Fate/グダグダ進撃隊   作:雑炊

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活動報告で今週中とか言っておきながら次の週に投稿するというこの体たらく。
さらに深夜テンションが多分に入っているので色々とアレかもしれません。

というわけでオルレアン前の幕間をどうぞ。

(9月9日追記)

痛恨のミスを発見したので修正しました。
私よ。それは名字が違う以外は同じなだけとはいえ、全くの別人や………‼


カルデアでの話・1

地面を炎がなめる。

 

草木を燃やして足元に迫るそれらをひとっ飛びに飛び越え、炎の出処であるオレンジ色のウィッチドレスを纏った少女に肉迫する。

 

瞬間、目の前で光の炸裂。

 

咄嗟にその場から飛び退き、右手の武装―――今は拳銃型になっている―――を数発放つ。

 

それは上手い事少女の周りを飛び跳ねていたジャック・オ・ランタンに当たりそれらを吹き飛ばすが、狙い通りではない。

舌打ち一つ漏らすと、直ぐ様思考を切り替えて動き回る。

 

相手の特性上、通常とは違い、常に動き回っていなければ狙い撃ちされるからだ。

現に、今しがた立っていた場所が空から降ってきた何かによって爆炎に包まれる。

 

それに構わず、かつて黒い騎士王と戦った時のように大きく円を描きながら徐々に接近する。

 

一方の少女も直ぐ様手に持った三つ又の槍(トライデント)にまるで魔女が箒に乗るように跨ると、その場を離れようとする。

 

が、遅い。

 

即座に拳銃で牽制して動きを止め、黒く染まった左腕を文字通り(・・・・)伸ばして、その華奢な胴体を引っつかむ。

 

ぎゃああと少女という見た目と格好に似つかわしくない悲鳴が聞こえるがガン無視。

そのまま左腕を元に戻しながら相手を引き寄せ――――――

 

 

(っ!?)

 

咄嗟にその場を跳躍。

瞬間、その場を再度爆発が襲う。

 

閃光、爆音、爆風。

 

これで視界と聴覚が遮られる。

 

舌打ち。しかし、左手には感覚と手応えがある。

 

引き寄せる事はやめない。

大凡、左腕が戻ってくるであろう位置に拳銃型になった武器を叩きつけるようにしながら――――――

 

 

 

 

 

《ビーッ!ビーッ!ビーッ!》

 

そんな音と共に周囲の草原が一気に無機質な白いプレートで構成されたアリーナに変わる。

 

右手の拳銃はハロウィンドレスの少女の眉間に。

少女の武器である三つ又の槍は――――――自分の喉元に。

 

 

数秒、そのままの体制が続く。

 

 

 

しかし、それだけだ。

その後はどちらともなく溜息を吐きながら構えを解く。

 

 

 

「……負けたァ…」

 

そのまま、奇妙な腕と拳銃型の武器を持った少年―――黒井志郎は仰向けにブッ倒れた。

 

同時に彼の視界の隅で相手だったハロウィンドレスの少女も恥も外聞もなくぶっ倒れたのが見えた。

 

 

 

 

「いやいやいやいや……またしても身体能力が跳ね上がってるね…何?君って某ベジタブルな戦闘民族か何かなの?」

 

「おう、今の一言は全日本人への宣戦布告ととっていいんだなオタクドクター?」

 

「待って左腕の一撃は僕兎も角他の機材まで破壊されるから勘弁!!」

 

NO!NO!と叫ぶロマンから目を逸らしつつ、黒い左手を下ろす。

そもそも、お互いに本気ではない。

ロマンも明らかに巫山戯ているのが分かるし、志郎も半笑いだ。

リラックスさせようとしてくれているのだろう。

そう、感じた。

 

無理もない。彼は元々医者で、尚且つ、人としては相当『正しい』部類に入る人間だ。

元々一般人という自分にほぼ全ての責任やらなんやらを押し付けているという罪悪感も相まって、少しでもケアできないかと努力してくれているのだろう。とはいえ不眠不休で様々な部署の調整やらなんやらをしてくれているあたり、本来罪悪感を覚えるべきは志郎の方なのだが。

 

 

……まあ、厳密に言えばそれ以外にも原因があると志郎は推測している。

 

 

 

というか、ハッキリしていた。間違いなくアレである、と。

 

 

 

事の次第は数日前に遡るが、ついに始まったグランドオーダーによる特異点探しの最中、予想以上に内容が濃い事態がまだ本番も何も始まってすらいない状況にて起きてしまったのだ。

 

 

 

簡単に言うと、先の模擬戦で志郎を相手していた少女―――エリザベート・バートリが完全にやらかした。

 

 

 

 

 

どこで手に入れたのかは不明だが、聖杯の欠片を使い、自身の居城であるチェイテを短期間だけながら擬似的に特異点化。

更にその周辺も巻き込んで、大規模なハロウィン・パーティー(本人は頑なに『ライブ』だと主張しているが)を実施しやがったのだ。

 

 

 

 

そもそも、エリザベート、通称エリー自身も、冬木から帰ってきて間も無く、英雄王が何時の間にか何処かから連れてきていたサーヴァントである。

曰く、『残念思考と音痴と料理の腕前が絶望的なまでに酷いだけの生娘ではあるが、こと戦うにあたっては使えなくはなかろう』とのこと。

 

デメリットがでかすぎる気もするが、純粋な戦力増加は嬉しかったので、即日歓迎という形になった。

 

 

 

 

結果がアレ(ハロウィン事件)である。

あの時ほどあのドラ娘を身内にしてしまったことを後悔した日はない。

 

 

結局、その時までに呼べていた清姫に初期メンバーのマシュ、ヘラクレス、牛若丸に、事態の根本的な元凶である英雄王も交えて、聖杯&ドラ娘狩りを兼ねた観光と洒落込んだのだが……いやはやホントにもう、大変だったとしか言い様のない事態だったと志郎自身は後に述懐している。

具体的にはメイド姿の狐猫(ダ狐)とか、清掃スタッフの真似事をしていたお面付けた女性に本職の技を志郎が叩き込んだりとか、刺繍が上手い公爵な人が居たりだとかかぼちゃ食ったり骨砕いたり幽霊ぶっ飛ばしたりだとかetc…

 

 

 

 

 

極めつけは、全てが終わったとでエリーが前述のハロウィンドレスな状態(クラスも相まって通称キャスエリと命名)といつものランサー状態のエリーに分裂するという奇天烈極まりない事態があったりしただが……そこは割愛する。

 

兎に角、同時期に召喚されたとある奴と揃って大騒ぎになったのだ。ぶっちゃけ忘れたい悪夢一歩手前の騒動が起きたと思ってくれればいい。

 

 

 

 

何はともあれ、そのあとも様々な英霊達が賑やかに集まって(召喚されて)きてしまい、まだ冬木以降どこの特異点も正常化出来ていないのに、カルデアは何故か大量の英霊がごった返して共同生活しているという、その道の研究家達からしてみれば白目をむいて卒倒するか、鼻血を吹いて大興奮するかの様な状態へと陥ってしまっていた。

 

 

 

 

 

何?ハロウィンパーティーは特異点じゃないのかって?HAHAHAご冗談を。意地でも認めんぞ。

 

 

 

 

 

そんな感じでこれまでの出来事をいい感じに振り返りつつロマンの居城を出る。

時刻は既に17時を過ぎており、いいかげんに腹も減ってきて体に倦怠感も出ている。

幸いカルデアには労働基準法もクソもないので定時だの残業だのはない。

 

長引くときは長引くし、即効終わる時は速攻で終わるのだ。

 

そんなもんである。(ちなみにロマンは基本36時間勤務12時間休憩だという。意味がわからない)

 

 

故に、俗に言う定時からは若干早い時間だろうと、やる事終わったらそれは業務終了を示す。

 

ああ、なんという好条件。

あとはこれで給料が出れば文句無しだが、この状況下でそれは高望みしすぎだろう。

 

そう思いながら、フラフラと食堂のドアを開ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして次の瞬間。ドアを閉めて即時その場から走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

見てない見てない。食堂で着物を着た薄い緑色の綺麗な髪と白い角を生やした中学生くらいの少女と、白い肌に少し白くくすんだ金髪に中学校高学年くらいの体躯で真っ黒なゴスロリドレスに身を包んだ少女が睨み合う光景なんか見てない見てない。

 

 

そう、これは逃走でも戦略的撤退でもないのだ。端的にご飯よりも先にまず風呂に入りたくなっただけなのだ。

 

故に自分はこうやってそっちの方へと力いっぱい駆け出「許しません(ボソッ」「ほんぎゃあああああああああ!?」

 

耳元で聞き覚えのあるヤンデレボイス。

まさか馬鹿なそんなと驚くとともに足がもつれ、そのまま地面へと顔面スライディング。

 

即座に体制を入れ替え、次に来るであろう火炎の一撃へと対処するために声の出処へと顔を一気に向け――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、どうでしたか先輩?清姫さんの真似をしてみたのですg「おぉ前ホントいい加減にしろよこの菌糸類がよォォォ!!!!」な、なんでそんなに怒るんですか!?」

 

 

 

なんのことはなく、初対面から態度を一向に変えない白髪菌糸類のマシュちゃんでした。

今はちょっと涙目である。

 

 

 

 

「……はぁ、清姫さんとオルタさんがですか?ですが、あの二人は特に互いを嫌っているわけでも何でも無かった様な気がしますが……見間違いでは?」

 

「得物を用意した状態で向かい合ってる時点でダウトとは思わんのか?」

 

「あ、すみません。私シールダーですから、宝具で防御できるんですよ。すいませんねぇ」

 

「セーラー服着せて海に叩き込むぞこの痴女…!」

 

言いながら志郎とマシュはゆっくりとした足取りで食堂へと向かう。

こんなふうに軽口を言い合える程度には彼らは仲が深まっていた。

まあ、片や2人兄妹の長男で、片や後輩系ヒロイン。

元から相性はいいのかもしれない。

 

さて、そんな感じで軽口を叩き合っている内に問題の食堂前へと辿り着く。

 

ハイテクな装置等が整っているカルデアだが、こういった食堂などの大衆利用がある部屋の扉などは有事の際に閉じ込められたりする確率を低くするために自動化はされておらず、もっぱら手で押し引きするタイプの物になっている。

まあ、こういうアナログな物は自動化されている物よりもメンテナンスはし易い上、故障も少ないので志郎個人としては(有事の際にどうせ駆り出されるので)こちらの方が嬉しいのだが。

 

閑話休題。

 

さて、問題の食堂なのだが……何故か、異様に静かだ。

物音一つたってはおらず、むしろこれは何か音を立てた瞬間にそれがゴング代わりになってしまうんじゃないかと思える程の静けさである。

 

志郎は少し顎に手を添えて考えてから、仕方なくマシュを前面に、自分を後ろにすることにした。

自分よりも年下の少女の後ろに隠れるとは何とも情けない絵面だが、事情が事情である。

むしろ、こうでもしなければ一歩間違えると自分が死ぬのだ。マシュ自身は宝具であれやこれやを防御できるが、自分にそんな便利な物品はないのだから。

 

 

 

……否、厳密には無いわけではない。

 

ただ、出来るかどうかはわからないといったほうが正しいのだろう。

 

 

チラと志郎は自分の黒く滑らかに硬質な光を反射する左腕を見た。

 

 

 

 

悪神の左腕(アーリマン・アーム)と、その左腕は名付けられた。

 

命名者はロマンである。

曰く、『悪魔よりも悪神の方が強そうだろう?』とのことだった。

 

まあ、反対する意味もないのでそのまま使わせて頂いている。

 

 

結局、この腕に関しては正体も何も分かってはおらず、元に戻す方法もサッパリという状態だった。

調べたダ・ヴィンチちゃん(彼女(・・)に関しては置いておく。とりあえず本人で、曰く『せっかくだから自分改造して女体化しちゃった☆』とのこと。「ミケランジェロにバレたら笑われるのでは」といったところ『あの筋肉大好きの不衛生極まりないパン職人もどきの話は出すな(超意訳)』と言われたので本人であることは間違いない)もお手上げで、ギリギリ『皮膚の上に張り付いているというよりはほぼほぼ腕其の物と同化寸前の所まで行っている』とのこと。

 

また、呪詛的な何かがコレでもかと言わんんばかりに凝縮されている上に、高次すぎる魔力反応――――――それこそ『聖杯』に程近い物まで取れているというので、言ってしまうと『下手に手を出すより静観がベスト』という結果に落ち着いたそうな。

 

閑話休題

 

そんな腕を撫でながら志郎は思う。

さて、万が一の場合どうやったらあの二人を沈める事が出来るのか、と。

 

既に前述した結論が出た際から、この左腕がどのような事ができ、どこまで耐えられ、どんな状況下で応用が効くのかなどの検証は済んでいる。

 

先のキャスエリとの模擬戦でも使用したが、例えばどこぞの悪魔の腕みたいに伸ばしたり、無論爪で引っ掻いたりなどもできるし、物によっては腕の中に収納して好きな時に取り出すことができるという四次元ポケットの如き活躍もできると、割とチートなことが判明している。

 

一応、収納は自分より大きい物は無理だったり、伸びる距離もある程度決まっていたりと、きちんと制約はある。

……のだが、あの変なのが別れ際に言っていた事が妙に気にかかるので、もしかするとよくある箱庭ゲーの主人公みたいにある条件を満たすとアップグレードが出来る様になるんじゃないかとも志郎は考察している。

 

まあ、なんにせよまだ何も始まっていない…とは言い難いものの、ほぼそれに近い状況である現在では確かめ様がない。

 

出来る事を出来る範囲でするしかないのだ。今は。

 

 

「…よし、マシュ。前にでろ。スキを見てこっちで拘束できたらしておく。行っても片方が限界な気がするが」

 

「清姫さん任せました」「おい待て難易度が半端じゃないんだがせめてオルタさん「ダメです」あ、はい」

 

有無を言わせぬ言い方に、志郎はちょっとションボリ。

とはいえ、まあ、考え様によっては楽っちゃ楽なので思考を切り替える。

 

未だドアの向こうから轟音などはしない。という事はまだ睨み合いが続いているということだ。惨事にはなっていない……筈である。

 

短く互いにアイコンタクト。両者共に準備完了。

 

では行くぞ、と心の中で呟いて、勇んで食堂のドアを開け――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――そして、食堂の机の上で恐ろしく赤い麻婆豆腐に顔を突っ込みながら痙攣している黒いゴスロリ娘と、床の上で顔面を真っ赤にしながら何か写真のようなものを持って悶えているトランジスタグラマー系ストーカーヤンデレ蛇娘の姿を確認し、二人揃ってずっこける。

 

そりゃあ静かにもなるというものだろう。というか、よくよく見ると視界の隅で黄金の男が声を漏らすことなく肩を震わせながらテーブルをバンバン叩いて爆笑している。

 

――――――英雄王楽しんでるなぁ……

 

ずっこけた体制のまま志郎は頭を抱えた。

予想よりも被害はないが、色んな意味で予想以上の惨状に頭痛がしてくる。

 

というか、これ、どう対処すればいいんだと。

 

 

 

「……なぁに、これぇ……」

 

マシュが先日教えたネタを持ってこの惨状を言い表す。

 

いや、本当に何だ、これ。

 

 

 

 

 

 

 

――――――因みにその日の夕飯は麻婆麺だったそうな。




如何でしたでしょうか?

どうも雑炊です。

前回投稿から2ヶ月ちょい過ぎてるとかシャレにならん。

あ、水着勢は星5以外皆呼べました。


とりあえず今回は幕間。このカルデアでは大体こんな感じで模擬戦やったり騒動がおこったりしてます。

ロマンがストレスマッハ。


では、解説。


ロマンの労働時間
→多分これぐらいしているのではという想像からあんな労働基準法ブッチな感じに。

実際に似たような事を現実でもやっている人がいてマジでビビります。

模擬戦
→とりあえず現在の志郎くんはこのレベル。つまり相手が良ければ英霊相手でも足止めは一応できるような状態。
ただし無論相性が悪ければ速攻でデデーンされます。どっちつかずでもほぼ負けます。オルタ騎士王は運が割と良かったからあの結果で済んだような物。仕方ないね。

食堂
→基本当番制。(多分)
麻婆の製作者は不明。考えてません。あと、英雄王はサラっとあの後逃げました。

クラス違いの鯖の扱い
→その場にいる時は単体として存在してますけど、カルデアに戻ったが最後ベースキャラがいれば別個体として判別されます。つまりクラスが違うだけの同一人物が増えるということ。
仕方ないね。アルトリアなんて何人居るんだって話だからね。きっと平行世界の彼らを呼び出したりとかそういう感じなんだと思われます。


……ん?所長は。
→普通に原作通り。一応次回言及の予定。本当に死んだかは定かではないのでちょっとぼやかすかも。

ハロウィンもう終わってんの?
→終わってます。これは簡単に言うと雑炊がオルレアン進撃する前に冬木の残ったアレコレやレベル上げとか優先したら先にお月見やハロウィンといったイベントが始まってしまい、結果としてオルレアンを始める前にそっちが終わっているという状態に陥ったというのが真相。要するに作品説明の注意にあるプレイ日記的要素がこの結果です。

なのでオルレアン進撃にキャスエリは普通に参加します。

清姫とかオルタさん居るのは?
→オルレアン入る前に上記の事があって『この戦力ではまずい』とガチャを回した結果。簡単には次回言及しますが、つまりこのカルデアには既に色んな英霊がいます。これもプレイ日記要素ですね。
ただ、オルタはオルレアン終了後に来たキャラなのでそこだけちょっと変えてあります。これに関しての騒動も次回。

とりあえずこんな所でしょうか?

予定では一応次回からオルレアン突入予定。
ではまた次回。
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