……&題名通りに奴の初登場回。
志郎君は果たして生き延びられるのか!?
ネタバレ、相当むちゃぶりされる。
前回のあらすじ
ボス戦突入。以上
いや、ぶっちゃけ嘗めてたわ。
流石に4対1。で、内3人はモノホンの英雄。
それに今までも影もどき状態だったりだったとは言え、同格の相手をぶちのめして来ていたのだ。
故に、今回もなんとかなるかなと思ったのだが―――――――流石に、そう上手く行くことはないらしい。
「うあっぁ!!」
ほら、今もマシュが吹っ飛ばされた。
他3名が必死に攻撃を仕掛けるも、片っ端からいなされる。
胆力も桁違いなのか、牛若丸が切り結べば、すぐに押し返されるし、キャスターのクー先生は論外だとしてもあの筋肉の塊であるヘラクレスの一撃を涼しい顔で受け止めるとか一体何だ。
可愛い顔してとんでもない胆力をしていらっしゃる。是非服の下がどうなってるのか拝んでみたいもんだ。割と本気で。
……まあ、おそらくは魔力で身体能力を強化するという事ができるらしいので、そうしているんだろうが。
また、アーサー王はたしか龍の因子が入っていたはずなので、そこも関係しているのかもしれない。
……思考が外れたので戻す。
結局、このままではジリ貧なので、状況打破のために新たな一石を投じなければならない。
で、それをどうするかだ。
「………って事を聞きたいんだが、おらそこで優雅にランチしてる二人。案出せコラ」
「ちょっと待って今SAN値回復してるから……やっぱり、あなたの入れる紅茶っておいしいわね」
「恐悦至極、とでも言っておこう」
「やかましいわ」
ってか所長。あなたも大分染まってきましたね?
◇
さて、膠着状態である。
うまいこと向こうの宝具を使われても被害最小限で食い止められるように、丁度アーサー王を中心にしながらバラけた位置に各自陣取っているのだが、アーサー王自身の技量が半端ではないために、殆どが受け流され、一方のアーサー王の攻撃自体も、それぞれに対応しなければならない故に満足な物ができないという状態に陥っている。
こうなってくると不利なのはこちらだ。擬似令呪という札があるにしても、それには限度というものがあるし、そも、英霊やデミの連中なら兎も角、マスターであるこっちはただの人間である。
体力が尽きるのはどれだけ温存していようと此方だろう。
と、なればアーサー王にとっては願ってもないチャンスが訪れる。
――――――マスターの殺害。
英霊だろうとなんだろうとサーヴァントである以上、マスターが死ねばそれで終わりである。
それは例え擬似令呪を持っているだけの一般人であるうちの陣営も例に漏れない。
一方の奴さんは、どう見てもマスターがいない。
なんとなくなのだが、
――――――面倒だな」」
不意に自分の口から漏れた言葉と、誰かの呟きが重なった。
聞こえた声は明らかに少女の物だ。それも、相当冷たいイメージの。
咄嗟に再度アーサー王に目を移す。
見れば。これまでの“受け”の構えではなく、明らかに“攻め”の構えに入っている。
と、いうことは――――――
「………待っているのは、飽きた」 「っ全員まとまれ!!!一気に来るぞ!!!」
またしても言葉が重なる。
次の瞬間、ヘラクレスと牛若、そしてクー先生が即座に地を蹴り、俺の正面ほどの位置に集まる。
――――――が、ここで俺にとって最悪の事態が起きた。
言ってしまえば、英雄とデミ・サーヴァントという違いが、如実に現れたのだ。
たった一人―――――――マシュだけが、その場から咄嗟に動けていなかった。
「ッ!!!チィィィ!!!!!」
即座にアーサー王目掛けて教会で拾った『何かの柄』を幾つか投擲する。
直後、俺は駆け出す。
他の3人も俺の意図に気づき支援してくれ始める。
が――――――遅い。
「…小細工を…!」
ハッとした時には既に遅く、黒い風みたいなものがマシュの方へと突き進んでいた。
言うまでもなくアーサー王で、どう見てもこちら狙いではない。
苦し紛れにまた何個か投擲するが、軽く弾かれるだけでスピードが遅くなったように見えない。
幸いなことにようやくその状況に理解が追いついたのかマシュがこちら向かって駆けてくるが、だったら逃げるか防御態勢取ってくれと怒鳴りたくなる。
が、その結果足が止まりましたとか恐ろしいので言わないが。
というか本気で拙い。拙すぎる。
マシュとの残りは目測5m。アーサー王とは8m程度。
ただし速度は圧倒的に向こうが早いので、そこを補正して感覚的にはその半分と思ったほうが良い。
ぶっちゃけ、間に合わん。
……そう、間に合わんのだ。
だが、助けられないと言う訳ではない。
アーサー王が剣を振り上げようと、動く。
マシュがそれに気づいて動こうとするがもう遅い。
そこへと俺は、ポケットからとある物を4つほど取り出して、そこへと思いっきり投擲する。
見よ、このレーザービーム。
金平糖の如きそれらは最短距離一直線で、マシュの持つとある物にぶち当たる。
………そう、『十字架の取っ付いた、大盾に』である。
瞬間、盾を中心にして凄まじい光が周囲を包む。
こちらに来てからおよそ2回目。
そして――――――俺自身がやるのは初めての、それ。
――――――『英霊の召喚』!
◇
――――――ほう?無粋にもこの様な薄汚いドブネズミの巣の如き場所へと
不遜極まりない、それでも、思わず従いたくなるような、形容し難い、抗い難い何かを感じられる声が、辺りに響く。
誰も、なにも言葉を漏らす事はない。
皆、その姿に目を奪われていた。
周囲の景色を映し出せるほどに磨き上げられた太陽の如き輝きの黄金の鎧。
腰にたな引く、紅蓮よりも赤く、猛々しさを感じる外套。
どこまでも見通されるかの如き赤い瞳に、鎧同様の輝きを放つ黄金の髪。
そして、何よりもその身から溢れ出るは、神々しさすら感じられる
そんな見た目の男が、言葉に反し、口元には底意地の悪そうな笑みを浮かべながら、黄金の剣―――アーサー王が持つそれと、全く同じ形のものだ―――を使い、軽々と黒い騎士王の剣を受け止めている。
なんという傲岸不遜且つ安心感に満ち溢れた光景か。
マシュは、思わずその黄金から目が離せなくなる。
不意に、自分の隣に誰かが立っていることに気付く。
尻餅を付いた状態から見上げれば、自分のマスターである黒髪の少年が、似たような笑みを浮かべながらそこに立っていた。
瞬間的に、彼女の背筋が凍る。
それは、目の前の男に対するその不遜な態度に対してでもあるし、直ぐそこに敵のサーヴァントがいるという事に対してでもあった。
思わず声を出して警告しようとするが、開けられるだけでそれ以上ができない。
声が、出ないのだ。
……彼女は知る由もないが、目の前の黄金の男は生前、一つの国を纏め上げた王の中の一人だった。
更に言えば、天井の神々相手に真正面から喧嘩を売ったり、差し向けられた刺客をぶっ潰したり、挙句友達になるわ世界中に大冒険かますわと、それはそれは大変な偉業を成し遂げている。
更に言えば、英霊として召し上げられた際に、スキルとして、とあるものが設定されてしまっていた。
それは、人を束ね、導く者にとっては絶対的に必要不可欠な物。
王として、これの格が低ければ、それだけ王として相応しくはないと見做される物。
――――――『カリスマ』
特に男が持つそのスキルの格はかなりの物で、並みの人間では、すぐにそれに呑まれてしまう。
……そう。
デミ・サーヴァントとは言え、元は人間な上、完成もそこまで外れているわけではないマシュは、完全に彼の『カリスマ』に呑み込まれてしまっていた。
おそらく、彼から許しの言葉が出ない限り、声すら出せない。
しかし、そんな体験をした事がない彼女は、それが分からず、ただただ焦るのみだ。
そんな彼女の事など眼中にないと言わんばかりに黄金の男は彼女のマスターを真正面から見、対する少年も正面からその視線を受け止めている。
不敵な笑みというよりは『あ、面倒くさいのだ、これ』という、どこか捨て鉢気味の笑みである。
そのまま少し眉根に皺を寄せ、どう説明したものかと頭を掻いた後……結局言い返しが思い浮かばなかったのか、仕方なさそうにこう言い放つ。
……その一言で、黄金の男の笑みが更に深くなり、それに比例するようにして、少年の目が死んでいくのは、もはやある種の様式美のようにもマシュには感じられた。
「……呼び出した以上は退屈させませんよ?」
「……では、早速我を愉しませよ、雑種」
その一言とともに、黒き騎士王に膨大な数の黄金の武具が降り注いだ。
堪らずアーサー王が距離を取るも、勢いは緩まない。
剣、槍、斧やハンマー…およそ武器と呼べるあらゆる物が、雨あられと降り注ぐ。
正しく黄金の雨。どこぞの赤いあくまが見れば、涎を垂らしてしまいそうな煌びやかさ。
――――――そして、そこへと突っ込む『バカ』を見ながら、黄金の男はどこから取り出したのか、さも当然というように黄金の椅子に腰掛けながら黄金の栓抜きでこれまたどこから取り出したのかもわからぬワインのコルクを開け、ラッパ飲み。
そして、3口ほど飲んだ後に、高らかにこう言った。
――――――良いぞ雑種!!まずは酒の肴を演じてみせよ!!盛大にな!!」
と。
――――――英雄王『ギルガメッシュ』、傍若無人に堂々降臨であった。
いかがでしたでしょうか?
どうも雑炊です。
やっと英雄王が参戦です。
うちのエースですね。
以前も載っけた通り、実際にはこのボス戦より少し前に降臨してくれてましたが、この作品ではこのタイミングでの登場となりました。
……なに?あんな召喚方法でいいのかって?
細かい事を気にしてはいけない。(線の書かれた紙を隠しつつ)
そして次回あたりで多分決着の予定&志郎君地獄タイムスタート。
果たして彼は英雄王から入部許可をいただけるのか!?
……そんなわ感じで次回に続きます。