まあ、後者はサラっと流れますので特に気にすることもないかと。
では、どうぞ。
「教会は空振り…港同様……学校、洋館、爆心地に幽霊屋敷も全部スカ……残るは、ここにあるお寺――――――“柳洞寺”だけか」
言いながら、偶然にも無傷で手に入った、『冬木散策マップ』なる物を広げながら呟く。
現在俺達は、ちょっと前に休憩で立ち寄った橋の袂まで戻ってきていた。
理由は、ここが今言った通り、怪しい場所それぞれを線で結んだ際、丁度中間地点となるからだ。
また、モンスターが襲ってくる場所も左右二つになるべく絞られるというのもある。
……あと、いい加減サーヴァント連中の視線が痛い。
そんな警戒しなくてももう無茶はしないといっているのに、常にマシュが傍に張り付き、周囲を警戒しながらもヘラクレスと牛若丸からチラチラと視線が寄せられる。
おそらくは、次何かやらかしたらヘラクレスあたりに担ぎ上げられそうだ。
マシュなら兎も角、ガチの英霊2人、特に片方は大英霊と言っても過言じゃない。
そんな連中に正面から勝てるなどとは思えない。
故に、なるべく大人しくしようというのがここからの俺の動きのメインとなる。
いや、まあ、実際問題さっきはキチンと大人しくしてたのだ。ヘラクレスが破片とかを飛ばしてこない限りは。
ただ、結局限界というものはあるわけで。
案の定一般人レベルの俺は度重なるダメージの蓄積でついにバテたというだけである。
あと、所長も恐怖から来る精神的ストレスで同様にバテた。
今も橋の根元を背にしてうーと呻き声を上げながら蹲っている。
吐いてはいなさそうだが、やはりきつすぎるのだろう。
幸いここは風通しが良く、匂いとモンスターの襲撃さえ我慢すれば休憩にはもってこいの立地だ。
少々可哀相だが、周囲を警戒しつつも放置するべきだろう。
そんなこんなで、現在は俺が行動の予定を立てている状態となっている。
会社で勤務スケジュールを管理していたり、外回りのプラン立てもやっていたことが、ここで上手い具合に発揮されているのは幸いだ。
人生何がどこで役に立つかはわからんとはよく言ったものである。
「……とりあえずは動くしかない、か……所長。またおぶりますが動けますか?最悪石があるので護衛役にもう一人呼べますけど…」
蹲っている所長に、そう伺いを立てる。
力なく挙げられたその顔は―――青い。
おそらく、まだ回復しきれてはいないのだろう。
(……無理か?)
そう思い、移動するということを撤回する言葉を出そうとして、彼女が挙げた手に遮られる。
そして、声もなく首を振った。
…どうやら、余計な気遣いは無用ということらしい。
だが、明らかに体調が悪そうなのに、そう激しく動く事はできないだろう。
どうもこの子は無理をし易い気がするな、と声には出さずに呟いてから、見張りに立っていた2人を呼び戻す。
そして移動する旨と、なるべくローペースによる進行を指示した後、再度所長をおぶさった。
呼吸はある程度規則的だが、荒い。
健康管理の真似事もしたことがあるからこそ判ったが、やはり肉体的というより精神的な物が限界に近いのだろう。
無理もない、と思う。
ロマンの話を聞く限りでは、父が急死して家の事や、施設の最高責任者としての仕事から何から全ていきなり押し付けられた。
周りは敵だらけで、助けてくれる人間は極々少数。
どころか、何をやっても認めてすら貰えない。
唯一の心の拠り所は行方が知れず、自分が招集したメンバーは軒並み重症か命を落としていて、
それで果てはこの状況だ。
ロマンの考察によると、先に襲ってきたのであろうあの黒い影もどきは、この地で聖杯戦争に参加していたサーヴァントが変質化したものであるらしい。
……と、いうことは少なくともあと6騎のサーヴァントが敵として出現し、こちらの命を狙ってくる可能性があるときた。
ここまで来て、20に満たぬ破裂寸前まで張っていた少女の心にかかる負担はどれほどの物だというのか。
悲惨というより、ただ只管に哀れというか、可哀想と言うべきか…
ちら、と背負った所長の顔を見る。
無理に悪人の仮面を被って、自分すら偽って、認められようと足掻く女の子の顔だ。
本来ならば、もっと笑顔があっても良いものの筈なのだ。
それを、ここまで追い込んでしまったのは――――――
「……」
少々頭を横に振ってから、軽く所長の頭を撫でる。
頑張れ、とは言わない。既に頑張っているのだから。
だから――――――
――――――もうちょっと、我慢してくださいね。直ぐに何とかしますから」
「……ン………」
せめて、おっさんはそう言って、小さなこの子を少しでも安心させるしか、無いのだ。
◇
そう思ってカッコ付けたのが今から約5分前。
そして今現在、
俺達の目の前には影法師のようになった人影――――――所謂、“シャドウサーヴァント”が2騎、こちらを邪魔するように立ち塞がっていた。
……ここまではいい。ここまでは。
問題はその内の1体―――おそらく、持っている武器からしてランサーだと思われるのだが―――が、なして俺がさっき、マドハンドの射撃を受けた際に使えなくなったからという理由で 適 当 に ぶ ん 投 げ て 捨 てた は ず の 鉄 パ イ プ を ど
「……もぅ、やだぁ……」
所長がそんな影鯖の惨状をチラと見てから俺の背中でそんな声を漏らす。
それは果たしてサーヴァントに遭遇したことから来るのか、それともあの惨状を見たことでか……どちらにしろ、どうやら、本格的に限界のようだ。
流石に居た堪れなくなったので、マシュと牛若丸とヘラクレスと俺でよしよしと頭を撫でてやる。
そのまま静かに泣き出してしまったのはもうしょうがないのだが……
……いや、ホントどうしてこうなった?
見ろ。すぐそこの青いフード被った魔術師っぽい人もいたたまれない様な視線をこちらに向けて……って……
「あんた誰じゃ」
「いや、気付くのおせぇよ!さっきから居たわ!!」
あれー?
◇
ヘラクレスと牛若丸のおかげでサクッと2体をボコる。
…いや、一瞬細身のマントかぶったほうがこっちにダガーとかを投げてきたのだが、マシュを盾にしつつ牛若丸特攻させたら一発で真っ二つになったり、もう片方は戦闘もクソもなくヘラクレスによって速攻蹂躙されただけなのだが。(この時、牛若丸がそっちに哀れみの目を向けていたため、少し気になった。)
で、現在はいつの間にか居た青フードの人物と情報交換中である。
彼との会話からして、どうやらあの2体はこの冬木の聖杯戦争における召喚されたサーヴァントだった“らしい”。
らしいというのは、どうもこの聖杯戦争、青フードの人物――――――今回のキャスター曰く、とある段階からおかしくなったらしいのだ。
どうもある段階から街に人影が無くなった代わりに化物だらけと化し、さらに温厚なはずのセイバーが突然はっちゃけて他のサーヴァントをどんどんぶちのめした結果、倒されたサーヴァントはさっき見たように影法師のような存在と化し、セイバーの下僕としてキャスターを狙いつつ『何か』の捜索を行わせているらしい。
……もう、どう考えてもそいつがこの事態の原因かな?
ちょっと回復した所長に目を向けると、無言で頷いた。
彼女も俺と同じ考えのようだ。
と、なると最終目的地決定である。
「……大聖杯、ねぇ……」
ふっ、とそれがあるのであろう場所を見ながら呟く。
柳洞寺。
その地下の人工的な大空洞に、目指す場所が存在しているらしい。
教会ではなくお寺の下に西洋魔術の極致の一つが埋まっているとなると、何だか奇妙な物だと感慨を覚えた。
ただ、どう考えても確実に敵の本拠地化してるのは確実なので、よりハードな戦闘があるというのが安易に予想がつく。
と、なれば、である。
「……お、次行ったぞマシュ」
「っ!!は、は「ほれほれ、返事してる暇なんざねーぞ嬢ちゃん!」ッ!!っぐ……」
比較的開けた場所で、2騎のサーヴァントがぶつかり合っている。
かたや、青フード……キャスターで、片やうちのマシュである。
どうもキャスター曰く彼女には見込みがあるらしく、鍛え甲斐があっていいとのこと。
また、宝具などが使えない理由も精神的なものによるらしく、今回の特訓でその部分の問題も一気に解決してしまおうとのことだ。
内容はキャスターと戦闘しつつ、周囲の雑魚も殲滅となかなかスパルタである。
……にしても、あのキャスター。魔術師枠と言うはずなのに明らかに動きが良すぎる。
当人いわく最適性なのはランサーとの事だったが、そうだとしても速い。
十分近接格闘も可能とか、どんだけチートだ。
また、7という文字によく似たあの杖も、槍とまではいかないが杖術を行うには十分な強度があるらしく、マシュは突っ込んだら大抵はそれでノされている。
いや、ホント、ガチの英霊ってのは半端ねーなとつくづく思う。
なお、うちの陣営の2人、牛若丸とヘラクレスは諸事情により周辺警戒および万が一の時のマシュの救助に専念してもらっている。
理由は簡単で、牛若丸はその天才肌ゆえに教えるという事がヘタクソ。
ヘラクレスは理性が吹っ飛んでいるので論外。
以上。
後者はギリギリ翻訳システムがあればなんとか会話は繋げられるのだが、明らかなタイムロスな上、そも、狂化しているために本来の技術が生かせないので、教えたとしてもゴリ押し、挙句体格が違うので同じバトルスタイルは無理、というのもある。
結果白羽の矢がキャスターに当てられたのだ。
俺?訓練途中で事故死とかシャレにならないので辞退しましたが何か?
そう、ポケーっとしつつ、所長とともにサーヴァンテイカーを用いてキャスターの性能を確認する。
本来であれば自分のサーヴァントではないキャスターのデータ閲覧は不可能だが、緊急事態ということで現在は俺が仮マスターということになり、魔力供給パスを擬似令呪を媒介にして繋げている。この事からくる裏技みたいなものを使用した結果、なんとか彼のデータ閲覧が可能になった次第である。
……とはいえ、閲覧出来るのはステータスとメインの宝具、そして真名のみ。
そのため、肝心の弱点や、それ以外の宝具、スキルに関しては本人から教えて貰う以外は真名とクラスの方から予測するしかない。
これでこっちのヘラクレスや牛若丸のように、結構有名どころであれば何とかなるのだが、下手にマイナーなのだとか、聞くところによると創作の存在からも呼び出される事があるらしく、もしそうだったらマジでアウトである。
俺の歴史の知識などは、かつて興味のあったもの以外では一般人に毛が生えたようなレベルなのだ。
下手するとアーサー王伝説なんぞ、有名どころの話しか知らないレベル。
故に下手なのが来ると、本気で所長頼りになってしまうのが痛いところだ。
(――――――有名どころ来い!!)
(ほぼ無駄ながら)そう念じながらサーヴァンテイカーのチェックシステムを起動し、キャスターを選択。
その真名を見て――――――思わず、あ、と声を漏らす。
そして同時に納得する。
――――――そりゃ、ランサー適性が一番高くて正解だわ、と。
見ればまたマシュが杖で吹っ飛ばされ、周辺の瓦礫に突っ込んでいる。
なんとか立ち上がるも、相当きついのか膝がガクガク震えている。
盾を杖がわりになんとか立てているという状態だった。
一方のキャスターは余裕綽々で、それでも構えは解かずにマシュを見つめている。
圧倒的という言葉がよく似合っていた。
しかし、それを見てもマシュは萎えたりしない。
目にやる気の炎を灯らせてなおも突っ込んでいく。
それを見て、思う。
流石にかつてあの幾人もの英雄を輩出したという『影の国』で修行したというのは伊達ではないらしい、と。
スパルタながら生徒のやる気を一切殺いでおらず、逆に更にその気にさせているというのは、良い教師の見本である。
実際、疲労からか鈍っているものの、その戦闘時の動き自体はこちらに来た頃よりも遥かに上達しているのが、素人目にもわかる。
叩きつける程度だった攻撃が、フェイントをかけたり、回転することで遠心力を付け、威力を上げたりなど、多様さを見せ、受身自体もサーヴァントとしての身体能力だよりだったものから、自分で転がるなどして衝撃を受け流す、和らげるといった物を見せ始めている。
おそらく、今また喧嘩したら味噌っ粕程度しかなかった俺の勝率は、ほぼ完璧に0に近いだろう。
そう思わせるには十分なほどに。
「――――――スパルタですねぇ!!それ、師匠の女王様譲りですかぁ!?」
そう、大声で呼びかける。
するとキャスター――――――かの有名なケルトの英雄は少し驚いたようにこちらを見てから、俺の手元を見て苦笑する。
少しだけ、照れくさそうに。
「―――おいおいプライバシー侵害だぞ!もうちょいモラルっつーもんを学べや
「素直に賞賛してるんですよ!
「ぬかせ!!」
そう言って、またマシュを吹っ飛ばす。
その口元はまだ少し笑っているように見えた。
いかがでしたでしょうか?
どうも雑炊です。
ネロ祭りは本線上級やってたら目玉の星5礼装回収できたのであとは経験値稼ぎに周回してます。(中級のジャンヌオルタに死ぬほどビビったのは内緒。瞬殺でしたが)
あと、バサクレスとエリーがやっと再臨してくれました。(長かった…)
絆クエストもマタ・ハリのだけ終了と、いろんな意味で順調です。
……AUO?あと2レベで再臨です……オルレアン?………すまないさんと合流したところですよ……
影鯖戦
→ほぼ私のプレイの時とおんなじです。
弁慶ランサーはバサクレスに2発で撲殺され、アサシンはぽんぽこ(虚数魔術装備)とマシュによって2ターン目で撲殺され………いや、ホントあの時はひどかったなぁ…
兄貴の特訓
→ラストで敵に回ったときは……いや、真面目に謝りたくなりました。うん。
ワンターンキルってお前……
マシュちゃん?スタメンでしたが出番はありませんでした。
※以下今後の展開ネタバレにつき、読みたい方だけどうぞ。
まあ、展開ネタバレといっても誰が出るか程度ですが。
因みに現在の我が家のエースのAUOはこのシナリオが終わるか終わらないかというところで我が陣営に呼符で呼ばれていますが、本作ではもうちょっと後で登場予定です。
以上