嘘だけど。(凍結)   作:雨天 蛍

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このお話は私のイメージ的にこの子はこのころ誕生しただろうなぁと思って作成しました。
東方は細かいことは分からないので、温かい目で見てください。


妖精の少女

妖怪についての私の認識というのは、人間が作り出したものである。という考えだった。

だったらなぜ私が存在するんだって話になるけどね。

そんなことは置いといて、目の前の私の認識を改めざるを得ない存在をどうしようか?

氷に閉ざされた世界で出会った小さな小さなこの妖精を。

 

 

 

 

 

 

 

 

「人がいないと喋ることがなくなるから、いつか口が内側につくようになるんじゃないかな?」

そんなくだらないことを考えていた。いや、口に出したら考えていたとは言わなくなるのかな?

この世界に転生してから1ヵ月ほど過ぎた。相も変わらず氷は溶けそうにない。

最初は家族やらなにやらで色々考えることがあったのだが、もう死んだのだし気にしないことにした。

そして1ヵ月。長いような短いような1ヵ月だった。

そろそろこの世界でどうやって生きていくかを考え始めていた。

食料のことはどうにでもなる。問題は。

「住居と、他の知能を持った生き物が無い事なんだよなぁ。」

そろそろ風呂に入りたい。二日目に風呂に入ったら湯はすぐ冷めるし、能力で温め続けるとどんどん深くなっていってしまい、ゆっくり風呂になど入れなかった。

知能を持った生物のほうは諦めている。

「おそらく今氷河期だもんね。」

人類の原初はアフリカにいるし、氷河期にいた記憶はない。私が歴史について知らなさすぎるだけだろうが。

「暇つぶしの方法も考えないとだよね。」

仲間が誕生するのは人間がいないとだし、どうしようか。

「とりあえず今日のご飯を取りに行こう」

ここでは狩りに行こうだけどね。

 

 

 

 

氷河期でも生物はうようよしているので食べ物に困ることは無かった。

そんなことで今日も狩りが始まる。

私がそこいらへんをうろつくだけで2時間もあれば敵から襲いに来る。

「皆さんこんにちは。今日のご飯の時間です。本日も狼のような肉食獣の料理です。」

タンパク質のみであり、栄養の偏りが心配だ。

「一匹目はいつも通りに丸焼きにしてしまいましょう。飛びかかってきたところをしゃがんで躱し、着地の衝撃の際に背中に飛び乗ります。」

解説風にお道化ながら実行に移せる妖怪の能力の高さが素晴らしいね。チートじゃん。

「背中に乗ったら能力発動。狼の内側から熱を増幅します。この時。皮の所で熱を遮断するようにしましょう。」

以前これで火傷しそうになった事がある。私の能力は相手に適応させようとするなら触れているのが楽なのだ。

今後の暇つぶしで修行でもしよう。いざという時に役に立ちそうだし、範囲が狭いのは危険だ。

「そして出来たものがこちらとなります。皮を破けば中はこんがりです。」

あと一匹いるけどどうしよう。私の体的に一匹で3日は持つんだよね。

「そうだ、干し肉にしてみよう。」

そうと決まれば実行だ。相手は仲間がしがみつかれただけで倒れたことに戸惑っているし。攻めるなら今だろう。

足の裏を能力で反射するようにする。そして大きくその場で足踏みをする。

その動作だけで私ははじかれた様に飛ぶ。動けないでいる狼に向かって弾丸のように進む。

そして全身に反射の能力を付けて体当たりをする。ぶつかった狼は全身をぐしゃぐしゃにしながら吹き飛んでいった。そして私の体もなぜか狼とは逆方向に飛んで行く。

そうか、反射なんだから踏ん張ってなけりゃ私も吹き飛ぶのか。

そのまま数瞬の時間をおいて私の体は地面についた。

もちろん能力は切ってある。じゃないと止まらないもん。

ズザザザ!という音を立てながら滑る私。氷は摩擦熱で表面が溶けるから滑るんだっけ。

今は氷に触れているから氷に能力をかけて止まることにした。

しかし体を起こそうとしても動かない。

骨が折れているようだ。背中の。

「背骨が折れたら動けないじゃん。全身植物状態だよ。」

こんな時でも口は動く。まあ、妖怪だししばらくすれば動けるくらいには回復するだろう。

氷の上を滑ったときに出来た擦り傷はもう塞がっているし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あのあと体が動くようになった時にはもうすっかり暗くなっていた。全身がまだ鉛のように重いので吹き飛ばした奴は捨て置いて焼き狼になった方は持って帰ろう。

「こんなに時間が経っていれば流石に横取りされてそうだけどね。」

そんな事を呟きながら元の戦闘場所に戻った。狼は無事だった。嘘だけど。

「中身が焼けているのに無事は無いだろう。」

一人ツッコミをしながら狼を引きずって帰路につく。そして私が家にしている洞窟は穴が氷で塞がっていた。

元から襲われないように小さな穴にしていたけど、雪で覆われているのではなく氷で塞がれていた。

だから疑問なのだった。

「まあ、私の能力で溶かせばいいのだけどね。」

まだたき火を手で作れる程度の熱しか出せない能力なのだ。時間は掛かる。

そもそもたき火は作れないので嘘になるな。これも。

私が出来るのは熱を発生させることなので、火を起こせるものがないと火は発生しないのだ。

閑話休題。氷に手を当て、手の熱を増幅させてゆっくり溶かしていく。

氷を能力で内側から溶かした方が早いことに気が付いたのは氷を溶かし切った後だった。

「さあ、中に入って狼を温めてから食事をしよっと。」

狼を中に入れるために掴もうと振り返った先には、小さな妖精が狼を氷漬けにしようとしていた。

まだこちらには気が付いていないのでそっと近寄り。

「捕獲じゃぁぁぁ!」

今思えばここは確保じゃぁぁ!の方がよかったと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

妖怪についての私の認識というのは、人間が作り出したものである。という考えだった。

だったらなぜ私が存在するんだって話になるけどね。

そんなことは置いといて、目の前の私の認識を改めざるを得ない存在をどうしようか?

氷に閉ざされた世界で出会った小さな小さなこの妖精を。

・・・そもそも妖精は自然から発生したものなのだろう。妖力なんて感じないしそういうものなのだろう。

そんなことは置いておこう。私は妖精を家へ連れていき、そこで手を放した。

「・・・?」

妖精が首をかしげている。お仕置きも何もしないでただ家に入れただけで解放したことが疑問なのだろう。

「とりあえず、そこいらに座っていて、ご飯用意するから」

別に私は何をするつもりでもない。ただ家に招いただけだ。

欲しかった知能を持った生物だろうから。

妖精は言葉が分かるらしく、飛翔するのをやめた。

私は狼を家に入れ、能力で温め始めた。

「ええと・・・君の名前は?」

皆私のことを認識していないだけで、人と話すことは苦手ではなかった前世。

ここで私のコミュ力が試される!

「・・・」

妖精はただ首を振るだけだった。名前がないのだろう。

「じゃあ、女の子だよね?」

元男だなんて私だけにしてほしい。というかこの世界に転生したのは私だけだろう。

「・・・!!」

元気よく頷く。今日からこの子はピクシーちゃんだ。嘘だけど。

「もしかして、喋れないの?」

「・・・」

小さく頷いた。一応言葉が分かるだけありがたいものだ。

「じゃあ、家は?」

首を振られる。家なき子か。

「家族は・・・いるわけないか」

仲間も見たところ居なさそうだし、つまりは。

「じゃあ私たちは一緒だね。」

「・・・?」

首を傾げられる。説明する気はない。

「ここに住んでみない?私も寂しかったし」

「・・・!・・・!!」

お互いこの後別れてまたひとりぼっちは嫌だろう。妖精ちゃんは頷く。すごい頷く。赤べこみたいだ。

首が取れないのだろうか?

「じゃあ、変な感じがするけど、これからよろしく」

手を差し出す。妖精ちゃんは私の手に収まるくらい小さいけどしっかりと私の指を掴んで握手をする。

 

ということで、私に小さなかわいい同居人が出来ました。

 

 

 

 

 

後日談として、狼を温めすぎて焦げて食べられなくなったのはいい思い出。




妖精ちゃんとは皆様知っての通り、⑨です。
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