虚・女神転生   作:春猫

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本格的にサブタイトル枯渇、次は何にしよう?


MICOM

 

「フィーネちゃん、私の仲魔のシェーラだよ、よろしくね!」

「わぁ、ハイピクシーさんですぅ! すごいですぅ!」

「ふふふ! 私の素晴らしさが分かるとは中々有望なピクシーだね! タケルと私を見習っていれば、すぐにハイピクシーになれるよ!」

「あんま調子に乗ってるんじゃないぞ、フィーネ。」

 

 イベントで獲得したポイントで結局エリリもサマナー技能を獲得した。

 タケルの体験を参考にピクシーも仲魔にして、そのお披露目が今回である。

 フィーネと比べるとどこかおっとりとしているシェーラは、素直にハイピクシーになったフィーネを賛嘆している。

 

 アキラは天使を仲魔にして属性のニュートラル寄りへの移行を目指していたが、結局堕天使であるウコバクしか仲魔に出来ず、「更にカオス寄りに傾いちまった」とダフネ仲魔入り計画の前途は多難なようだ。

 

 

 そしてタケルはというと……。

 

「それにしても、この車凄いねぇ!」

「仲間内に保有者居ると便利だとは思ってたけど、そういうのって先の話になると思ってた」

「イベントでの日本円のボーナスもけっこう多かったし、SEってこの中だと結構稼ぎ良くてさ、それにイベントで都内あちこち行って、遠征も面白かったしな!」

 

 

 自動車の技能を獲得し、日本円でハイルーフのワンボックスを購入した。

 

 戦闘技能や最近、少しいじり始めたアプリの改造関連なども考えたのだが、一人で何かをするより、中で知り合った気の合う仲間と一緒に何かする楽しさを優先し、出来るだけ大勢で利用出来るこの車を買ったのだ。

 

 魔貨も投じて改造を行い、ある程度は悪魔の攻撃にも耐える仕様だ。

 また、ルーフに太陽光パネルを設置し、専用のバッテリーも追加、ちょっとした電化製品が使用出来る様になっていて、ルーフ下に就寝スペース(速攻でフィーネとムルルに占有されてしまったが)もあるプチ・キャンパーとなっている。

 電子レンジと冷蔵庫も購入、据付しており、出先でもちょっとした食事なら取れる。

 

「まあ、誰も料理関係のスキルは持ってないけどねぇ……」

「俺らが身に付けるより、レベル上げてそういうこと出来る仲魔を加えた方が早い気がする」

「タケル~! 私とシェーラのアイス頂戴!」

「床にこぼすなよ?」

「部屋でもこぼしたことないじゃない!」

「ま、そんなもったいないことはしないか? 床に食べさせるくらいなら自分で食うよな、フィーネは」

 

 せっかく車を入手したのだし、まずはレジャーも兼ねてちょっと遠出、ということで、三人は秋川渓谷に向かっている。

 

 ちょっと異界で暴れてから、近くのキャンプ場でバーベキューをし、それから各自のホーム近くまでタケルが車で送り届けるという流れになっている。

 ちなみにタケルの車の駐車場はマンション付属の入居者専用のもので、一台も停まっている車が無いせいなのかなんなのか、月1万5千円という破格の料金となっている(それでもフィーネは「それだけあれば、アイスとプリンがたくさん食べられるのに!」と不満そうだったが)。

 

 

「で、あっちの異界はどこ?」

「サマーランドだって!」

「ってことは水系の悪魔多め?」

「じゃないかな? ただ、寺なのに天使なんてのもあるし、この中はいまいち良くわからん!」

「でもイベントの時の父島の神社は大神山でイヌガミって割とストレートだったでしょ?」

「まあ、イベントとはいえ将門公がヒーローショーやる世界だからなぁ……」

「連動アプリのミニゲーにもなってるんだよねぇ、マサカドマン……」

「私もあのミニゲーやったけど、首がポンポン飛ぶんだよねぇ、貰えるポイントやアイテムは割といいんだけど」

 社会人のタケルやアキラとは違い、学生のエリリはそういう課金はあまり出来ないため、ミニゲームをかなりやり込んでいるそうだ。

 マロロにもらせば「お兄ちゃんに任せろ、バリバリ……!」「やめて!」という事態になるだろうが……。

 

 

 車載のタブレットコンピュータを駆使した(とうとう使える様になった)フィーネのナビゲーションでサマーランドへ到着。

 

「普通に入場料金必要なのな」

「まあ、異界は一部だし、普通の人は気が付いて無い設定だからねぇ」

「駐車料金、そういうものもあるのか!」

「タケル~、なんかおいしそうな匂いがするよ~!」

 フィーネの心は既にフードコーナーへ飛んでいる。

 ハイピクシーになっても、この辺は全然変わらない。

 

 

 エリリの仲魔のシェーラは甘い物は好きだが、ここまでは食い意地が張っていない。

 フィーネが好きなのはアイスとプリンだが、シェーラはヨーグルトと乳酸菌飲料が好きなのだとか。

 ここまでの車内での会話でのピクシーからの発言の7割は食べ物がらみであった。

 

 

 

「あらあら、そっちの坊はちゃんとご飯食べてるんかいな? ヒョロヒョロでもっと運動せなあかんよ? よっしゃ、おばちゃんに任せとき!」

 

 一方的にまくしたてられて、アキラのコンプにはアズミが入っている。

 

「アズミのおばちゃん化が加速しているのか、それともあの個体が特別なのか……」

「まあ、心強い仲魔が増えて良かったんじゃない?」

「タケルもエリリもサマナー技能持ってるのに、なんで、俺のトコに来るんだ?」

「母性本能がくすぐられた? レディキラーのおかげじゃね?」

「あー、そっかアキラのコンプってレディキラー入ってるもんね!」

「レディの範囲広過ぎだろ……」

 理想(ダフネ)と現実(アズミ)のギャップにアキラは納得がいかないようだ。

 

 

 水に関する悪魔の登場が確かに多いものの、時々「なんで、こんなところに?」となる悪魔も出現し、仲魔になったばかりで強めの悪魔と戦うことになっているシェーラはお疲れ気味だ。

 

「エリリちゃ~ん、疲れましたぁ~」

「ヘロヘロだねぇ、シェーラ。はい! 乳酸菌飲料!」

「(ゴクゴクゴク……)ぷはぁ~! 生き帰りました!!」

 

「…………!」

「ん、ムルルは飴か? コーラとヨーグルト、どっちの味がいい?」

「……!!」

「両方? フィーネの影響か? ムルルも欲張りさんになってきたなぁ……」

「タケル~、水筒!」

「はいはい、ちょっと待ってて」

 

「ほれ、坊! 坊もしっかり水分補給せな! しゃっきりせい!」

「俺はこれかよ……。ま、飲み物サンキュな」

 

 それぞれに仲魔も増えて、戦闘前後も賑やかなことになっている。

 

 地元の悪魔よりも強めな悪魔が多いものの、イベントも終えてそれなりにレベルも上がった今のタケルたちにとってはさほど苦戦する相手でも無いが、属性の相性や即死系持ちなどの出現の可能性もあるため、油断は出来ない。

 

「きやがった、ムドだ!」

「確率低いとはいえ心臓に悪いよね」

「やっぱ、耐性アイテムなんか仕入れるかな、でも車で散財しちゃったしなぁ……」

「この手の攻撃してくるってことはタケルの銀の燭台効く可能性あるわよね!?」

「よーし、じゃ、そっちはタケル中心、こっちは火力中心でバーベキューだ!」

「あー、この後、バーベキューなのに、そういうこと言っちゃダメ~!」

「わ、悪い!」

 

 といったちょっとヒヤヒヤした戦闘を最後に経験値稼ぎを切り上げ、サマーランドから少し離れたキャンプ場に移動する。

 

 

 

「お肉ばっかり食べてちゃあかんよ? こっちのお野菜も食べな」

「甘いものは無いの?」

「マシュマロでも焼くか? でも肉の臭いとかが移らないか?」

「お外で食べるとおいしいね!」

「…………!!!」

 

「新入りのせいで益々影が薄い件について……」

 アキラのウコバク、一応、ウコンという名前が付けられているが、新入りのアズミ(「もう、名前は『オカン』でいいんじゃね」とアキラ)が押しが強いため、どうしても影が薄くなってしまう。

 

「こればっかりはしようが無いねぇ、チミ~! ハイパーな私を見習って精進したまへ!」

「さっすがフィーネさんですぅ!」

 微妙に下っ端的役割が板に付きつつあるシェーラ。

 ハイピクシーになっても相変わらずのフィーネ。

 

「…………!!!」

「え、骨をもっと? ムルルちゃんのおかげでゴミが少なくなりそうね?」

 鶏肉やら骨付きカルビの骨をバリバリと食べるムルル。

 オカンはおかんらしく、うんざり顔のアキラを構い倒している。

 

 飲み物も食べ物もほとんど食べ尽して、ムルルのおかげでゴミも紙皿や割り箸、空き缶程度だったが、ゴミもまとめて、きちんと所定の場所に。

 

 半分遠足の様な車での初の遠征もこれで終わり。

 みんな揃って車に乗って、帰途へ。

 

 

 エリリ、そしてアキラと送り届け、マンションの駐車場に。

 

 そのまま部屋に戻ろうとするも「コンビニ、コンビニ!」とのフィーネの声に負けて、コンビニへと足を運ぶタケルであった。

 

 

 

 




まあ、妖精好きのエリリもサマナー技能を取るだろうなぁと
でもってサマナー技能手にして仲魔はピクシーを選ぶのは必然
アキラは特に悪魔との交渉術も持ってないんで
仲魔になりやすい悪魔が仲魔になるかなぁ……
タケルはストイックに強さを求めるタイプじゃないんで
技能は自動車となりました

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