申し訳ありませんでした」
デミウルゴスの謝罪にモモンガは笑って答えた。「気にする事はないとも」
「さて」椅子に深く座り、背もたれに寄りかかっているモモンガ。「私の盟友たるジョンさんが、ツアレニーニャ・ベイロンに聞きたい事があるそうだ。君がそうだね?」
カタカタと震えるツアレはなんとか口を開こうとしているようだった。
「わ、わた、わ、わたわたっしッ……」
「よい、ツアレニーニャ・ベイロン。無理に口を開く必要は無い」
(表層意識を《ESP》で覗いた限りでは、ツアレニーニャ・ベイロンで間違いないようですね)
(こっからどうしましょう。『妹を預かってる』とか言ったら、絶対に誤解されますよねw)
(言いたければ言って良いんですよ?)
(ところでツアレさん。セバスにキスしたのを心の支えにしてるようですね)
(!!こんのエロジジィ!!)
(貴方にはアルベドがいるでしょう。一人くらい見逃してやりなさい)
いつもの《伝言》を用いた同時会話をジョンとモモンガはしながら、まさかセバスに、後日ハーレム禁止令を出す羽目になるとは思ってもいなかった。
「ツアレ。お前はナザリックで働きたいのか?」
「……は、ははは、ははい」
涙目で震えながら、必死になって、こくこくと頷くツアレにジョンは《下位幻術》でニニャの姿を出して見せる。
「この者――セリーシア・ベイロンを知っているか?」
ツアレの呼吸が止まった。
しばしの時を置いて、かすれた悲鳴のような声と共に呼吸が再開する。
「わ、わた、わ、わたわたっしッ……わたっしッの……い、いも、妹でってんす……」
「良く答えた。後で再会させてやろう。この者――セリーシア・ベイロンはニニャと名乗り、今は冒険者をし、お前を探している。……俺の弟子だ」
ジョンの言葉にデミウルゴスたちが驚愕したようだった。
「セバス、良くやった。危うく俺の弟子の探し物が見つからなくなるところだったぞ」
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「話は終わったかな?……私も、勿論セバスを疑ってはいなかったとも。とはいえ」疑っていなかったというところに非常にアクセントが置かれたものの言い方でモモンガはセバスに告げる。「お前を疑ったものを止めなかったのは事実だ。まずは許せ」
モモンガは言い終わると、机にくっ付くぐらいに頭を下げる。
「め!滅相もございません!全て私の不徳のなすところ!」
「その通りです。疑ったのは私達のミス!モモンガ様が謝罪する必要はありません!」
「その通りです!セバス様を最初に疑ったのは私!モモンガ様は謝罪するのではなく、私を罰してください!」
慌てて、詰め寄りかける部下達に手を挙げ、モモンガは黙らせる。それから再び自らの考えを述べた。
「その侘びとしてツアレはセバスに任せる。さて、デミウルゴス。先も言ったようにナザリックに害をなさない範疇であれば、ツアレの安全を保証するようにお前の頭を使え」
「畏まりました。帰還後、即座にツアレの話をナザリック内に伝えます。個人で行動しても危険が無いように」
「よし。以上でツアレの待遇は決まりだな、それで良いな、セバス?」
「はっ!」
セバスは90度を超えそうな勢いで頭を下げた。モモンガへの忠誠心をより強く、セバスは感謝の意を示したのだ。
「さて、と。あとセバスは私に何か願い事があるのだな?」
「予想は出来てるから、気にせずに口に出してくれよ?」
寛大さを見せてくれた主人に対して、これ以上の事を求めるのは優しさに付け込むことになるのではないだろうか。そう逡巡するセバスの背中を、ジョンの言葉が押してくれた。
「はっ。ツアレを助けた際、他にも幾人か囚われているという話でした。もしよければその人間達を助けたいと」
「セバス。それはあまりにも虫の良い願い。あなたのその甘い考えが問題を引き起こしたのでしょう?それを考えればそのような願いは決して口には出せないと思うのですが?」
デミウルゴスが眉を顰めた。しかし――
「――ん?いいんじゃないか?何か問題があるのか?」
そんな気楽そうなモモンガの言葉を受け、デミウルゴスの宝石の瞳が僅かに広がる。
「……いえ、モモンガ様がよろしいというのであれば、私に反対の意見なぞございません」
「いや、反対の意見の有無ではなく、問題があるかという質問なのだが……別にそいつらがナザリックを愚弄したわけでも、私を馬鹿にしたわけでもないのだろ?さらには苦しめることで我々に利益があるわけでもない。ならば助けても良いではないか」
モモンガの言葉の後にジョンが言葉を付け足す。
「それじゃデミウルゴスはドッペルゲンガーを何人か連れて、セバスに協力してやってくれ」
ジョンの分かってるとは思うけど、『そのまま犯罪組織を乗っ取ってこい』との言葉に今度こそデミウルゴスの瞳が見開かれた。
「襲撃を受けて混乱しているところなら、何人か入れ替わっても分からないだろう?」
モモンガも理解に至ったのか、ああと声をあげた。
「裏から王国を支配する組織を牛耳ってしまえば、セバスとソリュシャンをいつまでも出張させておく必要もないからな」
セバスが瀕死のツアレを助けるところから、全て至高の御方々の計画通りだったのかとデミウルゴスが震える。
一つの策で何重にも成果を上げる二人に、セバスへの対抗意識で視野が狭まっていたとデミウルゴスは自省の念に深く駆られた。
考えの至らぬ自分へそっとフォローを入れるだけでなく、そのジョンの言葉に気が付いたと演技してみせる主人の愛に涙が滲んだ。
「流石ハ至高ノ御方々」
「セバスが問題を起こす事まで計画の内とは……そこまでのお考え、深い愛からとは思い至りませんでした」
「全くです」
「え?……そ、そうか?う、うむ、そんなわけだ。な、納得したようだな?ではその辺はセバスに任せ、我々は撤退をしよう。とりあえずはこの館内を綺麗に掃除し、変な情報を残さないようにしないとな。そうだよな、デミウルゴス?」
「まさに」
「そういうわけだ、セバス」
「畏まりました」僅かばかり慌てたようなモモンガに、セバスは深く頭を下げる。自らの願いを叶えてくれた主人に対する、深い感謝の気持ちを込めたものだ。
「……ところで中にいる人間は皆殺しにすべきでしょうか?」
「セバス……私たちは犯罪組織を乗っ取り、王国を裏から支配する足掛かりを作りに行くのだよ。皆殺しにしては意味がない」
セバスの問いに、呆れたデミウルゴスがモモンガに代わって答えた。
「ん……そういう体だな。ただ、ナザリックに来たいと要望する人間以外のものを連れては来るなよ?」
誘拐ではなく、自由意志による行為だ。そんな建前を作るための狙いだろう。
それに対してはセバスも理解できる。そのため即座に返答した。
「畏まりました」
「……しかし、やはりそういうところなんだから女だろうな?」
「だと思われます」
「……女、これ以上増やして価値あるのか?個人的には肉体労働とかさせることを考えると男の方が嬉しいんだが……。女なんかがこれ以上増えることに必要性を感じないのだが……」
そういわれてもセバスに言葉は無い。無論、モモンガも実際返答が聞きたくて、セバスに零したわけでは無い。なんとなく視線を新婚の駄犬に向けてみる。
「円満家庭に波風たたせないでくれる?ルプー以外いらないよ」
「だよなぁ」
モモンガは肩を竦めた。
「まぁ、良いか。では行動を開始しよう」
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モモンガの私室。その扉から伸びる真紅の絨毯の先、階段を上って巨大な執務机がある広間は、メイド達によって晩餐の用意が済まされ、既に食事も始まっていた。
壁際には凛と背筋を伸ばした姿勢で一般メイド達が立ち並び、一歩前にプレアデス5名とセバスが並んでいる。
長テーブルの主人席にはモモンガ、その右手側の席にはアルベド、左側にシャルティア。主賓席には人狼形態のジョンの姿があり、その右手側にはジョンの番となったルプスレギナの姿があった。
晩餐会と言う事でモモンガとジョンは、メイドたちに正装に飾り立てられていた。
勿論、それぞれのパートナーであるアルベドとルプスレギナも、いつも以上にレディース・メイド番となったメイドたちによって飾り立てられている。ルプスレギナはいつもの戦闘メイド服ではなく、胸元、背中が大きくあいたデザインのイブニングドレス姿である。
このアルベドの願いから始まった週1回の晩餐会は、メイドたちにとって至高の御方々に仕えていると実感できる忙しくも充実した時間であり、そうと知ってしまったから、モモンガもジョンも大人しく飾り立てられていた。ジョンにとっては、いつもと違うメイク、ドレス姿のルプスレギナを愛でる良い機会でもある。
食事の前の会議では、デミウルゴスから王国最大の裏組織《八本指》を掌握したと報告があった。各部門の長を順番に恐怖公の元で『洗礼』を受けさせていると言う。デミウルゴスから「流石は至高の御方。《店》が王国最大の裏組織に繋がっている事も計画の内だったのですね」とキラキラした瞳で言われたので、「全てはモモンガさんの掌の上よ」とジョンは答えておいた。後日、モモンガにしばかれたが。
結局、8名ほどの女性がナザリックへ来るのを希望したと言う。彼女たちはセバスとペストーニャの元でメイドとしてのふるまいを教育されていくだろう。
また、スレイン法国から『正式にアインズ・ウール・ゴウンを神と仰ぎたい』と使者がカルネ=ダーシュ村を訪ねてきた事もあり、法国を属国にしようとモモンガとジョンは決めた。その際、コキュートスの案を採用し『アインズ・ウール・ゴウン魔導国』と国名を定め、モモンガが『アインズ・ウール・ゴウン魔導王』を名乗り、スレイン法国を属国にするとした。
領土と言えるのはカルネ=ダーシュ村とトブの大森林南方と西方だが、近くリザードマンたちの集落を制圧する予定なので、国としてはまあまあ広い領土を持っているのではないだろうか。
討伐軍を撃退したところで正式に魔導国として宣言をし、スレイン法国からも声明を出させた上で、王国を殴り返すとした。
食事を楽しみながら、モモンガはところで……と、口を開く。
「週1で晩餐会をやってる筈ですが、なんだかとても久しぶりな気がしますよ」
具体的には5年ぶりくらいかな?やめるんだッ!!それ以上はッ!いけないッ!!
一部に危険な会話もあったものの終始和やかに晩餐は続く。
「ルプスレギナが料理できるようになったと聞きましたが、本当ですか?」
「おう!出来るようになったよ。特殊効果のある料理は1Lv相当しか作れないケド……効果の無い料理なら、レシピ見ながら作れるようになった」
「それは進歩……と、言うか興味深いですね。効果のある1Lv相当の料理しか作れないなら、まだ分かり易かったですが」
何か心当たりはありますか?の問いに、
「それがさー。レベルアップとか結婚システムとか使い魔契約とか、一度にやりすぎて良くわかんないんだよ」
「……この
せっかくの貴重な機会が……モモンガはギリギリと歯を軋らせたが、食事中と言う事もあり、《火球》突っ込みは堪えた。
ぷるぷると震えるモモンガの右手にそっとアルベドの手が添えられた。
「モモンガ様……私はいつでも御身をお支え致します」
自分を潤んだ瞳で見つめる自分好みの絶世の美女に、《自己変身》に食事の感動を味わう為と《完全なる狂騒》まで使っていたモモンガは顔を赤らめた。
「……う、うむ。ア、アルベドよ。その気持ち、う、嬉しく、思う、ぞ」
「くふー!モモンガ様の動悸が激しく!ああ、私は今日はじめてを迎えるのですね!」
モモンガと寝室の扉との間を視線を激しく往復させながら、アルベドの声が段々大きくなる。
アウラどころかシャルティアまでが呆れ顔だ。
「モモンガ様、時にはアルベド様に全てをお預け下さい。アルベド様はモモンガ様を支えるに足りる御方。……少なくとも、その努力を怠ってはおりません」
「……ルプスレギナ」
思わぬところからのアルベドへの援護にモモンガも呆然とする。アルベドはガッツポーズだ。
「分かってはいるのだがな……すまない。不甲斐ない私を許せ、アルベド」
「私はモモンガ様の全てを受け止めてみせます。不甲斐ないなど、仰らないで下さい」
まー勢いに任せて、やっちゃうのが一番良いと思うよ。
安心安全ナザリック!男性従業員募集中!
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