二度手間っていうなっ!   作:祐弘千尋

14 / 18
新年明けましてさらに一ヶ月が経ってしまいました。
更新が遅くて申し訳ないです。


14.道場破りっていうなっ!

 新学期となって初となる錬金術の授業は珍しく爆発が無かった。ほぼ毎回何かしら爆発するような授業というのもどうかと思うが、危険な目にあっているのは大徳寺教諭一人だけなのできっと誰も問題に思っていないのだろう。

 

 そして十代がチャイムとほぼ同時に目を覚まし、そのまま弁当を食べようとしていた。彼の弁によると、トメさんのお手製弁当をわざわざ用意してもらったらしい。食堂で販売されている物と違い、彩り豊かで実に美味しそうだ。

 

「十代くーん、私と一緒に校長室に来て欲しいのにゃー」

 

「十代、これまで長い付き合いだったな。アカデミアを退学になっても元気でやれよ」

 

「万丈目くん、あなたも来てください」

 

 サンダーが喜んで別れを突きつけたが、一緒に呼び出される事になり盛大にずっこけている。先ほどのサンダーの言い草ならば、サンダーも一緒に退学になってしまうのでそのリアクションも分からなくはない。

 

「それから三沢くん、明日香さん、あと代田くんも」

 

 どうやら俺たちも呼ばれているようだ。ある意味で問題児の十代や、単位危機のサンダーはともかくとして、残りのメンバーは退学とは縁のないような顔ぶれである。何事かとお互いに顔を見合わせながら大徳寺教諭の後について教室をでたのであった。

 

—————

 

 カイザーとクロノス教諭が校長室前で合流し、現在校長によるありがたいお話を聞いているところである。古今東西、校長先生の話は長いものだと相場が決まっているが、今回の話も長い。これだけ長々喋っているのに、話がまだ終わっていないことも驚きである。

 

 今されている話の要点をかいつまむと、デュエルモンスターズには人類が想像だにしないような力を持つ物があり、その一種である三幻魔のカードがこの学園に存在している、といったところである。

 

「三幻魔のカード?」

 

 聞いた事がない単語に、十代が疑問の声をあげる。三幻魔ということは、アニメでいうところのセブンスターズ編に突入したということだろう。

 

「そうです。この島に伝わる、古より封印されている三枚のカード」

 

 ペガサスがデュエルモンスターズを製作したのが少なくともここ30年以内の話のはずなのに、古より封印されているカードがあることを突っ込んではいけない。一応古代エジプト文明の儀式がルーツなのだから、そういうこともあるのだろう、きっと。

 

「え? この学園ってそんな昔からあったのか?」

 

「うるさい、黙ってきけ」

 

 サンダーが十代をたしなめるが、十代の疑問に関して答えるならそんなわけはない。そもそもこの学園のオーナーである海馬社長はまだ成人したかしていないか程度の年齢のはずだ。前のオーナーがいるなら話は変わりそうだが、それでもデュエリスト育成学校ということは30年以上の歴史はありえない。

 

「そもそもこの学園は、そのカードが封印された上に建っているのです」

 

「「「えぇ~!?」」」

 

 衝撃の事実に皆がそれぞれに驚きの声を上げる。封印された上に建っているということは、遺跡の上という意味だったりするのだろうか。精霊界関連の遺跡である可能性も否定できないが、なんにせよロマンあふれる話である。

 

「学園の地下深くに、その三幻魔のカードは眠っています。島の伝説によると、そのカードが地上に放たれる時、世界は魔に包まれ、混沌が全てを覆い、人々に巣食う闇が解放され、やがて世界は破滅し、無へと帰す。それほどの力を秘めたカードだと、伝えられています。」

 

 信じられるか? これ、カードについて語ってるんだぜ? 怪しげな魔導書やら魔道具やら化け物でなく、たった三枚のカードなんだぜ? …この世界で考えれば似たようなものなので、こういった展開には慣れるしか無い。

 

「よくわかんないけど、なんかすごそうなカードだな!」

 

「黙って聞いているノーネ!」

 

 皆が一様に息をのむ中、十代だけが明るく呑気に発言して案の定クロノス教諭に叱られてしまった。明るさや前向きさが十代の取り柄ではあるが、こういう場合は神妙に頷いておけばトラブルに巻き込まれないだろうに…

 

「そのカードの封印を解こうと、挑戦しにきた者達が現れたのです」

 

「いったい、だれが」

 

 校長の言葉にカイザーが当然の疑問を口に出す。俺はアニメで知っているが、そんな物騒なものをわざわざ解き放つような物好きなんて…この世界のカードコレクターならばありえそうなのが怖い。

 

「七星王、セブンスターズと呼ばれる、七人のデュエリストです。まったくの謎に包まれた七人ですが、もう既にその一人は、この島に」

 

「なんですって!?」

 

 三沢が驚きの声を上げるが、俺としてはその情報がどこからきたのかが非常に気になる所である。校長が直に確認したのならばまだいいとして、誰かから聞いた情報ならそいつがセブンスターズについて知っていることは明白だろう。

 

「でも、どうやって封印を解こうと・・・」

 

「三幻魔のカードは、この学園の地下に封印され、七精門という七つの石柱がそのカードを守っています。その七つの石柱は七つの鍵によって開かれる。これが、その七つの鍵です」

 

 明日香さんの質問に対して校長は机の中から箱を取り出した。その箱の中には何やら模様が刻まれ、七つに分けられた板があった。どうやらパズルのように組み合わせることで、一つの長方形にまとめることができるらしい。

 

「じゃあセブンスターズは、この鍵を奪いに…」

 

「そこで、あなたたちに、この七つの鍵を守っていただきたい」

 

 校長は三沢の推測に同意するように頷き、そのまま生徒…教師も混じっているが…に無茶ぶりをした。こういったものを守るためにには、保管するなら金庫を買ったり警備員を雇ったりするための財力、自分が持ち歩くなら強奪されない体力、それとどちらにしても注意力も必要だ。体力勝負ならば生徒の方が有利かもしれないが、普通ならば教師の方が確実に守りやすいだろう。

 

「守る、といっても、いったいどうやって?」

 

「もちろん、デュエルです」

 

 サンダーの問いに答えた校長のその言葉に、大徳寺教諭の連れているネコ、ファラオを含めて全員が驚愕するが、改めてそれを聞いた俺の感想はこれに尽きる。この世界が相変わらずで安心した。

 

「七精門の鍵を奪うには、デュエルによって勝たねばならない。これも古より、この島に伝わる約束事。だからこそ、学園内でも屈指のデュエリストであるあなた方に集まってもらったのです。まぁ、二名ほど数合わせに呼んだ者もおりますが」

 

 そういってちらりと教師二人を見る鮫島校長。仮にもエリートデュエリスト養成学校の教師に対して、デュエルの腕を期待していないのはどうなんだろうか。しかもクロノス教諭は実技最高責任者なんだが…

 

「あなたのことなノーネ」

 

 校長の目線には欠片も気付く様子も無く、笑いながら十代を指差して顔を覗き込むクロノス教諭。非常に大人げない。校長が数合わせといったのはデュエルの腕よりも人格的に不安があるからなのかもしれない。

 

「この七つの鍵を持つデュエリストに、彼らは挑んできます。あなた方に、セブンスターズと戦う覚悟を持っていただけるなら、どうか、この鍵を受け取って欲しい」

 

「おもしれぇ、やってやるぜ」

 

 他の面々が顔を見合わせて互いを伺うなか、十代が一番に鍵を手に取って首から下げた。十代の戦意を勝ったかのように、鍵がキラリと輝きを見せる。

 

 その十代の様子を見たからか、カイザーが低く笑い声をあげて鍵を手に取った。三沢、明日香さん、サンダーと続いていく。俺もせっかく呼ばれたので遠慮なく鍵を手に取ることにした。

 

「ふふふのヒー、校長、脅かしはいけませんノーネ、要すルーニ、学園の看板ーを、道場破りが奪いにくると考えれば良いノーネ」

 

「まぁ、今はそう考えてもらっても結構ですが…」

 

 世界の危機を道場破りと言われてしまい、校長が歯切れ悪く答える。それと校長自身がサイバー流道場の師範であり、道場破りという言葉に対して印象が悪いという理由があるかもしれない。

 

「じゃあ、私は数合わせなので無しなんだにゃ~」

 

「道場破りか~、俺だったら一番強い奴から行くだろうな~…俺ってか?」

 

 世界の危機と考えるとスケールが大きすぎるためか、十代には道場破りというほうがしっくりきたようだ。それにしても強者との戦いを楽しみにするのはデュエリストの性というものだろうか。

 

「それは違いますノーネ! 実力から言えばこのワタクシーめ、もしくは、カイザーことシニョール丸藤亮ナノーネ。遊城十代、私が密カーニ調査した所によると、あなたはカイザー亮にコテンパンネンに負けているノーネ。そうでーショ?」

 

「そういうあんたは、十代に負けてるだろ」

 

 クロノス教諭は調べたことを嬉々としてバラし、痛い所を突かれた十代はうめき声をあげた。しかしサンダーに最も言われたくないであろう事実を突きつけられたので、クロノス教諭も一緒になってうめいている。

 

「ありがとう皆さん。この瞬間から、戦いは始まっています。どうかいつでもデュエルのスタンバイをしておいてください。そして必ずや、三幻魔のカードを、七精門の鍵を守りきって下さい」

 

 鮫島校長は七つの鍵がそれぞれに渡ったことに満足そうな笑みを浮かべ、改めて鍵の警護を依頼した。一切デュエルをしないことで守るという方法もあるかもしれないが、サレンダー扱いにされても困る。ここは素直にデュエルディスクを持ち歩く事にしよう。

 

—————

 

 鍵の警護をすることになったとはいえ、当然授業免除といったようなことはない。セブンスターズが授業中に来襲した場合は公欠扱いでそちらに対応するのだろうが、そんなときは授業自体がなくなりそうなものだ。

 

 そんなわけで普段通り授業に出席して自室に戻ろうとしたところ、高寺に呼び止められた。同じオベリスクブルーとはいえ、彼とはあまり関わりはないはずなのだが、一体何のようだろうか。

 

「急に呼び止めて悪かったね。話っていうのは、学園祭についてなんだよ」

 

「学園祭?」

 

 学園祭の開催時期は学期末のはずだ。新学期になって早々にそれについて考えるとは、よほど気合いが入っているのだろうか。高寺は自分の趣味に没頭するタイプだと思っていたのだが、意外とお祭り好きなのだろうか。

 

「オベリスクブルーでは毎年、喫茶店を出し物にしているのは知っているよね?」

 

「どの寮も毎年変わらないらしいということは聞いた事があるな」

 

 島では物品を輸入することが難しいということもあり、毎年やることはほとんど変更される事はない。レッドはコスプレデュエル大会、イエローは縁日のような屋台、ブルーが喫茶店というのが毎年恒例の出し物だ。

 

「ふっふっふ、そこで今年の出し物をいつもの違う物にしたいと思うんだよ!」

 

「いつもと違うって、具体的には何をするつもりなんだ」

 

「それはもちろん、お化け屋敷さ!」

 

 高寺の好きそうなことではあるが、簡単にはできないだろう。学園祭の出し物というのは色々と必要になる。恒例の出し物ならば必要な物は倉庫にでもしまってあるのだろうが、新規となると一から用意する必要がある。

 

「援助金がでたとして、小道具なんかは準備できるのか?」

 

「まかせてくれ! …とはいえ、僕たち高寺オカルトブラザーズだけじゃ手が足りないんだ」

 

 学園祭の出し物は有志がアカデミアから援助を受けて店を出すのだが、どうしても人手が必要だ。新学期ともなりお互い慣れたとはいえ、一部生徒からは未だによそ者扱いのため喫茶店に参加しなさそうな俺を誘おうという訳か。

 

「いいぞ。他の出し物に参加する予定もないしな」

 

「本当かい!?」

 

「俺も学園祭を楽しみたいしな」

 

 学園祭は出し物を見てまわるだけでも楽しそうだが、自分たちで準備することこそが醍醐味だと思っている。いざとなったら三沢辺りに頼み込んで屋台の手伝いをしようかと思っていたので、この提案は渡りに船だった。

 

「それじゃあ早速お化け屋敷について話し合おうじゃないか! 我らが高寺オカルトブラザーズがいつも集まっている場所まで案内するよ!」

 

 ハイテンションな高寺の先導で教室に案内され、他のオカルトブラザーズの二人を交えてお化け屋敷について話し合った。高寺オカルトブラザーズの面々は皆活き活きとしており、根っからのオカルト好きだということがよくわかる。

 

 予算や当日使うことのできる設備についてはまだ告知されていないため、具体的な見取り図ではなくテーマなどのアイデアを中心とした話し合いになった。ひとまず先輩などに学園祭について話を聞いたうえで、また話し合う事が決定したのであった。

 

—————

 

 ブルー食堂でオカルトブラザーズと一緒に夕食を摂り、それぞれに知り合いの先輩達に話を聞くことになった。俺にはそういう当てがカイザーかクロノス教諭しかいないので、PDAでカイザーにメールを送る。

 

 カイザーのメール確認頻度は分からないが、学校からの連絡もPDAに送られることがあるので毎日チェックはしているはずだ。遅くとも一週間以内には返信がくることだろう。

 

 メールを打ち終わって辺りの様子を確認すると、クロノス教諭が夕食を摂ったところらしくナプキンで口を拭いていた。ちょうどいいので話を聞く為に声をかける。

 

「クロノス教諭、学園祭について伺いたいことがあるのですが、今お時間よろしいですか?」

 

「どうしたノーネ、シニョール代田?」

 

「実は学園祭で出し物に参加しようと思っているのですが、設備の貸し出しリストのようなものはありませんか?」

 

「リストでしターラ、去年度のものが私の部屋にあるからそれをあげるノーネ、あとはそうデスーネ、こちらが用意した設備以外でも事前に申請するなら好きに用意してもいいでスーノ、モンラーバス」

 

 何故《モン・ラーバス》なのかはわからないが、去年度のリストでも充分だ。多少設備が入れ替わる事があっても、おおまかな内容は変わらないだろう。そして事前申請すれば持ち込みも可能ということか。するかどうかは別だが。

 

「ありがとうございます」

 

「それじゃ今から部屋に行きマーショ、アダージョ」

 

 緩やかな調子で歩くクロノス教諭についていき部屋に入る。クロノス教諭の普段の言動を考えるに派手な部屋を想像していたのだが、その想像に反して落ち着いた内装だった。

 

「オーソレミーヨ、オーソレミーヨ、オーソレミーヨっと…あったノーネ、これなノーネ」

 

「ありがとうございます」

 

 学園祭の出し物に関する注意のプリントと設備リストを受け取り、そのまま退室しようとするとクロノス教諭に呼び止められた。

 

「シニョール代田、ちょっと待つノーネ」

 

「なんでしょうか」

 

「道場破りどもがこのアカデミアにやってきまスーシ、実技最高責任者であるワターシが稽古をつけてあげるノーネ!」

 

 唐突な申し出だが、意図が読めない。ただデュエル指導をしようと思ってくれただけなのかもしれないが、いかんせん今までの行動があるので深読みしてしまう。そうは考えたものの、受ける事でのデメリットはなさそうだ。

 

「わかりました。よろしくお願いします」

 

「それデーハ…」

 

「「デュエル!」」

 

「先攻は譲ってあげるノーネ」

 

「お言葉に甘えさせてもらいます。ドロー」

 

 先攻をもらったはいいものの、あまり嬉しい手札でもない。ひとまずは様子見をするしかないだろう。

 

「《フェデライザー》を守備表示で召喚、カードを1枚伏せてターンエンドです」

 

《フェデライザー》DEF/1100

 

「ワタシのターン…ドローニョ。まずは永続魔法《古代の機械城》を発ドウ! このカードは“アンティーク・ギア”と名の付くモンスターの攻撃力を、300ポイントアップさせるノーネ」

 

 このカードの効果適用範囲である「“アンティーク・ギア”と名の付くモンスター」だが、“古代の機械”である必要はない。モンスターでは《古代の歯車》だけだが、“古代の機械”ではない“アンティーク・ギア”のカードは何枚か存在している。

 

「ワタシは手札から《磁力の指輪LV2》を発ドウ! 手札の《古代の機械砲台》を特殊召カーン! さらに魔法カード《機械複製術》、これにより《古代の機械砲台》を2体デッキから特殊召喚するノーネ!」

 

《古代の機械砲台》ATK/500

《古代の機械砲台》ATK/500

《古代の機械砲台》ATK/500

 

 ところどころが錆び付いており、一目で古いと分かるような鈍い光を見せる砲台が次々と現れた。その全てがこちらに向けられているというのはソリッドヴィジョンとはいえ威圧感を感じさせる。

 

「《古代の機械砲台》を生け贄ーニ、《古代の機械獣》を召喚するノーネ! そしてモンスターが通常召喚されたノデ、《古代の機械城》にカウンターが一つ乗るノーネ」

 

《古代の機械獣》ATK/2000→2300

《古代の機械城》カウンター/0→1

 

 砲台が一つ姿を消し、そこから機械仕掛けの獣が現れた。見た感じモデルになった動物はサーベルタイガーだろうか。留め具や歯車の軋むような音が鳴き声のように辺りに響いている。

 

「ワターシは《古代の機械砲台》の効果を発動するノーネ! このモンスターを生け贄にささげるコトーデ、相手に500ポイントのダメージを与え、さらにこのターンのバトルフェイズ、お互いに罠カードを発動できないノーネ!」

 

 《フェデライザー》や伏せられたカードを無視して砲弾が飛んでくる。どれも俺に直撃することはなく周りに着弾したのだが、床にぶつかりはじけた砲弾の欠片が容赦なく襲ってきた。さらに砲弾の欠片は伏せられたカードにも発動を封じるように突き刺さっている。

 

葵LP4000→3500

 

「それデーハ、《古代の機械獣》で《フェデライザー》を攻撃するノーネ!」

 

 守りを固めていた《フェデライザー》に機械仕掛けのサーベルタイガーが襲いかかり、錆のついた牙で肩を突き貫いた。

 

《古代の機械獣》ATK/2300

《フェデライザー》DEF/1100

 

「《フェデライザー》の効果でドローするつもりだったのでショーガ、《古代の機械獣》が戦闘で破壊したモンスターの効果は無効になるノーネ! さらに《古代の機械砲台》で直接攻撃!」

 

《古代の機械砲台》ATK/500

 

葵LP3500→3000

 

「そしてメインフェイズ2、《古代の機械砲台》を生け贄ニ、シニョールに500ポイントのダメージ!」

 

葵LP3000→2500

 

「ワターシはこれでターンエンドデスーノ」

 

「俺のターン、ドロー。永続魔法《金剛真力》を発動。この効果で《竜影魚レイ・ブロント》を特殊召喚、さらに《サンライズ・ガードナー》を召喚します」

 

《竜影魚レイ・ブロント》ATK/1500

《サンライズ・ガードナー》ATK/1500

《古代の機械城》カウンター/1→2

 

「雑魚モンスターを、何体並べたとこローデ、《古代の機械獣》の攻撃力には届かなイーノネ!」

 

 たしかに攻撃力1500では《デュアル・ブースター》で強化したとしても、現在の《古代の機械獣》の攻撃力2300には届かない。もちろん策も無しに2体も攻撃表示で並べたわけではない。

 

「そして《スペシャル・デュアル・サモン》を発動、この効果で《竜影魚レイ・ブロント》を再度召喚状態にします」

 

《竜影魚レイ・ブロント》ATK/1500→2300

 

 エイのような見た目の魚の口とおぼしき場所から竜の頭にもみえるものが生えてきた。それによってシルエットは竜そのものとなっている。

 

「ノーン! 攻撃力が《古代の機械獣》と同じニー!」

 

「バトル、《竜影魚レイ・ブロント》で《古代の機械獣》に攻撃」

 

 生えてきた器官が機械仕掛けのサーベルタイガーの首根っこに喰らい付き、そのまま遠くへと放り投げた。どうやら捕食器官だったようだが、さすがに機械を食べる事はできなかったらしい。

 

《竜影魚レイ・ブロント》ATK/2300

《古代の機械獣》ATK/2300

 

「さらに《サンライズ・ガードナー》で直接攻撃」

 

《サンライズ・ガードナー》ATK/1500

 

クロノスLP4000→2500

 

「これでターンエンドします」

 

「ワタシのターン、ドロー! 《古代の機械兵士》を召カーン!」

 

 赤い錆と鈍い光の金属でできた機械仕掛けの兵士が現れた。右腕はリボルバー式の銃になっており、武器を落とすといった事は期待できないだろう。

 

《古代の機械兵士》ATK/1300→1600

《古代の機械城》カウンター/2→3

 

「《古代の機械兵士》で《サンライズ・ガードナー》に攻撃するノーネ!」

 

 機械仕掛けの兵士が右腕の銃口から《サンライズ・ガードナー》へと弾を撃つ。撃った反動で右腕がぶれており、肩からは腕が外れそうな音をたてていたが、気付いていないかの様に弾を撃ち続けて《サンライズ・ガードナー》を破壊した。

 

《古代の機械兵士》ATK/1600

《サンライズ・ガードナー》ATK/1500

 

葵LP2500→2400

 

「これでターンエンドーネ、マリオーネ」

 

「俺のターン、ドロー。《金剛真力》の効果発動、《巨人ゴーグル》を特殊召喚し、再度召喚します」

 

《巨人ゴーグル》ATK/1500→2100

《古代の機械城》カウンター/3→4

 

「行きます。《巨人ゴーグル》で《古代の機械兵士》に攻撃、ゴーグルナックル!」

 

 岩の巨人が機械仕掛けの兵士に向けて走り出す。兵士は右腕の銃から弾丸を発射していくが、弾丸はかする事しかしなかった。普通ならばかすっただけでも相当なダメージなのだが、相手は岩でできているため痛覚があるのかどうか怪しいものだ。

 接近した岩の巨人はそのまま腕を振りかぶり、人間ならば心臓があると思われる部位に拳を打ちつけた。機械仕掛けの兵士から歯車がこぼれ落ち、そのまま体全体が崩壊して砕け散った。

 

《巨人ゴーグル》ATK/2100

《古代の機械兵士》ATK/1600

 

クロノスLP2500→2000

 

「これでターンエンドです」

 

「やはりなかなかやりますノーネ、ワタシのターン、ドロー!」

 

 引いたカードをみてクロノス教諭が口角をあげる。まったくもって嫌な予感しかしない。

 

「《古代の機械城》の効果発ドウ! “アンティーク・ギア”と名の付いたモンスターを生け贄召喚するトーキ、このカードに必要な生け贄の数イジョーのカウンターが乗っていレーバ、このカードを生け贄代わりにすることが出来るノーネ! このカードを生け贄—ニ、《古代の機械巨人》を召カーン!」

 

 地鳴りと共に機械仕掛けの城が崩れ、その中から機械仕掛けの巨人がゆっくりと立ち上がる。《巨人ゴーグル》は巨人といっても3m程度であるのに対して《古代の機械巨人》は高層建築をも見下ろす事の出来る巨体である。

 今回は流石に部屋の中に入りきらなかったようで、ある程度高さは抑えられているが、それでもその巨体でもってこちらを威圧している。

 

「《古代の機械巨人》の攻撃、アルティメット・パウンド!」

 

 《古代の機械巨人》が岩の巨人…いや、《古代の機械巨人》から見れば岩の小人に拳を振り下ろす。握られた拳だけでも《巨人ゴーグル》の身体を覆うことが出来るほどの大きさである。当然振り下ろされた《巨人ゴーグル》は瓦礫と化した。

 

《古代の機械巨人》ATK/3000

《巨人ゴーグル》ATK/2100

 

葵LP2400→1500

 

「ンフフーフ、ワタシはこれでターンエンドーヨ」

 

「俺のターン、ドロー。《金剛真力》の効果発動! 《ダーク・ヴァルキリア》を特殊召喚し、再度召喚!」

 

《ダーク・ヴァルキリア》ATK/1800

 

 《ダーク・ヴァルキリア》は《デュナミス・ヴァルキリア》が闇に堕ちた姿である。白かった翼は黒く染まり、赤と白の衣装も青と黒の冷たいものとなっている。肌の色も死人を思わせるような青白いものであり、まさしく天使のような整った顔立ちも相まって薄ら寒い魅力を感じさせている。

 

「そして再度召喚された《ダーク・ヴァルキリア》の効果を発動! このカードに魔力カウンターを1つ乗せます。魔力カウンターの乗ったこのモンスターは1つにつき攻撃力が300ポイントアップ!」

 

《ダーク・ヴァルキリア》魔力カウンター/0→1

《ダーク・ヴァルキリア》ATK/1800→2100

 

 《ダーク・ヴァルキリア》の翼にある宝玉が濁った光を帯びる。

 

「攻撃力が300程度あがったとしテーモ、《古代の機械巨人》にはゼンゼン届かないノーネ! ただの二度手間だったノーネ!」

 

「二度手間っていうなっ!《ダーク・ヴァルキリア》の更なる効果発動! このカードに乗っている魔力カウンターを取り除くことで、フィールド上のモンスター1体を破壊する!」

 

「ナンデストー!」

 

「《古代の機械巨人》を破壊せよ! ダーク・ジャスティス・フラッシュ!」

 

《ダーク・ヴァルキリア》魔力カウンター/1→0

《ダーク・ヴァルキリア》ATK/2100→1800

 

 翼の宝玉が光り輝き、《古代の機械巨人》の右足を照らす。光を浴びた足は煙を上げ、重さに耐えられなくなったかのように潰れた。右足が潰れたことでバランスを崩した《古代の機械巨人》はそのまま倒れ、床にぶつかった衝撃でバラバラになった。

 

「そのまま直接攻撃! ダーク・ヴァルハラ・アロー!」

 

 《ダーク・ヴァルキリア》が両手を合わせ、弓を引くように半身で腕を引く。《ダーク・ヴァルキリア》の腕の中に黒紫の光の矢が現れ、クロノス教諭に向けてまっすぐに放たれた。

 

《ダーク・ヴァルキリア》ATK/1800

 

クロノスLP2000→200

 

「ターンエンド!」

 

「ホッホッホッ、ワタシのターン、ドロー! ワタシは《強欲な壷》を発ドウ! カードを2枚ドロー!」

 

 追いつめられたにもかかわらず、クロノス教諭は愉快そうにカードを引いた。さらに《強欲な壷》で引いた二枚のカードを見て、より一層笑みを深くした。

 

「ワターシは、《古代の機械工場》を発動するノーネ! 手札の“アンティーク・ギア”と名の付いたモンスターのレベルの倍となるヨウに、墓地の“アンティーク・ギア”モンスターを除外することで、生け贄無しで召喚できるノーネ! ワタシは墓地の《古代の機械巨人》、《古代の機械獣》、《古代の機械砲台》を除外し、手札の《古代の機械巨人》を召カーン!」

 

《古代の機械巨人》ATK/3000

 

「ワタシが2体目の《古代の機械巨人》を出すことになるナンーテ、さすがはオベリスクブルーの生徒ですノーネ。《古代の機械巨人》で《ダーク・ヴァルキリア》に攻撃! アルティメット・パウンド!」

 

《古代の機械巨人》ATK/3000

《ダーク・ヴァルキリア》ATK/1800

 

葵LP1500→300

 

「ワタシはカードを一枚伏せて、ターンエンドですノーネ」

 

「俺のターン、ドロー! 《闇の量産工場》発動!《ダークヴァルキリア》と《竜影魚レイ・ブロント》を手札に加える。そして《金剛真力》の効果で《ダーク・ヴァルキリア》を特殊召喚し、再度召喚!」

 

《ダーク・ヴァルキリア》ATK/1800

 

「そして《ダーク・ヴァルキリア》の効果でこのカードに魔力カウンターを乗せ、続けて効果発動! 魔力カウンターを取り除き、《古代の機械巨人》を破壊する! ダーク・ジャスティス・フラッシュ!」

 

「ノンシクリード!《古代の機械巨人》がー!」

 

 再び《古代の機械巨人》が破壊されてクロノス教諭が悲鳴をあげる。フェイバリットカードを二度も破壊されたことはやはりショックだったようだ。

 

「バトル!《ダーク・ヴァルキリア》で直接攻撃! ダーク・ヴァルハラ・アロー!」

 

「しかーし、詰めが甘いノーネ! 罠発動!《魔法の筒》! 攻撃を無効にして攻撃力分のダメージを受けてもらうノーネ!」

 

 先ほどのショックを受けた表情から一転、罠にかかった獲物に向けるような笑みを浮かべるクロノス教諭。本当にショックを受けていたように見えていたのだが、攻撃を誘発するための演技だったのだろうか。だとすれば見事としか言いようがない。

 

「チェーンして速攻魔法《デュアルスパーク》! 《ダーク・ヴァルキリア》を生け贄に《魔法の筒》を破壊する!」

 

「うまく逃れたみたいデスーガ、これでバトルフェイズは終わっちゃうノーネ」

 

「何勘違いしてるんだ…俺のバトルフェイズはまだ終了してないぜ!」

 

「ヒョ? どういうことナノーネ?」

 

「《デュアルスパーク》にチェーンしてリバースカードオープン!《サモンチェーン》! このカードはチェーン3以降に発動することができ、このターン、俺は3回の通常召喚を行う事が出来る! そして《デュアルスパーク》の効果でドロー!」

 

 チェーンしただけなので、追加攻撃をするわけではない。それでもバトルフェイズが終わっていなかったので、ついついあの名台詞を言ってしまった。

 《狂戦士の魂》を使ったデッキも楽しそうだったのだが、地味にドローが強制効果であったため、場合によっては相手のLPが0になったのにデッキ切れで引き分けるというなんとも締まらない結果になることもあるのでやめておいた。

 

「そしてメインフェイズ2、手札の《竜影魚レイ・ブロント》を召喚!」

 

「しかし《竜影魚レイ・ブロント》を再度召喚してーも、このターンに決着はつかないノーネ」

 

 この状況でトドメを刺す事が出来るデュアルモンスターは、バーン効果を持つ《灼熱王パイロン》しかいない。しかしなにも自分のモンスターだけで戦う必要はまったくないのである。

 

「三度目の召喚は必要ありません。俺は手札から装備魔法《戦線復活の代償》を発動! 自分フィールド上の通常モンスターを墓地に送り、自分または相手の墓地に存在するモンスターを特殊召喚し、このカードを装備する! 俺が特殊召喚するのは《古代の機械砲台》!」

 

《古代の機械砲台》ATK/500

 

「オゥ、ディーオ!」

 

「《古代の機械砲台》の効果発動! このカードを生け贄に、相手に500ポイントのダメージ!」

 

 《古代の機械砲台》がクロノス教諭に向けて砲弾を発射し、見事に命中した。クロノス教諭はその衝撃からか、コミカルな動きとともに後方へと倒れた。

 

クロノスLP200→0

 

—————

 

「ご指導ありがとうございました」

 

「構わないノーネ。シニョールのデッキは攻撃力があまり高くないようデスーシ、リクルーターを採用してもいいカモーネ…あぁ、属性がバラバラでシターカ、それじゃちょっと難しいかもしれませんノーネ」

 

「ありがとうございます」

 

 なんだかんだといってもやはり教師のようで、しっかりと俺のデッキの弱点の一つであるパワー不足を見抜かれていたようだ。下級モンスターでも一部のモンスターは充分な攻撃力を持っているが、ほとんどは元の攻撃力が1500以下でありリクルーターに対応している。

 

「それデーハ、そろそろ部屋に戻ったほうが良いデショウ、おやすみなさいナノーネ、シニョール代田」

 

「それでは失礼します。おやすみなさい、クロノス教諭」

 

 クロノス教諭の部屋から自分の部屋に戻った俺は、デュエルで疲れたためか、すぐに眠りについたのであった。

 




公式サイトで確認しましたが、セブンスターズが狙っているのは七“精”門の鍵だそうです。
セブン“スター”ズっていうからてっきり七“星”門かと思っていたんですが…ちなみに彼らが七星王なのか七精王なのかは不明です。名前で考えるならきっと前者のはず。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。