オーバーロード~狼、ほのぼのファンタジーライフを目指して~   作:ぶーく・ぶくぶく

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第71話:はげそう

帝都アーウィンタール。

 

高らかな凱旋の喇叭が鳴り響き、凱旋門をくぐる部隊を市民たちが歓声で迎えた。

〈鋼鉄騎士〉の無機質な巨体が列を成して歩むたびに、子供たちは目を丸くし、大人たちは畏敬の念に手を合わせる。

そして、その中央を進むのは留学生ヘジンマールと、生還した班の面々であった。

 

戦勝の余韻を纏った空気の中、皇帝ジルクニフの謁見の間。

煌びやかな玉座に座した若き皇帝は、いつもの冷徹な笑みを浮かべ、報告を受けていた。

 

「……見事なり。〈鋼鉄騎士〉六体を以って、トブの森を脅かすロードを討つとは。

 そして留学生殿――いや、フロスト・ドラゴンよ。お前の力は実に目覚ましい」

 

ジルクニフの声は称賛に満ちていた。

だが、その黄金の瞳の奥には、僅かな怯えと猜疑の色が隠しきれなかった。

 

「……恐らく、帝国軍十万を以てしても、あの怪物を討ち取ることは難しかっただろう。

 〈鋼鉄騎士〉の有用性は証明された。だが、それ以上に――」

 

ジルクニフの言葉が途切れる。

彼の視線は、目の前で無邪気に笑う少年の姿を映していた。

人の姿をした竜。

帝国が誇る兵器すら凌駕する存在。

それが、帝都の中心に今、何食わぬ顔で立っている。

 

(……この竜が帝国の味方である保証は、どこにもない)

 

心の奥底で冷たい汗が流れる。

同時に、その力をどうにか利用したいという野心もまた、燃え盛っていた。

 

「――よくぞ帰った。帝国はお前を歓迎する」

ジルクニフは立ち上がり、堂々と両腕を広げてみせた。

声には誇りと喜びが満ちている。

だが、その胸中は嵐のように揺れていた。

 

ヘジンマールは、そんな皇帝の思惑を知ってか知らずか、いつものように柔らかな笑みで頭を下げる。

「皇帝陛下に誉められるとは光栄です。これからも、帝国の役に立てるよう頑張ります」

 

その言葉に謁見の間は喝采で満たされる。

だがジルクニフだけは、笑みを保ちながらも、拳を膝の上で固く握りしめていた。

 

(……竜をどう扱うか。帝国の未来はそこに懸かっている)

 

凱旋の宴は盛大に始まろうとしていたが、玉座の上の皇帝だけは心休まることはなかった。

 

大広間に響き渡る音楽。

金の燭台に照らされ、煌めく杯があちこちで掲げられる。

帝都は勝利の余韻に酔い、宮廷の宴は華やかさを極めていた。

 

ヘジンマールは、戦功を讃える客人として中央の長卓に座らされていた。

柔らかな笑顔で料理をつつくその姿は、竜種などという怪物じみた正体を微塵も感じさせない。

 

――しかし、彼の周囲には次々と人影が集まってくる。

 

「いやあ、若き留学生殿。ご武勇の噂はこの耳にも届いておりますぞ」

「我が家には、ぜひ一度お越しいただきたい。南方の領地には、貴殿が好むであろう森が広がっておりましてな」

「ヘジンマール殿、もしよろしければ姪を紹介いたしたく。年も近いですし……」

 

帝国貴族たちが次々と声をかけ、言葉巧みに彼を自陣営へと引き入れようとする。

戦功を立てた異邦の少年に取り入り、竜の力を背後に抱えることができれば、それは莫大な政治的資本になるからだ。

 

ヘジンマールは、にこやかに答えながらも、内心では小さく首を傾げていた。

(……なんだか、さっきからみんな視線が妙に必死だなあ。僕、そんなに人気あるんだろうか?)

 

一方で、その様子を少し離れた場所から眺めていたのは皇帝ジルクニフだった。

貴族たちが我先にと竜を取り込もうとする姿に、眉間の皺が深くなる。

 

(愚か者どもめ。竜を手懐けられると思うのか? だが……放置すれば、本当に誰かがその信を得てしまうかもしれん)

 

黄金の瞳が鋭く光り、グラスを握る指先に力がこもる。

「……竜は帝国のものだ。決して、他者の私物にさせはせぬ」

 

その呟きは誰にも聞かれなかった。

だが、皇帝の胸中に芽生えた焦燥と独占欲は、着実に膨れ上がっていくのだった。

 

音楽と喧噪が広がる大広間。

貴族たちの輪の中で、にこやかに答えるヘジンマールを、皇帝ジルクニフは鋭い眼差しで見据えていた。

 

やがて、手をひと振りする。

その仕草だけで楽師たちが音を止め、場が静まり返った。

 

「諸君」

朗々と響く声が天井を揺らす。

「我らが帝国は、いま新たな力を得た。東の脅威を討ち払ったのは――この少年、我が客人ヘジンマールである」

 

ざわめきが再び広がる。

ジルクニフは敢えてその熱気を受け止めるように、ゆるりと片手を掲げた。

 

「だが忘れるな。彼は異国から来た留学生。帝国の友であり、我が庇護の下にある者だ」

「誰であろうと、彼を利用することは許されぬ。彼に求めるのは忠誠ではなく、友情と信義である」

 

その言葉は、表向きは温かい賛辞。

だが、貴族たちにとっては「勝手な真似をするな」という冷ややかな警告にほかならなかった。

 

壇上に呼び出されたヘジンマールは、少し困惑しつつも前に進み出る。

「えっと……みなさん、ありがとうございます。僕はただ……友達と旅ができれば、それで満足なんです」

 

その素直な言葉に、場は一瞬、和やかな笑いに包まれる。

だがジルクニフの心中では、なお警戒の炎が消えることはなかった。

 

(やはり、この竜を軽んじるべきではない……。そして、決して野放しにもできぬ)

 

黄金の杯を傾けながら、皇帝は静かに次の一手を思案していた。

 

 

/*/

 

 

帝都からの帰還ののち、学園の寮にはいつもの静けさが戻っていた。

戦場での喧噪、皇帝の視線、鋼鉄騎士の無機質な歩み――すべてが遠い出来事のように思え、石畳の校庭を歩く音すら懐かしい。

 

「……やっぱり、こっちの方が落ち着きますね」

セルデーナが木漏れ日の下でほっと息をつく。

 

クアイアは慣れた手つきで弓の弦を張り直し、肩をすくめる。

「帝都のご馳走より、学園のパンとスープの方が私には合ってます」

 

アイクは本の山を机に積み上げ、すでに魔法式の検証に没頭していた。

「それでも収穫はあったよ。鋼鉄騎士の戦闘記録なんて、普通の学生は絶対に見られないからね」

 

ランゴバルトはというと、窓際で羽ペンを走らせていた。

「……帰ったら父に報告の手紙を書かねば。無事であることと、少しは役に立てたことを」

その表情には、以前の臆病さに混じり、どこか誇らしげな影があった。

 

ヘジンマールはといえば、芝生の上にごろりと寝転がって雲を眺めている。

「ふあー……やっぱり、戦場より昼寝だなあ。竜だって疲れるんだぞ」

 

その何気ない一言に、仲間たちは吹き出す。

「竜なのに、昼寝好きなんですか」

「竜だからこそ、でしょ?」

「ふふ、ヘジンマールらしいですね」

 

笑い声が続く中、校庭を渡る風が心地よい。

しばしの間、そこには戦いや策謀から遠ざかった、ただの学生たちの姿があった。

 

だが同時に――彼ら全員が知っていた。

この平穏が、そう長く続くものではないことを。

 

 

/*/

 

 

「――来い」

 

訓練場に入った瞬間、ヘジンマールの背筋に冷たい汗が流れた。

ジョンは闘技場の中央に仁王立ちし、無言のままこちらを見据えている。

ただの視線でありながら、それはゴブリンロード以上の圧を感じさせた。

 

「報告を受けたぞ」

ジョンの声は淡々としていた。

「お前、ゴブリン・ロード相手に“苦戦した”そうだな」

 

「……っ、えーと、まぁ……」

ヘジンマールは曖昧に笑おうとしたが、その瞬間に足元の大地が揺れた。

ジョンの脚が地面にめり込んでいた。石畳が砕け、砂埃が舞う。

 

「言い訳は要らん。構えろ」

 

返事をする暇もなく、ヘジンマールの体が条件反射で竜鱗を走らせる。

次の瞬間、視界からジョンの姿が消えた。

 

「ぐぉっ!?」

衝撃。腹に蹴りがめり込み、巨体が宙を舞う。

地面に叩きつけられると同時に、頭上から重い影が覆いかぶさってきた。

――避けなければ死ぬ!

 

「〈凍霧障壁〉!」

氷の壁が瞬時に立ち上がる。

だが次の瞬間、それは拳一つで粉々に砕け散った。

破片と共に吹き飛ばされ、壁に叩きつけられるヘジンマール。

 

「ふざけるな」

ジョンの声が頭蓋に響く。

「ゴブリンロードごときに手間取るようでは、“俺の弟子”を名乗る資格は無い」

 

ヘジンマールは血を吐きながらも、必死に立ち上がった。

わかっている。

ジョンは責めているのではない。――本気で叩き込んでいるのだ。

もっと強くなれ、と。

 

「……はい。師匠!」

 

そして再び、氷の竜気をまとって構える。

闘技場に響くのは、鉄と氷がぶつかり合う音、そして何度倒れても立ち上がる決意の叫びだった。

 

闘技場の床に叩き伏せられ、血と砂を吐きながらもヘジンマールは立ち上がった。

全身の鱗は剥がれ、息も荒い。

だが、その眼の奥に宿る光は消えていなかった。

 

(……ゴブリンロードとの戦い……あれでは“竜”ではなく、“人”として戦ってしまった)

 

ジョンの拳を避けながら、必死に思考を巡らせる。

竜種である自分の利点――膂力、竜鱗の防御、そして氷の吐息。

だがそれだけでは、この男には到底届かない。

師匠の拳は、どんな竜の皮膚も砕き、どんな吐息も打ち破る。

 

(なら……竜の本能を解放しろ!)

 

咆哮とともに、氷霜のオーラが爆ぜた。

体の内奥からあふれる力が、これまでとは違う流れを見せる。

ただ吐き出すだけの氷ではない。

鱗の隙間から白い靄が噴き出し、周囲の空気を凍らせる。

冷気が足場に伝わり、ジョンの足元を薄く凍結させた。

 

「……おっ」

ジョンがわずかに目を細める。

 

「氷を“撒く”……環境ごと掌握するか。

そうだ、それが竜の戦いだ」

 

ヘジンマールは気づいた。

竜はただ爪と牙で獲物を裂くのではない。

周囲の大気、地形さえも支配して“戦場そのもの”を竜の巣へと変える。

 

息を吐けば氷霧が広がり、翼を広げれば風が凍る。

戦場そのものを敵に回させる――それが竜の戦い方。

 

「これが……竜としての……!」

 

再び拳が襲いかかる。

だが今回は、足元の氷でジョンの動きがわずかに鈍る。

その隙にヘジンマールは初めて、師匠の頬をかすめる一撃を叩き込んだ。

 

「……ふははっ」

ジョンは血が滲んだ口元で笑う。

「やっと“竜”になりかけたな。まだまだ半人前だが……少しはマシになった」

 

倒れ込みながらも、ヘジンマールの胸には確かな確信があった。

ゴブリンロードとの戦いで掴みきれなかったもの。

それが今、師匠との死闘の中で芽吹いたのだ。

 

観客席代わりの石段に、アイク、クアイア、セルデーナ、そしてランゴバルトの姿があった。

訓練が始まった当初は、師匠ジョンの圧倒的な力に押し潰されるヘジンマールを見て、皆が息を呑んでいた。

 

「……だ、大丈夫なの? あれ」

セルデーナが思わず祈りの言葉を口にしかける。

 

「むしろこれが“修行”なんだろう」

アイクは眉を寄せつつも冷静に答えた。

「でも……あれは人間じゃ耐えられない。竜だからこそ……」

 

クアイアは口を噤み、真剣な眼差しで闘技場を見つめ続ける。

彼女の鋭敏な感覚は、戦場を覆う“何かの変化”を捉えていた。

 

「……冷たい」

ランゴバルトが肩を震わせ、思わず呟いた。

「風が……氷の匂いを帯びている」

 

それは、ただの魔法ではない。

竜の存在そのものが生み出す“支配”。

ヘジンマールの体から噴き出す冷気が、じわじわと観客席にまで及び、空気の質を変えていく。

 

「……見て」

クアイアが声を震わせた。

「戦い方が……変わってる。あれはもう、人間の剣技じゃない」

 

仲間たちの視線の先で、ヘジンマールは地を踏みしめ、氷の靄を纏って立ち上がっていた。

その姿は、弱々しい留学生ではなく――闘技場で研ぎ澄まされていく“竜”そのものだった。

 

「……すごい」

セルデーナは思わず祈る手を胸に当てる。

「彼……いえ、彼はもう、“彼ら”の一員じゃないのかもしれない」

 

アイクは黙って頷いた。

氷の竜が、確かにここに生まれようとしている。

 

 

/*/

 

 

学園に戻ってから数日。

闘技場での過酷な訓練を経たヘジンマールは、以前とはどこか違っていた。

 

講義中、彼は以前のように居眠りすることはなくなり、黙って筆を走らせていた。

小休憩のたびに仲間たちが笑い話をしても、彼は少し遅れて微笑むだけで、どこか心ここにあらずの様子だ。

 

「……なんか、変わったよね」

クアイアが小声で呟く。

 

「ええ。以前のヘジンマールさんなら、もっと……どこか抜けてましたけど」

セルデーナも同意する。

 

「落ち着いた、というか……冷たくなった、かな」

アイクがぼそりと付け加えると、三人は同時に黙り込んだ。

 

一方、ランゴバルトは苦い顔をしていた。

「あの闘技場での修行を思えば当然だ。……あれを耐えた者が、以前のままでいられるはずがない」

 

廊下の窓辺で本を読むヘジンマールの姿を見て、皆は言葉を失った。

その横顔には迷いも恐れもなく、ただ静かに研ぎ澄まされた“竜”の気配が漂っていた。

 

「……でも」

セルデーナが呟く。

「彼が遠くへ行ってしまう気がするの。私たちの手が届かないところへ」

 

その言葉に、誰も反論できなかった。

 

その日、学園は慌ただしくざわめいていた。

皇帝ジルクニフが直々に視察に訪れるという報せに、教師も学生も落ち着かず、朝から磨き上げられた回廊には緊張が張り詰めていた。

 

「……なんでまた、陛下が学園なんかに?」

ランゴバルトが落ち着かない様子で呟くと、アイクが肩をすくめる。

 

「鋼鉄騎士の一件で、学園の戦力育成に関心があるんでしょう。あと……」

視線をヘジンマールに流す。

「君に会うため、だよ」

 

ヘジンマールは本を閉じ、静かに立ち上がった。

「……そうか。まあ、隠れるつもりもないしね」

 

やがて、正門に豪奢な馬車が到着する。

近衛兵たちが整列し、荘厳な礼に包まれてジルクニフが姿を現した。

一歩一歩、迷いなく進む皇帝の姿に、周囲の学生たちは思わず膝を折る。

 

「……久しいな、ヘジンマール」

その声音は柔らかく、しかし目の奥には冷たい光が宿っていた。

 

「陛下。お元気そうで」

ヘジンマールは軽く頭を下げる。

 

ジルクニフは微笑を浮かべながらも、内心で歯噛みしていた。

──この少年は、竜だ。

ゴブリンロードを討ち果たした英雄でありながら、帝国にとっては潜在的な脅威。

鋼鉄騎士の価値を高めた功労者であると同時に、それをも凌駕する存在。

 

「学園生活はどうだ? 馴染めているか?」

「ええ。仲間たちのおかげで」

淡々と返すヘジンマールの声に、ジルクニフは一瞬だけ息を呑んだ。

その落ち着き、その余裕は、ただの留学生には決して持ち得ないもの。

 

(……やはり危険だ。この存在をどう扱うべきか……)

 

笑顔を崩さぬまま、皇帝は心の奥で静かに策を巡らせていた。

 

「……それにしても」

ジルクニフは学園の庭園をゆっくりと歩きながら、隣を歩くヘジンマールへと視線を投げた。

「君のような若者がこの帝国に来てくれたこと、我が民は大いに喜んでいる。君の功績は広く語られているからな」

 

「それは光栄です」

ヘジンマールは無表情のまま答える。

 

その態度が逆に、ジルクニフの胸をざわつかせた。

喜びも誇りも示さず、ただ淡々と受け止める。まるで「そんな言葉はどうでもいい」と言わんばかりに。

 

「……仲間たちとはうまくやっているか?」

「ええ。彼らは信頼できる」

「それは良いことだ。人は、信頼で結ばれる時こそ強くなれる」

 

皇帝はあくまで穏やかな言葉を投げかけ、ヘジンマールも必要最低限の返答を返す。

だがその会話の裏で、庭園の影には数人の密偵が潜み、屋上からは魔法感知の視線が注がれていた。

 

ジルクニフは歩みを止め、振り返らずに言う。

「学園の安全は我が責務だ。君を含め、全ての生徒が健やかに学べるよう……あらゆる備えをしている」

 

その言葉には、優しさと同時に明確な警告の響きがあった。

「君の力は大きすぎる。だからこそ、私も帝国も……常に注視せざるを得ない」

 

ヘジンマールは短く息を吐き、青い空を見上げた。

「陛下……監視するのは構いません。ですが一つだけ覚えていてください」

 

ジルクニフの目が細められる。

 

「僕は、この仲間たちを傷つける者を許しません。たとえそれが帝国であっても」

 

一瞬、庭園を渡る風が止んだように感じられた。

ジルクニフは表情を崩さず、だが内心で冷たい汗を流していた。

 

(やはり……猛獣だ。決して鎖に繋ぐことはできぬ)

 

ジルクニフは庭園の中で足を止め、ヘジンマールの横顔をじっと見つめた。

その眼差し、言葉の響き――「仲間を傷つける者を許さない」という決意。

 

そこには、アインズ・ウール・ゴウンの一員、ジョン・カルバインの影が重なっていた。

 

(……まさか、同じ色を持つとはな)

ジルクニフの胸の奥に、言いようのない不安と興奮が渦巻く。

 

「ヘジンマール」

低い声で呼びかけ、皇帝はふっと笑みを浮かべた。

「君の力をより良きものにするため、そして学園の生徒たちのため……提案がある」

 

「提案?」

ヘジンマールが首を傾げる。

 

「鋼鉄騎士と、君たち留学生班との合同訓練を行いたい。

 君の仲間たちにとっても、貴重な経験になるだろうし……鋼鉄騎士の運用を改めて試す良い機会でもある」

 

「訓練、ですか」

 

ヘジンマールは少し考える素振りを見せた。

ジルクニフはその間も目を逸らさず、相手の反応を注視する。

 

やがて、ヘジンマールは静かに頷いた。

「分かりました。僕も仲間も、学べることがあるのなら」

 

ジルクニフは口元に笑みを浮かべながらも、心中では別の思惑を膨らませていた。

 

(鋼鉄騎士が本当に人類の切り札となるのか、そして……竜の化身たる少年がどこまで制御できるか。全て確かめさせてもらおう)

 

 





次回!
第72話:特訓はもうこりごり(ヘジンマール!

みんな!読んでくれよな!
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