とりあえず今回はサーヴァント達が何で既に居るのかという説明と、前回冒頭の模擬戦で志郎が使っていたものが一体なんだったのかの説明会かなー?
それでは、本編をどうぞ。
「大丈夫かー?」
「フフフフ……舐めるなよシロウ。最優のサーヴァント且つ王であるこの私があの程度で……アッスマンやっぱキツイ体を貸せ」
「おいちょっと待て寄っかかってくんなぁぁぁぁぁ!」
結局あの後夕飯終了まで動かなかったゴスロリの黒いの―――アルトリア・オルタをこのまま置いておくのは可哀想だろうというマシュの一言で、比較的部屋が近い志郎が部屋まで送り届けることになってしまった。
現在、カルデアには多くの英霊達が召喚され、事態の収拾がつくまでという期間ながら、奇妙な共同生活を残存するカルデアのメンバー達と共に繰り広げているわけだが、この時、英雄王がいきなり『自室が欲しい』と言い出したため、仕方なく今ある資材とそのあまりの悲惨さっぷりに流石に哀れに思ってくれたのか、言いだしっぺである彼が蔵より下賜してくれた資材を用いてある程度の改修、増設等や、現在当初の事故で再起不能で冷凍睡眠処置、或いは即死してしまったマスター候補達のマイルームを利用して、緊急で彼らの自室が設置される事になった。
まあ、自室といってもあるのは突貫工事甚だしい事をやった結果、寝床と簡単な棚。それとシャワールームのみという恐ろしく簡素な物だけなのだが。
流石に英雄王もこれにはご立腹だっただが、仕方なく俺の部屋として割与えられていたそれを献上した結果ある程度溜飲は下がったらしく、カルデアに黄金の雨が降るという最悪の事態はなんとか避けられた。
まあ、後から聞いた話だが本人も状況と対応に当たったメンバーの努力を鑑み内心では『まあ、こんなものが限界だろう』と理解してくれていたようだが。
……それでもご立腹な感じに見せてきたのは、狼狽える姿が面白かったからとか英雄王マジ英雄王。
それは兎も角として、とりあえず現在カルデア内には各英雄達が個人的に使える言うなればマイルームが各所に存在しており、またマスター候補達が使用していた各サロンも基本彼らが使用しているという状態になっていた。
そして、現在志郎が抱えている黒いゴスロリ――――――セイバー・アルトリア(本人曰くオルタという存在らしい)の部屋は、先の惨劇があった食堂から割と近い、及び新たに志郎に割り当てられた部屋にも近い所にあった。
◇
アルトリア・オルタ。
冬木で志郎達御一行と戦った、あの黒いセイバーである。
そもそも何でこいつがいるかというと、話は冬木市からなんとかカルデアに帰り着いた頃に遡る。
帰り着いて暫くしてからロマンとダ・ヴィンチちゃんに呼び出された志郎は、ヘラクレスや牛若丸。無論、英雄王も同様に、召喚直後英霊の状態は本来の力を100%出しきれていないのだと説明を受けた。
なんでも、カルデア自体からの魔力供給総量、マスター候補生からの魔力供給量や身の安全等を吟味した結果、最初からフルパワーで呼び出すと危険度が不味いという事になり、結果的に呼び出される英霊は最初本来の状態よりも幾分かデチューンされた状態で呼び出されるらしい。
……それでも常人を遥かに超えた戦闘能力を持っているのだが。
何はともあれ、結果として彼らは本来の出力が出せていないらしい。
これを改善する為の方法として存在しているのが“種火”という物品。
ダ・ヴィンチちゃん曰く、これを英霊に取り込ませることによって彼らの霊基を改善、より、本来の能力に近くなるように持っていける様になるとの事であった。
とはいえ、途中でより霊基を改善する――――――俗に言う『霊基再臨』を行う為に、種火以外にも色々と素材が必要なので、種火だけではどうにもならないらしいのだが。
(いよいよソシャゲの様相を呈してきたとか言ってはいけない)
何はともあれ、そうと決まれば種火である。
これは特定の敵をどつき倒すとドロップするらしく、最も効率がいいのはあのマドハンドもどきらしい。
カルデアには、英霊への魔力供給システムを応用し余剰魔力を使用してあれらを作り出すということが出来るらしく、回収自体は何とシミュレータで可能とのことだった。
(ありがたいが、それで良いのかとツッコミを入れてはいけない。)
そしてその結果――――――まさかのカルデアはとある敵に大敗を喫したのだった。
その敵とは――――――クラス間の、相性である。
「ソシャゲか!?」
相性の存在を知った当時の志郎、魂の咆哮である。
というのも、このシステム自体は多数いるマスター候補の戦略、戦術的な技量を鍛える為の物だった。
マスター候補はその殆どが才能自体があるものの戦闘やその他諸々に関してはズブの素人。
場合によっては英霊達の過去など知ったことではないとし、その弱点や生い立ちを知ろうともせずただの使い魔として扱おうとしている者も居たらしい。
ここら辺の偏見や力不足を矯正、或いは鍛錬するためにこのようなややこしいシステムが導入されたのだという。
だが、肝心のマスター候補は特に被害を受けなかった志郎以外全員が致命傷か重傷を負い再起不能。
志郎自身も戦術眼などの指揮官としての能力は低い物の、英霊達に敬意を払い、それでも向き合おうとする心構えを持つ割と真面な性格だったため、この仕様は戦力不足甚だしい現時点でのカルデアにおいて、ただ端的に種火集めという必須作業を邪魔するだけの迷惑仕様になってしまっていた。
つまり何が言いたいかというとである。
ランサーとアサシンクラスの敵に彼らはこの仕様のせいで文字通りボッコボコにされたのであった。
流石にこれは拙いと思ったのか、上記のボッコボコ事件直後、ロマンから志郎に『より多彩な戦術を展開するためにも戦力は必須』という最もらしい理由をつけて、もっと
実際にはブチギレ寸前の英雄王を宥める為、気を引くための囮であったのは云うに及ばずであるが。(彼は相当あのマドハンドもどきにボコボコにされた事が腹に据えかねたらしく一時は全力の乖離剣をシミュレータにぶち込もうとしていた)
一方の志郎もこれは拙いと流石に思ったのか、その提言を承諾。
ダ・ヴィンチちゃん謹製の聖晶石4個分の働きを1枚で行うという驚異の物品『呼符』を10枚ほど溜めに溜めたメロンゼリーで買い込み、召喚機に全投入。
更に何かに諭されて貯めていた肝心の石も40個以上を投入し、これでもかと言わんばかりに
で、その結果、
現在にカルデアに超が付くほど大量の英霊が召喚され――――――結果、戦力自体は潤ったものの、今度は前述したカルデア内の部屋不足に、霊基改善のための種火不足。
更には一部の英霊達の暴走による志郎のマスターとしての負担の超上昇という考えうる限り現時点においては最悪の事態が悪循環をし始めてしまったのである。
「もうカルデアはダメかもしれんね」とは、この光景を見たDrロマンの言である。
―――しかしながら、それでもカルデアは多数の職員達の奮闘と比較的良識派の英霊達の助力に協力。そして忘れてはいけない最後のマスター――――――志郎の血と汗と涙と血尿と知恵熱が出るほどの頑張りの結果、何とかかんとか崩壊という正真正銘の最悪の事態は遥か因果地平の彼方まで吹っ飛ばされ、召喚された全ての英霊達とカルデアメンバーとの間に奇妙な連帯感と親交が結ばれた、極めて奇妙なアットホーム感を持った不思議な平和空間を構築することに成功できていた。
いや、ホント皆さんお疲れ様ですとはどこかの世界の天上から見たとある覚者とジーザスの呟きだったのかもしれない。
何はともあれ、
現在のカルデアはそんな感じで(時々シャレにならない大問題を発生させながらも)割と平和を維持できていた。
さて、話を戻そう。
そんなクッソ面倒くさい(と言ってはいけないが)大騒動を終えて、ほぼ全員が『やれやれ』と汗を拭っている真っ最中に発生したのが――――――あの、ハロウィン大騒動である。
ハッキリ言うと、志郎は切れる寸前だった。
実際には何をあのリアルドラ娘しくさっとんじゃボケぇとドスの利いた声でちょくちょく洩らすくらいには切れていた。
そしてそんな怒り心頭の状態の中、気晴らしにと呼符を一枚投入し、そして呼び出されたそれこそが――――――この、黒く染まった騎士王なのである。
ぶっちゃけ、召喚直後には空気が凍った。
誰も彼もが脳内に『\(^○^)/』か『\( 'ω')/ウオアアアアアア!!』が乱舞するような状態であった。
さもありなん。
相手はあの冬木のラストにて志郎と大立ち回りを繰り広げたボスである。
誰がそんなもん召喚できると思っていただろうか。
挙句の果てにまさかのフル武装ときた。
更にいきなり志郎に剣を向けたのである。
上記のように絶望に苛まれるのも致し方ないと言えるだろう。
マシュもあまりの事態に完全にフリーズしてしまい、我に返って戦闘状態になった時には既に黒い聖剣が志郎の首元に突きつけられているという状態だった。
ハッキリ言うと詰である。人類オワタである。
―――しかし、奇妙な事に、黒い騎士王は暫しそうした後、フッと笑って剣を下ろしたのだ。
更には、そのまま志郎に跪き、剣を捧げるとか言い出したのである。
結果、更に周囲は混乱に陥る。
え、なに?どゆこと?
正しくそんな言葉がその場にいた全員の頭の中を駆け巡る。
しかし、そんな渦中の中にいる黒い騎士王はそのままスッと立ち上がると、
「飯の時間だ。案内しろ」
とだけ言うと、未だフリーズ状態から脱せていなかった志郎の腕を引っ掴んで、そのまま彼と共に部屋を出て行った。
凍ったままの召喚ルーム、スタッフ、そしてマシュ。
彼らが我に返ったのは、それから暫くしの後、廊下よりあまりの力で握られたためか、それとも今の状況にやっと脳が反応できるようになったのか、どちらとも言えないが、兎に角情けない困惑の悲鳴を志郎が上げたことにより、他の英霊たちがやんややんやと集まっていく賑やかな足音を聞いてからだった。
◇
思えば、あの頃から賑やかさは倍レベルになったなぁ、と志郎は一人頭の中で思い返す。
結局今自分が当人の自室に備え付けてあるベッドへとぶん投げた黒い騎士王はあの後食堂にいたバートリ姉妹を煽ったり、英雄王と組んで月見団子の強奪を企てたり(カエサルとかの暗躍でこれは不発に終わった)、何故か気がつくと自分の部屋に強襲してきたりとある意味大量召喚時に飛び出してきた
今でこそ慣れきったためにそこまでではないが、一時期はあの月の女神というアルテミス(モノホンらしい)からも素で心配されるというヤバイ状況だったようだ。(ようだ、というのは志郎自身がそれに気づかず、その際の指摘を受けた今もあまり実感が湧いていないからだ)
ただ、その分戦力としては十二分なものであり、現在はカルデアにおける最高戦力の1騎として存分にその力を奮ってくれている状態である。
故に、そう無碍にはできんよな、というのが志郎自身の考えだった。
これは他にも居てくれている数多くの英霊達も同様である。
だからこそ、彼らが何か引き起こしても、あまりにも度を過ぎたようなものでなければ志郎は笑って付き合ってあげていた。
先日のエリー分裂事件の元凶にもなったハロウィン騒動も、元はエリー自身が志郎を労ろうとして画策したことである。(タイミングが悪かったとしか言い様はないが)
だからこそ、ブツブツ言いながらも最後まで付き合ってあげたし、分裂してしまった際は快く両方受け入れた。
まあ、詰まる所あれもこれもそれも彼の生来のお人好しな部分が招いた結果であるのかも知れない。
(どうにかせんとなー、とは思うんだがなぁ…)
そう思いながら、アルトリアの自室を出る。
時刻を見れば既に23時を過ぎた辺りだ。
寝るには丁度良い塩梅だろう。
首を回しながら軽く肩を叩く。
生まれてこの方そういう体質なのかどうかわからないが、肩こりとは無縁の生活ができていたが、何と無く精神的な疲れというか、そういうものはよく覚えていた。
それを発散するための動作をしつつ、自分のマイルームの方に顔を向けると、一人の白衣の下に緑色の医療用の衣服をまとった長身の男性の姿が見える。
――――――ロマン先生だ。
片手を上げて挨拶すると今しがた自分が出てきた部屋と自分を見比べて、『ははぁん?』というような言葉が聞こえてきそうな、にやけた表情を顔に浮かべた。
ただ、志郎もこれには慣れたもので、違う違うと手を振って返事する。
ロマンはそれを苦笑を浮かべることで返答代わりとする。
そして、次の瞬間にはすこぶる真面目な顔をしてから、ゆっくりと口を開いた。
――――――――――――本番が、やってきた、と。
◇
カルデアスのある管制室に、志郎とマシュ、それからこれまで呼ばれた数々の英霊達が集まっていた。
――――――とはいうものの、大半が真面目な顔をしている中、一部は寝ていた所を叩き起されたりなんだりでもしたのか不満顔である。
時刻は夜中の12時半―――先の志郎とロマンのやりとりから、およそ1時間半が過ぎていた。
「―――皆さん。集まってくれてありがとう。志郎君とマシュも悪いね。――――――では、早速だけど、これから発見された特異点についての説明を行う。ダ・ヴィンチちゃん」
臨時のカルデア司令官扱いとなったロマンがそう言うとともに、ダ・ヴィンチちゃんに指示を出す。
するとカルデアスが一瞬光った後、彼らが今立っている方に少し回転し、とある場所を指し示す。
志郎は、その場所に少々見覚えがあった。
「――――――フランスか」
思わず言葉が漏れる。
それを聞いて、ロマンは首肯した後説明をはじめる。
「特異点化しているのは、西暦1430年代。俗に言う、100年戦争の時代だ。解り易く言えば、ジャンヌ・ダルクが活躍し、そして処刑されてから直ぐといった時間軸だね」
その言葉に、何人かが反応を示した。
その中でも大きく反応したのは二人。
一人は大量召喚時よりアサシンとして力を振るっているとともに、時に医務室で医師としても
活躍している『シャルル・アンリ・サンソン』。
二人目は、同じく大量召喚に応じ、戦術指揮等の面で志郎に教えを教授している『ジル・ド・レェ』。
前者はおそらく『処刑されて』という部分に。後者は間違いなく『ジャンヌ・ダルク』という言葉に反応したのだろう。
志郎が軽くその二人に目配せする。
それを受けて多少は落ち着いたようだが、それでも何処かソワソワしているのは、仕方がないというべきか。
ロマンもそれに気付いているようだが、短いとは言え濃いこれまでの体験から、相手にすると脱線して際限が無くなると判断したのか、気にすることなく話を続けた。
「現在、この場所がどういう状況で、且つどういう原因で特異点化しているかは全くわかっていない。一応レイシフト後もこちらから最大限サポート出来る様に準備はするけれども、そうなるまでにはあと数時間必要だ。だから、現地へのジャンプは最短でも明日……というより今日か。今日の早朝からになる。スタッフは交代制をとって24時間対応可能にしてあるとは言え不慮の事態を想定してサブメンバーも英霊組から何人か招集したい」
そう言うと、彼は全体を見渡したあと、全体見据えをてこう言い放った。
「――――――それでは、グランド・オーダーを始める。各員、自らの持てる力を余す所無く使い、事に当たってもらいたい」
◇
「それでは、これでミーティングを終了とします。あ、志郎君はちょっと残ってね。サーヴァンテイカーの調整をするから」
その一言で、志郎とマシュ。そして、知識面からサポートを請われた一部の英霊の面々以外は自室、或いは自身の持ち場へと帰っていく。そのサポートを請われた面々も、その専門スタッフと共に会議のため別室へ移動した為、残ったのは今出た2人と、ロマン、ダ・ヴィンチちゃんを含むレイシフト観測スタッフのみとなった。
「…それで志郎君。メンバーはどうする?」
「とりあえず、現状どうなってるか解らない事を考慮して、最高戦力組の英雄王とアルトリア。それから斥候とかでも活躍できるハサン先生と、あとはマシュと牛若丸かな。前者三人は兎も角、二人はサポートと前衛どっちも行けるし、牛若丸の機動力はとても頼りになる。あと、サブで地理に詳しいはずのフランス組も連れて行こうとは思うけど、それは状況によって小出しかな。あとはフレンドデータで何とかするしかない」
それを聞いたロマンは頷くとすぐにサーヴァンテイカーを持ってダ・ヴィンチちゃんと共に調整を行い始める。
…現在、志郎が使っているサーヴァンテイカーは、冬木のあの時、オルガマリーから渡してもらった物から外装を取り外し、メインである中の各機器を核として、ダ・ヴィンチちゃんが(面白半分に)改造した物を用いている。
流石にあの華美な外装では、実用性には欠けると判断したのもあるし、何よりアレ自体は彼女の父親が彼女自身に贈ったものだから、それが万が一壊れたりしてしまっては少々心苦しいという個人的な理由から、そんな状態で運用しているわけなのだが――――――今のこの惨状を見る限り、それは正解だったとつくづく志郎とロマンは思っていた。
先にあった模擬戦でも使われていたのだが――――――現在、サーヴァンテイカーは冬木でのマスターも戦闘に参加したという事実を考慮し、本来のサーヴァンテイカーの機能のみならず、追加のパーツを取り付けることで多様な状況に対応できるマルチデバイスとして、ダ・ヴィンチと『気晴らし』という免罪符を持って参加した、カルデア技術スタッフによって文字通りに『魔改造』されていた。
そのマルチデバイスシステムの第一号として考案、実装されたのが『簡易戦闘システム』と銘打たれた、ハンドガン型と短刀型に可変できる追加パーツである。
ハンドガンではカートリッジ式を採用しており、俗に言う『カルデア驚異の技術力』で作成されたそれらを状況に合わせて選択することで、通常の実弾はもとより、その他の種々の弾頭や魔術的な物に、果ては光学兵器のそれすらも発射可能という『やり過ぎ』が否めない仕様になってしまっている。
短刀―――実質片刃のナイフに近いが―――も電力と魔術を上手い具合に併用することで、『ガンドを刃状に固定して切りつける』という、中々に何言ってるかわかんない物品になっており、敵に物理的、呪術的ダメージを『同時に』与えることが理論上可能となっている。
実に天才の面目躍如な物品である。
説明を一緒に聞いていたロマンの目が後半になるにつれてどんどん死んでいったことから、その無茶苦茶ぶりは推して知るべし。
とはいえ、これでもサーヴァント級の相手にはほぼ無力なのだそうだが。
「行けて足止めかなぁ?」
というのがダ・ヴィンチの言。
曰く、そもそもサーヴァント自体が規格外の神秘その物である為、中途半端にしか神秘の無いコレでは怯ませられてもダメージ迄持っていけないのだそうな。
まともな現代兵器にしても、戦車砲クラスが直撃してやっとこさ中堅クラスに手傷を負わせられるレベルだというのだから、後はお察しである。
しかしながら、その現実は技術スタッフ達の何かに火を点けてしまったらしい。
現在彼らはほぼ技術組リーダーに位置するダ・ヴィンチすらドン引きするような熱意と情熱と趣味魂を持ってマルチデバイスの開発と改良、改造に没頭しているのだという。
最終目標は『神も仏もランナウェイ』だそうな。
一体何処へ向かっているのだろうか。カルデア技術組。
何はともあれ、そんなノリで手を加えられ続けた結果、既に当初の役割が宇宙の彼方にぶん投げられたサーヴァンテイカーは、今日も立派に戦闘デバイスへの道を躍進しているのだった。
オルガマリー所長が見たら卒倒物である。
「はい。これで調整完了だ。あとこれがガン・カートリッジ。詳しくは前に渡した説明書を参考にしたまえ」
「了解です」
言いながら志朗は腰にまいたホルダーにそれらを収納していく。
ホルダーと言っても、実際は設備工具持ち運び用の腰袋だが。
しかし、パーツを取り付けたサーヴァンテイカーは軽い工具並みのデカさになっているため、割とジャストフィットしていた。
ややあってから、技術班のスタッフの一人がカードホルダーの様な物を持ってくる。
一見少々縦長の、タロットが10枚程度入りそうなハードケースの名刺入れにも見えるが、これが今後最も重要且つ生命線となる物品だ。
それが2個。
志郎はそれも受け取ると中を軽く確認し、やがて満足したのかホルダーに取り付けてから持ってきてくれたスタッフへと無言でサムズアップ。
スタッフもそれにドヤ顔しながらサムズアップで返す。
「――――――さて!それじゃあ準備も終わったみたいだし、志郎君とマシュも解散!あとは時間まで寝るなりなんなりで休憩を取ってくれ。スタートは午前9時。それまでにここに戻ってきてくれればいいから」
そう言ってロマンが締めくくる。
それに志郎は頷くとマシュを伴って管制室を出た。
廊下は深夜だというのに大量のスタッフがあっちへこっちへ走り回って、グランドオーダーの準備に追われている。
その一方で英霊達の姿はほぼ無いに等しかった。
精々が各部署のサポートに知識面、技術面で協力をしている少数のみで、どうもそれ以外の面々は自室へと戻っているらしい。
まあ、当然かと志郎は思う。
何せ、実際に特異点に行くのは自分とマシュ含めた少数だけ。それ以外の面々は先に言ったようにサポートに回らなければ暇なのだ。
特に今は深夜である。無駄な魔力の消費を抑えるために睡眠等でそこらへんを補おうとする者は多いだろう。
そう考えると、むしろサポートに回っている面々に申し訳なく思えてくるのは、志郎の感性の問題なんだろうか?
「……ま、どうでもええわな」
「先輩?」
「ン?……いや、大丈夫だよ。ちょっと頭を掠めた程度だ。気にするようなもんじゃない」
それよりも、と彼は可愛い後輩に向き直る。
「もう時間も遅いんだ。さっさと休んで備えよう。……目覚ましを忘れるなよ?」
「大丈夫です。先輩とは違い、既に10個ほどセット済みです」
「おっ?喧嘩を売っているのかな?」
そう軽口を叩き合いながら、二人はお互いの自室へと戻っていく。
片や、本番という言葉を反芻しつつ、腹を括りながら。
片や、自分のやるべき事、自分の成すべき事を心の中で唱えつつ、守るべき人の顔を思い浮かべながら。
◇
かくして、翌朝午前9時キッカリにフランスへのレイシフトは行われた。
カルデアによる、グランドオーダーの本番がスタートしたのだ。
果てに何があるのかは、まだ誰も分からない。
だが――――――
「先輩!!フランスではハローではなく、ボンジュールでした!!」
「うん、敵を引き連れながらこっち来ないでくれます?」
――――――少なくとも、絶対楽には終わらないなぁ、というのは、誰の目にも明らかであった。
いかがでしたでしょうか?
どうも雑炊です。
教育係外れたものの、現場フルロックくらって今度はこっちが教えを受ける立場になってます。
そして始まる補勤地獄……あっ、また休みが消えてく……
とか言いながらFGOをばっつり楽しんでます。じぃじやアラフィフは呼べませんでした(血涙
というわけで解説。
オルレアンに突入した…?
→い、一応レイシフトはしてるし…(震え声
二人はオルタちゃん1号参戦。
→ネタ的に面白い部分がかなりあるので参戦してもらいました。実際に我がカルデアでストーリークエに参加したのは2章からでしたが、まあ誤差ってことで一つ。
大量の英霊達
→とりあえず、フレンドガシャとか無作為に回してたらこうなるよなぁ…という発想から。いえ、実際にこの頃我が家は最初期で参戦できる星1、2はほぼ全員。星3は出目金以外ほぼ全員居たはず……4以上?ヘラクレスにエリー(英雄王プレゼント)にキャスエリに英雄王しか居なかった……あ、デオンいたかな?
とまあ、そんな状態です。なお、フランス組は(約1名以外)全員現地に居るので強制的にお留守番の予定です。
サーヴァンテイカー魔改造
→多分エジソン先生とか大興奮で開発組に参加の模様。まあ、彼が参戦するのは4章頃なのですが。(召喚時期的な意味で)
中々設定的にガバガバな物品ですが、まあ、天才の面目躍如ということで一つ。
というわけで次回から地獄の進撃オルレアン。
さてどうなることやら……(白目