試験からしばらくして、十代と翔が退学の危機らしい。
唐突すぎてしばらく思考が停止してしまったのだが、どうやら十代、翔が立ち入り禁止の廃寮を探検したことがアカデミアにばれて、十代と翔が組んで制裁タッグデュエルを受ける事となったらしい。
先日夜中にシハーブが『闇の力を感じますぞ!』と喚いていたのだが、タイタンが闇に飲まれたことだったのか。生若本ボイスは是非聞きたかったが、流石に夜中の怪談や廃寮探検には招かれなかったようだ。
それはさておき、【ビークロイド】と【E・HERO】ではシナジーがほぼ無いに等しい。そこで明日に迫ったタッグデュエルの練習をしようということになったのだが、名も知らぬレッド生と明日香さんではタッグの釣り合いが取れずに練習にならなかったそうだ。
そこにたまたま通りかかった俺なら、イエローでもそれなりに実力があって明日香さんと組んでも問題なさそうなので協力して欲しい、ということだった。
「事情は理解したんだが、タッグ用の調整とかした方がいいんじゃないか?」
なにせ今のデッキはシリーズモンスター以外のデュアルとサポートをあるだけ突っ込んだハイランダー構成である。…正直なところ、使いにくいことこの上ない。これを期にデッキをテーマごとに分割してもいいかもしれないな。
『それならば、最初からデッキを分ければよろしかったのでは?』
それをいうな。元の世界でも【デュアル】は使ってたけど、《ヘルカイザー・ドラゴン》持ってなかったし使ってみたかったんだよ。それだけなら【炎デュアル】や【フロフレデュアル】にしてもよかったけど、全種類使えると来たらいっそロマンあふれるオールスターにしたくなるだろう。
『ご主人様は時折、自分から手間がかかる方向へと進むことがありますな』
「ん?なんか変な声が聞こえるんだな」
「あぁ、シハーブって言って、葵の従者…だっけ?」
あ、もうはっきりと見えるようになったのか。これ以上はごまかせそうにないし、十代には紹介しておくか。
「あってるぞ、"ランプの魔人"のシハーブだ。一応俺に仕えている…らしい。シハーブ、俺や十代以外にも姿見せる事ってできるか?」
『ふむ、そうですな…フンッ!これでどうですかな?』
シハーブが気合いを入れたようだが、元から見えている俺としては見た目に変化はみられない。強いて言うなら若干香木の香りが立ちこめたぐらいだろうか。
「キャッ!あ、葵の後ろにうっすらと紫色の人間が…」
「ヒィ!お、お化け~!?」
「む、紫のお化けなんだな…」
一応成功のようだ。しかし半透明に見えているようで、お化けだなんだと言われていた。俺は最近慣れてきたが、肌が紫な上に顔もけっこうクドいので、インパクトが大きいのだろう。
「怖いみたいだし、やめておくか」
『…そのようですな』
シハーブがしょぼくれているが、翔が俺から地味に距離を取ろうとしているのに気付いた。よく考えたら俺が何かに取り憑かれているようにも見えるのか…実際似たような物だが。
「あぁ、それでデッキの話だけど、どうしよう?」
「今からイエロー寮に戻って調整してもらうんじゃ時間もかかるし、そのままでいいんじゃないかしら。葵がやった時みたいに生徒が相手なら、似た状況になると思うしね」
まったくもって正論である。原作通りならば相手は迷宮兄弟だとは思うのだが、イエロー寮に行って戻ってくる頃には夕飯の時間となってしまっているだろう。それでは結局練習出来ずに意味が無くなってしまう。
「了解、それならお言葉に甘えて、このままでやらせてもらおう」
「よっしゃあ! 行くぜ!」
—————
タッグデュエルルール
ライフは共通で8000
最初のターンは全員攻撃できない。
味方プレイヤーも相手として対象指定ができる。
パートナーのカードをコストとして使用できるが、攻撃宣言や効果の発動はできない。
その他ルールは感覚で
「「「「デュエル!!」」」」
「先攻はもらったぁ! 俺のターン、ドロー!」
十代がしれっと先攻を持ってったな。まぁいいけどさ。
「《フェザーマン》を攻撃表示で召喚! カードを1枚伏せてターンを終了だ」
《フェザーマン》ATK/1000
「次は私のターンね、ドロー!」
どうするかとか何も決めてないはずなのに、またもや当然のように先攻をもっていかれてしまった。別段問題は無いのだが、せめて一言断りを入れてもらえると嬉しかった。
「私は《ブレード・スケーター》を攻撃表示で召喚! カードを2枚セットしてターンを終了よ」
《ブレード・スケーター》ATK/1400
「僕のターン、ドロー!《ジャイロイド》を守備表示で召喚して、ターン終了だよ」
《ジャイロイド》DEF/1000
「俺のターンだな、ドロー。《フェデライザー》を守備表示で召喚。カードを2枚セットしてターンを終了」
《フェデライザー》DEF/1100
さて、これで場が一巡りしてそれぞれのモンスターが出そろった形だ。十代と明日香さんが攻撃、翔と俺が守備というのが性格が出ている気がしなくもない。
「俺のターン! ドロー! よし、このターンから攻撃できるんだよな。俺は手札から《融合》を発動! 手札の《バーストレディ》と場の《フェザーマン》を融合!《E・HERO フレイム・ウィングマン》を融合召喚!」
《フレイムウィングマン》ATK/2100
さっそく十代のフェイバリットカードの登場だ。しかし十代とは初デュエルなんだが、開始2ターンで素引きの融合ってすごいな…これが主人公補正という奴なのだろうか。
「バトルだ!《フレイム・ウィングマン》で《ブレード・スケーター》に攻撃! フレイムシュート!」
「罠カード発動!《ドゥーブルパッセ》! この効果で《フレイムウィングマン》の攻撃を直接攻撃にして、《ブレード・スケーター》で十代に直接攻撃!」
《フレイムウィングマン》ATK/2100
明日香・葵LP8000→5900
《ブレード・スケーター》ATK/1400
十代・翔LP8000→6600
融合素材のためにライフを省みない気持ちは分かるが、何故そのカードをセレクトしたのか…そして何故十代はそんなに嬉しそうなのか。
「流石にそう簡単にやらしちゃくれねぇか。俺は《フレンドッグ》を守備表示で召喚して、ターン終了!」
《フレンドッグ》DEF/1200
「私のターン! ドロー! 私は《融合》を発動!手札の《エトワール・サイバー》と場の《ブレード・スケーター》を融合!《サイバー・ブレイダー》を融合召喚!」
《サイバー・ブレイダー》ATK/2100
「行くわよ十代!《サイバー・ブレイダー》で《フレイム・ウィングマン》に攻撃!《サイバー・ブレイダー》は相手フィールド上のモンスターが2体のとき、攻撃力が倍になる!」
《サイバー・ブレイダー》ATK/2100→4200
二人ともどうしてそんなにさくさくと融合できるのだろう。それと懸念していたことだが、《サイバー・ブレイダー》の効果は対象プレイヤーとの一対一で計算されるようだ。翔と十代の二人分のフィールドで計算すると思っていたのだが、相手という括りだと味方である俺も合わせてしまう可能性があるからだろうか?
「くっ、罠発動!《ヒーローバリア》!《サイバー・ブレイダー》の攻撃を無効にする!」
「そう、なら私はこのままターン終了よ。」
「僕のターン、ドロー!」
二人だけでかなり白熱しているので、もうタッグデュエルでなくても良いと思っていたのは俺だけだったようだ。
「僕は《パトロイド》を攻撃表示で召喚! そして効果を発動して、明日香さんのセットカードを1枚見せてもらうよ!」
《パトロイド》ATK/1200
「私のセットカードは《ホーリーライフバリアー》よ」
おぉ、翔が《パトロイド》の効果を発動している…ちゃんと学習したんだな。それにしても、さっきの攻撃をそのカードで防御するのではダメだったのだろうか。
《ホーリーライフバリアー》は「相手から受ける全てのダメージを0にする」としか書いていないためわかりにくいが、実はモンスターの戦闘破壊も防ぐことができる。それともアニメ効果では破壊されるのだろうか。
「なら僕は《パトロイド》で葵くんの《フェデライザー》を攻撃! シグナルアタック!」
《パトロイド》ATK/1200
《フェデライザー》DEF/1100
「戦闘によって破壊されたことで《フェデライザー》の効果発動、デッキからデュアルモンスターを墓地に送り、1枚ドローする」
ここで間違ったカードを墓地に送ってもデュエルディスクが自動識別してエラーを吐き出すため、カード名は宣言しなくても墓地に落とせる。公開情報とはなんだったのか。演出の都合上原作にはよくあることだし、こちらとしても好都合だから気にしないようにする。
「僕はターン終了だよ!」
「俺のターン、ドロー。《シャドウ・ダイバー》を攻撃表示で召喚。そして《パトロイド》を攻撃」
例によって俺の影から出てきて、《パトロイド》を切り裂いてから帰っていく悪魔。フィールドにいるフードの男はいったい何者なのだろうか。
《シャドウ・ダイバー》ATK/1500
《パトロイド》ATK/1300
十代・翔LP6600→6400
「さらにカードを1枚伏せてターンを終了」
「俺のターン! ドロー!《フレイムウィングマン》で《シャドウ・ダイバー》に攻撃! フレイムシュート!」
「リバースカードオープン、《デュアル・ブースター》!《シャドウ・ダイバー》に装備して攻撃力を700上昇する。返り討ちだ」
「うげっ」
フィールドに発電機のようなものが現れ、俺の影にいた悪魔に力を供給する。悪魔は《フレイムウィングマン》を切り裂いたあと影に戻ったが、悪魔の部分が白く光っており全く隠れることができていない。それでいいのだろうか。
《フレイムウィングマン》ATK/2100
《シャドウ・ダイバー》ATK/1500→2200
十代・翔LP6400→6300
「俺はカードを1枚伏せてターンを終了だ」
「私のターン、ドロー!《サイバー・ブレイダー》で十代の《フレンドッグ》に攻撃!」
《サイバー・ブレイダー》は地面をあたかもスケートリンクかのように滑って移動し、そのまま《フレンドッグ》を蹴り飛ばした。動物虐待という単語が頭をよぎったが、お互いモンスターなのでそうではないはずだ。
《サイバー・ブレイダー》ATK/2100
《フレンドッグ》DEF/1200
「くっ《フレンドッグ》の効果発動! 墓地の《融合》と《フェザーマン》を手札に加えるぜ! さらに《ヒーロー・シグナル》を発動して、デッキの《クレイマン》を守備表示で特殊召喚だ!」
《クレイマン》DEF/2000
「私はこのままターンエンドよ」
「僕のターン、ドロー! 手札から《融合》を発動! 手札の《スチームロイド》とフィールドの《ジャイロイド》を融合!《スチームジャイロイド》を攻撃表示で召喚!」
《スチームジャイロイド》ATK/2200
…これは俺も融合しなければならない流れなのだろうか。だが融合が手札に無いし、融合主体というわけでもない。素材はいくらでもあるのだが…
「《スチームジャイロイド》で明日香さんの《サイバー・ブレイダー》に攻撃!」
「《サイバー・ブレイダー》は相手がコントロールするモンスターが1体のみの時、戦闘によっては破壊されないわ。パ・ド・ドゥ!」
「それでもダメージは受けてもらうっす!」
《サイバー・ブレイダー》煙に巻かれていたが、突進は受け流したようで滑りながら後退してきた。
《スチームジャイロイド》ATK/2200
《サイバー・ブレイダー》ATK/2100
明日香・葵LP5900→5800
「カードを1枚伏せて、ターン終了!」
「俺のターン、ドロー。《シャドウ・ダイバー》を再度召喚する」
「お、出たな、葵の再度召喚! どんな効果を見せてくれるんだ?」
そういえば対戦相手からこんなにワクワクした目で見られたのは初めてだ。
「二度手間」といわれてそれに突っ込むのが定番になってきたので、なんとなく調子が狂う。
「再度召喚した《シャドウ・ダイバー》の効果発動、自分フィールド上の闇属性レベル4以下のモンスター1体はこのターン相手に直接攻撃することができる!」
「そんな!」
「《シャドウ・ダイバー》で十代に直接攻撃!」
俺の影に潜ったはずの悪魔は、十代の影を白く光らせながら勢い良く飛び出した。そのままニヤリと笑って腕を振り下ろして攻撃し、今度は十代の影に潜ったと思えば俺の影に戻ってきたようで、俺の影が白く光っていた。
《シャドウ・ダイバー》ATK/2200
十代・翔LP6300→4100
「ライフ逆転だな。カードを1枚伏せてターンを終了」
「へへっ、ワクワクしてきたぜ。俺のターン! ドロー!」
「俺は、《融合》発動! 手札の《スパークマン》と場の《クレイマン》を融合!《E・HERO サンダージャイアント》を融合召喚! そして効果発動! 元々の攻撃力がこのカード以下のモンスターを1体破壊するぜ! 俺が破壊するのは明日香の《サイバー・ブレイダー》だ! 行け、サンダージャイアント! ヴェイパー・スパーク!」
そういえばアニメの初期は手札コストが無い代わりに、召喚時効果だったな。
OCG効果だったとしても1ターンに1度の制限があるので全滅させられることはなかったが、次の十代のターンで酷い目にあうことは想像に難くない。
「《サンダージャイアント》で明日香に直接攻撃! ボルティック・サンダー!」
「リバースカードオープン《ホーリーライフバリアー》! 手札を1枚捨ててこのターンの破壊とダメージは無効になるわ!」
明日香さんめがけて雷が放たれたが、白いバリアがそれを防いでいた。
雷が迫ってくるのに怯むどころか、瞬き一つしない明日香さんは男前だと思う。
「ちぇ。俺はカードを一枚伏せて、ターンエンド」
「それじゃあ私のターンね。ドロー! 私は《サイバー・チュチュ》を召喚! このモンスターはこのカード以下の攻撃力を持つモンスターがいなければ直接攻撃ができるわ!《サイバー・チュチュ》で十代に直接攻撃!」
効果による直接攻撃なので十代でも翔でもよかったのだろうが、二人揃って十代を狙ってしまうのは親しみやすいからだろう。そういうことにしておく。
《サイバー・チュチュ》ATK/1000
十代・翔LP4100→3100
「私はカードを1枚伏せてターン終了よ」
「僕のターン、ドロー!《スチームジャイロイド》で葵くんの《シャドウ・ダイバー》に攻撃!」
相打ち覚悟で翔が攻撃してくるようだ。流石に2200の直接攻撃は脅威ということだろう。
「おっと、攻撃宣言時にリバースカードオープン、《正統なる血統》。これで墓地の通常モンスターを1体蘇生させてもらうぞ」
「構うもんか! いけぇ! ハリケーンスモーク!」
「迎撃だな、リッピング・フロム・シャドウ!」
《スチームジャイロイド》ATK/2200
《シャドウ・ダイバー》ATK/2200
白く光る悪魔が《スチームジャイロイド》を攻撃を加えるが、《スチームジャイロイド》は止まらずにそのままフードの男に突撃する。
土煙が晴れるとそこに立っていたのは、高潔さを示すかのような純白に燃えるような紅をあしらった全身甲冑の騎士だった。
《フェニックス・ギア・フリード》ATK/2800
「ここで最上級モンスターだって!」
「そんなモンスターいつの間に…そうか、《フェデライザー》か!」
「正解、さらに《デュアル・ブースター》の効果で既に再度召喚状態になっているぞ」
まさかこの効果を使うことがあると思わなかった。このカードが破壊される頃には、すでに再度召喚しているにしろ、殲滅されているにしろ、再度召喚されていないデュアルモンスターが存在しないということの方が多いので、この効果を使う機会というのはあまりないのだ。
「うぅ、僕は《サイクロイド》を守備表示で召喚してターンを終了するっす…」
《サイクロイド》DEF/1000
「よしきた俺のターン、ドロー!《竜影魚レイ・ブロント》を攻撃表示で召喚! そしてバトルだ!《フェニックス・ギア・フリード》で《サンダージャイアント》を攻撃! フェニックス・スラッシュ!」
十代・翔LP3100→2700
「《竜影魚レイ・ブロント》で十代に直接攻撃!」
「罠カード《ヒーロースピリッツ》! ヒーローが戦闘によって破壊されたバトルフェイズ中に発動出来る! 相手モンスターからの戦闘ダメージを0にする!」
「追撃ならずか。カードを1枚伏せてターンを終了する」
「俺のターン! ドロー!《バブルマン》を召喚! 自分フィールド上に他のカードが無い時、カードを2枚ドロー! …よし、《強欲な壷》を発動! さらに2枚ドロー!」
《バブルマン》ATK/800
出た強欲な泡男! 原作効果のこいつは、手札の枚数に関係なくフィールドのカードさえなければドロー効果を使える。流石に特殊召喚効果は手札1枚の時限定だが、十代に手札補充をさせる危険性を考えるとそんな場合じゃない。
「おっと、ここで《フェニックス・ギア・フリード》の効果が発動する。相手が魔法カードを使った場合、墓地のデュアルモンスターを一体場に特殊召喚することができる。《シャドウ・ダイバー》を攻撃表示で蘇生!」
《シャドウ・ダイバー》ATK/1500
不死鳥の騎士が剣を掲げると、騎士の隣に炎の渦巻きが現れて中からフードの男が降り立ち、そして悪魔がひょいっと俺の影から顔をだした。相変わらず悪魔とフードの男の関係性がよくわからないが、今は考えないようにしよう。
「そんな! モンスター蘇生効果だって!?」
「そんな効果を持ってたのか! くぅ~、燃えるぜ! 俺はさらに《天使の施し》を発動! 3枚ドローして、手札から2枚墓地に捨てる」
「さらに手札から魔法カード《O-オーバーソウル》!《スパークマン》を特殊召喚! そして《融合》発動! 場の《スパークマン》と《バブルマン》、さらに手札の《フェザーマン》を融合!《E・HERO テンペスター》を融合召喚!」
《E・HERO テンペスター》ATK/2800
「おっと、残念ながらそいつには退場してもらおう。リバースカードオープン、《デュアルスパーク》!《シャドウ・ダイバー》を生け贄に、《テンペスター》を破壊して一枚ドロー」
「まだまだぁ! 俺は通常魔法《二重召喚》を発動! これでこのターン俺はもう一度通常召喚することができる!」
「そして手札から《ホープ・オブ・フィフス》を発動! 墓地の《フェザーマン》、《バーストレディ》、《クレイマン》、《スパークマン》、《バブルマン》をデッキに戻して、俺の手札、フィールドに他のカードが存在しない時、デッキから3枚ドローする!」
まだドローソースを持っていたことに驚きを隠せない。しかも《二重召喚》を先に使うことで手札を使い切って追加ドローまでする始末だ。
「だけど魔法カードを発動したから《フェニックス・ギア・フリード》の効果発動だ。《シャドウ・ダイバー》を攻撃表示で特殊召喚!」
《シャドウ・ダイバー》ATK/1500
「よし、《E-エマージェンシーコール》を発動!《バブルマン》手札に加えて、そのまま攻撃表示で召喚だ! カードを2枚ドローするぜ!」
《バブルマン》ATK/800
こいつ、1ターンの間に何枚ドローするつもりなんだろうか。それさっき戻したカードをしっかりサーチして再利用する辺り、いっそ清々しい程のドロー運だ。
「手札から《ミラクルフュージョン》を発動! 墓地の《ワイルドマン》と《エッジマン》を除外して融合!」
「そんなカードいつの間に…って二枚も捨てていたし、《天使の施し》だよな。」
「おう!《E・HERO ワイルドジャギーマン》を融合召喚!」
《E・HERO ワイルドジャギーマン》ATK/2600
「しっかし凄まじいラッシュをかけてきたな…それでも《ワイルドジャギーマン》じゃ、《フェニックス・ギア・フリード》には届かないな」
たかが200の差だが、されど200の差である。《ワイルドジャギーマン》にはパンプアップ効果はないし、《フェニックス・ギア・フリード》にデメリット効果があるわけでもない。それぞれの効果ではこの差は覆されない。
「へへっ焦るなって、お楽しみはこれからさ! 魔法カード《H-ヒートハート》を発動! エンドフェイズまで《ワイルドジャギーマン》の攻撃力を500ポイントアップして、守備モンスターを攻撃した時その守備力を上回った分だけ相手にダメージを与える!」
うわぁ…これで《フェニックス・ギア・フリード》が突破されることが決定した。伏せてある《フォース・リリース》じゃせいぜいダメージ軽減が限界だし、明日香さんの伏せカードに期待せざるをえないんだが…どうなるんだろう。
「さらに、《R-ライトジャスティス》を発動! 俺のフィールド上に存在するE・HEROの数だけ魔法・罠を破壊するぜ!俺のE・HEROは2体! 明日香と葵の伏せカードを破壊だ!」
「ここで伏せ除去だと!? リバースカードオープン!《フォース・リリース》! この効果でフィールド上のデュアルモンスターは全て再度召喚状態となり、《竜影魚レイ・ブロント》の攻撃力は2300となる!」
《竜影魚レイ・ブロント》ATK/1500→2300
ちなみに明日香さんの伏せは《攻撃の無力化》だった。この状況で除去されたのは非常に痛いが、こればっかりはどうしようもない。計算上は総攻撃されてもまだ残る訳だし、明日香さんのターンに期待しよう。
「そして、《ヒーローフラッシュ!!》発動! 墓地の《H》《E》《R》《O》の4枚を除外して、デッキから《フェザーマン》を特殊召喚するぜ! そしてこのターン、E・HEROの通常モンスターは直接攻撃することができる!」
驚異的なドロー運を持つ十代が《E》を使った時点で実は予想が付いていたことだが、本当にやりやがった。しかし後半の効果はこちらのモンスターが全滅するので、蛇足になってしまったな。
「行くぜ、バトル!《ワイルドジャギーマン》は相手の全てのモンスターに攻撃する事ができる! いっけぇ! インフィニティ・エッジ・スライサー!」
《ワイルドジャギーマン》ATK/3100
《フェニックス・ギア・フリード》ATK/2800
《竜影魚レイ・ブロント》ATK/2300
《シャドウ・ダイバー》ATK/1500
《サイバー・チュチュ》ATK/1000
明日香・葵LP5800→5500→4700→3100→1000
「トドメだ!《フェザーマン》で直接攻撃! フェザー・ブレイク!」
明日香・葵LP1000→0
—————
「ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ!」
「二人ともありがとうっす」
緊張がなくなったように爽やかな笑顔でお礼を言う二人。十代に関しては最初から緊張もなにも無かったように思うが、翔は肩の力がいい具合に抜けていた。
「私も当事者なんだから当たり前じゃない」
「そうだな、感謝するんだったら当日勝ってくれたらいいさ」
「俺は手伝うことはできないけど、応援してるんだな」
十代なら多少足を引っ張られたところで逆に絶好調になるだけだと思うので、それほど心配はしていない。
「そろそろ寮で夕食の時間だし、俺はそろそろ寮に戻らせてもらおう」
「おう! じゃあな!」
制裁デュエル当日、十代と翔は迷宮兄弟に勝利して無事に退学を免れることができた。しかしながら罰は罰ということで、結局反省レポートを書くことになっていた。鮫島校長は公正な人物のようで、明日香さんにも密かにその課題が出ていたらしい。
授業中にぐったりしている面々をみて、起こさずにそっとしておくことにした。
十代のデッキがブンブンまわります。おかげで翔が空気です。
そういえばタッグデュエルが公式になるそうですね。
今回使ったルールは迷宮兄弟戦のルールを参考にしたのですが、公式ルールの方が使い勝手は良さそうなんですよね。
次回以降タッグデュエルをすることがあれば、公式ルールにするかもしれません。