Fate/new dawn   作:嶺素 玲央

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この物語はエンディングがもしこうだったら…的なIfストーリーです。ご了承ください。
また今回は主人公は出てきません。


0 終幕、そして…

 

 

 聖杯と呼ばれる物がある。それは、手にした者の願望を叶えた。そのため、古来よりこの存在を知る者達はこれを求め殺し合った。

 魔術師という者がいる。彼らは、魔力で持ってして人知を超えた奇蹟を再現し、彼らは万物の始まりにして終焉、根源の渦を目指した。

 ある者は聖杯をもってして根源の渦に到達しようと、ある者は己が欲望を結実させんと、聖杯を欲した。

 聖杯を求め、聖杯に選ばれし7人のマスターが召喚した英霊―サーヴァントを以ってして、互いを殺し合う。

 

 

 人はそれを【聖杯戦争】と呼んだ。

 

 冬木の地だけで聖杯戦争が行われていたわけではない。

冬木の地から聖杯が消滅てから2ヶ月。フランス、パリ。カタコンブ・ド・パリ。

この地で行われていた6回目の聖杯戦争が終わりを迎えようとしていた。生き残ったのはクラス、セイバーとそのマスターの組であった。

 

『お止め下さい!!マスター!!』

『言うことを聞け。セイバー。これこそが我が願望。お前も判っているだろう?』

 

このカタコンベの名所でもあるランプ台に一歩また一歩と近づいていく男性を白銀の鎧に身を包んだ女性――否、少女と言った方がよいだろうか――が引き留めようとその両の腕を掴む。

 

『この聖杯を破壊し、忌まわしい聖杯を巡る殺し合いの連鎖から英霊(わたしたち)を解き放つ。それがあなたの望みだったはず!!なのにどうして…』

『…そんなことできないんだ…!!済まないセイバー。今まで私はお前を騙していた。聖杯がこの地にあるだけではないことはお前も知っているはずだ』

 

男性は少女の右肩に手を置きながら続ける。

 

『この聖杯を破壊しようとも、また何処かの聖杯によってお前は英霊の座から呼び戻されるのだ。ならば私は、お前だけでもこの馬鹿馬鹿しい争いから解き放とうと思ったのだ!!』

『だからと言って、マスター!!そんな、なぜそんな事を…』

 

セイバーは大粒の涙を流し、崩れ落ちた。セイバーのマスターは、度重なる戦いの所為で傷つき裂けた衣を身に纏う彼女に自らが来ていたコートを被せ、『ここで待っていなさい』そう言って、ランプ台へと歩みを進めた。

ランプが置かれるべきそこには、今は今回の聖杯が置かれていた。

 

覗き込む。その中を。

 

そこには、今までに打ち斃した、英霊達の魂が渦巻いていた。

腰に取り付けたホルスターから、ダガーを取り出す。そのダガーの刃には魔術回路が刻み付けられており、その回路は今その本来の目的を果たそうと輝きを放っていた。煌々と朱く。禍々しく。

 

『何をする御積りですかな。勝者よ』

『何をしに来た。フュルヒテゴット・フォン・アイレンベルク』

 

背後から問いかけたのは、今回の聖杯戦争の監督役を務める司教だった。

 

『今回の聖杯戦争の終幕を見届けようと思いまして…』

『この短剣は、ありとあらゆる因果から死者の魂を切り離す物。一種の宝具だ。これを使って、セイバーの魂を忌まわしい運命から解放する』

『如何様に?』

『このようにさ!!』

 

そう言って、彼はその刃を聖杯に突き立てた。

 

 

彼が最後に感じたのは、短剣が深々と聖杯に突き刺さって行く手応えと己の胸を裂く刃の冷たさとセイバーの悲鳴。

 

そして、聖杯が放つ異様な黒い光だった。

 

聖杯は砕け、最後に残った勝者も死んだ。第6回聖杯戦争の終幕を見届けた司教、フュルヒテゴット・フォン・アインツベルン(・・・・・・・)は、その手に握ったナイフを放り、砕けた聖杯の一番大きな破片を拾い上げた。

 

『これで再び、冬木の地に聖杯が復活する…』

『…な、にを、し、た…』

 

傍らで、倒れ消えようとしているセイバーが、フュルテゴットに唸るように訊く。

 

『…残念だったな、セイバーよ。貴様のマスターは死んだ。貴様の因果も切れなかった。貴様のマスターは、本当に馬鹿で、考えなしで、愚かな男だったよ!!くはははははははははっ!!!!!!!』

『おのれ!!よくも、マスターを…あの方を…!!』

 

狂ったように高笑いをし、カタコンベをあとにする、生え際が後退しかけたオールバックの男を睨みながら、目の前で絶命した自らのマスターの頬を触ろうと這って手を伸ばす。何かドロッとしたものが体に纏わり付いていくが気にしない。今はただ、消えてしまう前に彼の体に触れていたかった。

 

『マス、タぁ……』

 

感覚が消えていく中、冷たくなっていく彼の体温を必死で感じようとした。いつしか指先が消えていき、ついに消滅しようという時に、

 

 

 

彼女は再び肉体を得た。

 

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