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お礼のため、急遽更新です
「会社員をやめてニートになろうと思うんだ!」
「何を言ってるんだお前は?」
ブロードウェイで交わされるプレイヤー同士の会話。
現実ならダメ人間だが、表の職業の転職に関して激動とも言える状態になっている今の『女神転生Ruina』においては、さほど珍しい会話ではない。
転職するためにほぼポイントを使用しないニートを経由することで、転職にかかるポイントを節約出来ることが検証系のプレイを行うプレイヤー有志によって発見され、それが掲示板などで情報拡散されると、この世界に大量のニートが発生した。
運営も想像していなかった事態であろう。
ニート、フリーター、学生が現在のプレイヤー職業人数トップ3である。
「プレイ上仕方ないって言えば仕方ないんだけど、このダメ人間臭溢れる状況はなぁ……ニートになった奴、ちゃんとポイント集めて転職するのか? 結局、他の要素にポイント使いまくってニートのままになるんじゃ?」
「まあ、こういうゲームにはまる人間はただでさえダメ人間要素があるからなぁ、俺を含めて」
「やはり、ここは私が神の愛を布教すべき時ではっ!」
ほぼ固定ペアとなっているアキラに加えて、今日はここで偶然遭遇したアンデも同席している。
ブロードウェイ内にいくつか存在する占いショップ。
その内、いくつかの店で悪魔関連の情報を入手することが出来るのだという。
そこでの情報収集に足を運んだという話だ。
メシアンとしてのロールプレイで布教を行うのは決して間違ってはいないが、その外見では布教と言うより脅迫である。
不良がかった外見のNPCが避けて通る有様なのだ。
ここで会ったのも何かの縁ということで、この後「聖地巡礼」に行くことになっている。
メガテンの聖地巡礼、そう、井の頭公園への遠征である。
中野からさほど遠くないにも関わらず今まで行っていなかったのが不思議な井の頭公園。
井の頭公園、そして吉祥寺は、やはりメガテンプレイヤーにとっては特別な存在であり、サービス開始当日から既に多くのプレイヤーが訪れている。
ちなみに井之頭と言えば井之頭五郎の名前も上がるが、彼の食べたアフガニスタン料理の店も、名前以外そのままで東中野に存在する。
食道楽とサブカルマニアが開発スタッフに居るのはほぼ間違いない。
ゲームセンターのゲームはちゃんとプレイ出来るものであるし、漫画喫茶に行けばきちんと漫画が読める。
ログイン時間の大半を漫画の読み漁りに使っている、何がしたいのか分からない人間すら居るらしい。
権利関係の支払いを考えると本当に利益が出ているのか不安になるところだ。
この世界を気に入っているタケルにしてみれば、変なところに力を入れてサービスが早期終了する羽目になって欲しくない。
東中野から井の頭公園は歩くとやや遠く、自転車で行くとちょうどいいくらいの距離だが、三人は歩いて移動している。
人の流れの中に時折ポツポツとプレイヤーが確認出来る。
さすが聖地、訪れるプレイヤーはいまだに多い。
公園の入り口、なんとなくこみ上げてくるものがある。
スクショを撮影しているプレイヤーの邪魔にならないよう、奥へと進む。
フィーネが外に出たがっているので外に出す。
ピクシーと井の頭公園、メガテンマニアならニマニマしてしまう組み合わせだ。
ムルルも一緒に外に出す。
現状、プレイヤー同士のPvPは無いため、仲魔を出していても問題視はされない。
将来的にはダークサマナーへの転職も含めて導入されるのではという話も掲示板では語られているが、今のところすぐにそういったことになるという話はない。
NPCの普通の人たちはフィーネに特に反応はしないが、プレイヤーはその姿に嬉しそうな表情を浮かべるし、同じ様にピクシーをお供にしたサマナーの姿も見かける。
タケルによる情報公開後、爆発的な勢いでピクシーを仲魔にすることに成功した者が増え、ブロードウェイでも良く見かける様になっている。
こうして見ると普通の公園なのだが、メガテンフィルターをかけて見ると大きな事件が発生するその萌芽があるのでは、という気がしてくる。
大きな犬の散歩をしている少年は、実は「真Ⅰ」の主人公で、あの犬はパスカルなのではないか、とか……。
「なあ、あの犬、パスカルに似てないか?」
「げっ、マジで激似」
「て、ことはあの少年が将来のⅠ主人公ですか?」
どうやらそう思っているのは彼らだけではないらしく、コンプでスクショを撮っている者も居る。
少年は怪訝そうな顔をしているが、自分の犬が可愛いからだろうと納得したようだ。
少し得意げな顔で散歩を続けている。
原典の様な不幸が彼に訪れて欲しくないものだとタケルは思う。
公園を進む内にフィーネが特定の方向に気を引かれだした。
「どうしたフィー?」
「なんか、あっちから呼ばれてる気がする」
「行ってみるか? メガテン、井の頭公園、ピクシーときて何もないわけないだろ?」
「そうですね、メガテニストとしてはワクワクするところですね」
何故か人の流れが少なくなっている方へと足を向ける。
「こ、これは……」
「わーい!」
「……♪」
アキラもアンデも無言になっている。
「あらあら、人の子がここに来るとは珍しいこともあるものね」
「な、なんでこんな高レベルの……」
「湖の乙女……」
「ヴィヴィアン……」
ピクシーやハイピクシーが飛び交う中、それを見守る様に足を水に浸し、岩に腰掛ける乙女。
「それでね、タケルってば……」
「そうなの……ふふふ、楽しく暮らしているのね?」
フィーネが話しかけ、それを楽し気にヴィヴィアンは聞いている。
「ここは妖精の泉、妖精と歩む者よ、また、いつかいらっしゃい」
その声と共に夢の様な妖精の乱舞する空間は消え、元の公園に。
「ピクシー同行限定イベント?」
「それっぽいですねぇ、いや、いいものを見せてもらいました」
「これ、書き込まないとヤバいかもしれない……。経験値でハイピクシーに進化出来る様になってる!」
「相変わらずメガテンではピクシー優遇されてますねぇ……」
「AIも他の悪魔より力入ってる感じだもんなぁ」
なかば呆然としながらも更に公園を歩むとエネミーソナーに反応。
「ここ、異界化してるっ!」
「堕天使と凶鳥?」
「誰も銃持ってないもんなぁ」
「メシアンでガーディアンつける秘法があるという噂が、それでゾンビコップでも付ければ銃が撃てるんですが」
「いっくよー、ジオ!」
「…………!……!!!」
先制のジオで一部感電、アギで追い打ち、後は物理で片が付いた。
「まあ、雑魚だからドロップもこんなもんか」
「変なもんは無いな、流石に」
「銃とか使ってたら赤字じゃないですかね、この程度の相手だと」
その後、三回ほどの戦闘で異界からは抜けた。
公園をぐるっと回って吉祥寺の町に。
「おお、ここも聖地と言えるな」
「ホームがここの人は主人公気分でしょうねぇ」
「センメンキのおじさん……なんでもない」
アキラがこっそりエロゲマニアの本性をさらしたりもしたが、吉祥寺の町をふらついて、駅でそのまま解散。
ホームに戻り、フィーネとムルルと時間を過ごした後、ログアウト。
掲示板へ書き込もうとコンプ、ではなくパソコンを起動する。
最近、パソコンのことをついついコンプと考えてしまう猛である。
「また、荒れるかなぁ……でも隠してたと思われるとなぁ……」
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【愛があれば】ピクシー愛好家が怒涛の勢いで集まるスレ その15【サイズの差なんて】
1:大久保のサマナー
ここは『女神転生Ruina』でピクシーを仲魔とし、その愛らしさを愛でる者が集まるスレです。
東中野のサマナーさんへの感謝は忘れずに!
リンク先へのアクセスは自己責任で!
煽り、荒らしは華麗にスルーしましょう
愛情の無いコメント、貶しはNG
和気藹々、マターリ進行でいきましょう
過去スレ:ピクシー愛好家が怒涛の勢いで集まるスレ その1~14
______(中略)__________
456:国分寺のサマナー
ここまで個性あると中の人の存在を疑いたくなるな
457:四谷のサマナー
中の人などいない!
……いや、冗談抜きに「本物」じゃないかって気がしないか?
ソウルハッカーズとか考えるとさ、ありそうじゃね?
458:東中野のサマナー
今日、井の頭公園に聖地巡礼に行ってきました
……が!
おそらくピクシー同行限定と思われるイベント発生
ピクシーの行きたがる方向へついてったら
なんと湖の乙女と大量のピクシー、ハイピクシーが!
仲魔のピクシーと湖の乙女が会話した後、ピクシーが経験値でハイピクシーに進化可能に!
レベルを上げれば進化可能になるのでは、と言われてましたが、もしかするとこのイベントが必須かもしれません
他の方の検証をお願いします
459:田町のサマナー
おお、東中野のサマナーさんだ、感謝!
……って、え?
湖の乙女ってヴィヴィアンだよね!
で、ハイピクシー化イベント?
460:荻窪のサマナー
>>458
いつも情報ありがとうございます
ってハイピクシー化!
これは「みんな聖地巡礼すれ!」ってことですね
461:恵比寿のサマナー
これ、強化進化するタイプの悪魔、ピクシー以外にも別なイベントあるんじゃね?
462:高円寺のサマナー
グレートパスカルですね、分かります
463:市ヶ谷のサマナー
仲魔とは別に中でペットとか飼えるのかね?
464:新宿のサマナー
話がそれてる
とりま、近場のサマナーは検証( ゚д゚)ノ ヨロ
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「あー、攻略系のスレにも書いた方がいいんかね、どう、思うフィーネ? ……って、あちゃあ、つい、中の感覚でフィーネに話しかけちゃったよ」
ごくごく自然にフィーネに話しかけてしまった猛。
既に相当手遅れのようだ。
パソコンの電源を落とし、部屋の灯りを消すと、仕事に備えて眠りにつく猛であった。
正直「ふぁっ?」って感じです、ランクイン