斜陽のResistance   作:藤原守理

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第12話「スナック 御法(みのり)」

-2031年5月30日-

-第4極東経済特区大阪北部管区(旧大阪市北区)-

-裏路地[3:00]-

 

 

 あと数時間で夜が明ける街。ここはかつて多くの笑顔で溢れかえっていたありふれた下町の商店街だったが今は日本人のスラム街に変貌していた。

 

 ビルの間の狭い路地に雨露を凌ぐためのバラックが立ち並び道端にはゴミが散乱、異臭が漂っている。バラックにはやせ細った人々、暴力団の占拠するビルからは成金趣味のトチ狂った音楽が聴こえてくる。まるで内戦終わりのプノンペンの様相を呈していた。

 

 静まり返った汚いバラック街の一角にそこに合わない小奇麗な店が営業されていた。「スナック 御法(みのり)」とピンク色のネオンが光っている。

 

 

バンっ

「ハゥ!?」

 

 

 突如店のドアが爆発音を伴ってぶち破られる。同時にジャンパー姿の男が店からミサイルのように飛び出して勢いのまま向かいのゴミ箱に顔から突っ込んだ。男はゴミ箱から慌てて顔を出し店側を振り返った。

 

 

「…おい…てめぇ…」

「ヒィィ!!??」

 

 

 白煙の立つ店内から190cmはあるであろう仏頂面の大男が姿を現した。

 肌は焼けて丸く剃った頭に口周りにヒゲを蓄えた玄人顔にレトロチックなサングラス、高身長でプロレスラー並みの盛り上がった筋肉を覆うハワイ臭を漂わせるアロハシャツ。異様な姿だった。

 

 

 

「…妹に手ェ出そうだなんてよっ!去勢ショーの始まりだぁぁぁっぁ!」

 

「ヒィィィィィィィ!!!???」

 

 

 大男が右手に大鋏(おおはさみ)を大きく掲げ、仏頂面で迫る。対する壁に追いやられた男は恐怖で股間から如露如露と湯気を立てて黄色い体液を垂れ流した。

 

 今にもその鋏を降さんとした、そのとき、

 

 

 

 

 

 

 

「兄さん!次郎兄さんやめて!」

「結衣!?離せ!」

 

 

 大男に小柄で茶髪の少女がしがみついた。このアロハシャツ大男と着物姿の少女は兄と妹の関係であり、絵面は美女と野獣のようである。

 

「兄さん!彼をもう許して上げて!」

「やぁめろ!許さん!ワシャ絶対許さん!」

 

 

「!?ヒィ、さいなら!ごめんさい!!!」

 

 兄妹で押し問答している隙にジャンパー男は猛スピードで逃走を始めた。

 

 

「まぁぁぁて!クソガキ!!!!」

「に、兄さん!?」

 

 

 とうとう彼女の拘束を振り切り兄である大男は下郎であるジャンパー男を同じく猛スピードで追撃していった。

 

 

 

 

 

「………………………」

 

 

 一悶着が終わると街は深夜の静まり返った状態になり戻った。ぽつんと取り残された少女はふと空を見上げる。今夜は満月のようだ。

 

 

「……ん?今日は遠くでやけに銃声がするなぁ……」

 

 

 音のする方を見ると南の軍施設の方角から黒煙が上がっている。火事だろうか。そこから大きく銃声と爆発音が鳴っているようだ。その音はこっちに近づいている…?

 

 

 少女はひとまず、身内(兄)に破壊された店の入口を見てため息をつき、後片付けをするのだった。

 

 

 




投稿遅れてすいません!タイ・カンボジア旅行楽しかったです(白目)
ところで本日、12月23日は天皇誕生日だそうですね。
天皇陛下万歳!
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